日本共産党 参議院議員 党副委員長
山下よしき

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石炭火発の廃止早く 「温暖化対策待ったなし」

参議院環境委員会 2022.3.24
速記録 資 料 動 画

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(写真)山下芳生議員

日本共産党の山下芳生議員は24日の参院環境委員会で、石炭火力発電の早急な廃止を迫りました。

山下氏は、温暖化による海面上昇で海没した南太平洋ソロモン諸島の住民の声や、海面上昇が続くとする環境省などの報告に触れ、温室効果ガスを短期間で大幅に減らす対策は待ったなしだと強調。国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)は気温上昇を1・5度に抑えるためには今後10年の取り組みが重要だとして、石炭火力発電の削減に合意したと述べ、「なぜ石炭火力をCO2(二酸化炭素)排出削減の中心目標としたと考えるのか」とただしました。

山口壮環境相は「各国の事情がいろいろある」としか答えませんでした。

山下氏は、主要7カ国(G7)共同声明でも石炭火発は1・5度目標と相いれないとして各国が廃止に向け動いている時に、日本では2030年に3分の2も残ると批判。政府が進めるアンモニアと石炭の混焼はCO2が出ないのかとただすと、経済産業省の定光裕樹資源・燃料部長は「アンモニアは製造段階でCO2を出す」と答えました。山下氏は、アンモニアは輸入コストも高く「将来展望がない」と批判しました。

速記録を読む

○山下芳生君 日本共産党の山下芳生です。

先日、NHKのBSが、日本の若い人たちがCOP26に参加したときのドキュメンタリー番組を放送していました。参加した一人の若い女性は、海面上昇で水没の危機にある南太平洋のソロモン諸島から来た住民の声に一番の衝撃を受けていました。

資料一は、かつて祖父母が、祖父母の家があったケール島に胸まで海につかりながら立ち、気候危機の現状を訴えるソロモン諸島の女性の写真です。彼女は、COP26の議長や各国首相に向けたメッセージ動画でこう言っています。二〇〇九年、十四歳だった私は、大切にしていた島が少しずつ流されていることに気付きました。二〇一四年、私たちの五つの島がケール島を含めて完全に海没してしまった。危機に瀕しているのは、私たちの未来だけではありません。私は、私たちの子供たち、その子供たちの未来を案じていますと。

温暖化は、貧しい人々により大きな影響を及ぼしている。この現実に、日本から来た、参加した若者たちは大きなショックを受け、帰国後、新たな決意で行動している様子が番組でも紹介されました。

山口環境大臣もCOP26に参加され、日本の若者たちとも交流されていましたが、まずこうした気候危機の現状に対する大臣の認識を伺いたいと思います。

 

○国務大臣(山口壯君) この島、太平洋の島々の方ですね、全体会合の中でも、二度だとデスセンテンスだと、どうしても一・五度にしてくれというアピールが何度も何度もありました。もうそれは今、山下議員がおっしゃったようなことを踏まえてのことだと思います。

若い方の意見、いろいろなポイントがあったんですけれども、やはり、我が事として捉えられていると、この太平洋の島々のことについても自分たちのこととして捉えられているということが非常に切迫感を持って、私自身も感じました。この世界各地で異常気象が発生する中、世界はまさに気候危機と呼ぶべき状況に直面しています。こうした危機感を持って、この最大の課題である気候変動問題に対応していきます。

まず我が国としては、一・五度目標と整合的な形での二〇五〇年カーボンニュートラル、二〇三〇年度四六%削減目標の実現に向けて、あらゆる施策を総動員して取り組まねばならないと思います。

また、COP26の場で岸田総理が二〇二五年までの五年間で百四十八億ドル相当の支援を表明されました。気候変動の影響に脆弱な国に対して適応分野の支援を倍増するということです。我が国として、途上国支援に総力を挙げて取り組んでいきます。

要するに、産業革命後にこの二酸化炭素というのがどんどん出てきたわけですね。産業革命によって先進諸国は発達していったと。その意味で、途上国は、どちらかというと、取り残されて貧富の格差が出ていると。そしたら、先進国の方は、自分たちが作った原因じゃないかというのが、途上国の立場ですね。途上国にたくさんそういうしわ寄せが来ていると。じゃ、適応の支援もたくさん下さいと、そういうロジックですね。

ですから、我々もそれ、もちろんしっかり受け止めた上で、この気候変動対策、ここをしっかりとみんなでやっていきたいと思っています。

 

○山下芳生君 大臣おっしゃったように、気候危機を招いた責任はこれまでCO2を大量に排出してきた先進国にあるのに、その被害を最も受けるのは途上国の人々だと。COP26で若者や島嶼国の人々が求めたのはこの解消、すなわち気候正義であります。そして、海面上昇は島嶼国だけが心配すればよい問題ではないと思います。

資料二に、温暖化で崩壊を始めた南極西部の氷河の様子が分かる地図を添付しました。

黄色や赤色の部分は、二〇〇三年から二〇〇七年の僅か四年間で氷河の厚さが数メートルないし十メートルも薄くなったことを示しています。青い破線で三角に囲まれた部分にあるスウェイツ氷河の面積は十九万平方キロメートル余りで、アメリカのフロリダ州や英国に匹敵します。氷河の末端の幅は百二十キロメートルに達し、年一・六キロメートルないし二キロメートルの速度で海に移動しております。

資料三に、このスウェイツ氷河の崩壊のメカニズムを解析、解説した図を添付しました。出典は環境省とIPCCです。

氷河の先端の海にせり出した部分は棚氷と呼ばれ、長さ四十キロメートルもあります。この棚氷によって氷河が何とか支えられている状態にあるんですが、温暖化によって棚氷の下部に暖かい海水が流れ込んで、棚氷の融解が急速に進んでいます。それに伴い、棚氷が海底の岩、基盤岩と接する接地線が後退していることも明らかになりました。この接地線が更に後退し、基盤岩が盆地状に低くなったこの部分に暖かい海水が大量に流入すると氷河全体が崩壊する危険があると科学者から指摘されております。

昨年の十二月に、アメリカ・オレゴン州立大学などの研究チームは、五年程度のうちに棚氷全体が砕けて崩壊する危険があると指摘しました。そして、もし氷河全体が崩壊すれば、六十五センチ近くの海面上昇につながると警告しました。さらに、南極西部全体の氷床が崩壊すれば、三メートルの海面上昇となって、マイアミ、バングラデシュ南部、オランダ、ニューヨークなどは水没する。日本で海面が一メートル上昇しますと、東京でも対策を取らなければ、江東区、墨田区、江戸川区、葛飾区のほぼ全域が影響を受けますし、大阪でも北西部から堺市にかけての湾岸線はほぼ水没すると。三メートル上昇すればもっとその影響は大きくなるということですが、大臣、こうした状況を見ても対策は待ったなしだと。島嶼国だけの話じゃないと。

温室効果ガスの排出を短期間に大幅に減らす対策に直ちに踏み出すことが求められていると思いますが、認識、いかがでしょうか。

 

○国務大臣(山口壯君) 気候変動問題への対応というのは、まさにこれから勝負の十年が始まっており、既に、国内でも、国際的にも我々全力で取り組んでいかねばいけないと思います。

先ほど申し上げたこの一・五度目標、それと整合的な形での二〇五〇年カーボンニュートラル、そして二〇三〇年度の四六%削減、あらゆる政策を総動員して、政府一丸となって取り組んでいきます。また、このCOP26の結果も受けて、世界各国・地域で脱炭素に向けた動きが本格化しています。できるだけ早く大きな削減を実現すべく、我々、このJCMも活用しながら、脱炭素イノベーションを我が国から途上国に強力に展開していきます。

先ほどから申し上げているような、地域脱炭素移行・再エネ推進交付金の二百億とか、あるいはこの新たな財政投融資計画の二百億、それについての全国行脚でもって、この地域脱炭素とそれから町おこしを両立ということを今訴えさせていただきながら、産業界ともいろいろと意見交換して、このカーボンプライシング等についてもいろいろと共有させていただいている。それをクリーンエネルギー戦略会議でもってまとめようとしているわけですけれども、この環境問題というのは解決はみんなでやらないとどうしようもないものですから、日本としてはこれだけやりますし、国外的にはこのJCM等で更に動かしていく、それから、国際的ないろんなこの枠組みづくりの場でも積極的に発信しているということで更に頑張っていきたいと思います。

 

○山下芳生君 このスウェイツ氷河というのは崩壊のリスクが大きいですからね、世界最後の日の氷河と呼ばれております。ただ、IPCCの報告書作成にも関わったペンシルベニア州立大学の気候学者マイケル・マンさんは、一・五度に抑えられれば、この南極西部の氷河の崩壊をほとんど止めることはまだできると、頑張ればできると。しかし、二度になっちゃったらこれは全部崩壊して世界の海面が十メートル上昇する危険もあると、だから今が本当に勝負だというふうにおっしゃっています。

対策が急務だと思うんですが、そこでCOP26では、こうした危機的状況の認識が共有化され、それを回避するために、一つは、気温上昇を一・五度に抑えることを追求する。二つには、これからの十年を決定的に重要な十年として排出削減の努力や対策を強化する。そして三つ目に、石炭火力発電を削減することで合意しました。私はこの三点の合意が非常に重要だと考えますが、大臣の認識いかがでしょうか。

 

○国務大臣(山口壯君) 確かにそのCOP26では、今世紀半ばのカーボンニュートラル及びその経過点である二〇三〇年に向けて野心的な削減対策を締約国に求める等を含むグラスゴー気候合意が採択され、おっしゃったとおりのことが含まれています。

これに加えて、パリ協定六条の市場メカニズムに関するルールの合意を含むパリ・ルールブックの完成、あるいはその二〇二五年以降の資金目標に関する議論の開始など、各国様々な主張を踏まえた様々な成果が取りまとめられたことも事実です。

我が国としても、こうしたCOP26の成果を踏まえて、この排出削減の強化あるいはカーボンニュートラルの実現に向けた取組を強力に推進して、このパリ協定の目標である脱炭素社会の実現に向け、国際社会を更に主導していかねばならないと思っています。

 

○山下芳生君 三点は共有できたと思うんですけれども。

そこで、エネルギーの選択というのは各国の内政に関わることですから、通常はこれを使っちゃ駄目よとか言及されないわけですね。ところが、今回は石炭火力を削減することで合意されたわけです。大臣もCOPとしては初めての合意だと冒頭述べられました。

そこで、大臣、なぜCOP26では石炭火力をCO2排出削減対策の中心的なターゲットにしたのか、御認識を伺いたいと思います。

 

○国務大臣(山口壯君) それぞれのCOPでは議長国がいろいろとイニシアチブを取って、動きを取られるわけですね。

今回、イギリスのシャーマ議長、この石炭に対して非常に積極的でした。我が国としても、いろいろな意味でこのそれぞれの事情がある中でのいろんな訴えをしたところです。この排出削減を更に進めるための要素の一つとして、石炭火力発電についてもこのグラスゴー気候合意では盛り込まれました。

その決定文書の中では、排出削減対策が講じられていない石炭火力発電のフェーズダウンに向けた努力を加速させると、これが全体の国のいろんな立場、いろんなこの事情、それに対する最大公約数というところで、それでもこのフェーズダウンに向けた努力を加速させるということで、我が国もそのラインにのっとってやっていこうということで合意させていただいたような次第です。

そういう意味で、多様な主張をそれぞれこの最終的に合意に持っていけたという意味では大きな成果があると思います。こういう合意も踏まえて、これから着実に脱炭素化を進めていかなければいけないというふうに思っています。

 

○山下芳生君 大臣、経過は分かったんですけど、私が聞いたのは、なぜ、じゃ、石炭が合意になったのかということなんです。なぜ石炭が、を排出削減する必要があると合意されたのか。私は、やはり一・五度を実現するためには排出の大どころで減らすことが必要だと、そして、電力は再生可能エネルギーという代替手段があるから、まず石炭をやめることが不可欠だと、これが世界の認識であり、合意点だったと思うんですね。

これ、私が言っているだけじゃなくて、実際、二〇二一年、G7の共同声明、石炭火力発電が世界の気温上昇の唯一最大の原因であること、気温上昇を一・五度に抑えることは、とは相入れないことを共通の認識としたと。これ、日本も参加してそういう声明されています。それから、IEA、国際エネルギー機関は、昨年、二〇五〇年ネットゼロの目標を達成するためのロードマップを示して、二〇三〇年、先進国における石炭火力発電所を全廃すると、などを提起しているわけですね。

ですから、石炭火力を本当に削っていく、廃止に向かっていかないと一・五度達成できない、だから、いろいろ大臣おっしゃったように事情はあるけれども、石炭は共通の減らす目標にして合意しようということになったんだと思うんですが、それでいいですか。

 

○国務大臣(山口壯君) 日本は、福島の第一原子力発電所事故を受けて、その間、原子力発電所は止めて、そして石炭でもって急をしのいできたというところはあると思います。その中で、日本がヨーロッパと比べてみて、例えばその電力網があるわけでもなし、あるいはガスパイプラインがあるわけでもなし、要するに自分のところでどういうふうにやっていくかという中でのこの位置付けだと思うんです。

他方、そのままでは良くないということで、先ほどの発電量の三割占めるJERAがこのアンモニア混焼ということで実験を開始して、今年度から開始しているわけですけれども、今はまだ初期段階ではあります、確かに。他方、そういう先進的な技術も含めてCO2を抑え、行く行くはもちろんCCUSとかという技術も必要になると思うんですけれども、日本の置かれた事情の中で、この石炭が、このCO2をできるだけ抑えながら、最終的にはアンモニア混焼ならぬアンモニア専焼でもって一〇〇%持っていくことでこのCO2を抑えていくと、そういう図柄でやっています。

今回、ウクライナの事情でもってまた更にエネルギーの状況というのはいろんな意味でよく検討しなきゃいけないところに来ているとは思うんですけれども、石炭について我々が思っている見方とヨーロッパの人たちが石炭について思っている見方と、またいろいろあると思います。

今回、例えばドイツに、ドイツについてもその石炭の事情、いろいろあると思うんですよね。それから、ドイツは、例えば原発なくすと言っても、結局フランスからいろいろと電力網でもって融通してもらったりして、電力事情が全くそれぞれ違うものですから、日本の事情を共有してもらう中で、だけど、日本はイノベーションでもって、先進的な工夫をすることによってCO2を減らし、最終的にはなくしていく、そういうことを早く進めなければいけないなと、そういうふうに思っています。

 

○山下芳生君 私は石炭がなぜターゲットになったのかということを聞いているんですよ。各国の事情、日本の事情しか返ってこない。極めて残念なんです。

NHKの番組、私も見ました。大臣は、若い人たちと交流するときに、懇談して、再生エネルギーを増やして石炭を追い出すというようなことをおっしゃっていましたよね。なぜ追い出さなければならないのかというのは、やはり石炭をこのまま維持していたんでは、大量のCO2を排出する石炭火力発電所を維持していたのでは、一・五度を維持できないからですよ。そのことが返ってこなかったのは極めて残念。

そこで、ゼロエミだと、アンモニアを燃焼させるんだというところに行くわけですが、ちょっともう時間が押してまいりましたので、経産省、簡単にゼロエミとは何か、そして日本の石炭火力が全てゼロエミになるのはいつか、簡潔に説明してください。

 

○政府参考人(松山泰浩君) お答え申し上げます。

現在、火力発電というのは、石油、石炭、天然ガスなど化石燃料を燃焼させてタービンを回すという発電方式で大量のエネルギーを出すわけでございますが、一方で、化石燃料の燃焼というのは温室効果ガスを出すという課題がございます。

これに対して、このエネルギーの出力エネルギーということを火力発電として維持しつつ、いかに脱炭素化を進めるかという観点から、水素、アンモニアという代替的な燃料を使い、若しくは二酸化炭素を吸収、貯蔵、さらに利用するCCUSということを活用した形で火力発電の温室効果ガス排出量を低減させていくということが、現在進めている基本方針でございまして、これらの措置によりまして、温室効果ガスを空気中に排出させないことを実現した火力発電のことをゼロエミ火力というふうに申しているところでございます。

今後の、これについての、どれぐらいの時間軸でということでございますが、二〇五〇年のカーボンニュートラル実現に向けてできるだけ早くゼロエミ火力への転換を進めていくという方針ではございますけれども、現状で考えますと、足下で電力の約九割がこの火力発電によって供給しているという現実がある中で、一方で、アンモニアや水素、CCUSなどこうした技術について申し上げますと、混焼、専焼を含め、現在大規模な技術実証の段階にあるというところでございます。

ですので、あっ、済みません、火力は七割です、七割ですね、という状況でございますので、まずは燃料のサプライチェーンの形成とスケールアップにコストダウンを含めて、現実の状況、進展の状況を踏まえながら、二〇五〇年の実現に向けて一刻でも早くこれを実現すべく取り組んでいきたいと、これが現在の方針でございます。

 

○山下芳生君 決定的に重要な十年である二〇三〇年の時点ではどうなっているか。二〇三〇年に全廃しないで残った石炭火力は、全部アンモニア混焼、アンモニアになるんでしょう。

 

○政府参考人(松山泰浩君) お答え申し上げます。

二〇三〇年についての目標は、昨年策定しましたエネルギー基本計画の中で、水素、アンモニアの発電比率は一%ということで目標を置いてございます。

これは、先ほども申し上げました現実の供給力の現状、発電所の現状と、一方で技術の進展ということを考えたときの中間目標としての一%でございまして、二〇五〇年に向けて、もちろんここまで、もっと超えてもいいわけでございますが、できる限り早期の実現を目指して取り組んでまいりたいと考えてございます。

 

○山下芳生君 二〇三〇年、先ほど言いましたよね、これから十年が非常に大事なんだって。二〇三〇年では、石炭火力が今の石炭火力と比べると三分の二残るんですね。大体そうなっています、エネ基ではね。ところが、アンモニアは二〇%混焼も始まるかどうかであって、一%だというわけですから、ほとんどの石炭火力は、一〇〇%石炭をたくまま三分の二は残っているんですよ、二〇三〇年でもね。それでいいのかと。氷河が溶けますよということを地球は言っているのに、日本のいろんな事情を並べ立てて、それを優位に置いていいのかということを私は言いたいわけですよ。

それで、もう一つ、ゼロエミッション火力の燃料となるアンモニア、どのように調達するんですか、経産省。

 

○政府参考人(定光裕樹君) お答え申し上げます。

安定的かつコスト競争力のある燃料アンモニアのサプライチェーンを構築していく必要がまずありますので、当面は、アンモニアの調達方法は海外からの化石燃料由来のアンモニアを想定してございます。調達先といたしましては、中東、オーストラリア、北米などの化石燃料を安価に調達できる地域が有望でございます。

ただし、これ、いわゆるブルーアンモニアを想定してございますけれども、将来的には、技術開発、コスト削減の努力を進めまして、再エネ由来のアンモニアを海外から、さらには国内でも製造できるような形に持っていきたいというふうに考えてございます。

 

○山下芳生君 そう考えてはいるんですけどね。

ロンドンとシンガポールに拠点を置く気候シンクタンク、トランジション・ゼロは、二月十四日、この「石炭新技術と日本」という株主や政策決定者向けのレポートを発表しました。このレポートによりますと、アンモニアを二〇%だけ混焼するのに必要なアンモニアの量は毎年二千ないし二千五百万トンと試算されております。これは二〇二〇年の全世界のアンモニア市場規模に匹敵し、とても現実性に疑問が投げかけられると、こう言っているわけですね。先ほどサプライチェーンと言いましたけど、これから一からつくるわけですから、その確保ができる保証はどこにもない。

更に経産省に聞きますけれども、アンモニアは燃焼時にはCO2は出しませんが、製造時にCO2が排出されます。気候危機はグローバルな課題であって、日本で削減されても、その分、輸入先の海外で増えたら意味がありません。これ、どうするんですか。

 

○政府参考人(定光裕樹君) まず、当面はまず、レールをつくるといいますか、サプライチェーンをつくっていく必要がございますので、化石燃料由来のアンモニアが中心になる。これ、製造段階でCO2を出してしまうものも当初は入ってくるということは否定できませんけれども、できるだけ速やかにCCSなどのCO2を削減、除去する技術、これとの併用を進めてまいります。そして、繰り返しになりますが、将来的には再生可能エネルギー由来のアンモニアの利用ということを進めていくことによってCO2の排出を最大限抑制速やかにしていきたいと考えてございます。

 

○山下芳生君 時間が参りましたので、続きはまた今度やりますけれども。

そういうCCSを付けて海外からアンモニアを作ってもらって輸入していたら物すごいコストになるわけですよ。このレポートでも、それだったら石炭をたいた方がCO2も少なくて済むと、ライフサイクルの排出量を考えますとね。で、コストも物すごく高いと。本当にこれ将来展望あるのかということが言われているわけですね。ここに頼って、石炭火力の問題を日本はこの道行っていいのかと、極めて疑問が大きいということを申し上げて、終わります。