日本共産党 参議院議員 党副委員長
山下よしき

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統一協会会長と認識し西村環境相が関係か  大阪市カジノ用地のPCB汚染の調査を 参院環境委

参議院環境委員会 2022.11.1
速記録 資 料 動 画

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(写真)質問する山下芳生議員=1日参院環境委

日本共産党の山下芳生議員は1日の参院環境委員会で西村明宏環境相に対し、同氏と統一協会との関係について「知らなかったでは済まない。どう責任を感じているか」とただしました。

山下氏は、2017年に西村氏と徳野英治・統一協会会長(当時)が国会内で日米の国会議員らと並んだ写真と、2019年に「講師」が徳野氏、「宮城県代表世話人」が西村氏で開催された「安全保障フォーラム」の案内状を示し、「2019年は初対面でないはず。徳野氏が統一協会会長と知った上で代表世話人になったのではないか」と迫りました。

西村氏は、2度問われたにもかかわらず明確に答えませんでした。

山下氏は「案内状には『選択的夫婦別姓、同性婚容認などの動きの背後には共産主義があり、国民を扇動している』とある。統一協会・国際勝共連合独特の言い回しだ。知らなかったでは済まない」と批判しました。

さらに、妹が信者だった男性の「政治家は広告塔。誤解を招く行動は慎むべきだ」という声を紹介し、「広告塔となり被害者を増やすことに加担してしまった可能性があることについて、どう責任を感じているか」と追及しました。

西村氏は「結果として当該団体の信頼を高めることがあったという指摘は重く受け止める」と述べました。

さらに、山下氏は同委員会で、IR・カジノ建設予定地の大阪市の夢洲がポリ塩化ビフェニール(PCB)による深刻な土壌汚染の危惧される土地だと指摘し、国による立ち入り調査とIR審査委員会への質疑内容の報告を求めました。

山下氏は、現在も大阪湾でPCBが検出されていることを示し、「PCBはストックホルム条約で廃絶・浄化が義務付けられている有害物質だ。夢洲での浄化は済んだのか」とただしました。

環境省の秦康之水・大気環境局長は「大阪市が行った土壌汚染調査ではPCBは検出されていない」と答弁。山下氏は「IR用地は60万平方メートルの広大な土地だ。そこに隣接するたった1地点の調査、埋立層の最深部に届かない調査のみでIR用地にPCBがないと結論付けるべきではない」と批判しました。

山下氏はさらに、「PCBの廃絶は国の責務だ。大阪市任せにしてはならない」として国による立ち入り検査を要求しました。西村明宏環境相は「必要に応じて技術的な助言を行う」と答弁。佐藤克文IR推進本部事務局内閣参事官は、質疑の内容を「審査委員会に伝える」と答えました。

速記録を読む

○山下よしき 日本共産党の山下芳生です。西村大臣に、まず統一協会との関係について質問します。

資料一は、二〇一七年五月、衆議院国際会議場での日米国会議員有識者懇談会での写真であります。写真左から四番目は西村大臣、左端は当時第十三代日本統一協会会長の徳野英治氏であります。

資料二は、二〇一九年六月、仙台国際センターで開催された安全保障フォーラム宮城県大会の案内状です。講師には先ほどの徳野英治会長の名前があり、宮城県代表世話人には西村明宏衆議院議員と、大臣の名前があります。

西村大臣、この二〇一九年は初対面ではないはずですから、徳野英治氏が統一協会の会長だったと知った上で宮城県代表世話人になったのではありませんか。

○西村明宏環境大臣 まず、写真の方ですけれども、これは委員御指摘のように、衆議院の議員会館で二〇一七年五月に、東アジアの情勢と日米同盟に関して意見交換を行うために米国国会議員が来日されるんで顔を出してほしいということで、友人の国会議員から誘いを受けました。日程が立て込んでおりましたので、ただ、友人からの誘いでもあるので、会議の開始前に米国議員と立ち話をしたときに写真を撮ったというふうに承知しております。会議自体には出席していないので中身は承知しておりませんし、この写真が出て、確かにアメリカの議員とお会いした記憶はございますけれども、会議に出ておりませんので中身は承知しておりません。

そして、二〇一九年六月の、激動の二〇一九年、日本の行くべき道、安全保障フォーラム宮城県大会、これにつきましては、そこに名前の出ております堀江さんという、英霊にこたえる会、また元参議院議員でありますけれども、この方から宮城県で保守系のフォーラムを開くので、当時、私、宮城県の県連会長でしたので、そういった意味で世話人になってほしいということを頼まれまして、メンバーを見ますと、元防衛庁の統合幕僚長や日大の名誉教授といった、また有名な外交評論家という形で、非常に保守系の皆さんのフォーラムだという認識で代表世話人を引き受けたことは事実でございます。

○山下よしき いや、私の質問は、二〇一九年のときは、もう既に一回お会いされているんですから、この徳野英治氏が統一協会の会長だったと、だと知った上で代表世話人になったんじゃないですかという問いです。

○西村明宏環境大臣 これはもう案内状のペーパーのようですけれども、私の方には堀江さんの方からこういったフォーラムを開くのでということで案内がありまして、ただ、この徳野さんという方が講師に入っておりますけれども、これは承知せずに引き受けたということでございます。

○山下よしき 私だったらメーンの講師がどういう人か知らないまま代表世話人にはなりません。

この案内状見てください。選択的夫婦別姓、同性婚容認など、我が国の伝統文化が危機に瀕している状況があります、このような動きの背後には共産主義があり、国民を扇動していると言って過言ではありません。これは、もう統一協会、国際勝共連合独特の言い回しですよ。

そして、このような状況を踏まえ、徳野英治氏を講師として迎え、フォーラムを開催する運びになりました。この方が中心になった催しなんですよ。その代表世話人を引き受けるときに知らなかったでは済まないと思いますよ。この方は長いこと統一協会の会長やっていた方ですからね。

妹さんが統一協会の信者だったある男性は、妹が霊感商法の販売員となり、被害者から加害者になっていくのが一番つらいと語った上で、政治家は単なる広告塔なんです、賛同するような、誤解を招くような行動は慎んだ方がいいと指摘されています。

西村大臣、大臣が統一協会と関係を持ったことで広告塔となり、被害者あるいは加害者を増やすことに加担してしまった可能性があることについて、どう責任を感じておられますか。

○西村明宏環境大臣 今御指摘あったような中身の詳しい話以前に、このフォーラムの題名と堀江先生という立派な保守系の政治家の方からのお話でしたので引き受けたという現状がございます。

ただ、その上で、今委員御指摘のように、旧統一協会によって被害を受けられた皆様がいらっしゃるということで、当該団体と国会議員が関係を持つということが結果として当該団体の信頼を高めることがあった、この指摘については重く受け止めております。

また、今後こうした社会的相当性が懸念される組織、団体の活動を助長すると誤解されるような行動については、厳に慎んでいくべきものと考えています。

○山下よしき 私は、人権侵害と違法行為を繰り返してきた統一協会の広告塔となって被害と加害の拡大に手を貸したことへの胸の痛みがなければ、関係を断ち切ることなどできないと、そう思っております。

次に、大臣は所信表明で、人の命と環境を守る決意を表明されました。そこで、大阪湾に浮かぶ人工島、夢洲の環境問題について質問します。

今年四月、大阪府、大阪市、大阪IR株式会社によって、大阪・夢洲地区特定複合観光施設区域の整備に関する計画が観光庁に提出されました。私は、IR、カジノ誘致に反対の立場ですが、国内外から年間二千万人が訪れる施設として整備するというのなら、その予定地は大臣の言う人の命と環境を守る場所であることは当然の前提とされるべきだと考えます。

国交省に確認しますが、IR区域施設の認定審査においては、安全の確保並びに健康衛生の確保が重要な評価基準となると考えますが、いかがですか。

○内閣官房IR施設区域整備推進本部事務局 佐籐克文参事官 お答えいたします。

御指摘の安全や衛生環境の確保に関する点につきましては、認定審査の基準に関する重要な要素の一つと考えております。

○山下よしき 安全の確保、健康衛生の確保はIR整備の重要な評価基準であります。

では、IR整備予定地である夢洲とはどういう場所か。資料三に、大阪湾に浮かぶ夢洲とその周辺の航空写真を添付いたしました。大阪湾には、大阪市の北側、写真では左側を流れる淀川、南側を流れる大和川という大河川のほかに、大阪市域で四つの河川、正蓮寺川、安治川、尻無川、木津川が流れ込んでおります。大阪が水の都、八百八橋と呼ばれるのは、多くの川が流れているからであります。

その安治川筋の河口部には、かつて西六社と呼ばれた住友電工、住友金属、住友化学、日立造船、汽車製造、大阪ガスの工場がひしめいておりました。また、木津川筋には三井造船、名村造船などの工場が建ち並んでおりました。大阪では、高度経済成長期、これらの地域で深刻な環境汚染が発生し、社会問題化しました。当時の新聞各紙は、工場の廃液で河川や大阪湾は変色して、悪臭を放ち、汚泥はヘドロ化していると報道しています。資料四に一部紹介いたしました。

その工場廃液が混ざった大阪湾のしゅんせつ土砂の処分場として埋め立てられたのが夢洲であります。埋立ては一九八七年から始まりました。資料五にあるように、夢洲は一区から四区の工区に分けられ、一区は一般廃棄物、産業廃棄物、二区、三区は大阪湾や河川のしゅんせつ土砂や建設残土、そして四区は建設土砂等を受け入れております。IR整備は三区で予定されております。

環境省、舞洲、あっ、夢洲が大阪湾のしゅんせつ土砂や建設残土、廃棄物の処分場として埋め立てられた場所だということは間違いありませんね。

○環境省 秦康之水・大気環境局長 大阪市からは、本件土地については、夢洲一区では昭和六十年から廃棄物による埋立てが、夢洲二区、三区では昭和六十二年からしゅんせつ土砂等による埋立てが行われた旨を伺っております。その後、平成十六年及び令和二年に大阪市が土壌汚染の調査を行いましたところ、埋立土砂を由来として、鉛、ヒ素、フッ素及びその化合物が検出されたと伺っております。

当該土地につきましては、その利用状況等から、人の健康被害が生ずるおそれがないものの土壌汚染に対するリスク管理が必要な土地として、令和三年一月に大阪市が土壌汚染対策法に規定する形質変更時要届出区域の一種に指定していると理解しております。

○山下よしき 埋め立てられたしゅんせつ土砂などによって造られた島なんですね。その夢洲は果たして安全の確保、健康衛生の確保ができる場所なのか、科学的な調査が不可欠だと思います。

環境省が一九七四年から実施している化学物質環境実態調査では、大阪湾内の大阪港並びに淀川河口の底質からPCBは検出されていますか。

○環境省 神ノ田昌博環境保健部長 お答えいたします。化学物質環境実態調査では、平成八年度以降、二十三回にわたり、淀川河口底質におけるPCBを測定してきたところであります。その結果、測定した全ての年度においてPCBが検出されておりますが、最大でも〇・二一ppmということで、暫定除去基準の一〇ppmを大幅に下回っております。

○山下よしき 資料六に環境省の調査結果を添付しました。大阪湾の底質から、今はえらい少ないと言われていましたけど、これPCBというのはあってはならない物質なんですね。それが長期間にわたって検出されています。

それから、資料七に示しましたが、一九八三年の海上保安庁、大阪湾海底堆積物の重金属汚染調査でも、湾奥部でPCB、水銀、カドミウムの濃度が高いこと、さらに、が確認されております。さらに、二〇〇八年の海上保安庁、主要湾域の海底堆積物中における有害汚染物質濃度の経年変化の傾向でも、大阪湾でPCB、カドミウム、水銀が依然として高い濃度で確認されております。

言うまでもなく、PCBは、発がん性、難分解性、生物蓄積性のある有害物質であります。日本も締結しているストックホルム条約では、PCBは国際的に協調して廃絶すべき有害物質とされております。

環境省に確認しますが、PCBが廃絶すべき有害物質であること、PCBが検出された場合は汚染された場所の浄化が義務付けられていることは間違いありませんね。

○環境省 神ノ田昌博環境保健部長 お答えいたします。POPs条約では、PCB等の廃絶対象とされた物質につきまして、その製造、使用、輸出入を原則禁止する等の措置を締約国に求めておりますが、お尋ねの環境中で検出された場合の措置については規定はされておりません。

○山下よしき 浄化という手法を、このストックホルム条約の関連文書でもPCBの浄化の方法について詳しく規定されていますよね。

○環境省 神ノ田昌博環境保健部長 お答えいたします。この条約上、先ほどお答えしたとおり、環境中で検出された場合の措置について規定はされていないということでございます。

○山下よしき 次行きますね。

夢洲は、こうした大阪湾からPCBがずうっと検出されているわけですね。そのしゅんせつ土砂で埋め立てられた島なんです。そういうことなんですけれども、ですから、本来、私は、この地域に年間二千万人もの人が集まる施設を造ってはならない、もし造るんであればきちっとPCBはきちっと処分して浄化して造らなければならないと考えておりますけれども、夢洲三区、これPCBの対策は行われているのか、PCBの浄化は済んでいるのか、いかがですか。

○環境省 秦康之水・大気環境局長 大阪市からは、夢洲地区における土壌汚染の調査では、これまでPCBは検出されていないと伺っております。調査結果に基づきまして、夢洲地区は形質変更時要届出区域の一種に指定され、リスク管理がされておりますけれども、汚染土壌そのものの除去等の対策を講ずる状況にはないというふうに伺っております。

○山下よしき 大阪市の調査は何か所で行われたか御存じですか。いつ、何か所で。

○環境省 秦康之水・大気環境局長 私どもが伺っておる範囲では、平成十六年に二地点、それから令和二年に一地点で調査されたということでございます。

○山下よしき 私、この令和二年の調査の報告書いただいているんですけれども、一か所なんですね、おっしゃるように。この報告書の名前は、北港テクノポート線建設事業に係る事後調査報告書ということでして、一か所この場所が示されておりますけれども、先ほどの資料五の地図で照応しますと、この赤いIR予定区域の右の方に駅前広場というのがございますけれども、ここは地下鉄の駅が造られる場所でして、この地下鉄の駅の一地点が平成、あっ、令和の調査地点なんです。これ、一点だけなんですよ。それで、深さも、これ見ますと、埋立層の一番深いところまでは調査しておりません。途中で終わっております。それで調査した結果、鉛、ヒ素、フッ素、先ほど言われた自然由来の汚染しかないと結論付けられているんですね。だから、PCBの処理、対策はされておりません。ほかの調査でもこういうことでやられたんじゃないんですか。されていないですよね、これ、ちゃんと、そこまで。

○環境省 秦康之水・大気環境局長 土壌汚染対策法におきましては、その調査実施者に対しまして調査省略を認める制度もございます。複数存在する基準全てに不適合と、この場合、複数存在する基準の全てに不適合とみなされて、全体を、区画全体を先ほど申し上げました形質変更時要届出区域として指定がされておるというふうに理解をしております。

○山下よしき だから、そういうことで勝手に省略するからこういうことになるんですよ。あのね、一か所ですよ、私がいただいている資料は。最近の資料は一か所なんです。もう過去のやつ言われましたけど、過去のやつも恐らく同じようだと思いますよ。一か所を調べて、ない、PCBが出なかったと言っていいのかと。

IR予定地だけでも約六十ヘクタール、六十万平米ありますよ。そうやって投入されたしゅんせつ土砂は決して均一ではないです。一様じゃないですよね、いつどこで取ったか分からないものがどんどんどんどん入っていくわけですから。それをたまたま一か所、地下鉄の駅造るところだけ掘って探し、見付けたけれどもPCBはなかったと言ったからといって、このIRの予定地にPCBが含まれていないということを結論付けることはできないんじゃありませんか。

○環境省 秦康之水・大気環境局長 土壌汚染対策法は、自治体において、地域の実情をよく御存じの自治体においてまずはしっかり執行されるべきものと考えておりますので、まずはその大阪市におきまして適切に対応がなされるものというふうに考えております。

私どもとしては、その状況をお聞きしながら、必要に応じて技術的な助言等を行ってまいりたいと思っております。

○山下よしき PCBの廃絶は国の責任で行われるべき課題なんですよ、条約上ですね。自治体任せにしてはならないと思います。

で、今、私、問題提起しているんですから、これはまずはということですよ。まずやったんだけど、私の言っているような提起に対して答えられるような調査ではありませんから、しっかりやっていただきたい。もしこんなところに、このまんまですよ、このまんまIR施設が造られるようなことになったら、これストックホルム条約にも逆行する、厳しい批判を免れないと思いますね。

それからもう一つ、液状化の問題が指摘されております。資料八に、液状化の心配が地盤調査によって出てきたので、大阪市は対策として、埋立層にプラスチックのくいを二十九万本打ち、その下の粘土層に砂ぐいを打ち込むと聞いておりますが、土壌対策の専門家、この方は当委員会で土壌汚染対策法、土対法について参考人として意見を述べた専門家の方ですが、二つのことを指摘されております。

一つは、水分の多い軟弱な地盤でくい施工による地盤改良を行うと、豊洲の場合と同じように、くいを打ち込むことによって地下に埋まっている有害物質が拡散し、しみ出す可能性があること。

第二に、カジノ予定地の地下は、深さ三十メートルまで軟弱な沖積層があり、更にその下に七十メートル近くまで軟弱な洪積層があり、地盤改良しても安心の保証、安全の保証はないということでございます。

もう時間が参りましたので、この二点について環境省と国交省のコメントいただこうと思ったんですが、もう最後ですので、大臣に、やはり私は、大阪市任せにするのではなくて、夢洲への立入調査、これは土対法五十四条でできますから、ちゃんとやる必要があると思うんです。これ、一点。

それから、国交省には、こうした点はIRの認定審査で十分考慮される必要があると思うんですが、本日の質疑の内容を是非、審査委員会に伝えていただきたい。以上、いかがでしょう。

○西村明宏環境大臣 先ほど局長の方からもお答えをさせていただきましたけれども、まず、土壌汚染対策法に基づいて、しっかりと法律上の権限がある大阪市において適切に対応すべきでありますが、当然、環境省としても、大阪市から情報収集を行って、必要に応じて技術的な助言等はしっかりやってまいりたいと思っております。

○内閣官房IR施設区域整備推進本部事務局 佐籐克文参事官 今ほどお話のありました点につきましては審査委員会へお伝えするようにしてまいりたいと思います。

○山下よしき 終わります。