日本共産党 参議院議員 党副委員長
山下よしき

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国民監視後退させる 自民案の資金報告要旨削除を批判

参議院政治改革特別委員会 2024.6.17
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(写真)質問する山下芳生議員=17日、参院政治改革特委

日本共産党の山下芳生議員は17日の参院政治改革特別委員会で、自民党の政治資金規正法改定案が、官報や都道府県の公報への政治資金収支報告書の「要旨」の作成・公表義務を削除していることについて、「規正法の目的である政治活動に対する『国民の不断の監視』を後退させるものだ」と批判しました。

山下氏は、要旨は寄付者の氏名や寄付額、項目ごとの収入・支出額など収支報告書の根幹部分を記載したものだと指摘し、「自民案では、この要旨が公表されなくなるということか」と質問。自民案提出者の本田太郎衆院議員は「結果として要旨の廃止という事になる」と認めました。

山下氏は「収支報告書そのものは3年たつと削除される。要旨の公表が無くなれば政治資金の実態を過去にさかのぼって確認することができなくなる」と追及。本田氏は「法案によって監視を後退させるとの指摘はあたらない」と強弁しました。

山下氏は、専門家から「要旨の記載を調査することで規正法違反を告発したことがある。要旨の作成を廃止すれば、過去3年を超える政治資金に関する公的な資料がなくなり、政治資金の監視に困難を伴う」(上脇博之神戸学院大学教授)、「官報の蓄積が途絶えれば過去をさかのぼる分析、監視が十分にできない状態になる」(NPO法人「情報公開クリアリングハウス」の三木由希子理事長)との指摘が上がっていると紹介。要旨の公表義務規定の削除の狙いは、「過去にさかのぼって『自民党とカネ』の問題を追及されにくくするためにある」と指摘しました。

さらに、自民党の裏金事件の調査報道を行う「しんぶん赤旗」のベテラン記者の経験を紹介。過去数年分の要旨をまとめて読むことで、「個々の政治家に対する献金の増減状況―与党内の力関係」や「特定の業界や企業との癒着」を浮き彫りにしてきたことを示し、要旨が果たす役割の重要性を強調しました。

共産党案は「永久に公表」

井上氏

共産案提出者の井上哲士議員は、2006年と07年の規正法改定で、「収支報告書をネット公開した場合は要旨を作成しなくてもよい」との改悪がなされ、現在38道府県で要旨が廃止されたが、今回の自民案はさらなる改悪だと指摘。「要旨があったことで、派閥への企業・団体献金禁止の法改正があった1999年に自民党派閥の政治資金パーティーの収入が、前年より3・6倍も増えたことが分かり、パーティー券収入が形を変えた企業・団体献金であることが浮き彫りになった」と強調しました。

その上で共産案は、過去の規正法改定で後退させられた規定を元に戻して、要旨の作成を義務化し、官報や公報に掲載することで永久公表するものだと説明しました。

速記録を読む

○山下芳生君 日本共産党の山下芳生です。
自民党法案では、官報又は都道府県の公報に収支報告書の要旨を公表しなければならないとしている規定を削除することになっています。これは、政治資金規正法の目的である政治活動に対する国民の不断の監視を後退させることになるのではありませんか。

○衆議院議員(本田太郎君) お答えいたします。
改正案では、政治資金の透明性を向上させる観点から、収支報告書のインターネット公表の義務化などのデジタル化の進展に関する規定を盛り込んでおります。
その上で、委員お尋ねの収支報告書の要旨につきましては、既に現行法において、収支報告書をインターネットで公表する場合には収支報告書の要旨を公表する必要がないと定められておりまして、この規定に基づき、現在、四十七都道府県中三十八道府県において収支報告書の要旨が既に廃止されていると、こういった現状にございます。
インターネットで公表された収支報告書は誰でも容易に閲覧、保存することができる、こういう状況の中にありまして、インターネット公表の義務化に加え、要旨の作成、公表を再び義務付けることは、都道府県、特に要旨を廃止した道府県にとって相当な事務負担の増加につながると考えられます。
以上の観点から、現在は総務省、各都道府県選挙管理委員会の選択に委ねられている収支報告書のインターネット公表について、これを義務化することに合わせて要旨の公表を廃止したものであり、国民の不断の監視を後退させるものではないと認識しております。
以上です。

○山下芳生君 これが官報それからこれは東京都の公報ですけれども、そこに公表されている要旨の一部なんですが、これ読みますと、収支報告書の要旨には、国会議員の政治団体の収入総額や支出総額、収入の内訳、支出の内訳、さらに寄附者の氏名やそれぞれの寄附額など、収支報告書の根幹部分がちゃんと記載されております。しかも、公報、官報に公表された要旨は過去に遡って確認することができます。

自民党法案ではこの要旨が公表されなくなるということですね。確認です。
○衆議院議員(本田太郎君) お答え申し上げます。
結果としては、要旨の廃止ということになりますので、御質問のとおりということになると思います。

○山下芳生君 これね、重大な改悪なんですよ。この要旨が廃止されたらどうなるか。先ほど、自民党の法案では、収支報告書そのものは、総務省、都道府県選管での閲覧もできるし、今度インターネット公表が義務化されるということでしたが、この収支報告書そのものは三年たったら削除されるということになっております。
つまり、収支報告書のこの要旨が公表されなくなれば、政治資金の実態を三年を超えて過去に遡って確認することができなくなってしまうということじゃありませんか。違いますか。

○衆議院議員(本田太郎君) お答えいたします。
おっしゃることは理解をいたしますけれども、他方で、現行法が要旨の公表をしない場合を許容しているということでございますので、今回の改正によりまして同様のことが起こり得るということでございます。また、官報を発行する国立印刷局が、インターネット上で官報の情報を検索するサービスを有料で提供しているということももう承知をしております。
本委員会でも収支報告書のデータベースの構築について御指摘をいただいておりますので、情報の検索機能等をどのようなものにするかという点などにつきましては今後各党で議論を行う必要があると、このように考えております。

○山下芳生君 検索機能は今後検討なんですよ。しかしこの要旨は廃止されるんですよ。
先ほど、誰でも保管することができると、インターネットで公表すればと言いましたけれども、収支報告書の提出が義務付けられた政治団体は総務大臣届出分だけでも三千を超えます。さらに各都道府県届出の団体が加わります。毎年毎年それだけの政治団体の収支報告書全て保存することなど誰でもできるはずないじゃありませんか。
さらに、規正法の肝は政治資金の収支の公開です。それによって民主政治の健全な発展に寄与すると、これが法の目的ですよ。都道府県の業務負担の増加ということを言われましたけれども、政治資金のガラス張りを後退させることは、幾ら業務負担の増加を挙げても許されてはならない、法の趣旨の反すると思います。現に、今まではこの要旨は公表されていたんですからね。事務負担、コストと言うんだったら、年間三百二十億円もある政党助成金を削ればいいと思います。
自民党の裏金事件を告発した神戸学院大学の上脇博之教授は、私も要旨の記載を調査することで規正法違反を告発したことがある、要旨の作成を廃止すれば、過去三年を超える政治資金に関する公的な資料がなくなり、政治資金の監視に困難を伴うことになると言っています。NPO法人情報公開クリアリングハウスの三木由希子理事長も、官報の蓄積が途絶えれば、過去を遡る分析、監視が十分にできない状態になると懸念を示しておられます。
自民党提出法案の狙いはここにあるんじゃないですか。上脇教授や三木理事長のような人たちから過去に遡って自民党と金の問題を追及されにくくするために要旨公表義務規定を削除するのではありませんか。お答えください。

○衆議院議員(本田太郎君) お答え申し上げます。
先ほどの答弁と重なる点があって恐縮なんですけれども、既に現行法が要旨の公表をしない場合を許容しているということでございますので、本法案によって不断の監視を後退させるということには指摘は当たらないと、このように考えております。

○山下芳生君 二〇〇六年、二〇〇七年の法改正で要旨の公表をしなくていいと、インターネットで公表すれば。そうしたこと自体が間違いなんですよ。だって、収支報告書はネット公表されたって三年でなくなるんですからね。これがなくなったらもう遡れないんですよ。改悪じゃないですか。
自民党裏金事件を明るみにした端緒の一つとなったしんぶん赤旗、調査報道やりました。このベテラン記者は駆け出しの頃、先輩議員から政治資金収支報告書を分析するなら少なくとも過去十年分の要旨は読みなさいと言われたといいます。大変だなと頭を抱えたそうですが、実際に読み込みを続けると重要な事案が幾つも見えてきた。
例えば、過去十年分に遡って要旨を読むことで、個々の政治家に対する献金の増減状況が分析できる。これにより、どの政治家が力を付けてきたか、逆に力が落ちてきた有力者は誰か推測が付く。さらに、個別政治家と特定の業界、企業との癒着も浮かび上がる。要旨を数年まとめて読むことで、特定業界の複数企業から系統的に献金をもらっていれば族議員だと判断できる。特定の企業がある年だけ個別の政治家に多額の献金をしていれば、企業が何らかの依頼を政治家側にして、その対価として献金をした可能性が出てくる。汚職事件のオーソドックスな調査方法だそうですが、収支報告書のこの要旨を数年ないし十年分遡ってまとめて読むことでこれらは可能になります。この要旨が作成されなくなると、こうした調査ができなくなるということでした。そのことはもうお認めになりました。
日本共産党提出法案の発議者で元しんぶん赤旗の記者でもある井上哲士参議院議員に聞きます。
収支報告書の要旨の公表がなくなると、どんな問題が起きると認識されていますか。また、共産党提出法案では要旨の公表はどうなるんでしょうか。

○井上哲士君 委員御指摘のとおり、政治資金収支報告書の要旨が官報、公報に掲載されていることで、過去に遡って収入、支出額や寄附者などを継続して確認することができております。まさに国民の不断の監視に重要な役割を果たしてきた、私も記者時代にそれを実感をしております。
ところが、二〇〇六年と二〇〇七年の法改定で、この収支報告書をネット公開した場合は要旨を作成しなくてもよいと改悪をされて、現在三十八の道府県で要旨が廃止をされております。自民党案は、更にこの要旨を廃止して、三年限りで何もかも削除するというものであります。しかし、この要旨があったからこそ、派閥への企業・団体献金禁止の法改正があった一九九九年に、自民党派閥の政治資金パーティーの収入が前の年よりも一気に三・六倍も増えたことが分かりました。パーティー券収入が形を変えた企業・団体献金であることが浮き彫りになったわけであります。
要旨作成の廃止は、過去に遡ってこうした不都合な政治資金の流れを隠蔽し、追及を逃れるものにほかならず、公開に逆行する改悪と言わなければなりません。
日本共産党の提出案では、過去の規正法改定で後退させられた規定を元に戻して、総務大臣と都道府県選挙管理委員会による収支報告書の要旨の作成を義務化し、官報や公報に掲載することで永久公表するというものとなっております。また、現在、収支報告書は翌年の十一月末まで見ることができませんが、これを早めることとしております。
国民の不断の監視の下に置くとした規正法の基本理念を貫いたものとなっております。

○山下芳生君 今あったように、要旨公表義務規定の削除は、裏金事件の真相解明に背を向けている自民党が、裏金事件に乗じて国民の不断の監視を大きく後退させ、自らの過去の汚職事件が追及されない新たな仕組みをつくるものです。まさにこれは火事場泥棒と言わなければならない。このまま通すわけには絶対にいきません。
次に、企業・団体献金について自民党法案発議者の鈴木馨祐議員に聞きます。
鈴木議員は、政治献金が特定の者に偏ってはいけない、広く浅く政治献金を集めることが重要だと繰り返し答弁されていますが、どういう意味ですか。

○衆議院議員(鈴木馨祐君) まさに申し上げていますとおり、そこは特定の、例えば議員が特定の企業、団体、あるいは政党が特定の企業、団体にその資金基盤を依存することがあれば、より癒着のような状況になる可能性が高いわけでありまして、そういったことを防ぐためには、しっかりとそれぞれの者が薄く広く、広い資金基盤を有することの方がより適切であると、そういった趣旨でございます。

○山下芳生君 では、特定の者に偏らず、広く政治献金を集めれば政策決定に影響することはないのかと。
六月十日、参議院決算委員会で我が党の山添拓政策委員長は、ゼネコンの業界団体日本建設業連合会、日建連の加盟企業から自民党の政治資金団体国民政治協会、国政協への献金が十年間で二十億円を超え、毎年約五十社の会員企業が献金するなど、業界を挙げて献金あっせんを行われていることを明らかにしました。この業界挙げての自民党への献金は政策要望とセットで行われ、例えば、二〇二一年十一月に要望した大型工事の予算の別枠計上は予算編成でそのとおりの仕組みが実現し、年末の会長コメントは、日建連がかねてより要望していた予算の単年度主義の弊害を是正する大変有り難い制度、政府及び与党の関係各位に感謝申し上げますと述べています。
鈴木発議者に聞きますが、ゼネコン業界挙げて広く政治献金を集め、自民党に渡したら政府・与党の政策決定に影響し、会長が感謝のコメントを出しております。特定の者に偏らず、広く政治献金を集めれば政策決定に影響することはないという鈴木議員の主張は事実に反するのではありませんか。

○衆議院議員(鈴木馨祐君) 少なくとも、私が承知をしている範囲でそうした政治献金、こういったものが政策の立案過程あるいは行政というものをゆがめている、そういったことについては私どもとしては承知をしておりませんし、我が党のそういった様々な政策の審議の過程、これ、有識者も含めてかなり幅広い意見が交わされる中で適切に行われていると承知をしております。

○山下芳生君 承知する、している世界が狭過ぎるんじゃないですか。
団体が丸ごと自民党と政治献金で癒着して政策が大きく影響されているという事例はこの問題だけじゃないですよね。前回、私は、石炭にしがみついている企業が献金することによって世界でもまれな石炭火力発電所にしがみつく政策になっちゃっていると、枚挙にいとまがないと言いましたけれども、まさに、かつてはリクルート、佐川、一社が一人の政治家と癒着していた、今は業界団体、経済団体が丸ごと自民党と癒着している。企業・団体献金の弊害がいよいよ深刻になっている。
企業・団体献金の全面禁止こそ国民が求める本物の政治改革であることを述べて、終わります。