日本共産党 参議院議員 党副委員長
山下よしき

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参院憲法審査会で意見表明

憲法審査会 2022.3.23
速記録 動 画

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(写真)発言する山下芳生議員=23日、参院憲法審

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(写真)発言する吉良よし子議員=23日、参院憲法審

参院憲法審査会は23日、憲法に対する考え方について各会派から意見表明と自由討議を行いました。

日本共産党の山下芳生議員は、ロシアによるウクライナ侵略への対応で重要なのは「国際世論だ」と強調。国連総会でロシア非難決議に棄権、退席した47カ国に「侵略を非難し軍事行動の中止を求める立場に立つよう働きかける外交が重要だ」と述べました。

また、「軍事対軍事」の悪循環に陥る危険を指摘。「東アジアサミットを強化し、東アジア規模での友好協力条約を展望しているASEAN(東南アジア諸国連合)と協力し、東アジアを平和と協力の地域にしていく憲法9条を生かした外交戦略こそ必要だ」と語りました。

その上で、ウクライナ侵略に乗じた一部政治家などの「核共有」議論は「看過できない」と批判。核兵器の脅威をなくすには核兵器廃絶しかないとして「プーチン政権の言動を見るなら、それはいよいよ急務だ。唯一の戦争被爆国である日本の政府が『核共有』などという議論を退け、核兵器禁止条約に参加することを強く求める」と述べました。

共産党の吉良よし子議員はロシアに抗議し撤退を求めた上で、「日本の侵略戦争への反省が込められているのが憲法9条だ」と指摘。改憲議論のための憲法審査会は「これ以上動かすべきではない」と主張しました。

自民党の石井準一議員は同党の改憲4項目に言及。同党の西田昌司議員はGHQの占領下に策定された現行憲法は「日本人の伝統精神とかなりかけ離れた」などと主張し、教育勅語の「伝統的価値観」は日本人の考え方を保っていたなどと発言しました。

速記録を読む

 日本共産党の山下芳生です。ロシア・プーチン政権のウクライナ侵略に強く抗議し、軍事行動の即時中止を求めます。プーチン政権の行為は、第一に、武力行使の禁止などを加盟国に義務づけた国連憲章を蹂躙する侵略であり、第二に、原発、病院、民間人を攻撃するなど国際人道法に背く戦争犯罪であり、第三に、通常兵器に対して核兵器で対抗する――核の先制使用による世界の威嚇であり、平和の国際秩序を大きく脅かすものとなっています。

 プーチン政権の無法に国際社会がどう対応するか。

 いま人道支援が急務です。わが党は募金運動に取り組み、先日4000万円をUNHCRとユニセフにお渡ししました。その際、300万人を超える国外避難民のほとんどが女性と子どもであり、心のケアも含めて国際社会の支援が必要となっていると伺いました。日本政府に対し、非軍事の人道支援の強化を求めます。

 何よりも重要なのは国際世論です。世界中の国々と市民社会が、「ロシアは侵略をやめよ」「国連憲章を守れ」「国際人道法を守れ」の一点で、声をあげ、力をあわせることこそ侵略を止める最大の力です。プーチン政権が、異常な言論・報道の統制、弾圧を行っているのは、国内外の世論の批判を何より恐れているからに他なりません。

 いま、世界で「戦争反対」の声が広がっています。ロシアでも弾圧に抗して広がっています。国連総会では、ロシアの侵略を国連憲章違反と断罪し、「即時、無条件撤退」を求める非難決議が、加盟国193カ国の7割を超える141カ国の賛成で可決されました。ロシアによるクリミア併合強行に対する国連総会非難決議への賛成が100カ国だったことをみても、世界は着実に進歩しています。

 国際世論でロシアをさらに包囲するために、今回の非難決議に棄権、退席した47カ国に対し、侵略を非難し軍事行動の中止を求める立場に立つよう働きかける外交が重要です。わが党はこの立場から、駐日ベトナム大使との会談などを開始しましたが、日本政府にこの点での外交活動の強化を強く求めたい。

 ロシアのウクライナ侵略を見て、「日本の平和は大丈夫か」と心配する声もあります。しかし、相手が「軍事、核兵器、力の論理」できたときに、こちらも「軍事、核兵器、力の論理」で対抗すればどうなるか。「軍事対軍事」の果てしない悪循環になり、一番危険なことになります。

 わが党は、日本、米国、中国、ロシアを含む東アジアサミットを強化し、東アジア規模での友好協力条約を展望しているASEANと協力し、東アジアを平和と協力の地域にしていく憲法9条を生かした外交戦略こそ必要だと提案し、岸田首相も否定できませんでした。

 ところが、岸田政権の対応は軍事一辺倒となっています。岸田政権のいう「敵基地攻撃」が、相手国の領空に入って爆撃することも「自衛の範囲」として排除しないものであることが明らかとなりました。憲法9条と到底相容れるものではなく、9条改定が、日本を「軍事対軍事」の危険な道に引き込むことは明瞭です。

 さらに、この機に乗じて、一部の政治家や政党から「核共有」の議論が起こっていることは看過できません。プーチン政権の核による威嚇を目の当たりにして、いま世界が痛いほど感じているのは、核兵器は人間に持たせてはいけない「絶対悪」の兵器だということです。その時に、「核による脅威に核で対抗する」との議論を行うことは、プーチン政権と同じ立場に身を置くことになります。世界がこんな対応をすれば人類は破滅の淵に追いやられてしまいます。核兵器の脅威をなくす方法は、核兵器を世界から廃絶することしかありません。プーチン政権の言動を見るなら、それはいよいよ急務となっています。唯一の戦争被爆国である日本の政府が、「核共有」などという議論を退け、核兵器禁止条約に参加することを強く強く求めて意見表明とします。