日本共産党 参議院議員 党副委員長
山下よしき

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開票トラブルが多発 「自治体職員増やせ」と質問  最高裁国民審査点字自書 人権関わる 改善早くと要求

参院倫理選挙特別委員会 2022.11.9
速記録 資 料 動 画
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(写真)質問する山下芳生議員=9日、参院倫選特委

開票トラブルが多発 「自治体職員増やせ」と質問

日本共産党の山下芳生議員は9日の参院倫理選挙特別委員会で、参院比例選の開票作業のトラブルが多発している問題をただし、自治体職員を増員する抜本的な改善策を強く求めました。

山下氏は、2019年参院選での大阪府堺市美原区の自身の比例個人得票を「0票」とされた問題で、投票した有権者から「自分の願いを託した1票だった」「私たちの意思が選挙に反映されなかった」と憤りの声が上がっていると紹介。複雑で候補者が膨大な「非拘束名簿式」が導入された01年以降、「0票」とされトラブルになった例が16件あるとの報道を挙げ、憲法に保障された「国政参加の権利が侵害されている」と批判しました。

山下氏は、7月の参院比例選の開票の実態を説明。100人ほどが一斉に作業にあたり、各人が手元で票を振り分け、200人近い候補者の箱に分類。名前と枚数を確認し、同姓やよく似た名前の候補者も分類するなど「複雑で膨大な作業を短時間で行う大変な作業だ」と強調しました。さらに、開票従事者数が01年の約33万人から18年の約22万人へと大幅に減少しており、「非拘束名簿式を導入した01年から、逆に3割以上も開票事務に携わる職員が減った」と指摘しました。

寺田稔総務相は「習熟度を上げていただく」「応援職員の確保に努める」と答弁。山下氏は「個々の職員の問題ではない。民主主義の根底を支えている自治体職員を増やすことこそが鍵だ」と訴えました。

最高裁国民審査点字自書 人権関わる 改善早くと要求

日本共産党の山下芳生議員は9日の参院倫理選挙特別委員会で、最高裁裁判官国民審査で、視覚障害者が罷免させたい裁判官の氏名を一人ひとり点字で投票用紙に「自書」する現行方式の問題点を示し改善を迫りました。

山下氏は「この方式では、視覚障害者は罷免したい裁判官がいると投票に長い時間が掛かる。周囲にあの人は罷免したい裁判官がいるのだなと伝わり、投票の秘密が守れない」と指摘。「限られた投票用紙の大きさでは、罷免したい裁判官の氏名を全て点字で自書できないことがあり、投票の自由がない。これらは選挙の根本に関わる極めてゆゆしき問題だ」と寺田稔総務相の認識をただしました。寺田総務相は「投票用紙の調製が難しい」などと答えました。

山下氏は「この問題は長い間当事者から改善が要求されている。『技術的に困難』としてきた在外投票における国民審査も最高裁の違憲判決を受けて改善した。技術的な問題はクリアできる。選挙の根本、基本的人権に関わる問題であり、速やかに改善を検討すべきだ」と要求。寺田総務相は「問題点の指摘があったので検討する」と述べました。

速記録を読む

○山下芳生君 日本共産党の山下芳生です。
まず、寺田総務大臣の政治資金問題について伺います。
昨日、十一月八日、衆議院倫選特での我が党の塩川質問、あっ、塩川議員の質問に関連して、確認したいことがあります。
塩川氏は、寺田稔竹原後援会の領収書で、宛名が寺田稔であるものが十四枚、そのうち宛名の筆跡が酷似した領収書が十一枚存在しているとの報道を紹介し、大臣に確認を求めました。寺田大臣は誰が書いたのか確認すると答弁をされましたが、宛名が酷似した領収書は誰が宛名を書いたものですか。

○国務大臣(寺田稔君) 昨日ですね、塩川委員から御指摘を受け、今現在、これ確認中でございます。これは誠実に確認をして、この御回答したいと思いますが、この点については、このQアンドAにありますとおりですね、政治資金規正法のQアンドAにありますとおり、この支払を受けた者の同意があれば、そうした行為も正当な領収書として許されるという記述のとおりでございます。
誰がということについては、この確認をさせてください。

○山下芳生君 領収書の偽造の疑いが掛かっておりまして、事は政治資金規正法を所管する大臣の資格に関わる問題なんですね。
ほかにも疑惑が数多くありますので、責任を持って直ちに調査し、事実関係を明らかにすべきだと考えますが、まだ確認できていないということですので、委員長、先ほどの件、当委員会への報告を求めたいと思います。

○委員長(古川俊治君) ただいまの件につきましては、後刻理事会について協議いたします。

○山下芳生君 次に、最高裁、裁判所裁判官国民審査に関わって質問します。
視覚障害者の方々の国民審査の方法は、罷免しようとする裁判官の氏名を一人一人点字で投票用紙に自書することとなっております。視覚障害者の方からは、二点、問題点が指摘されております。
一つは、罷免したい裁判官がいると投票に長い時間が掛かる。お一人お一人点字で記すわけですから、時間が掛かります。そのことで、周囲にあの人は罷免したい裁判官がいるのだなと伝わり、投票の秘密が守れない。
二つ目。資料一に添付いたしましたが、限られた投票用紙の大きさでは罷免したい裁判官の氏名を全て点字で自書できないことがあり、投票の自由がない。
この二点ですが、これらは選挙の根本に関わる極めてゆゆしき問題だと考えますが、大臣の認識、いかがでしょうか。

○国務大臣(寺田稔君) この国民審査の点字投票についての御質問でございます。
これ自書式とされておりますが、これは、短時間でこの点字による記号式投票の投票用紙を調製することが難しいというこの物理的な理由、また罷免を可とする裁判官に対応する欄に審査人が点字により正確に記入することが難しいなどの理由によるものでありまして、この点は、今般のこの訴訟に係る東京高裁判決においては、分離記号式投票のほかに自書式投票に言及をしております。国民審査におきましても点字による投票が認められているが、これによって審査の公平が害されるといった事態が生じたともうかがわれないと評価されています。
また、今回の、今般の最高裁判決も、現行の点字投票が自書式であることに言及した上で、在外国民審査についても現在の記号式投票とは異なる投票の方式等を採用する余地がないとは断じ難いと判断されたところでありまして、現行の点字投票の方式は審査権を制限するものではないことを前提にこの判断をされているものと解しております。
なお、投票用紙に罷免を可とする裁判官を書き切れないとの御指摘につきましては、国民審査の投票用紙については、都道府県によっては通常の投票用紙と比べ点字投票の投票用紙を大きくしている団体もございます。
いずれにしても、国民審査の投票環境の向上については、引き続き総務省としても検討してまいります。

○山下芳生君 今、最後、検討するとおっしゃったんですかね。
ちょっと大臣に、私の問いは、そういう技術的な問題、あるいは最高裁の判例の紹介じゃないんですよ。要するに、今、この点字で全ての罷免したい裁判官の名前を、氏名をですね、全部打っていかなければならない、そのことによって投票の秘密が守られていないんじゃないか、あるいは投票用紙が小さくて投票できない場合があると。
これは、裁判、投票の、選挙の基本に関わる、根本に関わるゆゆしき問題ではないかと私は思うんですけどね、そういうことを聞きましたので。それについての、そういう声についての大臣の認識を聞いているんですよ。技術的な問題じゃないんです。

○国務大臣(寺田稔君) 繰り返しにはなりますが、今、自書式ということについては、短時間での記号式投票の用紙、用紙を調製することが難しいということもありますし、また罷免を可とする裁判官に対応する欄に審査人が点字により正確に記入することが難しいという理由で自書式といたしております。
自書式であることの御指摘のような問題点の指摘が今ございましたので、これは先ほども言いましたとおり、検討させていただきます。

○山下芳生君 検討するということですが、今回、この問題はもう長い間当事者から改善が要求されておりますし、我が党も四十年前から取り上げておりますし、具体的な改善方法なども視覚障害者の方からいろいろ出ておりますからね。
今回、技術的に困難として実施しなかった在外投票における国民審査も最高裁の違憲判決受けて改善したわけですから、できないはずはありません。技術的な問題は絶対クリアできる。選挙の根本、基本的人権に関わる問題ですから、速やかに改善を検討していただきたいと思います。
次に、いわゆる山下芳生ゼロ票問題について質問します。
二〇一九年七月の参議院選挙で、大阪府堺市美原区での山下芳生候補、まあ私の比例個人名得票がゼロ票と発表されました。ちなみに、その六年前、二〇一三年選挙で私は同区で八十八票の得票だったので、決して支持していただいている方がいないわけではありません。堺市美原区では、私に投票した有権者の方が自分の一票はどこ行ったと堺市の選管に調査を要請しましたが、かなわなかったため裁判となっております。
陳述書などを読みました。原告代表の方は、自分の願いを託して一票を投じている、不十分な点を改めてほしいと。また、百歳におなりで、二人の人に介助してもらって投票所に行った方は、一票の重みを忘れないでほしいと。他の方は、私たちの意思がこの選挙では反映されない事態となったと。別の方は、国民主権を脅かされている重大な問題だと。さらに違う方は、自分の国民としての存在さえ否定された、怒りに駆られたと、それぞれ思いを語られております。
御存じのように、参議院比例選挙のゼロ票問題は私のケースだけではありません。寺田大臣に一般論として聞きます。投じた一票が消えてしまった有権者は、今紹介したように、国政参加という憲法に保障された基本的人権が侵害されたことに強い憤りを感じておられます。大臣はこうした声、憤りをどう認識されますか。

○国務大臣(寺田稔君) 係争中の案件についてはもちろんコメントを控えますが、一般論で申し上げますと、その有権者の皆様におかれては、それぞれもちろん思いを込めて一票を、貴重な一票を投じていただいているわけでございます。そのことは十分に認識をしておりますので、開票事務従事者におかれても、そのことを十分に受け止め、この事務に従事をしていただきたいと考えております。

○山下芳生君 今、開票従事者においてはというふうに言われましたけど、果たしてそれでいいのかなということを次に問題提起したいと思います。
資料二に、参議院比例ゼロ票の主な事例を紹介しました。産経、読売の記事の一部ですが、今年七月八日付けの読売新聞は、参議院比例候補の得票がゼロとなりトラブルになった事例は、二〇〇一年の非拘束名簿式導入以来、少なくとも十六件あり、同姓や似た名前の候補者の票を取り違えるミスが目立つと報じました。
周知のとおり、非拘束名簿式は二百名近くに上る候補者の個人名票をそれぞれ全国集計し、これを政党名票と合わせて各政党の得票として集計し、当選者数を決めます。そして、政党内で個人名票の多い順に当選者が決まっていくわけですが、更にこの間、優先的に当選する特定枠も付け加わりまして、非常に複雑かつ候補者も膨大な制度、当然、開票時の集計作業も複雑で膨大なものとなりますが、大臣、こういう膨大な作業、複雑な作業がゼロ票問題の多発と関連しているのは明白ではありませんか。

○国務大臣(寺田稔君) この市区町村の職員の方々におかれても、民主主義の根幹を成す選挙への信頼を支えているとの自覚で、大変な緊張感を持って選挙事務、従事していただいていると承知をしております。特に投開票日は、投票や開票などの事務について、早朝から深夜あるいは未明に至るまで長時間従事をし、この選挙執行の事務を担っているわけでございます。
この開票作業につきましては、公正かつ適正な事務はもとより、有権者に選挙結果を速やかに知らせるため、事前にこの周到なリハーサル、開票リハーサルや開票手順の確認などを通じて人員の配置、また投票用紙読み取り分類機あるいは計数器の配置を適切に行うとともに、開票時、事務がスムーズに行えますよう開票の管理者、立会人、事務従事者で事前に十分な打合せを行って開票をしていただいていると伺っておりますので、そうした緊張感を持ってこの事務に当たっていただきたいと考えております。

○山下芳生君 実態をちょっと紹介したいと思うんですが、今年七月の参議院選挙では百七十八人が比例選挙に立候補いたしました。この選挙の開票実務に携わったある自治体職員の方に、参議院比例代表選挙の開票作業の実態をお聞きいたしました。
候補者数に合わせた、イチゴを入れるパックのような箱をその数用意します。一度に二百人近くの票を分けられないので、まず、あ行、か行、さ行等、行ごとのグループに分けるんだそうです。その後、あ、い、う、え、お等、五十音ごとのグループに分ける。その次に、例えばアオタ何々、アキモト何々と候補者ごとに分ける。開票所によってはある段階までは読み取り機などの機械が入りますが、最終的には全て人間がチェックしていくことになります。
私が話を伺った方の自治体では、選挙区選挙を含め全体で百人近くの人が開票作業に一斉に当たっていると。分業と協業で、各人がまず自分の手元で票を振り分けて分類し、それを各人ごとに集めて移動し、最終的には二百人の候補者一人一人の箱に入れると。それぞれ束の内容が全て同じ候補者かどうか、これは人間が確認し、投票用紙の枚数を機械に二回掛けて確認すると。各候補者の票が集計された後も、同姓でどちらか分からない票の案分作業が残ります。候補者が比例代表の場合は非常に多いので、二〇一九年の選挙だと、山下芳生と山下容子などの同姓候補、また、山本太郎と山田太郎など、よく似た名前の候補も少なくありません。
こうした複雑で膨大な作業を正確に短時間で行わなければならない大変な作業だと思いましたけども、こういう開票の実態、他の選挙とは違う複雑で膨大な作業があるっていう実態、大臣、御存じでしょうか。

○国務大臣(寺田稔君) 御指摘のように、大変膨大なこの選挙事務、また開票事務に多くのこの応援職員も含めて従事をいただいているというふうに承知をいたしております。

○山下芳生君 もっと実態をしっかり見て、本当に大変ですからね、総務大臣として、そのことを心通った御答弁いただきたいと思うんですよ。物すごい大変ですよ、これは。
で、私、今紹介したのは、ある一つの開票所でのやり方なんです。開票所ごとにやり方は千差万別ですよ。だって、開票所の広いところ、あるいは狭いところ、機械のあるところないところ、ですから、開票所ごとにそれぞれ工夫して開票作業を行われているわけですね。
そうすると、大臣、それぞれの開票所の作業に精通し習熟し、そして作業全体を差配できる人が各セクションに必要不可欠となります。そういうリーダーを中心とした集団の力、チーム力が正確で迅速な開票作業での決め手となると、これはいかがですか。

○国務大臣(寺田稔君) 委員御指摘のように、この膨大かつ複雑な開票事務については、これは選挙管理委員会の職員だけでなく様々な部局から、この多くの応援職員の協力の下、また事前の打合せ等も行っているものと周知をしております。
委員御指摘のこの開票事務に精通した方、精通する職員が開票所全体や、あるいはこの各班のリーダーとなり指揮をするとともに、全ての関係者が事務のこの正確性を第一に一つ一つの作業を緊張感を持って確実に実施をすること、これは重要であると考えております。

○山下芳生君 重要だという御認識なんですが、開票作業の現場で頑張っている方から聞きますと、自治体職員が全体として減少する中、開票作業を経験し、その経験を蓄積しているベテラン職員が減少している、こうした中でミスが増えているという声をよく聞きます。
令和三年地方公共団体定員管理調査結果によりますと、総職員数は、二〇二一年四月一日現在で二百八十万人ですが、これは一九九四年のピーク時比で約四十八万人減少しております。自治体職員は全体で約一割五分減りました。
その中で、では、開票所事務に従事する職員がどれだけ確保されているのか。総務省に調査をしていただきまして、今朝いただいた資料があるんですが、その中から、総務省、ピーク時の平成十三年、二〇〇一年の人数と、直近の令和元年、二〇一八年の人数をそれぞれ報告していただけますか。

○政府参考人(森源二君) お答え申し上げます。
開票所事務従事者数として、まず専属の、その市区町村の選挙管理委員会の書記の数でございます。平成十三年は二万五百二十七人、令和元年の参議院の選挙の際には一万八千七百六人という数字でございます。
以上でございます。

○山下芳生君 応援の市区町村の職員、どうなってますか、推移は。

○政府参考人(森源二君) お答え申し上げます。
平成十三年は三十万九百七十一人、令和元年は十九万九百四十六人と、こういう数字となっております。
以上でございます。

○山下芳生君 その他の職員も、まあ数千人から一万人ぐらいいるんですが、あわせて、開票所事務の従事者数は、二〇〇一年と二〇一八年、合計数、それぞれ幾らになってますか。

○政府参考人(森源二君) お答えをさせていただきます。
平成十三年参議院選挙の際の総合計の数が三十三万四百十三人、令和元年参議院の際の総合計の数は二十二万一千九百三人と、こういう数字でございます。

○山下芳生君 あったように、三十三万人から二十二万人に、十七年間に三割三分も開票事務に携わる職員が減ったんですね。参議院の比例代表非拘束名簿式が導入された二〇〇一年から、逆に職員が大きく減らされているんです。
大臣、これが開票作業のミスの根本にあるとお考えになりませんか。

○国務大臣(寺田稔君) 今選挙部長が申し上げたとおり、なかなか大変、減少する厳しい状況の中でこの事務をこなしていただいているわけでございますが、減少する中でもこの十分な応援の確保であるとか、このやっぱり必要な仕事をこなしていかなければなりませんので、そうした更なるこの習熟度を上げていただきながら、この事務に当たっていただければと思っております。

○山下芳生君 いやいや、三分の一減った中で、頑張ってくれと言われても頑張り切れないものがあるでしょう。だって、選挙実務は複雑になっているんですから、非拘束名簿式によって。そのこと、そう思わないですか。

○国務大臣(寺田稔君) 先ほども答弁したとおり、非常にこの複雑な事務を連携を取りながら、また委員御指摘のこのリーダーの存在というのも重要であると答弁をさせていただきました。
そうした中で、この必要な事務をこなしていただいているのが実態でございます。まあ何とかそこは、この必要な人員の確保にしても、また専属のやはり職員数が減ってきているのも事実でありますので、応援職員の確保などにも努めてまいりたいと思います。

○山下芳生君 時間が参りました。
職員の皆さんは、民主主義の根底を支える最前線に立っているというやりがいと責任、誇りを胸に頑張っておられますから、個々の職員の責任ではありません。やはり抜本的には自治体職員を増やすこと、それが鍵だということを申し上げて、質問を終わります。