日本共産党 参議院議員 党副委員長
山下よしき

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住民合意のルール必要 参院環境委 

参議院環境委員会 2021.5.27
資 料

○山下芳生君 日本共産党の山下芳生です。
私はかねてより、再エネの飛躍的普及のためには住民の納得と合意が得られるルールが必要だと主張してまいりました。今日は、そのことを示す具体的な事例を幾つか紹介したいと思います。
資料一にあるのは北海道石狩市ですけれども、現在、石狩湾新港周辺の陸上部で風力発電が三か所、十九基稼働しております。風力発電では低周波音による耳鳴りや睡眠障害などの健康被害が各地から報告されておりますけれども、石狩市でも、風車が動いているときに不快感を訴える方たちがおられます。そこに新たに一か所、国内最大級の洋上風力発電が建設されており、住民に健康不安が広がっております。
この資料は、北海道大学工学院が石狩湾新港周辺の風力発電、既設、新設合わせて四事業から発生する低周波音による累積的影響を研究し、圧迫感、振動感を感じる地域の予測を示した図であります。それによりますと、影響は半径十二キロ、石狩市、札幌市、小樽市にまたがる約四十万人が居住するエリアに及びます。圧迫感、振動感を感じる人は約四千人、最も距離が近い工業団地では百二十人が頭痛になり、十人以上の住民が睡眠障害を発症すると予測されています。
そこで、環境省に二点伺います。
第一は、環境省はこれまで、風力発電施設から発生する超低周波音、低周波音と健康影響については明らかな関連を示す知見は確認できないとしていますけれども、石狩でも全国でも現に健康被害が発生しております。改めて知見を集め、認識を再検討すべきではないか。
二点。建設中の石狩湾新港洋上風力発電では、直径が百六十七メートル、単機の出力八千キロワットの巨大な風車が十四基建つことになります。巨大風車が既存の風車とともに集積する地域が生まれることになると。環境省として、巨大化し、集積した風力発電施設の累積的影響を調査し、新たな指針を策定すべきではありませんか。

○山本昌宏 環境省水・大気環境局長 まず、風力発電施設から発生する低周波音による健康影響についてお答えいたします。
環境省におきましては、風力発電施設から発生する騒音について、有識者での検討会での議論を経て、二〇一七年に指針を取りまとめております。この段階では、低周波音と、風力発電施設から発生する低周波音と健康影響について明らかな関連を示す知見は確認できていないという状況です。ただ一方で、風力発電施設から発生する騒音には煩わしさを増加させる音が含まれておることから、このような形で指針をまとめ、その影響を未然に防止するという観点で指針を出しておるところでございます。
その後の新しい知見ということで、二〇一九年度におきまして、二〇一六年以降に発表された内外の知見を更に集めまして検討を行いましたが、低周波音、低周波音と健康影響の明らかな関連を示す知見は得られなかったという状況であります。
引き続き、委員から御指摘のありました大型化や設置台数の増加ということもありますので、引き続き知見の収集に努めてまいりたいと考えております。

○山下芳生君 もう風車を大型化すればするほど羽根の先端部分の速度が大きくなって、低周波音の音域の音圧が増すと、遠くまで届くというふうに言われております。
それから、石狩の洋上風力に対する知事意見でも累積的な影響を懸念するという言葉が出ておりますので、既に三か所、十九基、六万キロワット、その上に巨大な風車十四基、十万キロワットが累積するので、これなすがままにしておいていいのかなということなので、これ、直ちに知見の集積と対応をお願いしたいと思います。
知事意見では、国内において洋上風力発電事業は先例がないと、適切な事後調査が必要だということもおっしゃられていますが、事業者は、株式会社グリーンパワーインベストメントなんですけれども、健康への影響はない、事後調査は実施しないとしていると。私は、こんな姿勢では、これから再エネが普及するのかなと疑念を抱かざるを得ません。
経産省に二点聞きます。
一つは、ちゃんと事後調査をやって、住民や自治体の納得と合意を得ながら事業を進めるよう事業者を指導すべきではないか。二点目、風力発電所のアセスにおいて、低周波音の影響も評価に入れるべきではないか。いかがでしょうか。

○茂木正 資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長 石狩湾の新港の洋上風力発電事業、こちらの港湾管理者である石狩湾新港管理組合、これが二〇一五年に公募手続によって事業者を選定して、港湾区域内で占用を許可した案件でございます。
この事業、環境影響評価の手続は、評価書の確定を終えて、騒音や低周波音による環境負荷は実行可能な範囲で低減されて既存の値をほぼ上回らないことを確認しておりますが、地域の住民の方々からは、事業者による説明が不十分であるということについて懸念の声が上がっているということについては承知をしております。
再エネの主力電源化を進めていくに当たりまして、地域の信頼を獲得しながら地域に根差した再エネ導入拡大というのを進めていくことが重要でありますので、FITの制度の中では、発電事業者が地域住民と適切なコミュニケーションを図ることを努力義務としておりまして、これを怠っている場合には再エネ特措法に基づく指導というのを行うということにしております。地域住民の方々とのコミュニケーション、これが図られていないということが確認された場合には、地域と共生した事業が実施されるように適切に対応してまいりたいというふうに考えています。

○山下芳生君 累積影響について、この事業者は、自らの増加分は少ない、影響は小さいと言うんですね、自分ところは少ないんだと。しかし、これ累積したら影響が出るというのが新しい北大の研究ですので、自分のところは小さいよというふうに言っちゃうのは、これはやはり住民の理解得られないと思いますので、そういう観点から見ていただきたいと思います。
資料二枚目に、石狩湾は実は、環境省のゾーニングモデル事業において、生物多様性の観点から重要度の高い海域としてモデル地域に抽出されている地域なんです。環境調査を行い、漁業関係者や自然保護団体の意見を聞いて、パブリックコメントなどもやって、この地図のピンク色の部分、陸域と海岸から八百メートルまでの海域を環境保全エリアとしました。
資料三は、その後、石狩市は、再エネ海域利用法の促進区域として指定される希望区域として、地図の黄色いエリアを情報提供しています。しかし、この黄色いエリアは、先ほどのピンク色の環境保全エリアと重なります。
せっかく市民の意見を聞いて設定した環境保全エリアが、再エネ事業の開発促進区域として情報提供されている。私はこれはゆゆしき事態だと思うんですが、小泉大臣、環境省として、これ今後、協議会などでちょっと待ったと意見を述べる必要があるんじゃないでしょうか。

○小泉進次郎 環境大臣 まず、この石狩市沖、今のことですけど、現時点においては、先生御指摘の再エネ海域利用法の促進区域の候補地として公表されていない段階だというふうにも聞いています。
ただ、再エネ海域利用法の中では、経産大臣、国交大臣、この二者による促進区域の指定に当たっては環境大臣に協議がなされる仕組みとなっています。同協議がなされた場合には、環境の保全に十分配慮できるように適切に意見を述べてまいります。
そして、石狩市沖に関しては、環境省は、自治体が環境の保全と両立した形で円滑な風力発電導入を促進できるようにゾーニング事業を実施しています。石狩市は、この事業を活用してゾーニングマップを作成をして、平成三十一年の三月に公表しているところです。
今後、仮に再エネ海域利用法に基づくプロセスが進む場合には、この石狩市のゾーニングマップの趣旨を踏まえて、法律に基づく環境大臣協議で意見を述べるほか、必要に応じて協議会への参加、助言などを行うことによって、環境に適正に配慮して地域と共生する洋上風力発電の導入を支援していきたいと考えています。

○山下芳生君 資料四に、この石狩湾が、今おっしゃった再エネ海域推進法の促進区域に指定されることを前提にですよ、洋上風力発電の事業計画が今集中しております。これ合わせて、これ全部もし建ったとしたら八百三十四基になるんですね。もう洋上風力発電銀座に石狩湾がされようとしております。
資料五見ていただきますと、日本の洋上風力発電事業は、海岸からの距離が大体もう二キロ以内と極めて近い場所で行われています。対して右側、ドイツでは、海岸から二十キロ以上離れているわけですね。これはまあ遠浅ということもあるでしょうけど。
先ほどの北大の研究では、半径十二キロ以内で低周波音による影響が予測されているわけですから、したがって、日本においては、洋上風力発電の健康への影響についてより厳密にこれ対処する必要があると思います。大臣、一言、どうでしょう。

○小泉進次郎 環境大臣 再エネ全般で申し上げれば、課題となっているのは、いかに地域の合意を得られるか。その下に、今般成立をした温対法の改正の中で、地域の合意形成が促進されるような再エネを後押しをしたいと、それが地域に経済的にも貢献をする形を実現をしたいと、この思いありますから、再エネ事業者の皆さんには是非信頼ある再エネの案件を生んでいくような姿勢で取り組んでもらいたいと考えております。

○山下芳生君 大事な御答弁なんですけどね。新しい事態が、巨大な風車が集中して立地されようとしているわけです、しかも近場にね。これはよく見ていく必要があると思います。
資料六枚目で、これは埼玉県飯能市の阿須山中で進行中のメガソーラーの事業の計画図であります。元々、阿須山中は自然が豊かで、乱開発を防ぐ目的で飯能市が土地開発公社に購入させ、自然公園としてきました。ところが、サッカーによる地方創生を名目にした開発が進んで、尾根を削って谷を埋め立てて、11ヘクタールに及ぶメガソーラーが建設されようとしております。その右上、調整池、池として掘り下げられた場所に、本来メーンとなるはずのサッカーのグラウンドが0.9ヘクタール計画されているわけです。これ、大雨が降ったら水没するサッカー場ということで、これ看板に偽りありだと思いますが。
資料七枚目に、私の事務所で現地を調査した写真を付けておきました。自然の木々が伐採されて、メガソーラー用地が大規模に造成されています。埼玉県レッドデータブック掲載種、県内希少野生動植物種に指定されているコクランの自生、開発地域内で確認されましたが、その場所も開発されました。
資料八、これに対し、貴重な自然を壊すなと多くの市民が反対しております。これはイラストのチラシですけれども、よく分かるチラシなんです。飯能市の人口は七万九千人余りですけれども、反対する一万三千五百筆の署名が提出されております。
もう、ちょっと時間ありませんから、次の事例も併せて大臣の見解を伺いたいと思います。
資料九は、これは奈良県平群町におけるメガソーラー事業の概況を示す図であります。山林を切り開いて四十八ヘクタール、甲子園球場の十二倍の面積に六万枚のパネルを設置しようというものなんですが、この計画が事前に知らされたのはメガソーラーが建設される山間部の櫟原という地区だけで、隣接する地域に知らされたのは町と業者が協定書を締結した後でした。この隣接地域は、メガソーラーから引かれる二万五千ボルトの高圧送電線が生活道路の真下に敷設されることになっているんです、この赤いラインですけれども。これ非常に不安だという声が出ております。また、パネル設置による保水力の低下で、下流部の洪水も心配だという声も出ております。
高圧線の道路埋設に当たっては、地元合意なしに町が道路工事を許可してしまって、住民が反発しております。ここでは、人口一万八千人の町で千人が集団訴訟を起こす事態となっております。
この事業を進めているのは、米国の資産運用会社からの出資を受けた地域外の資本金十万円のペーパーカンパニーなんですね。そういうことで、この事業が、これ一体住民にとってどんな利益があるのか、誰のための事業なのかということになっちゃっているんですが。
大臣、二つの事例を紹介しました。私は、再エネ事業の在り方が問われているんじゃないかと。やはり再エネ事業は、地域外資本の利益のためではなくて、しっかり環境を保全し、再生可能エネルギーの地産地消など、住民の豊かな暮らしに資する、そういう地域主体で行われるように誘導していく、それを促す、そういう仕組みが非常に大事なんじゃないかなと思うんですが、いかがでしょうか。

○小泉進次郎 環境大臣 今御紹介のあった個別の事例に限らず、全国の中で、事業者の進め方、また地域の皆さんの思いがうまくまとまらず、再エネ全般に対するイメージが悪くなっている、こういったことは危機感を持っています。
今回成立をした温対法の改正を機に我々環境省が後押しをしたいと思っているのは、元々、今全国の自治体の九割でエネルギー収支が赤字で、域外に資金が出ていっている状況を転換をさせて、地域の資源が活用されて地域の皆さんが恵みを受ける、そういった地域の地産地消型のエネルギーをいかに生んでいくかということが主眼であります。
地域新電力の取組なども、我々今環境省の予算を使って設立の後押しなどもやっています。是非、そういった形の事業が一個一個進むことと併せ、自然を破壊せずに太陽光や再生可能エネルギーが進むためには、この都市の使える屋根の屋根置きや、また、ため池も話題になっていますけど、水面の活用を含めて、未利用地のもう徹底的な有効活用を進めていくことも併せて大事だと考えております。

○山下芳生君 時間が参りました。
今、本当にゆゆしき事態が全国で起ころうとしている、再エネ促進という名の下に起ころうとしている。やはり新たなルールの検討が必要だということを申し上げて、終わります。