日本共産党 参議院議員 党副委員長
山下よしき

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原発、電力分野の温暖化対策 業界任せで石炭火力を新設 参院環境委

参議院環境委員会 2021.5.20
資 料

○山下芳生君 日本共産党の山下芳生です。
小泉大臣と論戦できることを楽しみにしておりましたので、御出席いただけてよかったと思っております。
地球温暖化対策、気候変動、気候危機に対応する上で何が必要かと。省エネ、再エネ、この飛躍的な普及とともに、温室効果ガスを削減する、排出抑制する、とりわけ先進国の中では石炭火力発電所を二〇三〇年までに全廃するということが不可欠な課題となるというのが国際社会の一致した認識となっております。一昨日の当委員会の参考人質疑の中でも、三人の参考人の先生全員が直接あるいは間接的にそのことに言及されました。
ところが、日本政府は石炭火力を期限を切って廃止するという決断をしておりません。それどころか、いまだに石炭火力発電所の新増設が続いております。それを許している背景の一つに石炭火力発電所の新増設に対する環境影響評価、アセスの在り方があるということを私はこの間、この委員会で、神戸製鋼の石炭火力発電の新設に対するアセスの実態を踏まえて告発してまいりました。その中で、環境大臣意見の作成過程で、経産省から事業者サイドに立った横やりが入り、事業者が納得する範囲での意見に削除、修正されているということが明らかになったと思います。
今日はその続きをやりたいと思うんですが、神戸製鋼の石炭火力発電所の新設に当たって、温室効果ガスの排出、CO2の排出についてどのようなやり取りが行われているのかを見たいと思います。
資料一枚目を御覧いただければ、これはアセス配慮書での、環境大臣意見を作成するために、環境省が経産省を通じて発電事業者である神戸製鋼に対して質問し、回答を得た記録文書であります。ですから、質問しているのは環境省、回答しているのは神戸製鋼ということになります。
まず、神戸製鋼は、温室効果ガスについて、重大な環境影響を及ぼすことはないと回答しております。それに対して環境省は、二次質問で、年間数百万トンにも及ぶ膨大な量の二酸化炭素を排出し、地球温暖化対策に逆行する環境負荷の大きい事業を計画しているにもかかわらず、重大な環境影響を及ぼすことはないと言い切る事業者の回答からは、環境影響評価を通じて、事業の実施による環境への影響をできる限り回避、低減し、環境の保全に配慮しようという姿勢はみじんも感じられないと厳しく質問し、改めて意見を伺いたいと、こう述べております。これは当然の意見だと思います。
それに対し、次のページですけれども、神戸製鋼の二次回答は、赤でアンダーライン引いていますけれども、本事業で発電した電力は関西電力株式会社殿に全量卸供給する予定です、CO2排出係数の調整は、当社は関西電力株式会社殿に委ねることとしておりますと、こうあるんですね。ですから、神鋼は発電所造るけれども、排出、温室効果ガスの排出についてはもう関電に委ねますというふうになっていると。そういうことでいいのかなと思うんですが、次の資料二を御覧になっていただきたいんです。
これは環境大臣意見の作成過程における環境省と経産省のやり取りの記録文書であります。環境省は、当初、この赤い箱の中に書いてありますが、当該二酸化炭素排出量の増加分に見合う削減方策を関西電力において確実に実施しているか継続的に確認することということを求めております。これは、神鋼が二酸化炭素排出に責任を負わずに関電に丸投げするんだったら、じゃ、関電がちゃんと減らしているかを神鋼は継続的に確認しなさいよという、これも極めて真っ当な立場だと思いますが、これに対し、経産省一次意見、法的根拠がない、本アセスの対象ではない事業者の取組に対してまで本アセスの場で追求することは適切ではなく、やりたい放題が過ぎるという、すごい言いようでこれに反発をしております。
これに対し環境省一次意見、事業者である神戸製鋼に対し、CO2対策は関電だからあずかり知らないというのではなく、地球温暖化につながるCO2を排出する発電事業を行う者として、関電が行うCO2削減方策の確認するよう求めるのは一定の合理性があるというふうに、こう述べている、ここは私は拍手を送りたくなるやり取りだなと思いました。
その後のやり取りでも環境省は頑張るんですけれども、最後は、次のページの一番文書の最後ですけれども、貴見を踏まえ、経済産業省の意見を踏まえ修正案を提示しますということで、先ほど述べていたところはばっさり削除されちゃったということなんです。
まず、環境省に伺いますが、何で頑張り切れなかったんですか。

○環境省総合環境政策統括官 和田篤也 お答え申し上げます。
まさにここの先生お示しいただきました資料の両省でのやり取りの関係では、もちろん重要な一点目として事実関係の確認というのと、それから、さらにはこのフォローアップというキーワードの関係で申し上げますと、環境影響評価法そのものの限界点というところはぎりぎりまで探りましたが、法制度の限界点ということで、ただし、やっていただくべき対策、打つべき対策については、しっかりと環境省としては、当然のことながら環境大臣として述べたというところでございます。
その関係で、最終的には、じゃ、その関西電力に売電する、いわゆる卸売する部分とかというのはもう関係ないのかと、こういうことなんですけれども、そうではなくて、いわゆる個別の電力会社ではなくて、日本全体として石炭火力によるCO2の削減というのはかくあるべしというところを環境省と経産省の間で、先生御配付いただきました資料三の方に、ところにもございましたけれども、環境大臣と経産大臣との合意公表というのがございまして、この中で、個別のことにではなくて、日本全体として石炭火力かくあるべしというところについて経済産業省としっかり議論を交わすことのきっかけにもなったこの個別事業ということでございますので、引き続き、不適切なやり取りだったということにはならないようにしっかり事務方で対応もしてまいりたいと思います。

○山下芳生君 私、不適切なやり取りと言っていません。頑張っていると言っているんですよ、環境省。
それで、今ちょっと二月合意のことが先取りして言われましたけど、まだこの段階では二月合意は至っていないんですよね、局長級取りまとめという段階だった。
経産省に伺いますけど、私、このやり取りとこの結論を見てひどいなと思ったんですよ。それは、石炭火力の新設をするのに、発電事業者である神鋼は、売電するということでCO2排出に責任を持たないということになると。では、関電、売電先の関電が神鋼が増やしたCO2に見合う排出削減を行っているのか、継続的に確認するのかといえば、確認しないと。こうなりますと、二重の目隠しになっちゃっているなと、新しい神鋼が造る石炭火力発電所に関するCO2排出については。
そこで経産省に聞きますけれども、まず一問目は、神鋼の石炭火力が排出するCO2が売電先の関電が責任を持つと、つまり神鋼は稼働させるけれどもCO2排出については責任持たない、こんなことが許されるのはなぜなのか、なぜそんなことが可能になる、これは法的根拠ありますか。

○経済産業省大臣官房審議官 後藤雄三 お答えいたします。
これは、電力業界全体で二酸化炭素の排出係数を削減することを目指していくということになっておりますが、その中で、関電の、本件については関電の入札に応札しておりまして、この入札につきましては、資源エネルギー庁の方で出したガイドラインみたいなものがございまして、それでもって二つの方策を取れることになっております。一つは、この応札者である自分自身で排出係数を一定量にしてから売るというやり方と、そこのところは契約の中でやって、関電の方で、全体でトータルで対策を打つというやり方がございまして、今回の神戸製鋼の件につきましては後者の関西電力の方でやるという、これ、まさに入札のところにそういう二つのやり方が選択肢としてあるということで、事業者が選んだものでございます。

○山下芳生君 分かりました。新たに発電事業者となる、まあ入札する神戸製鋼の逃げ道をちゃんと用意してあるという御説明だったと思いますが。
そうすると、だったら、単に逃げるんじゃなくて、ちゃんと売電先の削減の努力をちゃんと発電事業者として確認しなさいよということに対して、経産省は、この環境省とのやり取りの中で、神鋼と関電が同じグループならまだしも、別企業なんだから、神鋼が関電のCO2排出抑制の状況を継続的に確認するのはおかしいと、難しいと言っているんですよね。
そこで、聞きますけれども、では、関西電力個社のCO2排出削減についてはどのような方法でこれを確認することになるんですか。

○資源エネルギー庁電力・ガス事業部長 松山泰浩 お答え申し上げます。
電気事業分野における温暖化対策について申し上げますと、今ここで出ております個別の発電所についての、新設、その際の発電効率、CO2排出という問題と、マクロで、結局、二酸化炭素がどれぐらい出るかということが重要でございますので、両方の、ミクロとマクロのアプローチが必要かと思ってございます。
重要なことは、全体として温暖化対策がどうなされるかでございますので、発電事業者に対するアプローチと、同時に小売事業者に対するアプローチと、それぞれの手法を組み合わせながら対応していくことが重要かと思ってございます。
今お尋ねの部分は、関西電力という、これを買った上でどう売るかという小売事業者に対する対応なんでございますけれども、これについて申し上げますと、高度化法、エネルギー需給高度化法という法律に基づきまして、販売電力量に占める非化石電源の割合を四四%以上とすることを求めておりまして、より適切な電源選択を促すことで、エネルギーミックスと整合的な、また二酸化炭素の排出量について適切な量になるような形にしているところでございます。
あわせて、二〇一五年七月には、電力業界としまして電気事業における低炭素実行計画というものを策定いたしておりまして、販売電力一キロワットアワー当たりの二酸化炭素排出量を〇・三七キログラムCO2とする目標を自主的に設定し、これが確実に担保できるように、確実に実施できるように取り組んでいるところでございます。

○山下芳生君 この電力事業者の自主的枠組みということの説明だったと思うんですね、それを担保する高度化法などの説明だったと思うんですけど、何回聞いても、これ本当に担保されているのか、なかなか分からないんですよ。
要するに、神鋼はもう責任持たずに関電に委ねていると。じゃ、関電がどうやって責任持つのかというと、電力事業者全体で、先ほど数字にありました、〇・三七という数字を二〇三〇年までに、排出係数、そこを下げていくように努力するということであって、それだけなんですよね。関西電力がどのぐらい頑張るか、つまり、神戸製鋼が排出を増やした分を関電がどのように削減するのかということが見えないんですよね、これが見えない。要するに、目隠しと私が言ったのはそういうことなんですよ。結果としてそうなっていく、二〇三〇年までにという非常にアバウトな枠組みでいくことになっているんですが。
そこで、それを示したのがその資料の三と、その後、四なんですけどね、そういうことなんですけど、なかなかこれ分かりにくい。
それで、さらに、ちょっとこの神鋼のアセスがそのことにも触れているので、資料六枚目なんですけれども、資料六、ああ、ごめんなさい、資料の五ですね。資料の五に今言われたことについて書かれてあるんです。
環境省の、最初、資料五の上の方の箱の中は環境省の意見です。真ん中辺りの一番後ろ、今後、電力供給先の小売事業者が参加する枠組みが構築されず、この枠組みというのは、先ほど言われた電力業界全体で排出を抑えるような、〇・三七の係数に向かっていきましょうと。しかし、この環境省が言っているのは、この枠組みが構築されず、かつ枠組みが構築されるまでの間の環境保全措置が満たされない場合は、本発電所の設置を認めることはできない、これ真っ当な、私は、環境省、またこれ拍手したくなりました。これ、そうですよね、枠組みをつくるという合意はできたけど、枠組みはまだできていない段階ですから。これができるまでは、ちゃんと確認できないうちは認めるわけにはいきませんよと、至極真っ当な私は環境省の立場だと思います。
それに対し、経済産業省三次意見、自主的枠組み構築については、個別事業者に対してではなく、電力業界全体に対して促していくことを御理解いただきたい。要するに、電力業界全体でやるんだよね、そう簡単ではないですよと、そんなせかさんといてくださいと言ったかどうかは分かりませんけれども、それに近いようなことを言っているんですね。結局、こういうやり取りの中で、環境省も結局は、今ここに、箱の中に書いたやつは削除して、局長級取りまとめを踏まえた取組を運転開始時までに講ずるということにトーンダウンしちゃうわけですよね。
この枠組みがどういうふうにつくられたかというのは、もう御存じのとおり、東日本大震災で原発が全部止まるというような、そういう環境が突然現れた中で、石炭火力に頼らざるを得ない面もありましたから、そういう中でできた枠組みだというのはもちろん理解しています。しかし、もう十年です。しかも、これから、五〇年カーボンニュートラル、三〇年四六%削減といったときに、この枠組みでずっと本当にCO2排出を抑制できるのかということがもう今本当に問われているのではないかなというふうに、この枠組みのやり取りを見ていますと思わざるを得ないわけであります。
それで、もうずっと飛ばしまして、結局、枠組みが、そういう枠組みの中で、よく小泉大臣は、このアセスとともに、年一回のレビューで石炭火力については止める、抑えるということを言っておられるんですが、資料七、ちょっと飛ばしますけど、これはその環境省の年一回のレビューの案なんですけれども、このレビューに対しても実は経産省から削除要求がいろいろ出ているんです。これ、赤で、二枚目三枚目以降付けておきましたけど。だから、結局経産省は、CO2排出抑制について、非常に事業者の立場に立って、レビューにまで口を挟みつつある。ただ、これは、私、結果も見ましたけど、結構はね返して、削除させずに頑張っているんですけど、まあそういうやり取りなんですよ。
結論的に申しますと、実はこの神鋼の石炭火力の増設については、住民の皆さんが、このアセスはやっぱり余りにも経産省が横やり入れ過ぎているから、このアセスについて確定通知取消しをしなさいという行政訴訟を行ったんですね。一番最後の資料八枚目に、その大阪地裁の判決文を最後の三枚目ぐらいから載せておりますけれども、この判決の中には、一番最後のページに、環境大臣と経産大臣の二月合意というのが最後に、もうこの判決の頃にはできてくるんですけれども、さっき言われた電力業界全体でやろうという自主的枠組みですけど、この合意というのは二月合意のことです。一番最後のページ真ん中辺りですね。
合意の枠組みに関し、幾つかの懸念や課題があると、電力業界の自主的枠組みについて、会員が相互に競争関係にある中、各社に取組を促していくという履行担保の実効性の観点で様々な課題があると言わざるを得ない。
これは非常に真っ当な私は観点だと思います。取消しは認められなかったんですけど、この指摘は非常に大事で、要するに、電力事業者全体でCO2排出抑制していくというけれども、お互い競争しているんだからなかなか難しいんじゃないのという御指摘であります。しかも、この難しいというのは、二〇三〇年目標二六%削減目標の時代ですから、それは難しいんじゃないかと。
大臣に最後伺いますけど、この二月合意の枠組みは、もう今やこの電力事業者の自主的枠組みに委ねるようなやり方は、四六%二〇三〇年削減しようという中で、この枠組みにとらわれていたのでは、石炭火力をその目標にふさわしく抑えていくことはできないんじゃないかと、新しい枠組みの構築がいるんじゃないかと思いますが、小泉大臣、いかがでしょうか。

○小泉進次郎 環境大臣 まず、この二月合意そして電力レビュー、これを踏まえた取組強化の流れは今後とも引き続き維持していきたいと考えています。さらに、新たな二〇三〇年度目標を踏まえまして、電力レビューだけにとどまらない、あらゆる分野の一層の取組について引き続き議論していきたいと思います。
電力分野、お話がありましたが、電力業界も脱炭素化が求められている環境は、今まで以上により対策が求められている環境になりました。そういった中で、経産省という業の所管をしている省庁に対して、我々気候変動対策を全体として取りまとめる立場から、必要な主張はこれからもしっかりと言っていきますし、大臣として、環境省の職員には、決してそこのところを、自分たちの思い、環境省の職員としての思いを全うして、矜持を持って対応するよう、しっかりと務めるようにと改めて申し上げておきます。

○山下芳生君 もう時間参りましたけど、世界は二〇三〇年石炭火力ゼロですから、これから作ろうというアセスの在り方を私、こんな議論していていいのかなとやりながら思っているんですけれども、やっぱり今までのその枠の中にとらわれることなく、やっぱりこれ政治決断ですよ。石炭火力を全廃するということなしに四六%の目標達成できないということを多くの参考人の方もおっしゃっていました。そこの政治決断が問われるということを申し上げて、終わります。