日本共産党 参議院議員 党副委員長
山下よしき

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地元あげ反対 断念を 山下議員追及 うるま陸自訓練場計画 国の対応「乱暴」 首相認める

参議院予算委員会 2024.3.27
速記録 資 料 動 画

 

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日本共産党の山下芳生議員は27日の参院予算委員会で、防衛省が地元に何も知らせずに沖縄県うるま市石川に陸上自衛隊訓練場をつくる計画を昨年12月に発表し、推進している問題で、保守・革新の立場を超えて広がっている市民の反対の声を受け止め、計画を断念するよう迫りました。

山下氏は、沖縄県議会が全会一致で採択した「計画の白紙撤回を求める意見書」(7日)が、地元自治会や市、県に知らせずに発表された計画であり、予定地は閑静な住宅街や、年間4万人の児童生徒が利用する自然学習施設に隣接していることを危惧していると指摘。「意見書を重く受け止め、計画を白紙撤回、断念すべきだ」と強調しました。

岸田文雄首相は「防衛省に検討させ、結論が得られれば丁寧に説明させたい」と述べるにとどめました。

山下氏は、20日の市民集会で元自民党県議の伊波常洋共同代表が、地元の頭越しで計画を進める国の姿勢を批判し、「うちなー、うしぇーらってーならんどー(沖縄を侮ってはならないよ)」と訴えたことを紹介し、「この声をどう受け止めるか」と迫りました。岸田首相は「これまでの対応が乱暴だという指摘は真剣に受け止めなければならない」と答えました。

山下氏は、岸田政権が進める南西諸島への長射程ミサイル配備は米国の戦略に従い、沖縄を再び戦場にするものであり、「新たな訓練場建設は、その一環だ」と批判しました。

※動画は7分50秒から

速記録を読む

○山下芳生 次に、沖縄県うるま市石川のゴルフ場跡地に陸上自衛隊の訓練場を造る計画について聞きます。
防衛省は昨年十二月、二〇二四年度予算案に訓練場を新設するための土地取得費を計上しましたが、地元には何も知らされておらず、衝撃が広がりました。現地では保守、革新の立場を超えて反対の声が広がり、三月七日、沖縄県議会は計画の白紙撤回を求める意見書を退席なしの全会一致で採択しました。
意見書は、当該地の周辺は閑静な住宅地であり、近くの石川岳など自然環境に触れられる場所として県民から親しまれている地域である、地元住民や自治会、うるま市、沖縄県にも知らされず発表されるという計画に県民は動揺を隠せない、さらに、隣接する県立石川青少年の家には自然体験学習の場として年間四万人もの児童生徒が訪れている、このような場所に訓練場が建設されると、住民の生活環境に影響を与えかねず、子供たちの学びの場の確保に支障を来すおそれもあるとして、一つ、うるま市石川における自衛隊訓練場整備計画を白紙撤回することと、強く求めています。
この意見書の提出者十五人のうち五人は自民党の県議の方です。そのほかに、てぃーだ平和ネット、おきなわ新風、共産党、維新の会、公明党、無所属の県議の方もいます。文字どおり沖縄県議会ぐるみの意見書です。意見書は総理宛てに出されております。重く受け止めて、計画を白紙撤回し、断念すべきではありませんか。
岸田文雄内閣総理大臣 防衛省においては、南西地域の防衛体制強化のため、令和九年度までに第一五旅団を増強して師団に改編する計画と承知しています。これに伴い、うるま市において新たな訓練場整備のための土地取得を計画していると承知をしております。
そして、本訓練場の整備に当たっては、防衛省に対して地元の様々な方々から御意見をいただいており、現在防衛省において、住民生活との関係を重視する観点から、取得後の土地利用の在り方について改めて検討を行っていると報告を受けています。
防衛省は、必要な防衛体制の構築とともに、防衛施設が地域に与える影響を適切に抑制する責任を有しています。引き続き防衛省に検討を進めさせ、結論を得られた段階で丁寧に説明させたいと考えます。
○山下芳生 全く丁寧ではない経過に、住民ぐるみで怒っているわけです。
訓練計画の内容が若干当初から変更されましたが、変更された後にこの白紙撤回を求める沖縄県議会の意見書が全会一致で採択されています。三月七日です。
さらに、三月十八日、沖縄、自民党沖縄県連も土地取得の断念を防衛大臣に申し入れました。陸自駐屯地ができた与那国や石垣、宮古島では当初説明のなかったミサイル部隊が配備されるなど、一度訓練場ができればなし崩しで機能強化されるおそれがある。だから、計画の白紙撤回、断念を皆さん求めているんですね。
訓練場の建設予定地であるゴルフ場跡地は、道一本挟んで住宅地が広がっています。鳥の鳴き声が聞こえるほど閑静な場所です。なぜこんな場所に造るのか、事前に説明もなく、住民のことを何も考えていないと、これが地元の自治会長の声です。
それから、この中にもあるように、県立石川青少年の家、小学生を中心に年間約四万人が利用し、野外炊飯やキャンプファイヤーを楽しんでおります。子供が寝泊まりする宿舎から訓練場の予定地は六十メートルしか離れておりません。カレーを作る炊事場からは目と鼻の先なんです。施設の関係者の方は、すぐ隣で夜間訓練すれば子供たちは恐怖で眠れなくなると懸念されております。
今年の、その後、三月二十日、うるま市で開かれた国に計画断念を求める市民集会には千二百人以上が集まりました。主催された自衛隊訓練場設置計画の断念を求める会の伊波常洋共同代表は次のように訴えました。私は、保守として自民党の市議四期、県議二期を務めた、国が計画を決めたとき、地元の旭区に一言もなかった、隣の空き地に人が家を造るときに挨拶ぐらいするのが当たり前だ、僅か八十日間でこのような闘いが展開され、事態が非常に動いているが、完全に断念させるまで油断せず、力を結集して断念を目指そう、翁長雄志元知事が言ったように、ウチナー、ウシェーラッテーナランドーと、沖縄を侮ってはならないよという声です。
総理、隣の空き地に家を造るとき挨拶ぐらいするのは当たり前、沖縄を侮ってはならない、この声をどう受け止めますか。
岸田文雄内閣総理大臣 先ほどもお答えしましたが、本訓練場の整備に当たっては、防衛省に対し地元の様々な方々から御意見をいただいており、現在防衛省において、住民生活との関係を重視する観点から、取得後の土地利用の在り方について改めて検討を行っていると報告を受けています。
そして、これまでの対応が乱暴であるという御指摘については、これは真剣に受け止めなければならないと思います。その上で、今申し上げた検討を行い、そしてそれを丁寧に説明する、そうした取組を防衛省に行うよう私の方からもしっかりと指示をいたします。
○山下芳生 防衛省に任せたら駄目ですよ。こんな乱暴なことやるんですからね。防衛大臣に指示できるのは総理です。自民党県連も含め島ぐるみで計画の断念、これを求めているわけですから、総理がそう指示すべきだと思います。
南西地域の防衛力強化と言いますが、沖縄の人々は、沖縄が再び戦場になるのではないかと危惧しています。県民の四人に一人が犠牲となった沖縄戦の体験があるからです。岸田政権が進める他国攻撃のための長射程ミサイルの南西諸島への配備は、米国の戦略に従い沖縄を再び戦場にするものです。新たな訓練場の建設はその一環であります。
ヌチドゥタカラ、命こそ宝、この沖縄の心を踏みにじる訓練場建設計画の白紙撤回、断念を強く求めるとともに、かつて紛争と戦争の絶えなかった地域を半世紀掛けて対話と協力の地域に変えたASEANと協力して、戦争の心配のない平和な東アジアをつくる外交ビジョンを持つことこそ重要だと述べて、質問を終わります。