日本共産党 参議院議員 党副委員長
山下よしき

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裏金事件の無反省 根本に 首相の商品券問題 山下議員が迫る

予算委員会 2025.3.21
速記録 資 料 動 画

日本共産党の山下芳生議員は21日の参院予算委員会で、石破茂首相が「政治活動ではない」とする商品券配布問題の根っこには裏金事件への無反省があると指摘し、真相を徹底解明するよう迫りました。


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(写真)質問する山下芳生議員=21日、参院予算委

山下氏は、石破首相の政治団体「石破茂政経懇話会」の2023年度分の政治資金収支報告書には「政治活動の内訳」として「飲食代+お土産代」12万円余の支出が記載されていると指摘。「産経」20年11月19日付が報じた、赤坂(東京都港区)のそば店での石破派(水月会)会合も同年の収支報告書に記載されているとし、首相公邸で会食し、商品券を渡した会合とは何が違うのかと質問。石破首相は「趣旨を全く異にする」と強弁しました。

山下氏は「政治家が『政治活動ではない』と言えば、飲食しようが10万円の商品券を配ろうが、収支報告書に記載しなくていいということだ。これが許されたら政治資金規正法はザル法になる」と批判しました。

山下氏は、自民党裏金議員の一人、石井正弘議員が参院政治倫理審査会で、秘書が還付金不記載の違法性を認識し「清和研(旧安倍派)の事務局の方と押し問答的になったという経緯を聞いている」と証言したと指摘。当時の事務局長である畠山三男氏に違法行為の強要について確認すべきだと迫りました。石破首相は拒否しました。

山下氏は「民主政治を根本から破壊する裏金づくりが、こんな強権的なやり方で続けられていたのに放っておくのか」と批判。石破首相は「(裏金事件は)司法の判断が出ている」と強弁しました。

山下氏は、政倫審で裏金づくりについて自民党執行部から「報告を求められた」とする議員は誰一人いなかったとして、自民党全体が裏金事件の真相を解明するつもりがないと批判。「新たな裏金づくりをやり続けるなら退陣すべきだ」と主張しました。

速記録を読む

○予算委員長 鶴保庸介 次に、山下芳生君の質疑を行います。山下芳生君。

○山下芳生 日本共産党の山下芳生です。
石破総理が当選一回の衆議院議員十五人に一人十万円の商品券を配付したことが世論の厳しい批判を浴びています。総理は、この会合を政治活動ではないとおっしゃっています。
そこで、お聞きいたします。(資料提示)
このパネルは、総理の政治団体、石破茂政経懇話会の令和五年分の収支報告書の抜粋です。支出先のお店の名前、住所の一部はマスキングいたしました。これを見ると、政治活動費の内訳として食事代、飲食代がずらっと並んでおります。その中に、パネルの下の方ですが、飲食代プラスお土産代として十二万円余が支出されたことも記載されております。
総理、ここに記載されている飲食してお土産を渡した会合と、公邸で十五人の新人議員と会食し商品券を渡した会合とは、何が違うんでしょうか。

○内閣総理大臣 石破茂 これらのものは、ずっとこの一連の答弁で申し上げているところでございますが、その会合の趣旨というものが政治資金規正法第二十一条の二、つまり、政党以外の者が公職の候補者の政治活動に関し、金銭等による寄附をすることを禁止しているという趣旨でございます。そういうものに沿いまして、法の趣旨に沿って適正、適切に支出をしておるものでございまして、さればこそ、こうやって収支報告書に載せておるものでございます。
自分の私費で賄い、そして趣旨が全く政治活動と無縁のものという、それが今回の会合、今回といいますか、指摘をされています会合はそうでございます。そういうものについては、これは政治資金収支報告書への記載の要がございませんので、そのような取扱いをさせていただいたところでございます。

○山下芳生 もう少し詳しく聞きたいんですけど、産経新聞の二〇二〇年十一月十九日付けが、自民党の石破茂元幹事長は十八日夜、東京の赤坂のそば店で石破派、水月会の若手議員らと会食した、衆院当選三回の、まあ実名も入っているんですが、衆議院議員ら七人が石破氏を囲んだと。会合後、石破氏は、楽しい会だったと周囲に語ったとおっしゃっています。
これはちゃんと政治資金収支報告書に記載されておるんですね。この水月会の会合と公邸で新人議員と会食して商品券渡した会合、何が違うんですか。分かるように言ってください。

○内閣総理大臣 石破茂 それは、水月会という政策集団の、参加していただいている方々に、それは政策集団でございますから、私ども当時、月に一回誰かを、つまり所属議員が講師となって政策を一時間講演をし、所属メンバーが一時間質疑応答をすると、まさしく政策の研究、あるいは錬磨というものを行ってきたものでございます。
では、そこで、そば屋でおまえ、そんなことをやるのかいというお話かもしれませんが、済みません、その私どものグループはそば屋でも政策なぞやったりしておりまして、そういうようなことでございました。そこにおいては、本当に皆様御苦労さまでしたということをポケットマネーでやることと、まさしく政策についての議論を行うというもの、あるいはしち面倒くさい政策の話ではなくても、これから先の政治というのはいかにあるべきものなのか、自民党というのはいかにあるべきものなのか、政策集団の在り方とは何なのかということは、それは趣旨を全く異にするものでございます。

○山下芳生 分からないですね。
公邸での会合後、記者団の取材に応じた大空幸星議員は、若い世代や働いている現役世代に向けた政策をしっかり打ち出していくことが必要といったことを率直に受け止めてもらったと。しっかり具体的な政策を議論しているじゃないですか。
結局違いは分からないんですよ。国民が聞いても分からないですよ。そうなると、結局、総理の言っていることは政治家の判断でいかようにもできるということですよ。政治家が政治活動ではないと言えば、飲食しようが十万円の商品券を配ろうが、収支報告書に記載しなくていいということになります。そんなことが許されたら、政治資金規正法は全くのざる法になってしまいます。私は、何でこんなことがやられてしまうのかということを問いたい。根っこには、自民党の裏金事件への無反省があると思います。
自民党の各派閥は、政治資金を集めるためにパーティーを開催してきました。そのパーティー券の販売ノルマ超過分が八十名を超える衆参国会議員に還付、キックバックされた上、政治資金収支報告書に記載されず裏金にされていたという事件です。日本共産党の機関紙しんぶん赤旗が二〇二二年十一月にスクープし、神戸学院大学の上脇博之教授が検察に告発したことによって裏金が表に出ることとなりました。
パネルに政治資金規正法の第一条、目的を示しました。ここにあるように、政治活動が国民の不断の監視と批判の下に行われるようにするため、政治資金の収入と支出を公開する、もって民主政治の健全な発展に寄与することを目的とするとあります。
裏金事件というのはですね、総理、民主政治を根本から壊す深刻な事件だという認識ありますか。

○内閣総理大臣 石破茂 政治資金規正法というのの規正が正しいという字を書いているのはそういうことであって、つまり、誰から幾ら拠出を受けましたかということが分からなければ、それは政治の公正性が担保されないだろうということでございます。ですから、政治活動というものに掛かるお金というものはすべからく政治資金規正法によって公開の必要性というものがあるということですが、それは、私は日本共産党のそういうような会合に出たことが一度も当然もございませんので、私どもの会合というものも、それは委員が御存じないのは当然のことでございます。
それは、私どもそこは峻別をいたしておりまして、今、一期生の名前を挙げて、こういうふうな証言があったじゃないかというふうにおっしゃいますが、そこにおいて、それでは若い方々のこれから先の所得の向上あるいは手取りの増、あるいはこれから先の社会保障の問題、そういう政策について個別具体に議論をしたわけではございません。したがいまして、それは政治活動ではないということを先ほど来申し上げておるのであって、それは政治活動とは異なるものでございます。

○山下芳生 だからね、総理の説明は国民には分からないと思いますよ。飲食とお土産、それ何が違うのかと聞いても分からない。私が聞いているのは、裏金事件があって、その無反省がこういうことを引き起こしていることになるんじゃないかということなんです。
それで、政治資金規正法については大事なことだとお認めになりました。そのとおりです。収入、支出、これ公開することによって国民が判断するということですから、裏金はその判断の材料を隠しちゃうということですからね。
昨年十月の総選挙では、民主政治を根本から破壊したことへの怒り、物価高騰で国民の暮らしが青息吐息になっているときに自民党の国会議員はせっせと裏金をつくっていたのかという怒りが爆発して、国民の厳しい審判が下りました。自民党は衆議院で初めて与党過半数割れと陥ったわけであります。
その総選挙後、参議院の政治倫理審査会に二十七人の裏金議員が我も我もと弁明を申し出てきました。石破総裁が、政倫審で弁明しなければ七月の参議院選挙で公認しないと発言したことも影響したと思います。私も政倫審のメンバーですが、おかげで国会閉会中も、クリスマスも返上し、お正月もそこそこに、裏金議員一人一人から弁明を聴取し質疑を行ってまいりました。これまでに二十六人の審査を行いましたが、ほとんどの議員が、裏金について知らなかった、私は関与していない、秘書に任せていたと口をそろえました。裏金が表に出て二年以上たつのに余りに無責任だと思います。
ただ、その中で、真相解明につながる重要な証言もありました。岡山県知事を四期務めた石井正弘議員は、自らの国会秘書が裏金の違法性を認識していたと証言されました。パネルにあるように、石井議員は、昨年の一月、地元の山陽新聞から取材を受けて、パーティー券の販売ノルマ超過分として派閥から現金を受け取り、八年間政治資金収支報告書に記載していなかったことを認め、謝罪されました。その上で、パーティー券の販売や処理を任せていた秘書について、赤線引いた部分ですが、秘書は当初から違法性を認識し、派閥側に返還しようとしたが断り切れなかったと証言を述べていたということであります。
そこで、私は、昨年十二月二十五日の政治倫理審査会で、石井正弘議員に、秘書は当初から違法性を認識していたというのは事実ですかと、事実とすればその根拠は何ですかと質問をいたしました。石井議員は次のように答えました。還付する、しかもそれが不記載だという、その不記載の点についてこれは法律に抵触するんじゃないかというふうに秘書は直感的に思ったそうです。というのが、秘書歴は彼は長いわけで、別の派閥の方だったんですが、長く議員の秘書をやっておりますから、こういったお金というのは絶対に受け取っちゃいけないと、ちゃんと正規に、その収入の方にも記載をすべきだという、そういう強い思いを持っていたものですから、清和研の事務局の方と押し問答的になったというような経緯を聞いているところでございますという証言でした。非常に重要な証言だと思います。
違法性を認識していた秘書に押し問答しながら派閥事務局が違法行為を強要したということです。総理、重大だと思いませんか。

○内閣総理大臣 石破茂 それは、石井参議院議員の秘書さんがそういう違法性の認識を持たれた、それで清和会の事務局と議論をされたという事実は非常に重要なことだと思っております。それは、長い経験に基づいてその秘書さんが違法性の認識を持っておった。ですから、刑法総論の議論をするつもりはございませんが、違法性の認識というものを持つか持たないかということはそれは極めて重要な意味を持つものだと思っております。それは人によって異なりがございます。そしてまた、違法性の認識というものを持つような状況にあったかどうかということもそれは個別具体の問題でございます。

○山下芳生 総理も重要だとおっしゃいましたけれども、違法性を認識していた秘書に派閥事務局が違法行為を強要した、この石井議員の証言について自民党総裁として調査して国民に報告すべきではありませんか。

○内閣総理大臣 石破茂 それは、政策集団というのは党の正式な組織ではございません。そこにおいて、強要したということを私は確認するだけのすべを持ちませんし、情報を持っているわけでもございません。そこは、今委員が強要したのだというふうに断定的におっしゃいましたが、そこについて、それが本当であるのか、それが強要されたということなのか、そして、それは自由民主党の組織で行ったものではございませんので、自由民主党の中の政策集団というものがそういうことあったという御紹介を今承ったところでございます。

○山下芳生 重大だと言いながら、重大性が認識されていないと思うんですね。
石井議員は、政治資金規正法にのっとって正しく収入を記載すべきだと、これは受け取れないと言っていた秘書に、清和研、派閥事務局からみんなやっていることだからと強い要請があって、押し問答の結果押し切られたと。議員の立場が悪くなったらということまで証言しているんですよ。これは民主政治の健全な発展が政権与党の最大派閥によって踏みにじられたという大問題なんですよ。
石井正弘議員の秘書が押し問答した時点の清和会の事務局長は、先日、衆議院で参考人招致された松本淳一郎氏の一つ前の事務局長だった畠山三男さんです。畠山氏は自民党の職員でもありました。
総理、畠山三男氏に、石井議員が証言した違法行為の強要について確認すべきではありませんか。

○内閣総理大臣 石破茂 私、その方を存じ上げませんが、その方が清和政策研究会の職員として奉職をされたのは、当然、自由民主党の職員をお辞めになった後のことでございますから、それは自由民主党の雇用関係にある方でもございません。
したがいまして、私どもとして、自由民主党として事実関係というのを確認するという、そういうような関係にはないものでございます。

○山下芳生 驚きました。政権与党の最大派閥でこんなことが起こっている、民主政治を根本から破壊する裏金づくりがこんな強権的なやり方で続けられていたのに放っておくというのかと。私は、石破総理自身が商品券配付という裏金事件と同じことをやっているから調査できないんじゃないかと、国民はそう思わざるを得ないと思うんですね。国会として、裏金事件の真相解明の役割を果たさなければなりません。
委員長、当委員会に畠山三男氏を参考人として招致することを求めます。

○予算委員長 鶴保庸介 後刻理事会にて協議をいたしたいと思います。

○山下芳生 私は、政倫審で弁明した二十六人の裏金議員のほぼ全員に一つの同じ質問を行いました。あなたは、総選挙後、自民党執行部から裏金作りシステムをいつ誰が何のために始めたのか、また裏金が何に使われたのか、党として真相解明したいので知っていることを全て報告せよ、あるいは、知らなくてもこれこれこういうことを調べてでも報告せよと求められましたかと。聞いた方全員が求められたことはないということなんですね。つまり、個々の議員が知らぬ存ぜぬで済まそうとしているだけではなくて、自民党全体が裏金事件の真相解明をするつもりがない、幕引きを図ろうということが明らかになりました。
総理、こんなことでいいんですか。

○内閣総理大臣 石破茂 それは、政治資金規正法に反するか反しないかということについては司法の判断が既に出ているものでございます。そうでなければ、司法に対する信頼というものがそもそも成り立ちません。我が党において何が行われたかということは、我が党のいろいろな規定に従って適切に行われているものでございます。
政治資金規正法の問題、あるいは、いわゆる公開されていない政治資金規正法に反する行為というものと、今回のいわゆる商品券のお話というのは本質的に異なるものでございまして、そこを議論を混同すると本質を見誤ると思っております。

○予算委員長 鶴保庸介 時間でございます。

○山下芳生 締めます。
真実の解明を検察の手に委ねるのでなく、自民党から積極的に明らかにすることによって、初めて国民の信頼をつなぎ止めることができるのだと思っていますというのは、総理がブログで書いていたことですよ。全く変わってしまったと。だから、総理自身が十万円の商品券を配付するということにもなるんです。
再発防止の決定打、企業・団体献金の全面禁止に踏み出す、真相解明する、それができないんだったら、新たな裏金作りをやり続けるんだったら退陣すべきだということを申し上げて、終わります。

○予算委員長 鶴保庸介 以上で山下芳生君の質疑は終了いたしました。(拍手)
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