○山下芳生君 日本共産党の山下芳生です。
米軍基地周辺の地下水などから、WHOによって発がん性が確認された有機フッ素化合物、PFASが高濃度で検出されたことから沖縄県が米軍基地への立入調査を求めている問題で、資料一にあるように、琉球新報五月十二日付けは、在日米軍が立入調査を拒否すると初めて文書で回答したと報じました。
上川外務大臣、米軍から沖縄県に文書で回答があったという報道は事実ですか。
○国務大臣(上川陽子君) 御指摘の報道については承知をしております。
ただいま米側との協議が行われているところでありまして、この協議の内容については、今後の調整に支障を生ずるおそれがあるため、回答の有無も含めましてお答えすることは困難でございます。
御指摘の沖縄県からの要請につきましては様々な機会を捉えて米側に伝達をしておりまして、引き続き、関係省庁と連携をしながら米側と協議をしてまいりたいと考えております。
○山下芳生君 沖縄県と連携して米軍と調整すると、引き続きと言うんですが、米軍からの回答内容を沖縄県に伝えずに私は連携などできるはずがないと思います。
琉球新報の報道を見て目を疑いました。ここにあるように、高濃度の有機フッ素化合物、PFAS検出を受けて県が米軍基地内の立入調査を申請していることに対し、水道水の段階では汚染による影響が低減されていることを理由に対応が不要だとして、在日米軍が立入調査を拒否されて、拒否していることが、十一日、日米関係への取材で分かったとあります。
米軍基地周辺の地下水はPFASに汚染されているが、県民が飲む水道水の段階では汚染は低減されているのだから立入調査は必要ないではないかと在日米軍は回答してきたということです。余りに傍若無人、盗人たけだけしいとはこのことだと言わなければなりません。
沖縄県は、県内の地下水や河川から高濃度のPFASが検出され続けている問題について、汚染源を特定するために調査を続けてきました。その結果、例えば普天間飛行場周辺でいいますと、飛行場の下流側の調査地点では国の指針値の九十倍もの高濃度のPFASが検出されましたが、飛行場の上流側の調査地点では指針値を超える値は検出されなかった。
こうしたことなどから、沖縄県は、基地周辺のPFAS汚染については汚染源が米軍基地である蓋然性が高いとして、基地内への立入調査や米軍による原因究明や対策の実施を求めてきたわけであります。県民の命と健康に責任を負う沖縄県としては当然のことだと思います。汚染源を特定できなければ有効な対策は取れません。
同時に、立入調査を求めながら、沖縄県や各自治体は、PFAS汚染から県民、住民の健康を守るために水道水の水源を変更するなど、様々な対策を講じてきました。
例えば、沖縄県企業局は、PFASの対策費として、二〇一六年から二〇二二年度の間に約二十六億円を費やしております。うち防衛省や厚労省からの補助を差し引いても、県の負担は十二億円になります。さらに、今後十年間で八十億円以上の負担が必要になると見込んでおります。そのために水道料金値上げの一因にもされるなど、負担は県民に重くのしかかっております。
それから、キャンプ・ハンセンのある金武町は、地下水をこれまで取得し、取水し、県企業局の水と混合して供給していましたが、PFASの汚染で地下水の取水を停止することを余儀なくされました。送水管工事に約二億三千五百万円を投じて、県企業局の水のみでの供給に切り替えました。
つまり、米軍基地が、県民が飲む水道水は汚染、あっ、済みません、つまり、米軍基地が高濃度のPFAS汚染の汚染源である蓋然性が高い、これはいろんな調査で明らかになった。そして、水道水を安全なものにするために、沖縄県や自治体、県民、住民は大きな負担を強いられている。なのに、在日米軍が県民が飲む水道水は汚染されていないんだから立入調査は必要ではないと回答してきたという報道が事実なら、私は、日本政府として本気で怒らなければならない、日本は植民地ではないんだと、こう言って抗議しなければならないと思います。
上川外務大臣、もう一度聞きます。五月十二日付けの琉球新報が報じたような文書での回答が米軍からあったんですか。
○委員長(佐藤信秋君) どちら。まずは、じゃ、事実関係だな。外務省宮本参事官。
○政府参考人(宮本新吾君) お答え申し上げます。
御指摘の報道については承知しておりますけれども、このPFASの問題に関しましては、米側との協議が行われているところでございまして、先ほど上川大臣からも答弁申し上げましたとおり、この協議の内容に関しましては、今後の調整に支障を来すおそれがあるため、回答の有無を含めてお答えすることは困難でございます。
○山下芳生君 同じことをテープレコーダーみたいに言わないでほしいんですが。この協議の内容と言いますけど、協議した結果、立入りは拒否するという回答があったんですよ。協議の内容を明らかにすると支障があるんじゃなくて、もう結果なんですよ、これは。結果を明らかにできなかったら、沖縄県と連携なんてできるはずないじゃないですか。それを言っているんですよ。
それから、琉球新報の報道は、米軍は回答内容を日本側から公表するよう求めているが、日本政府は対応を保留しているとも報じられています。米軍から回答あったけど、日本政府が隠しているんじゃないんですか、大臣。
○政府参考人(宮本新吾君) お答え申し上げます。
先ほど御答弁したとおりでございます、その点に関しましてはですね。
他方、沖縄県からの立入り要請に関しましては、嘉手納飛行場、それから普天間飛行場、キャンプ・ハンセンなどにつきまして、周辺の水環境等から高濃度のPFOS等が検出されておりまして、そのため、米軍の活動に由来する汚染の疑いがあるということ、疑いがあるとしまして、水、土壌のサンプリングを含む立入り申請がなされていることは当然のことながら我々も承知しております。その要請に関しましては、様々な機会に在日米軍側に沖縄県側からの立入り要請を伝達してきているところでございます。
在日米軍との関係では、長年にわたりまして環境分野における協力を積み上げてきてございまして、二〇一五年には環境補足協定を日米で締結いたしました。この協定に従いまして、現にPFOS等の漏出が起こった際には施設・区域への立入り等が実施されておりまして、漏出への適切な処置、それから再発防止等について、国、自治体及び在日米軍の三者の間で確認をしているところでございます。
ただ、御質問の点は現に漏出が発生していない場合の対応だと、このように理解いたしますけれども、こちらに関しましては、立入り申請に説得力を持たせるためには、国内において法的な基準が定められること、それから、在日米軍施設・区域周辺に限らず様々な場所でPFOS等が検出されている原因、すなわち因果関係が明らかになることが重要であると、このように考えてございます。
○山下芳生君 一体どこの国の政府の答弁かと思いますよね。立入りしなければ、現に漏出しているかどうか分からないじゃないですか。何を言っているんですか。報道された米軍の文書の内容は、私はこれ独立国として看過できないものだと思いますよ。曖昧な答弁許してはならないんですよ。許されないんですよ、国会で。
上川大臣、もう一遍聞きます。このような内容の文書回答は米軍からなかったんですね。なかったから抗議しないんですよね。
○国務大臣(上川陽子君) 今の一連の御質問に対しましてお答えを申し上げてきたところでございますが、御指摘の報道については承知をしているところでございます。
重ねて申し上げるところでありますが、米側との協議が今行われているところでございまして、その協議の内容につきましては、今後の調整に支障が生じるおそれがあるということから、回答の有無、これを含めましてお答えをすることは困難であるということにつきましては申し上げてまいったとおりでございます。
また、御指摘の沖縄県からの要請につきましては、様々な機会を捉えて米側に伝達しているということでありまして、関係省庁と連携をしながら米側と協議をしていく所存でございます。
○山下芳生君 もう何聞いてもそれしか言わないんでね。本当に沖縄県民と連携なんかできないですよ。国会とも連携できないですよ、こんなことでは。
私は、今回の米軍の対応に沖縄で強い憤りの声が上がっていることを紹介したいと思います。
琉球新報は、いろんな報道しておりますが、例えば、基地への立入りを求めて要請を続ける宜野湾ちゅら水会の町田直美代表は、米軍が立入り拒否をしたことについて、県の努力で飲める水道水がつくられているのに、おかしな理屈だと憤りをあらわにしていると報じました。
さらに、県企業局関係者も、米軍が汚染して本来取らないといけない水源からの取水を止めている、費用を掛けて頑張っているのに、米側が値が下がっているから調査が必要ないと言うのは許せない、占領意識が強いのではないかと憤っているということを伝えました。
上川大臣、こうした沖縄県民の怒りと憤りの声は私は当然だと思いますが、政治家としてこうした声をどう認識されますか。政治家として答えてください。
○国務大臣(上川陽子君) 政府といたしましては、このPFOS等をめぐります環境問題に関しまして、国民の皆様の安全、安心のための取組、これを継続するとともに、外交をつかさどる外務省といたしましても、日米地位協定環境補足協定及び関連する諸合意の下におきまして、施設・区域内外の実効的な環境対策に向けまして、関係省庁、米国政府及び在日米軍と連携してまいります。
○山下芳生君 いや、私の質問は、さっき紹介した沖縄の皆さんの憤りの声、怒りの声は当然だと思わないかと。おかしな理屈だと、県がきれいにした水なのに、もうきれいになっているから調査はせんでええやないかというのはおかしいと。当たり前じゃないですか、この憤りは。それを、日本の外務大臣として日本の国民の声をどう受け止めるのかと聞いています。
○国務大臣(上川陽子君) 地元の住民の皆様が、このPFAS等をめぐります問題につきましては大きな不安をお抱えになっていらっしゃると承知をしております。
今申し上げたように、関係省庁が連携をしながら、政府全体としてこの問題に真剣に取り組んでいるところでございます。
○山下芳生君 承知じゃ駄目なんですよ。どう受け止めたかという認識を問うているのに、全く答えない。
私は、日本の主権に関わる問題なのに、日本の国会でですよ、外務大臣が米軍からの回答があったともなかったとも答えない、答えないこと自体が主権を放棄しているに等しいし、沖縄に寄り添うという自らの言葉を空疎なものにしていると言わざるを得ません。
報じられたような米軍の対応は、日米地位協定の下でも決して許されるものではありません。
資料二は、二〇一五年に締結された、先ほどちょっと紹介のあった日米地位協定を補足する日本国における合衆国軍隊に関連する環境の管理の分野における協力に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定、いわゆる環境補足協定の抜粋であります。
資料二の二枚目、環境補足協定第三条の二項には、ジェグスと読むそうですが、これ在日米軍が守るべき日本環境管理基準、このJEGSは、適用可能な合衆国の基準、日本国の基準又は国際基準のうち最も保護的なものを一般的に採用するとあります。要するに、アメリカと日本の環境基準のうち厳しい方を採用するという合意になっております。
資料四は、そのJEGS、すなわち米国防省の日本環境管理基準の二〇二二年版であります。ちょっと四に飛んでいただいて、四の二枚目ですけれども、表があります。有害廃棄物及び有害物質のリストというものがあります。これですね。これ見ますと、ここにはPFOSとPFOAが明記されているんです。二〇二二年版に明記されました。つまり、在日米軍は、PFOS、PFOAについても厳しく管理しなければならない責任があるということになったわけです。
よく知られているように、PFOS、PFOAなど発がん性のあるPFASについての環境基準は日本よりも米国の方が厳しいんです。日本の河川や地下水の暫定指針値が五十ナノグラム・パー・リットルなのに対し、米国の飲料水基準は四ナノグラム・パー・リットルと厳しいんです。
資料六に、ちょっとまた飛んで、示しましたけれども、これは環境省の調査結果なんですが、資料六は、沖縄の米軍基地周辺の地下水や河川水からは、米国基準四ナノグラム・パー・リットルをはるかに超え、日本の指針値五十ナノグラム・パー・リットルをも大きく超える千ナノグラムないし二千百ナノグラム・パー・リットルものPFASが検出された調査地点が多数存在しております。沖縄県が米軍基地への立入調査を求めるのは、米軍との地位協定を補足する環境補足協定に照らしても当然であります。
さらに、資料三に戻っていただいて、この補足協定や日本環境管理基準について日米合同委員会で確認したこれは文書です。その二枚目には米軍基地への立入調査についての記述があります。
そこでは、日本国政府、下線引っ張った上なんですけれども、日本国政府、都道府県又は市町村の関係当局が現地視察を行うことを認めるよう申請することができる、在日米軍司令官又はその指名する者は、地域社会との友好関係を維持し、及び環境の管理のための協力を強化することを希望して、申請に対して全ての妥当な考慮を行うとあります。しかし、こう書いてあるんですけど、私が言った、報道された米軍の態度は、とても地域社会との友好関係を維持する態度とは言えないです。逆ですよ。
さらに、その後、アンダーライン引っ張ったところですけれども、在日米軍司令官又はその指名する者は、回答を行うに当たり、申請を認めることが、一つ、軍の運用を妨げるか、二つ、部隊防護を危うくするか、又は、三つ、施設及び区域の運用を、運営を妨げるか否かについて考慮し、実行可能な限り速やかに回答するとしています。この三つのいずれかに該当するなら立入調査は認めないこともあるということなんですが。
そこで、上川大臣に聞きます。
先ほどの報道で、水道水の段階では汚染による影響が低減されていることを理由に対応が不要だとして立入調査を拒否しているとのこの報道が事実だったらですよ、日米合同委員会のこの確認と異なる運用となるのではないか。水道水の段階では汚染による影響が低減されていることが、どうして軍の運用を妨げるのか、どうして部隊防護を危うくするのか、どうして施設・区域の運営を妨げるのか、これは説明付かないじゃないですか。お答えください。
○政府参考人(宮本新吾君) お答え申し上げます。
在日米軍は、これまでもPFASの漏出が起こった際には、今御説明いただきました枠組みに基づきまして日本側に通報を行ってきてございます。また、漏出が発出した際には、今、ただいま御指摘いただきました環境補足協定に基づきまして施設・区域内への立入り等を実施してきてございます。
今、恐縮でございます、問題として提起いただいていることに関しましては、これは現に漏出が発生していない場合の点について提起いただいているというふうに理解いたしますけれども、その場合の対応に関しましては、日本国内において法的基準が定められること、及び在日米軍施設・区域周辺に限らず様々な場所でPFOS等が検出されている原因、すなわち検出地との因果関係が明らかになることが立入り申請等に説得力を持たせるために重要であると考えてございます。
○山下芳生君 現に、漏出と言いますけど、PFASというのは永遠の化学物質、フォーエバーケミカルと言われていますよね。もう、一回漏出したらずうっと環境中に残るんですよ。人体にだってずうっと残り続けて悪影響を及ぼすんですよ、発がん性などが。WHOによってもこれ確認されていますよ。ですから、現に今漏出されているかどうかじゃなくて、過去に遡って、米軍が漏出したんだったらその責任を負わせるというのが当たり前の態度でなければならないと思う。
現に、アメリカではスーパーファンド法という法律ができております。これ通告していませんけど、どんな法律か、簡単に説明いただけますか、外務省。
○政府参考人(宮本新吾君) お答え申し上げます。
スーパーファンド法の概要でございますけれども、こちらは、包括的環境対策・補償・責任法、通称としてスーパーファンド法と呼ばれておりまして、米国連邦議会で既に制定されたものでございます。
これは、汚染された施設の過去の及び現在の所有者及び運営者に対して浄化費用を負担する広範な責任スキームを確立する、こういった内容であると理解をしております。
○山下芳生君 アメリカ本国では過去の責任まで追及されるんですよ。責任追及するだけでなくて浄化の費用まで、ファンドですからまず合衆国政府がやるんですけど、その後から責任者には必ず費用負担が強制的にやられるんですよ。
このスーパーファンド法は、米国防省も対象ですね。
○政府参考人(宮本新吾君) お答え申し上げます。
米国のスーパーファンド法でございますが、この法律には、米国の省庁が運営する施設などの連邦施設に義務が適用される旨が期待されております。
また、同法の適用対象となる米国内の米軍基地があることは承知しておりますけれども、我が国としては、他国の法令の解釈又は運用について有権的にお答えする立場にはございませんので、その点御理解いただきます。
○山下芳生君 資料七、八、見ていただきたいんです。この米国のスーパーファンド法にも有害物質としてPFOAとPFOSが指定されて、汚染者から浄化費用を強制回収することになっているんです。当然、米国内の基地ではPFOA、PFOSも対策が進められています。しかし、日本の米軍基地では、国内で負っている責任を回避して基地の立入調査すら拒否している。ダブルスタンダードですよね。
米国と日本の厳しい基準を採用するというんだったら、当然このスーパーファンド法の基準に照らして米軍には責任を果たさせなければならない、それがそうなっていないんですよね。
こんなことでいいのかということですが、もう時間が来て、近づいてきているので、もう一つだけ。
日弁連がこの間、日米地位協定の改定について、各国調査してレポート出しています。今年三月にも改訂版が出されました。これ、資料には載せておりません。
それによると、NATOの主要国であるドイツでは、ドイツの国や自治体にNATOの基地の中の立入調査権を与えています。イタリアでも、イタリア軍に調査権を与えています。韓国でもそうなんですね。
そして、この日弁連の調査で私驚いたのは、イタリアでは、イタリアのアンスバッハ、ごめんなさい、ドイツです、ドイツのアンスバッハ米軍基地周辺で魚類からPFASが検出された事例で、米軍はドイツ側の調査に協力した上、原因物質の責任、排出の責任を認め、浄化費用も米軍が負担したということが明らかにされております。
ドイツでは、魚からPFASが検出されても米軍は調査に協力し、原因物質排出の責任を認め、浄化費用も負担しております。一方、日本では、米軍基地周辺の住民の血液から高濃度のPFASが検出されているのに立入検査もできない。
上川大臣、最後に聞きます。
日本国民の命と健康は、ドイツの魚にも、よりも軽んじられている、そう思いますが、いかがですか。
○国務大臣(上川陽子君) このPFOSをめぐります問題につきましては、もちろん地元住民の皆様の大きな不安と同時に、この問題について対応していくことは極めて重要というふうに考えているところでございます。
外務省としても、様々な米側とやり取りをしてきているところでございます。住民の方々の不安払拭に向けまして、その具体的に何ができるかということもこの間議論してまいっているところでありますし、要請については適応しているところであります。
引き続き、米側としっかりと協議をしてまいりたいと考えております。
○山下芳生君 このままでは独立国とは言えない、それを申し上げて、終わります。