健診定期的に 命守れ 石綿救済法案
2022年6月10日アスベスト(石綿)による中皮腫などで死亡した労働者の遺族らを対象とした「特別遺族給付金」などの請求期間を10年延長する石綿健康被害救済法改正案が10日の参院環境委員会で採決され、効果的な広報と周知の徹底などを求める付帯決議とともに、全会一致で可決されました。
石綿の健康被害は、被害者自身に石綿を吸った自覚がなく、発症までの潜伏期間が30~40年と非常に長いため、本人も石綿が原因だと気付きません。国際労働機関(ILO)は1986年に、石綿の中で最も毒性の強い青石綿の使用あるいは吹き付け作業を禁止する条約を採択しましたが、日本の条約批准は2005年7月と遅れました。
質疑で日本共産党の山下芳生議員は、中皮腫による死亡者の遺族への個別周知が進んでいない実態を指摘し、「20年近くも安全対策を放置したばかりか、通算1000万トンの大量輸入を続けた国の責任は極めて重大だ。定期的な健診など、国民を守るために、国は責任を持って必要な措置を講ずることができるよう、さらなる制度の改正を検討すべきではないか」と主張しました。