日本共産党 参議院議員 党副委員長
山下よしき

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労働者の安全確保を PFAS汚染で要求

参議院環境委員会 2024.4.23
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(写真)質問する山下芳生議員=23日、参院環境委

日本共産党の山下芳生議員は23日の参院環境委員会で、有機フッ素化合物(PFAS)による環境汚染と労働者の暴露についてただし、政府にPFASの適正管理と労働者の安全を確保するよう強く求めました。

山下氏は、PFASの一種であるPFOSおよびPFOAの環境省による河川・地下水測定結果と、山下事務所が独自に調査したPFAS製造・使用事業所の所在地を突き合わせた資料をもとに質問。「事業所が所在し、環境省が測定した59自治体中50の自治体、実に85%で米国の基準を超えるPFOS・PFOAが検出されている」と告発し、「PFAS製造・使用事業所が汚染源である可能性が極めて高い」と追及しました。

伊藤信太郎環境相は「汚染源の特定が困難な場合が多い」と答弁しました。

山下氏は、環境省の「対応の手引き」では排出源の特定のための調査を実施し、必要な措置を検討すると明記していると指摘。PFAS製造・使用事業所が排出源と疑われる地点を「調査し、必要な措置を検討」すべきだと求めました。伊藤環境相は「調査する自治体を支援した」との答弁に終始しました。

山下氏は、ダイキン工業淀川製作所の元従業員や三井・ケマーズフロロプロダクツ清水工場の元従業員から、異常に高いPFASの血中濃度が検出されている具体的な実態を示し、労働安全衛生法の規制を守らせるべきだと主張。「いつまでも企業の利益優先のもとに労働者が暴露する国であってはならない」と述べ、化学物質管理での環境省、厚生労働省の指導と体制の強化を求めました。

速記録を読む

○山下芳生君 日本共産党の山下芳生です。
有機フッ素化合物、PFASによる環境汚染について質問します。
〔委員長退席、理事長谷川英晴君着席〕
資料一に添付した新聞報道にあるように、三月二十九日、環境省が発表した令和四年度公共用水域水質測定結果及び地下水水質測定結果についてを見ると、PFOSとPFOAについては、指針値である五十ナノグラム・パー・リットルを超過した地点が十六都府県の百十一地点となりました。令和三年度の測定結果では、指針値超過は十三都府県八十一地点だったので、PFOS、PFOAの汚染が広がっているということになります。
最高値は大阪府摂津市の地下水で、国の指針値の四百二十倍、二万一千ナノグラム・パー・リットルものPFOAが検出されました。これは、同市にあるダイキン工業淀川製作所が汚染源であることは明らかであります。同製作所は長年にわたりPFOAを製造しておりました。
さらに、米軍横田基地や嘉手納基地などの周辺自治体の地下水からも指針値を大きく超過するPFOSやPFOAが検出されています。これは、米軍が使用していたPFOSを含む泡消火剤が原因だと考えられます。
伊藤環境大臣、PFOS、PFOAによる汚染が広がっていること、これをどう認識されるでしょうか、さらに、指針値を超過した百十一地点についての汚染源は特定されているのでしょうか。

○国務大臣(伊藤信太郎君) 委員御指摘のように、今回の調査ですが、公共用水域及び地下水の水質の測定結果についてPFOS等の暫定目標値を超過した地点は、令和三年度で八十一地点、令和四年度で百十一地点でございました。
この令和四年度の調査では、前年度から新たに八県百二十五地点の測定地点が追加されました。これらの地域の測定結果において、五県では超過地点は一つもなく、沖縄における三十一の超過地点を含めたことなどの結果でございまして、必ずしも全国に汚染が拡大しているということを示す結果ではないというふうに考えてございます。
〔理事長谷川英晴君退席、委員長着席〕
汚染源の特定については、PFOS等は過去に様々な用途で使用されたものが環境中に残存しているために汚染源の特定は困難な場合が多いと承知してございますが、地域において汚染源の特定のための調査が実施されている例もあることを承知しております。
いずれにいたしましても、この汚染源のいかんによらず、河川水や地下水において暫定目標値を超過した場合には、健康への影響を防止するため、対応の手引に基づき、その飲用による暴露の防止、これを徹底することが重要だと考えております。
環境省としては、引き続き、この手引を踏まえた取組がなされるように、自治体に対して必要な技術的助言等を行って、国民の安全、安心のための取組を更に進めてまいりたいというふうに考えております。

○山下芳生君 今大臣は、令和三年度から四年度にかけて調査地点を増やしたんだと、特に沖縄で増やして沖縄で広がったんだと、それ以外は余り出ていないということでしたが、私、令和三年度と令和四年度の環境省の測定結果一覧を全部突き合わせましたけれども、沖縄以外でも三十七地点で新たに基準値をオーバーする地点が出ているんですね。観測地点を広げて新たに汚染、基準値以上の汚染地点が出れば、汚染は広がっているというふうに見ないと駄目だと思いますね。
それから、特定が困難というのは、いまだにこれだけ基準値オーバーが出続けているのに、困難、自治体で調査しているところはありますでは私は無責任だと思います。
そこで、三月二十一日の当委員会で、私は、私の事務所が独自に調査して判明したPFASを製造、販売、使用している事業所が所在する二百超の自治体を明らかにしました。資料二はその自治体の一覧を報じたしんぶん赤旗であります。この二百超の自治体、正確には二百十三の自治体と環境省の調査でPFOS、PFOAが検出された地点とを突き合わせてみました。
まず、資料三の一枚目なんですが、これは環境省の調査で指針値五十ナノグラム・パー・リットルを超えた地点と、私の事務所で調査したこのPFAS製造、使用事業所が所在する自治体とを突き合わせた結果、十一都府県十七自治体の三十三地点が一致いたしました。つまり、環境省の調査で指針値を超えた百十一地点のうち三十三地点、約三割がPFAS製造、使用事業所の所在地だったということになります。
さらに、資料の三の二枚目、環境省の調査で米国の飲料水基準の四ナノグラム・パー・リットルを超える地点についてもPFAS製造、使用事業所が所在する自治体とを突き合わせてみました。ここにあるように、新たに、五十ナノを超える地点に加えて新たに十九都府県三十三自治体で一致いたしました。先ほどの五十ナノグラム・パー・リットルを超えた自治体、十七自治体と合わせますと五十自治体ということになります。私が明らかにした、PFAS製造・使用事業所が所在する二百十三自治体のうち、二割強から米国の基準を超えるPFOS、PFOAが検出されたことになります。
ただ、ここで是非考えていただきたいのは、私が提起したこの二百十三のPFAS製造・使用事業所がある自治体全てで環境省がPFOS、PFOAの測定はやっておりません。だから、そこは除外しなければならない。除外してみて、今回の環境省の調査で、PFASの製造・使用事業所が所在する自治体で調査した地点をこの資料二の自治体の一覧のところに赤線で、ちょっと突き合わせて調べてみました、突き合わせてみました。そうすると、五十九の自治体で令和四年度はPFOS、PFOAの調査がやられているということになります。その五十九の測定した自治体だけで見ると、五十九自治体中、五十自治体、実に八五%で米国の基準を超えるPFOS、PFOAが検出されたということになります。
先ほど大臣が言われたように、環境省は、汚染源は特定されていない、特定は困難だと言うんですが、今示した事実から見ても、PFAS製造・使用事業所が汚染源である可能性は極めて高いと、八五%一致したわけですからね、そう思いませんですか、伊藤環境大臣。

○国務大臣(伊藤信太郎君) 今の委員の御指摘を踏まえてよく検討したいと思います。

○山下芳生君 それは、否定もしない、肯定もしない、よく検討したいってどういうことでしょうか。その可能性があるという御認識ですか。

○国務大臣(伊藤信太郎君) 汚染源の特定については、このPFOS等は過去に様々な用途で使用されたものが環境中に残存しております。したがって、この汚染源の特定が困難な場合が多いというふうに承知しておりますが、地域において排出源の特定のための調査は実施されている例もあると承知しております。
ということで、委員いろいろ御指摘にありましたけど、もう少し詳細に検討しないと、なかなか今の結論、どちらかということはお答えしかねるということでございます。

○山下芳生君 私、この資料二を調べるのは、相当時間を掛けて調べたんです。PFAS関連業界に所属する企業の公表した資料一つ一つ、まあ手作業ですけど見て、この事業所は間違いなくPFOA、PFASを製造あるいは使用しているというところをプロットしているんですよね。そこと環境省が調査したPFAS、PFOAの測定とが八五%、超過地点とか一致したと。これは、明らかに汚染源である可能性が極めて高いと見なければいけないと思うんですね。
それで、水質汚濁防止法という法律があります。その監視項目にPFOSとPFOAが位置付けられたことから、先ほど大臣も触れましたPFOS及びPFOAに関する対応の手引きが作成されました。それを今都道府県、政令市に発出されています。この手引にはこうあるんです。調査の結果、目標値等を超過し、それが特定の原因によることが疑われ、かつ継続性があると判断される場合は、必要に応じて排出源の特定のための調査を実施し、濃度低減のために必要な措置を検討すると明記されております。
伊藤大臣、この資料三の一で示した五十ナノグラム・パー・リットルを超過した三十三地点は、PFAS製造・使用事業所が特定の原因であることが疑われております。基準値超過が令和三年、令和四年と継続している地点も少なくありません。ならば、手引に従って、排出源の特定のための調査を実施し、濃度低減のために必要な措置を検討すべきではありませんか。

○国務大臣(伊藤信太郎君) この暫定目標値を超過した地点については、今御指摘の対応の手引に基づき、地域の状況に応じて各自治体が排出源の特定のための調査等を実施している例があるというふうに承知しております。
例えば、大阪府摂津市においては、関係自治体により継続的な水質調査を行うとともに、自治体による指導の下、事業者において地下水の浄化槽等の汚染対策が行われております。また、静岡市においても、周辺環境の水質調査が行われ、対策についても関係者と協議しながら事業者において進められていると承知しております。
環境省としては、引き続きこういう自治体に対して技術的支援等を行って支援してまいりたいと思います。

○山下芳生君 自治体に対して助言でいいのかと。
私は、この委員会でこういう実態がありますよと、それに環境省の調査を重ね合わせたらもう八五%一致しましたよということを提起しています。
そしたら、自治体にお任せしますじゃなくて、余り積極的ではない自治体に対してちゃんとやりなさいよと助言するのが私は環境省の責任だと思うんですね。いかがですか。

○国務大臣(伊藤信太郎君) 委員の御指摘も含めて、自治体に対して支援をしてまいりたいと思います。

○山下芳生君 私はゆっくりしている暇はないと思うんですね。
大阪PFAS汚染と健康を考える会の皆さんが、昨年からPFASの血中濃度を測定し、様々な疾病とPFASとの関係を調べる疫学調査を皆さん運動団体としてやっておられます。血液を採取した人は千百九十二人に上り、国内では最大規模となっております。
先日、四百五十九人の血中濃度の分析が完了し、中間報告がなされました。資料四に示したとおり、PFOAの血中濃度が最も高かったのはダイキン工業淀川製作所の元従業員の方で、五百九十六・六ナノグラム・パー・ミリリットル、平均値の二百九十八倍という驚くべき数値でした。この方は、ダイキン工業淀川製作所で四十年間、化学部門に従事していた方であります。
御存じのとおり、PFOAは残留性が高く、一度体内に取り込むと長年蓄積しますが、およそ四年で半減すると専門家は指摘しております。元従業員の血中濃度が退職後、現在五百九十六・六ナノグラム・パー・ミリリットルもあるということは、働いていたときの血中濃度は更に高かったということであります。
加えて、中間報告された四百五十九人の中で、PFASの血中濃度が高かった上位五人のうち、少なくとも三人がダイキンの元従業員だったことも確認されております。二番目に高かった元従業員の方は百二十七・七ナノグラム・パー・ミリリットル、五番目に高かった元従業員の方は八十三・三ナノグラム・パー・ミリリットルでありました。ダイキン工業淀川製作所内でのPFOAの管理、とりわけ従業員がPFOAを扱うときの管理が極めてずさんであったということがうかがわれます。
伊藤環境大臣、ダイキン工業淀川製作所の元従業員の方々のこのPFOAの血中濃度の高さは異常だと思いませんでしょうか、これが一点。もう一つ、ダイキン工業がPFOAをどのように管理していたのか、調査すべきではないでしょうか。

○国務大臣(伊藤信太郎君) このダイキン工業では、化学物質審査規制法に基づく製造、輸入等の禁止に先立ち、PFOAの製造、使用を全廃するとともに、関係自治体の指導の下、地下水の浄化槽、浄化等の汚染対策に取り組んでいると承知しております。
化学物質審査規制法に基づく立入検査、これについては、第一種特定化学物質を製造、輸入する事業者等を対象に実施する場合がありますが、現在、PFOS、PFOAを製造、輸入している事業者が存在しないことから立入検査は実施しておりません。また、水質汚濁防止法に基づく立入検査についても、立入検査の要件を満たさないことから実施しておりません。
これらの法令に基づく取組としては、化学物質審査規制法に基づく製造、輸入等の禁止、水質汚濁防止法の指定物質への追加等、適切な管理に向けた対応を進めてきたところでございます。
引き続き、これらの関係法令に基づく取組を求めてまいりたいと思います。
また、昨年七月に取りまとめられた対応の方向性を踏まえて、PFASに関する様々な科学的知見の充実、これに努めるとともに、必要に応じて関係自治体に技術的助言、支援を行ってまいりたいと思います。

○山下芳生君 もう今製造している企業はないとおっしゃいますけど、だったら何で出るんですか。いまだに高い基準値オーバーの地点がたくさんあるわけですよ。もう製造していないから立入調査しませんというんでは、責任を果たしたことにならないと思うんですよね。
それから、先ほどお答えがありませんでした。ダイキンの元従業員の方の血中濃度は五百九十六・六。元従業員ですよ。異常だと思いませんか。

○国務大臣(伊藤信太郎君) 数値は高いと思います。

○山下芳生君 高いんですけど、どのぐらい高いかをちゃんと見る必要があると。
資料五に示しましたけれども、ドイツの環境庁、ヒトバイオモニタリング委員会は、PFOAの血中濃度の基準値を十ナノグラム・パー・ミリリットルと設定し、これを超える場合には暴露を低減する必要があるとしております。また、米国政府が採用する米国科学・工学・医学アカデミーの臨床ガイダンスでは、血液中の七つのPFASの合計値が二十ナノグラム・パー・ミリリットル以上の患者に対して、肝臓がんや精巣がん、潰瘍性大腸炎、甲状腺疾患などのリスクを考慮した処置が必要と警告しております。
先ほどの五百九十六とか百二十七とか八十三というのは、これ、ドイツやアメリカの基準をはるかにオーバーしていると。極めて健康への影響は大きいと懸念される値なんですね。そこをほっといていいのかということなんです。
もう一つ事例を紹介します。
静岡市にある三井・ケマーズフロロプロダクツ清水工場の元従業員の方からも平均値の二十倍のPFASの血中濃度が検出されたと報道されました。同工場周辺の水路などから国の暫定基準を大幅に超えるPFASが検出されたことから、工場側が従業員と家族の、従業員のですね、と元従業員の血中濃度、血液を検査しました。そうすると、元従業員から高い血中濃度が判明したと。
私、一人の血中濃度高かった元従業員の方から直接どんな状態だったのかを聞きました。PFOAの粉末を使用したテフロン製造工程に従事していたというんですが、マスクも手袋も着けずにこのPFOAの粉末を取っ手付きビーカーでくんで攪拌機に放り込んでいたと。攪拌機から出てくる溶液をシャベルで、スコップで上澄みをまた別の容器に移していたと。こんなことやっていたら暴露するの当たり前じゃないですか。
厚労省、こういう実態は労働安全衛生法に違反するんじゃないでしょうか。PFASに関する作業環境、特定化学物質の扱い、有機溶剤についての扱い、どのように規則されていますか。

○政府参考人(小林洋子君) お答え申し上げます。
御質問のPFASにつきましては、これまで幅広く使用されていることが確認されたPFOAとPFOSにつきまして、労働安全衛生法において、PFOAについては平成二十九年から、それからPFOSを令和六年からリスクアセスメント対象物として指定をしておりまして、職場におけるリスクアセスメントの実施を事業者に義務付け、その結果に基づく適切な暴露低減等の措置の実施を求めているところでございます。
また、有機則などの、特別規則の御質問ございましたけれども、特定化学物質や有機溶剤として規定された物質を使う場合につきましては、製造する事業者又は取り扱う事業者に対しましては、安全衛生関係の法令に基づきまして、作業内容に応じて、製造設備の密閉化、局所排気装置等の設置、作業環境測定とその評価に基づく適切な措置の実施、特殊健康診断の実施などの措置を事業所に義務付けているところでございます。

○山下芳生君 もう時間が参りました、残念ですが。そういう規則がありながら、現場ではそれが守られていないということなんです。ある企業では、そのためにがんで十一人亡くなったというところもありました。亡くなっていないですね、発症したという事件もありました。裁判で、結局、因果関係あったのに、予見可能性あったのにちゃんとしなかったということが出されまして、いつまでも労働者が暴露をされて、企業の利益の優先の下にしんどい目になると、大変苦しい目に遭うという国であってはならないと。規則守らせるために、環境省や厚労省の体制強化も含めて、ちゃんとする必要があるということを求めて、終わります。