日本共産党 参議院議員 党副委員長
山下よしき

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支援学校に設置基準必要 山下氏に文科相が明言

文教科学委員会 2020.11.17
動 画

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山下よしき 日本共産党の山下芳生です。

障害のある子どもたちが学ぶ特別支援学校について質問します。

ご存じのように、特別支援学校には設置基準がありません。小学校、中学校、高校、大学、幼稚園にはある設置基準が特別支援学校にだけありません。その結果、異常とも言える劣悪な教育環境が常態化しております。

 昨年3月の予算委員会で私はこの問題を取り上げて、当時の安倍首相は、現状を放置するつもりはまったくないと答弁されました。その後、文科省の新しい時代の特別支援教育のあり方に関する有識者会議の検討課題の一つとして設置基準の問題が入り、資料1枚目に示したように、今年7月公表された議論の整理で、特別支援学校の教育環境を改善するため、国は特別支援学校に備えるべき施設等を定めた設置基準を策定することが求められるとされ、10月の中央教育審議会の中間まとめでも同様の文言が入りました。

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 大変歓迎すべき変化だと思っております。子どもが特別支援学校に通っている保護者、教職員の皆さんからも歓迎の声が上げられています。

萩生田大臣にこの問題を私質問するのは初めてですので、昨年3月の質問で使った資料を今回も配付いたしました。
資料2枚目。これは、特別支援学校の教育環境が悪化した背景に何があるか。この20年間に児童生徒の数は1・6倍に急増しています。ところが、学校建設は1・15倍とまったく追い付いておりません。その結果、全国の支援学校で教室が足りないという事態が起こっております。

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 資料3枚目。ある支援学校では、玄関前のスペースで体育の授業をやっています。クラスが増え過ぎて、運動場や体育館の空きがないからこういうことになっているわけです。

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 資料4枚目。多くの支援学校では、生活室や音楽室、図工室などの特別教室がつぶされて普通教室に転用されております。音楽室がつぶされた学校では、普通教室で音楽の授業をやっておりまして、隣の教室に音が響くので音楽の授業なのに音が出せないということでありました。

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 資料5枚目。ある支援学校では、図書室が普通教室に転用されたために、このように廊下に本が並んでいました。

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 あまりにも異常な事態ですが、こうした事態が長年放置され悪化してきた根本には特別支援学校にだけ法令に基づく設置基準がないということがあります。萩生田大臣、大臣として特別支援学校に設置基準を策定するということをこの場で表明していただきたい。

萩生田光一 文部科学大臣 所信的挨拶でも申し上げましたとおり、障害者が一生を通じて自らの可能性を追求できるよう、特別支援教育を充実することが極めて重要であると考えており、障害のある子ども一人ひとりの教育的ニーズに最も的確にこたえる指導を提供できるよう、特別支援学校等の学びの場の整備を行うことが必要であると考えております。

一方で、近年、各都道府県でも特別支援学校の新設等が進められていますが、特別支援教育を必要とする子どもの増加により教室不足が生じていると認識しております。

こうした状況を踏まえ、中央教育審議会の特別部会や新しい時代の特別支援教育のあり方に関する有識者会議において特別支援学校の設置基準のあり方について議論が行われており、これを踏まえて、その答申などでは、国は特別支援学校に備えるべき施設等を定めた設置基準を策定することが求められると示されているところです。

まだ中教審の議論が残っておりますので、こういったものを踏まえて、設置基準の策定に向けて鋭意検討を進めてまいりたいと思います。

山下よしき もう中教審等でも有識者会議でも具体的な中身に入っていますから、当然それを踏まえて、大臣としても作りますという方向でいいんですね。作らないということじゃないでしょう。

萩生田文科相 必要だと思っております。

山下よしき 大臣から特別支援学校にも設置基準が必要だということが答弁されました。大事な言葉だと受け止めたいと思います。

そこで確認しますが、特別支援学校に作られる設置基準は、今私が指摘したような深刻な教育環境を改善することを目的とすると、こういうことでよろしいでしょうか。

瀧本寛 初等中等教育局長 ご指摘のとおり、中教審の特別部会、あるいは新しい時代の特別支援教育のあり方に関する有識者会議においては、特別支援学校の教育環境を改善するため、国は特別支援学校に備えるべき施設等を定めた設置基準を策定することが求められると示されているところでございます。

先ほど大臣からも答弁ありましたとおり、現在、最終的な答申に向けて様々な団体からのヒアリングとか議論が進められておりますので、そのご答申、中教審の答申を踏まえた上で検討を進めていくことになると思いますが、現時点での中間まとめ等においても、あと、あるいは、ごめんなさい、答申素案においても、教育環境を改善するためという文言になっております。

山下よしき 教育環境の改善が目的ということであります。

そこで、設置基準の内容に関わっていくつか聞いていきたいと思います。

昨年の質問の前に私は、神戸大学附属特別支援学校を訪問いたしました。そこで見た音楽の授業の光景が忘れられないんです。音楽室で子どもたちは、先生のピアノの演奏に合わせて太鼓をたたいたり声を出したりしながら、体を弾ませて笑っていました。私たちも思わず、自然と元気になるし、笑顔になったということなんです。人間ってすばらしいと、教育ってすばらしいと、もう理屈抜きに感じる光景でありました。どんな障害のある子どもも成長し発達する力を持っている。教育にはそれを引き出す力がある。でも、音楽室がなかったらそれが大きく制約されます。私が見たような光景は生まれません。

そこで、萩生田大臣、設置基準は、音楽室や図書室をつぶして普通教室に充てるような異常な事態を二度と繰り返さないことを保障するようなものになる必要があると思いますが、大臣、いかがでしょうか。

萩生田文科相 特別支援学校の設置基準については、すでに策定済みの小学校、中学校、高等学校などの設置基準を参考として検討する必要があると思います。

例えば、小学校設置基準においては、校舎に備えるべき施設として学校図書館法で設置しなければならないと規定されている図書室や、教室として普通教室と特別教室などが示されており、音楽室については特別教室に含まれているところでございます。また、一般的基準として、小学校の施設及び設備は、指導上、保健衛生上、安全上及び管理上適切なものでなくてはならないことも示されているところでございます。

小学校設置基準などで定められている内容を参考としつつ特別支援学校の設置基準を検討してまいりたいと思いますが、いま先生からお話があった音楽室は、マスト(絶対必要)ではないのは事実なんですね。マスト、つくらなくてはいけないという教室ではない特別教室の一つなんですけど、しかし、せっかくあった音楽室をつぶしてまでその特別支援学級に変えるというのは、私は本末転倒だと思います。当然、最低限、音楽室や理科室などの特別教室の果たす役割というのは維持しながら、そういうことじゃなくて、きちんとその環境を整備していくことが必要だと思いますので、教室の転用をすることを前提の設置基準を考えておりません。

山下よしき 転用前提には考えていないと、これも大事なご答弁だったと思います。

もう一つ実態を紹介したいと思います。資料6枚目につけておりますけれども、教室が足らないために、一つの教室をカーテンなどで間仕切りして二つのクラスで使用する、こういう実態が全国の支援学校で生まれております。カーテンの向こう側から隣のクラスの先生の声が聞こえております。障害のある子どもの中には、突然大きな声を上げる子もいます。そして、突然大きな音がするとパニックになる子もいます。カーテン1枚、間仕切り1枚ではそういう状況を防げません。当然、授業に支障を生じることになるわけですね。

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 大臣、設置基準は、一つの教室をカーテンで間仕切りして二つのクラスを詰め込むような、こういう異常な事態、二度と繰り返さないことを保障するようなものになる必要があると思いますが、大臣、いかがでしょうか。

瀧本局長 お答え申し上げます。

特別支援学校の設置基準については、今後、答申も踏まえて、すでに策定済みでございます小学校、中学校等の設置基準を参考として検討することになりますが、例えばですが、小学校の設置基準においては、一般的基準として、小学校の施設及び設備は、指導上、保健衛生上、安全上、管理上適切なものでなければならないことも示されているわけでございます。

こうした小学校設置基準などで定められている内容を参考としつつ特別支援学校の設置基準の内容を検討していくことになると考えますが、あわせて、引き続き特別支援学校の教育環境を改善をしていく必要があると考えているところでございます。

山下よしき いま、指導上とおっしゃいました。もう指導上支障が、カーテン1枚では授業に支障が出ているのは当たり前ですから、こういうことは認められないような設置基準にしていく必要があると思います。

そこで、この教室不足の解消に関わって、大臣に是非理解していただきたい心配な実態があるので紹介します。

文科省の調査では、昨年5月1日現在、全国の教室不足は三千百六十二となっております。そのうち大阪府の不足数は35なんですね。全国が3000で大阪が30ということはちょっと考えられない、かなり少ないです。

資料7枚目に、2019年度の大阪府による特別支援学校の教室不足調査の内容を紹介しました。支援学校ごとに、児童生徒数の増加による教室不足に対して、特別室の転用とか教室の間仕切りなどで対応している数が記されて、大阪府全体で、特別室の転用が94、教室の間仕切りが27など、合計194件に上ることが分かります。

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 ところが、文科省には、今後整備する必要があると考える教室12、新たに整備を希望する教室23、合計35のみが教室不足数として報告されております。非常に大きな乖離があるんですね。残り164は、今後現状のまま使用する教室と、こうされているわけですね。これでいいんだろうかと。

私は、設置者の認識や都合によって子どもたちの学習教育環境が左右される、大きく変わるということは好ましいことではないと考えますが、大臣、いかがでしょうか。

萩生田文科相 令和元年度の教室不足調査において、教室不足とは、児童生徒等の増加に伴って一時的な対応を取っている教室のうち、授業の実施に支障が生じており、今後整備する必要がある教室数などを学校設置者の判断により計上するものとなっております。文科省としては、特別支援学校の施設環境について、障害のある児童生徒の状況や地域の実情等を踏まえて、現場に最も近い学校設置者が一義的には判断すべきものであると考えております。

先生の資料をいただいて、私もそうかなというふうに思ったんですけれど、ちょっと一個一個の事情が分かりませんので、もしかすると、元々割と空き教室に余裕があったんだけれど、階数だとか場所の関係で特別教室を先に使うなんということもあるやに聞いておりますので、その辺は今後設置基準を作っていく中で、こんな無理をして対応することを望んでいるわけじゃなくて、きちんとやっぱり整備していくことが大事だと思いますので、その辺、設置者の判断に過ちがないように、しっかり指導していきたいなと思います。

山下よしき 設置者の判断に誤りがないようにと、これ大事なんですね。

大阪の数見ていただくと、教室の間仕切りだけでも27あるわけですよ。これが教室不足にはほとんどカウントされていないんですね。間仕切りというのは、元々余裕があったからじゃないですよ。足らなくなったから間仕切りしているのに、教室不足とカウントされていない。こういう判断があるということもよく念頭に置いていただいて、是非設置基準の策定と運用に資していただきたいと思います。

次に、特別支援学校があまりに大規模化している問題について聞きます。

先日視察した滋賀県立草津養護学校では、1991年の開校当初、児童生徒数は113名でした。30年たった現在、369名、3倍以上になっております。来年度は400名を超えると聞きました。開校後10年経過した時点、20年経過した時点の二度にわたり、草津養護では増築がされました。二度目の増築では、グラウンドに校舎が建てられております。そこでどんなことが起こっているのか。子どもたちの登下校時には、もう車の送り迎えでラッシュになるんですね。スクールバス10台、それから医療的ケア児は保護者の方が運んでこられますので、それが30台、それから帰りには放課後ケア、これが、事業者の車が50台から60台、合わせて100台近くひしめき合って、教頭先生など管理職が総出で交通整理をされています。

保護者や教職員の方からお話伺って、この特別支援学校の大規模化は、障害のある子どもたちの成長、発達に深刻な悪影響を与えていると私、感じました。3点、私が感じたことを紹介します。

1点目。草津養護学校では、給食施設の能力がキャパシティーを超えておりまして、200人ほどいる教職員の半数以上には給食が提供できないということが起こっております。子どもたちは給食ですけれども、先生は弁当だと。子どもと一緒に、このニンジン、こんな味がするねというふうに教えながら食べることもできずに、食育に支障が生じています。

2点目。子どもの数が多いので、先生たちは子どもたちの顔と名前が一致しないんです。これは健常児でもそうだと思いますが、障害がある子どもたちにとってはなおのこと、顔と名前が一致して、この子はどんな子か分かる関係性が大事になると思います。

先ほど紹介した神戸大学附属特別支援学校では、子どもたちは朝登校するとまず職員室にやってきて、先生たちと挨拶や会話を交わしてから自分の教室に行くというふうに伺いました。これは、どの先生も自分のことをよく知ってくれていると分かるからそういう行動になるんだと思います。しかし、学校が大規模になると、そういう関係性が築けない。

3点目。障害のある子どもの中には、障害の特性から大人数が苦手な子もいます。ところが、学校は人がいっぱいだしスペースも足りませんから、そうした子どもたちを落ち着かせる場所も十分取れない。その結果、スクールバスに乗れない、あるいは学校に行くことができない子どもまで出ていると。その当事者のお母さんは、もう本当にとても悩んで、解消を心から願っておられました。

萩生田大臣、特別支援学校の大規模化は、子どもたちの成長と発達に深刻な悪影響を与えていると思います。放置してはならないと感じますが、いかがでしょうか。

瀧本局長 特別支援学校は、在籍をする子どもの年齢が通常ですと幼稚部から高等部までございまして、あるいは障害種も5領域にわたります。複数の部あるいは障害種別を設けている学校はどうしても規模が大きくなるという傾向がございます。

一方、特別支援学校は、小中学部の場合は、いわゆるクラスですけれども、法令に基づき、児童生徒6名に教員1人が配置されるなど、子ども一人ひとりに応じた手厚い指導を行うとともに、その小学部なら小学部とか、中学部なら中学部のその部ごとに主事を置いて、小規模な組織による指導体制を置くことが可能であるという、そういう特徴を持っているという部分も特別支援学校にはございます。このため、学校の規模が大きくなることのみをもって教育環境が悪化するとは必ずしも一概には言えないことではないかと思っております。

少し例をご紹介しますと、かなり規模の大きくなった県立の特別支援学校で、たまたまそのすぐそのはす向かいというか斜めに土地があったので、そこに、ある意味でいうともう一つの特別支援学校のようなものですが、形式でいうと一つの学校として教室を用意して、一個の学校ではあるんですけれども、きちんと教育環境を整えてやった事例とか、様々な事例がございますので、このことのみをもって一概にはなかなか言えないのかなと思っております。

とはいえ、特別支援教育、充実していくということは極めて重要でございますし、国と地方の連携、協力の下に、特別支援学校の教育環境の改善には引き続き努めさせていただきたいと思っております。

山下よしき 大臣の認識聞きたいんですが、いろいろお話ありました。一概にという話があった。しかし、草津養護学校のような状況もあるわけですね。これは放置してはいけないと思うんですよ。ここはやはりよく工夫、工夫というか、もう解決の方法は、こういうところは分離新設しかないというふうに、お父さん、お母さんはもうそれを願って運動されていますね。でも、今度特別支援学校ができたときに、いや、分離新設じゃなくても更に増築でいいんですよみたいなことになっちゃったら、せっかく運動して設置基準作っても、それでは願いはかなわないという声が上がっていますね。

この大規模化によるいろいろな子どもたちへの弊害、放置してはならないと。大臣の認識、改めて伺いたいと思います。

萩生田文科相 いま局長から、学校の規模が大きくなることのみをもって教育環境が悪化すると一概には言えないという、まあ一般論を申し上げましたけど、じゃ、他方、いま先生がご紹介いただいた400人になんなんとする学校で先生たちの給食すら用意できない、それぞれがみんなお弁当を持ってきたり買いに出なきゃならないような環境がいいかと聞かれれば、それは望ましいと思いません。全国平均が110人ということなので、もちろんそのいろんな経緯があっていまの規模になっているんだと思います。

他方、いま、義務教育で少人数学級をやろうということを皆さんに呼びかけているわけですね。それは担任の先生が一人ひとりにできるだけ目配りができるように関係を深くしていきたい、特別支援学校の場合は、担任の先生のみならず、すべての学校の先生たちのサポートがなければ子どもたちの教育ができない環境にあるわけですから、それを考えると、やっぱり適正規模で先生方の目が行き届く、そういう特別支援学校が望ましいと私思いますので、いままさに議論の最中でございますから、設置基準も含めてしっかり対応を考えていきたいと思います。

山下よしき 設置基準も含めて大規模化への対応ということがありました。これ大事なので、是非そういう方向で基準が検討されることを願いたいと思います。

次に、現存する学校、既存校について聞きます。

全国特別支援学校長会は、基準の策定以後、資料6枚目につけておりますけれども、資料最後ですね、8枚目ですか。基準の策定以降、それを満たさない学校が少なからず生じるはずである。それらの学校に対し、国としてどのように支援を行い、どのように最低限必要な教育条件を整備するかについての方針を打ち出してほしいと要望されています。当然だと思うんですよね。既存校についても、速やかに設置基準を満たすようにすべきだと思いますが、そこで2点提案したいと思います。

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 一つは、期限を設けて計画的に整備を進めること。二つ目、そのために思い切った予算措置、財政措置を行って都道府県の取組を後押しすること。大臣、いかがでしょうか。

山崎雅男 文教施設企画・防災部長 お答え申し上げます。

現存する学校への設置基準の適用につきましては、小中学校などすでに策定済みの設置基準では、現存する学校施設がすぐさま違法状態になることのないよう、当面の間、なお従前の例によることができると法令上の手当てがされています。

また、文科省内に設置しました新しい時代の特別支援教育のあり方に関する有識者会議等においても、特別支援学校の設置基準についても同様の手当てを講じるとともに、設置者は基準を満たさない施設等について可能な限り基準を満たせるよう努めるべきといったご意見をいただいているところでございます。

次に、計画的な整理、思い切った予算という話でございましたけれども、特別支援学校の教室不足解消に向けて、文科省では令和2年度から6年度までを集中取組期間と位置づけまして、その間の集中取組計画を今年度中に策定するよう都道府県に対して要請をしているところでございます。

さらには、特別支援学校の施設整備に対する国庫補助につきましては、従来から、その新築、増築等に関する申請について優先的に採択してきていることに加え、集中取組期間における廃校や余裕教室等、特別支援学校の用に供する改修工事につきまして、今年度から国庫補助率を3分の1から2分の1に引き上げたところでございます。

文科省としましては、引き続き、障害のある児童生徒が安心して学ぶことができるよう、教育環境の整備を進めてまいりたいと考えてございます。

山下よしき 私、これ、本末転倒になってはいけないと思っているんですね。つまり、特別支援学校にだけ設置基準が長い間ないことによって、さっき紹介したような劣悪な教育環境が長年続いてきたと。ようやく設置基準ができる、できたら、今度は法令違反にならないように、既存校についてはできる限り、可能な限りぼちぼちやってちょうだい、これでは、一体何のために設置基準を作ったのかというのが分かりません。

ただ、いきなりあしたからは無理でしょう。しかし、計画的に、あと何年したらうちの子どもが通っている支援学校もよくなるんだという、そういう展望を持って保護者の皆さん、先生方が頑張ることができるように、計画的に、そのためには財政措置、2分の1にしていると言われましたけど、例えば学校耐震化あるいは空調施設、思い切った財政措置やりましたね。空調について言えば、平成30年度、いろいろ措置がされて、おおむね地方の実質負担率は4分の1まで減りました。こういうことをやる必要があるんじゃないか。

大臣、そういうことを思い切ってやらないとなかなか進まないと思いますが、いかがでしょう。

萩生田文科相 3分の1を2分の1も結構思い切ったことなんですけれど、少人数学級の議論を財務省等々としている中で、児童生徒の自然減に合わせて教員の数が減らないことの指摘を度々されるんですね。私は、その都度、特別支援学級の必要性が増えていること、特別支援が必要な子どもたちが実態として増えていることがあるということを申し上げるんですけれど、いままさに先生が今日ご披露いただいたのは、現場でぎりぎりの判断をしながら、限られた資源の中で最大限頑張っていただいている学校が日本中にあるんだと思います。

ここで、普通教室もそういうその新しいスタイルを見直すんだとすれば、せっかく設置基準をしっかり議論して検討するんだとすれば、やっぱりいい環境で障害のあるお子さんたちもしっかり学んでもらうということは極めて大事だと思います。ですから、この機会に特別支援学校についても令和の時代にふさわしい、そういう学校のあり方というものをよくよく検討してみたいと思います。

財政的なことも含めて、期間を決めて用意ドンでやらないと、なかなかインセンティブ(意欲)が各自治体発揮できないということもよく分かりますので、これは一概に文科省だけで勇ましいことだけ言ってもいけないと思いますから、その思いだけは今日お伝えをして、終わりたいと思います。

山下よしき 時間が来たので、終わります。