日本共産党 参議院議員 党副委員長
山下よしき

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裏金問題の真相解明 国会の役割 森元首相ら証人喚問要求

参議院予算委員会 2024.3.27
速記録 資 料 動 画

日本共産党の山下芳生議員は27日の参院予算委員会で、自民党派閥の裏金事件をめぐり、「民主政治を立て直すためには真相解明が大前提だ」として岸田文雄首相の姿勢をただし、真相解明のキーパーソンである森喜朗元首相らの証人喚問を求めました。

山下氏は、政治倫理審査会での「1996年以前に還付金はなかった」(塩谷立元文部科学相)、「2000年に初当選して還付金を知った」(松野博一前官房長官)との証言から、裏金システムが96年10月~2000年6月の間にできたと推察されると指摘。また、1999年の政治資金規正法改定で政治家個人の資金管理団体への企業・団体献金が禁止されたことで、政治資金パーティーで資金を集めて議員にキックバックするシステムがつくられたのではないかと指摘しました。

山下氏は「清和政策研究会の裏金システムができたのは森氏が会長の時だったと強く推察される」と述べ、森氏に裏金づくりの経緯を聞いたのか追及しましたが、岸田首相は「経緯を確認するために必要な聞き取り調査を続けている。誰に聞き取りを行うかは明らかにしていない」などと言い逃れました。

山下氏は、自民党執行部が「キックバックをやめなかった結果責任がある」として安倍派幹部を処分するとしているが、「『やめなかった』責任も重いが『始めた』責任はもっと重い。そこをあいまいにすることは許されない」とし、森氏への聴取を重ねて要求。しかし、岸田首相は「追加の聞き取り調査を行っている」と述べるだけでした。

山下氏は「首相にも自民党にも本気で真相解明する姿勢がみじんもないことが明らかになった。国会が役割を果たすしかない」と述べ、森氏の証人喚問を要求しました。

速記録を読む

○山下芳生 日本共産党の山下芳生です。
政治資金規正法には、政治活動が国民の不断の監視と批判の下に行われるようにするため、政治資金の収支の公開その他の措置を講ずることにより、民主政治の健全な発達に寄与することを目的とするとあります。
総理は、自民党の現職の衆議院議員五十人以上、参議院議員三十人以上が毎年多額の裏金を作っていたことは、民主政治の土台から、民主政治を土台から壊す深刻な問題だ、そういう認識ありますか。
岸田文雄内閣総理大臣 政治資金というものは民主主義を支える重要な要素であります。その重要な要素である政治資金の信頼というのはこの政治において極めて重要であると考えます。その政治資金に対する信頼が損なわれている、国民から疑念の目で、目が注がれている、このことは深刻に受け止めなければならない状況であると考えています。
○山下芳生 政治資金の収支を不記載にすることは、主権者である国民の不断の監視と批判から逃れる行為なんです。それが自民党によって組織的に行われていたのだから、まさに民主政治を土台から壊すことそのものであります。
民主政治を立て直すためには真相解明が大前提です。しかし、衆参の政治倫理審査会に出席した自民党議員の誰一人として、裏金作りがいつから、誰が始めたのか、語りませんでした。
ただ、重要な証言がありました。パネルにしました。(資料提示)安倍派、清和会の裏金、還付金について、塩谷元文科大臣は、九六年以前に還付金はなかった、国政復帰した二〇〇三年にはあったと述べました。それから、松野前官房長官は、二〇〇〇年初当選して還付金を知ったと証言されました。塩谷氏、松野氏の発言から、清和会の裏金システムは、選挙があった九六年十月から二〇〇〇年六月の間にできたと推察されます。塩谷氏、この間、清和会の会長は三塚博元蔵相と森喜朗元総理です。
加えて、もう一つ重要な要素があります。一九九九年、政治資金規正法の改正がありました。政治家個人の資金管理団体への企業・団体献金が禁止されました。そこで、企業・団体献金の抜け道である政治資金パーティーで資金を集め、派閥の所属議員にキックバックするシステムがつくられたのではないかと指摘されております。その要素を加えますと、清和会の裏金システムができたのは森元首相が会長のときだったと強く推察されます。
総理、自民党総裁として、森元首相に清和会の還付金が開始された経緯についてお聞きになられましたか。
岸田文雄内閣総理大臣 今回の案件については、検察の捜査から始まり、その後、収支報告書の修正、会見、自民党としての聞き取り調査、そして国会においても政倫審での弁明など様々な取組が続けられ、結果としてこの全体のこの構図等については一定明らかになってきたと認識していますが、委員御指摘のいつからこのシステムが始まった点については、国民の皆さんからまだ疑念の目が注がれている、はっきりしない、こういった指摘がある、このように感じています。だからこそ、今、党としても追加の聞き取り調査を行っているところであります。
森総理については、今までのところ、自民党の聞き取り調査、あるいは政倫審のこのやり取りの中で直接関わるという発言は把握されておりませんが、いずれにせよ、全体を把握するためにこの必要な聞き取りをこれから来週に向けて党としても続けていきたいと考えます。
これ、聞き取り調査続けている最中でありますので、誰に対してどんな発言があったか、こういったことについては明らかにすることはいたしません。
○山下芳生 そんなこと聞いていませんよ。キーパーソンである森元首相に聞く必要があるじゃないかと。この状況から見てですよ、森会長が清和会の会長だったときに裏金システムが始まったんじゃないかと。これ、誰が見てもキーパーソンですよ。何で聞かないんですか。
岸田文雄内閣総理大臣 経緯を確認するために必要な聞き取り調査を続けてまいります。誰に対して聞き取りを行うか、これについては従来から明らかにしておりません。
○山下芳生 この間、三月十七日の自民党大会で、総理は森元首相に歩み寄って声を掛けられていました。そのとき経緯を聞いたらよかったじゃないですか。何を話していたんですか。
岸田文雄内閣総理大臣 自民党の行事等でお会いすることはあります。しかし、今行われている聞き取り調査は、問題になっている案件について、問題になっている点も含めて聞き取り調査を行うものであります。行事で会う場合とはこれは異なるものであります。聞き取り調査の中で必要な聞き取り相手を確定して、この聞き取りを行ってまいります。
○山下芳生 自民党執行部は、安倍派幹部四人を再聴取して処分すると言います。キックバックをやめなかった結果責任があるとのことですが、やめなかった責任も重いですが、始めた責任はもっと重いと言わなければならない。そこを曖昧にすることは許されません。
真相解明のために、総理自身が森元首相から経緯を聞くべきではありませんか。もう一度どうぞ。
岸田文雄内閣総理大臣 自民党として追加の聞き取り調査を行っております。実態を把握するために必要な聞き取りを行います。
○山下芳生 森首相に、元首相には聞かないということですか。
○岸田文雄内閣総理大臣 先ほど来申し上げておりますように、政治責任を判断するために必要な実態調査を行ってまいります。そのために必要な聞き取りを行います。聞き取り相手については、従来から明らかにしておりません。
○山下芳生 誰が見ても必要ですよ。
結局、総理にも自民党にも、民主政治を土台から壊す深刻な問題を起こしながら、本気で真相解明する姿勢はみじんもないということが明らかになりました。ならば、国会が役割を果たすしかありません。
委員長、野党が参議院で共同して求めている四人に加え、裏金事件のキーパーソン中のキーパーソン、森喜朗元首相の証人喚問を求めます。