参院政倫審 自民“知らぬ存ぜぬ” 証人喚問で真相解明を 山下氏が追及
自民党派閥の裏金事件を巡り14日に開かれた参院政治倫理審査会、世耕弘成前参院幹事長をはじめ清和政策研究会(安倍派)所属議員が出席しました。全員口裏を合わせたように、裏金づくりは「知らない」「分からない」「関与していない」と繰り返し、真相解明を全くする気がない自民党の姿が露呈しました。日本共産党の山下芳生議員は「民主政治の土台を揺るがす自民党による組織的犯罪が問われているのに、幹部は誰ひとり、責任持って真相解明しようとしない」と厳しく批判。井上哲士議員は、橋本聖子元五輪担当相、西田昌司議員に説明責任を果たすよう迫りました。
いつから・誰が・違法性は
いつから、誰によって裏金づくりの仕組みがつくられたのか―。派閥幹部の世耕氏に対して実態解明を迫る質問が集中しました。
世耕氏は、政治資金パーティー券収入のキックバック(還流)がいつから始まったのかと問われ、「2013年くらいからは私の事務所にも還付金が発生していた」と答弁。少なくとも10年以上前から還流が行われていたと認めました。
一方で、衆院政倫審での安倍派幹部らの証言からは、還流が始まった時期が1997~2000年の間だと推察されます。山下氏は「この間の清和会の会長はだいたい森喜朗元総理だ。森氏に還付金が開始された経緯について聞いたのか」とただしました。
世耕氏は「特に聞いていない」「森先生の関与は一切認められなかった」と否定。「誰がいつ決めたのかは分からない」と繰り返しました。山下氏は「参院も含め自民党全体が問われる問題だ。あなたは『知らなかった』で済ませられるポジション(地位)じゃない。調べる責任がある」と厳しく批判しました。
安倍派では参院選の年だけノルマを免除し、改選議員が集めたパーティー券収入の全額を還流する仕組みがあったとされています。世耕氏は安倍派の参院議員でつくるグループ「清風会」の会長を務めた人物。この参院独自の還流の仕組みづくりに関与した疑いがあります。
山下氏は「このルールをつくったのは世耕氏ではないか」と迫りましたが、世耕氏は「こういうルールがあること自体知らなかった」と関与を否定しました。
一方、違法性の認識も問われます。安倍派では22年4月、当時の会長の安倍晋三元首相が還流廃止を打ち出し、死去後の同年8月に廃止撤回の協議があったことが明らかになっています。世耕氏はそれらの幹部会合に参加したひとりです。
山下氏は、同年8月の幹部会合で、還流の仕組みを「合法的な形」にする代替案が出たことも幹部証言から発覚しており、「裏を返せば現行のやり方は合法的な形ではない、つまり違法性の認識があったということではないか」と追及。世耕氏は「違法性の認識があれば立件されている」などと居直りました。
また、世耕氏は還流がなぜ復活したのかについては不明で、「誰が決めたのか私も知りたい」などと答弁。安倍派幹部らの証言を巡り、同年8月の会合で還流復活が「決まった」「結論は出なかった」と食い違いが生じていると指摘されると、世耕氏は「この時、確定的なことは決まっていない」と述べ、その後も幹部会合が持たれたことはないと説明しました。
秘書のせいにし開き直る
世耕氏らは口をそろえて還付金が収支報告書に不記載であるとは知らなかったと弁明し、還流された還付金の使い道も秘書に責任を押し付けました。
世耕氏は「議員会館の事務所に立ち寄るのは年に3~4回、1回10分程度という状態が10年以上続いた」とし、政治資金は自分で管理することが困難な状況だったと主張。「まさか自分が還付金を受け取っていると思っていなかったので、政治資金規正法上どういう形で処理されているのか深く考えることができなかった」と釈明しました。