日本共産党 参議院議員 党副委員長
山下よしき

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万博子ども動員撤回を ガス爆発の危険性指摘/水俣病被害者の要請示し質問

参議院環境委員会 2024.6.4
速記録 資 料 動 画
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(写真)質問する山下芳生議員=4日、参院環境委

万博子ども動員撤回を ガス爆発の危険性指摘

日本共産党の山下芳生議員は4日の参院環境委員会で、可燃性ガスによる爆発事故が起きた大阪・関西万博会場の危険性を示し、同万博に子どもを動員する文部科学省の通知の撤回を求めました。

山下氏は、廃棄物の最終処分場の跡地利用は、ガス発生がほとんどないことが省令で条件となっていると指摘。万博会場の夢洲(ゆめしま)は海面埋め立ての最終処分場のため、廃棄物の安定にさらなる時間がかかるとして、「海に埋め立てた処分場をまだ落ち着いてもいないのに万博会場にするのは、無理に無理を重ねるもの。その中で起こった爆発事故だ」と強調しました。

さらに山下氏は、4歳から18歳までの子ども102万人を学校行事として動員する大阪府の計画を批判。爆発事故の後に文科省が出した、修学旅行などを通じて万博への動員を進める「通知」の撤回を迫りました。文科省の浅野敦行学習基盤審議官は、日本国際博覧会協会が取りまとめるとする安全確保の対策を踏まえ、「修学旅行等の実施について適切に対応する」と答弁しました。

 

水俣病被害者の要請示し質問

日本共産党の山下芳生議員は4日の参院環境委員会で、水俣病被害者らの要請を示し、伊藤信太郎環境相に回答を迫りました。

山下氏は1、2両日に熊本県水俣市を訪問。被害者や支援者ら8団体との懇談で▽水俣病被害者・支援者連絡会が5月1日に伊藤環境相に提出した「公式確認68年目の水俣病共同要求書」に文書で回答する▽被害者団体との懇談を繰り返し行う―の2点が共通して要請されたとして見解を求めました。

伊藤氏は文書の回答について「あたう限り応えたい」と答弁。懇談も繰り返し行う意向を示しました。

万博協会の責任認める 爆発事故めぐり 山下氏に内閣府

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○山下芳生君 日本共産党の山下芳生です。
六月一日と二日、私は水俣市を訪ねてまいりました。チッソ水俣工場のメチル水銀排出口を視察した後、水俣湾沿いの集落を一つ一つ巡ってきました。
この集落は、全戸から認定患者が出た。この集落には、一家全滅した家族もある。この集落の胎児性水俣病患者は、ベッドで寝たきりだった。二十九歳で亡くなったとき、赤いマニキュアを付けてあげた。この一二枝さんという胎児性患者の方は、私と同世代の方でもありました。日暮れどきの水俣湾は大変美しい光景を見せてくれましたけれども、水俣病はまだ終わっていないと改めて胸に刻んでまいりました。
水俣市では八つの被害者団体が集まってくれました。五月一日の慰霊式後の大臣との懇談でマイクを切られた本人もお二人参加されました。それぞれの団体から要望を伺いましたけれども、参加者から共通して託された伊藤環境大臣への要請が二つあります。これ、ちょっと通告と違いますけれども、この要請を、私、直接受けた二つについて伺います。
一つは、五月一日の大臣との懇談で水俣病被害者・支援者連絡会が大臣に渡したこの公式確認六十八年目の水俣病共同要求書、これについて次の懇談時に文書で回答してほしい、これは既に大臣から約束されたことだが、是非お願いしたいということでした。二つ目は、その上で、被害者団体と大臣、環境省との懇談を一回で終わらせずに繰り返し行ってほしい。
文書で回答してほしい、懇談は一回じゃなく繰り返し行ってほしい、この二つの要請について、私は当然そうされるべきだと思いますが、いかがですか。

○国務大臣(伊藤信太郎君) その要請書、五月一日、いただいております。私としては、各項目ありますけれども、あたう限りお答えしたいというふうに考えております。
それから、懇談の回数、まず七月にやる予定でございますけれども、その状況を見て、どれぐらいが可能か、それから、私だけでなくて、政務三役それから担当の者が頻度多く開くように私としても指示しているところでございます。

○山下芳生君 あたう限りということなんですが、文書は非常に簡潔な、大きく四項目なんですね。そして、最後五項目、是非回答は文書でお願いしたいと。これは、本当にもう六十八年間積もりに積もった様々な苦悩を凝縮して整理してこうなっているので、是非回答は文書で示していただくことが、その後、本当に実りある懇談になっていく、あるいは継続していく上でも大事ではないかと思いますが、この文書での回答、大臣、もう一度。

○国務大臣(伊藤信太郎君) 先ほど申し上げたとおり、あたう限り回答したいと思います。

○山下芳生君 文書も否定されないということでいいですか。

○国務大臣(伊藤信太郎君) 文書及び口頭、両方考えております。

○山下芳生君 私、会った被害者団体の皆さんからは、マイクを切る行為は私たちに対する侮辱だと感じたと、そう聞きました。強い不信感が伝わってまいりました。信頼を回復するというなら、今の二つの要請にはしっかり応えることが最小限の前提になると申し上げたいと思います。
次に、大阪・関西万博会場予定地で発生した爆発火災事故について聞きます。
三月二十八日、万博会場予定地のグリーンワールド工区屋外イベント広場の工事現場で、溶接作業による火花が配管ピット内にたまった可燃性ガスに引火し、爆発火災を起こしました。トイレの一階床が、あるいは天井が破損いたしました。
同工区のある夢洲一区は廃棄物の管理型処分場で、地下にはメタンガスなどの可燃性ガスのほか、ダイオキシン類、あるいはPCB、水銀などの有害物質が大量に埋まっております。夢洲では、地下の可燃性ガスを地上に放出するための煙突のような管が七十九本突き出しています。昨年夏期、これらから一日約二トンのメタンガスが発生しました。
ところが、二〇二二年六月に作られた国際博覧会協会の事後調査計画書、これは資料の二にも添付しておりますが、これを見ますと、メタンガスの発生に対する対策が一切書かれていないんですね。ガス発生が想定されていない、そういう調査計画書になっております。
そこで、内閣官房国際博覧会推進本部事務局に伺いますが、今回の爆発火災事故の責任の所在は一体どこにあるのか。可燃性ガスであるメタンガスが大量発生していることを承知しながら土地使用を認めた大阪市なのか、それとも可燃性ガスに対する安全確保を怠った万博協会なのか、どちらですか。

○政府参考人(茂木正君) まず、三月二十八日にガス爆発事故がありました夢洲一区についてでございますが、これは昭和五十二年から一般産業廃棄物の埋立てが行われていた場所でございまして、万博開催が決定される前からメタンガスの発生は想定されていたことでございまして、その対策が図られていたというふうに承知をしています。
具体的には、万博開催が決定されるまでは、大阪市等によって設立されました大阪広域環境施設組合において発生ガスを配管施設から大気放散するなどの管理を行ってまいりました。その後、夢洲一区の一部、こちらが博覧会の会場になるわけですが、これを借り受けました博覧会協会において、大気放散に加えまして、施工時に火気を使用する場合には通気、送気による対策を行うこと、それから、建築物を設置する場合には、配管ピットがございますが、こうした配管ピットの床下にシートを設置いたしましてガス抜き管を設置すると、こういった取組を行うよう施工事業者に伝えていたところでございます。
施工事業者においては、これらの対策を踏まえまして、ガス濃度の測定の手順書を作成して工事を行ってきました。しかしながら、今般の事故では、地上階の作業に当たりまして、当該手順書に従って地上階の工事周辺のガス濃度は測定はしていたのですが、配管ピット内のガス濃度の測定を行わず火気使用作業を行った結果、引火したことが原因とされておりまして、この点、当該手順書の内容が十分ではなかったというふうに認識しております。
今般の事故については、博覧会協会においてはこれは開催者としての安全対策、そして施工業者においては工事実施に当たっての手順に課題があったというふうに認識をしておりまして、再発防止策では、当該手順書の見直しを行い、工事場所にかかわらず作業前にガス濃度の測定を実施いたしまして、配管ピット内も含めて基準値未満となったことを確認した後に作業を開始するといった対策を強化したところでございます。

○山下芳生君 まるで作業事業者が悪かったと言っているように私には聞こえました。
では、これも私が示した資料にも付けておりますけれども、この環境保全のための措置の概要ですね、調査計画書、この中にガスについて一切触れていないのは何でですか。

○政府参考人(茂木正君) こちらの今お示しいただいた資料二の方ですが、これは、土壌において、夢洲一区では五十センチの覆土を維持しというふうにございます。これは、当然、夢洲一区の地下には一般廃棄物、産業廃棄物が埋設されておりますので、そこに五十センチの覆土を維持した状態で、その上に様々な構築物を建築すると。
その上で、ガスが発生した場合には先ほど私が申し上げたような対策を取るというふうな考え方で、事業者にも、それから利用者もその点を徹底していたという趣旨でございます。

○山下芳生君 これにそのことは書いてあるんですけど、ガスについては書いていないですよ、その上でって今おっしゃったことは。書いていないじゃないですか。いつそんな文書を出したんですか。このとき書いていないのに、後から出したみたいに言わないでください。
いつ出したんですか、事業者に対して。

○政府参考人(茂木正君) 事業者に対しては、工事に当たりまして、こうした土地であるということをお伝えして、先ほど申し上げたような対策を取るように指示をしているというふうに聞いております。
その上で、事業者側もそれを踏まえたガス濃度の測定などの手順書を作成しているというふうに聞いております。

○山下芳生君 ちょっと、聞いたことに答えてくださいよ。
ここには載っていないことを事業者に指示したというんだったら、それはいつしたんだと聞いているのに答えがない。答えてください。質問できません。

○政府参考人(茂木正君) 事業者にどのような形で指示をしたのかということについては私は今承知をしておりませんので、確認をさせていただきます。(発言する者あり)

○委員長(三原じゅん子君) 山下芳生君、もう一度質問お願いします。

○山下芳生君 時間がないんですけどね。
これ以上質問できないんですよ。彼は、ちゃんと事業者に説明していたから責任はないんだと言ったんですよ。しかし、それいつやったんだという説明が、分かりませんと言うんですよ。質問できません。

○政府参考人(茂木正君) 今の御質問については私ども御通告をいただいていないので、きちんと御通告いただければ、確認をさせて、お答えをさせていただきたいというふうに存じます。(発言する者あり)

○委員長(三原じゅん子君) 速記を止めてください。
〔速記中止〕

○委員長(三原じゅん子君) 速記を起こしてください。
答弁者は誠意を持って的確に答弁をしてください。
それでは、山下芳生君。

○山下芳生君 じゃ、今の件については資料を出してください。委員会に資料を出すことを求めます。

○委員長(三原じゅん子君) 後刻理事会で協議いたします。

○山下芳生君 進みます。
環境省と厚労省に伺います。
廃棄物処分場での可燃性ガスの対策は少なくとも二〇〇五年以前から求められておりました。ガイドラインでもそうです、あるいは、そうですね、などなど、このガイドラインの概要、特に可燃性ガスによる火災等の防止の部分。それから、厚労省、このメタンガスについての労働安全衛生規則での規定、簡潔に紹介してください。

○政府参考人(角倉一郎君) お答え申し上げます。
今御指摘いただきましたガイドラインは、平成十七年六月に作成されました最終処分場跡地形質変更に係る施行ガイドライン、このことかと存じます。
このガイドラインにおきましては、この平成十六年の廃棄物処理法の改正において、最終処分場等の廃棄物が地下にある土地について形質変更が行われることにより、生活環境保全上の支障が生じるおそれがある区域を都道府県知事等が指定することとなった、これを受けて策定されたものでございまして、廃棄物が地下にある土地の形質変更に関して、指定区域の指定範囲と指定方法、届出事項、届出が不要な場合の考え方、施行基準等の具体的な内容を都道府県知事等や事業者に示すことにより、廃棄物処理法の適正な執行に資するよう作成したものでございまして、特に可燃性ガスに関する部分でございますけれども、例えば、可燃性ガスが発生する場合には換気の措置を講ずることでありますとか、また工事に伴う生活環境保全上の支障の有無を確認するために、モニタリングを行い、生活環境保全上の支障が認められる場合には、その原因の調査、その他の生活環境保全上必要な措置を講ずること、このようなことが定められているところでございます。

○政府参考人(小林洋子君) お答え申し上げます。
労働安全衛生規則の第三百八十九条の八では、第一項で、隧道等内部においてメタンガスを含む可燃性ガスの濃度が爆発下限界、爆発下限界値の三〇%以上であることを事業者が認めたときに、直ちに、労働者を安全な場所に退避させ、火気等の点火源となるおそれのあるものの使用を停止し、かつ、通風、換気等の措置を講じることを事業者に義務付ける規定となっております。
また、同条第二項の規定でございますが、隧道等の内部において可燃性ガスの濃度が爆発下限界値の三〇%未満であることを確認するまでの間、当該隧道等の内部に関係者以外の者が立ち入ることを禁止し、かつ、その旨を見やすい箇所に表示することを事業者に義務付ける規定となっております。

○山下芳生君 そういう危ない場所では、事細かく可燃性ガスについて対応が決められているんですよ。メタンガスでいいますと濃度一・五%以下が基準になっております。それを超えるんであったらもうすぐ避難しようと、せよということになっているんですね。ところが、そういうことは全然この万博の事後調査計画書にはないということを私指摘しております。
それで、自見エイコ、あっ、済みません、自見はなこ万博担当大臣が、申し訳ございません、自見はなこさんです。宿舎の村長をされていたのに、失礼しました。自見大臣が、開催時に危険はないと認識しているというふうに、昨年十一月、こういうことをちゃんとやれていないにもかかわらず、おっしゃっているんですね。
推進本部事務局、危険はないと認識しているというこれまでの認識は撤回すべきではありませんか。

○政府参考人(茂木正君) 昨年十一月二十九日の参議院の予算委員会におきまして、自見大臣から、大阪市が廃棄物の処理及び清掃に関する法律に関連する省令に基づきまして配管施設を設置して発生しているガスを大気放散していると聞いてございまして、万博の開催時に危険はないと考えているという御発言に加えまして、その後、仮に今後工事に伴いましてメタンガスが発生した場合には、施工者が直ちに必要な対策を行うと同時に、博覧会協会を始めとする関係者間で情報を共有するなど必要な、また適切な対応を取るものと認識している旨の発言をされているものと承知をしております。
今回の事故を受けまして、グリーンワールド工区では、安全作業確保手順書の見直しを行いまして、再発防止策を徹底しているところでございます。また、建設残土等で埋め立てられているパビリオンワールド工区においても、引き続きピット等の計測を行いまして、メタンガスが検出された場合には滞留しないような換気も行うということにしております。
会期中の安全対策についても、配管ピットから地上へのガス抜き管の設置に加えまして、来場者がより安心できるよう引き続きガス濃度の計測を行うなどの対策を実施していくことにしておりますが、更なる安全確保の対策については、専門家の意見も聞きながら、六月中を目途に取りまとめていく予定でございます。
こうした対策を図ることで万博の開催時の安全を図っていくということでございます。

○山下芳生君 認識が甘過ぎると思います。
ごみの最終処分場は、落ち着くまでにすごく時間が掛かるんですね。一般廃棄物の最終処分場及び産業廃棄物の最終処分場に係る技術上の基準を定める省令というのがありまして、要するに、産廃場の、最終処分場だった跡地をどう利用するかという際に、埋立地からガスの発生がほとんど認められないこと、又はガスの発生の増加が二年以上にわたり認められないことというふうにあるんですね。まだ全然落ち着いていない、廃止されていないんですよ、この処分場は。そこを慌てて万博に利用しようとしている、対策もなしに。
それからもう一つ言いますと、これ海面を埋め立てた処分場なんです。海面を埋め立てた処分場の廃止に関する基本的な考え方を見ますと、海面最終処分場については、大容量の受入れが想定される一方で、埋立廃棄物の大部分が水没している状態であるため、廃棄物の分解、安定化に時間を要し、廃止までの時間が長期間にわたるという課題を有すると書いてあるんですよ。だから、海に埋め立てた処分場がまだ落ち着いてもいないのに万博会場にするというのは無理に無理を重ねている、その中で起こった爆発事故だと言わなければなりません。そのことを全く想定されていなかった。
もう時間が残り少なくなってきたので、どうしても聞かなければならない。
ところが、驚いたことに、大阪府はこの危険な場所に大阪の四歳から十八歳までの子供たち百二万人を学校行事として動員しようとしております。これはもう大阪の皆さんから、もうそんな危ないところに子供たち連れていかないでと、この間大阪の女性たちが文科省と交渉されましたけど、あそこはそんな場所じゃないんだともう本当に訴えておられました。ところが、文科省自身がこの爆発事故が起こった後に万博の活用についてという通知を出して、どうぞ行ってくださいよみたいな通知を出しているんですが、これはもうあり得ない。この通知は撤回すべきではありませんか、文科省。

○政府参考人(浅野敦行君) お答えいたします。
文部科学省におきましては、委員御指摘のように、国際博覧会推進本部決定等を踏まえ、内閣官房国際博覧会推進本部事務局、経済産業省の依頼を受けて、修学旅行等における大阪・関西万博の活用について都道府県教育委員会等に通知を行ってきたところでございます。
会場の安全につきましては、今内閣官房の方から答弁がございましたように、三月の事故を踏まえ、現在、博覧会協会におきまして、専門家の意見を聞きながら、会期中の安全確保の対策を取りまとめていると伺っております。
文部科学省といたしましては、当該対応策も踏まえ、引き続き関係省庁と連携しながら、修学旅行等の実施について適切に対応してまいりたいと思います。

○山下芳生君 時間参りましたが、資料の最後に載せております東京新聞、名古屋大学名誉教授の竹内恒夫さんが、ごみが捨てられたことが分かっているのだからガスが発生することも分かっているはず、発酵が終わるまで危険性がなくなることはない、そもそもガスが発生している場所の上に人が使う施設を造ることが間違い、この工区は使わないのが最低限の対策だと言っているところに子供たちを連れていくなんてあり得ない。この連れていく計画は撤回しかない。改めて求めて、質問を終わります。