緊急事態宣言受け衆参で質疑 封じ込めの姿勢を 山下氏
衆参議院運営委員会は23日、新型コロナウイルス対策の特別措置法に基づく緊急事態宣言の再発令、「まん延防止等重点措置」の適用拡大にあたり政府から事前報告を受け、質疑を行いました。日本共産党から清水忠史衆院議員、山下芳生参院議員が質問しました。
清水氏は、前回の緊急事態宣言の解除から短期間で再発令せざるを得なくなった原因をただしました。
西村康稔経済再生担当相は「変異株が関西を中心に広がってきたことが要因だ」と答弁。清水氏は「変異株は3月中旬には兵庫で猛威を振るい始めていた。政府の認識、対応は甘い」と批判しました。
PCRの社会的検査については、「高齢者施設だけでなく、病院、学校、保育所などに拡大すべきだ」と指摘。「モニタリング検査も1日1万件の目標のところ2360件にとどまっている。もっと引き上げていく必要がある」と強調しました。
また、宣言発令に伴い、酒類を提供する飲食店に対しては時短ではなく休業を要請するため、「これまで以上の十分な補償が必要だ」と主張。西村担当相は「これまでと同等の措置で対応できる」などと述べるにとどまりました。
さらに清水氏は、夏の東京五輪・パラリンピックの開催は、「すでに疲弊している医療機関にさらに負担を押しつけるものだ。中止の選択を」と求めました。
山下氏は、西村担当相が「感染流行の波は何度も起こる、今後も起こり得る」と発言したことに触れ、「これから3度目の宣言を発令しようという時にあまりにもひどい発言だ。西村大臣の発言は政府の立場か」とただしました。
西村氏は、「私の発言は政府の認識だ」と答弁。山下氏は、「政府が感染を封じ込めようという立場に立たなかったら全く展望がない」と批判しました。
山下氏は、こうした政府の姿勢がコロナ対策にも表れていると指摘。英国はワクチン接種、徹底的な検査で感染を抑え込んでいる一方で、日本のPCR検査数は人口比で世界146位だと述べ、「これでどうやって国民の暮らしと命を守るのか」と追及しました。西村担当相は、「人口当たりの検査数は確かに少ない」と認めつつ、「さまざまな課題がある」と言い訳に終始しました。
山下氏は、感染封じ込めのための大規模検査、中小事業者が事業を続けられる十分な補償、医療機関への減収補てんなど、「コロナ収束に全ての力を集中し、何としても感染を封じ込めることこそ政治の責任だ」と強調しました。
【議事録】
○山下芳生君 日本共産党の山下芳生です。
衆議院の質疑を聞いていますと、西村大臣から驚くべき答弁がありました。緊急事態宣言の再発出となった今の状況について問われて、西村大臣は、何度も流行の波が起こる、今後も起こり得ると答弁したんですね。耳を疑いました、政府にはコロナを封じ込める姿勢はないのかと。何度も流行の波が起こる、今後も起こり得るというのは、そういうことですよね。コロナを封じ込める立場には立たないということですよ。これから三度目の宣言を発出しようというときに、国民の皆さん、医療従事者の皆さん、中小事業者の皆さんが不安を抱えながらも歯を食いしばって頑張っていこうというときに、余りにもひどい発言、余りにもひどい姿勢だと言わなければなりません。
先ほど西村大臣は、この発言は総理も同じ立場だとおっしゃいましたけれども、西村発言というのは政府の公式の立場ですか。
○西村康稔 内閣府特命担当大臣(経済財政政策) 私は担当大臣として政府を代表してここに立っておりますので、私の発言は政府の認識でございます。
その上で、これまでも何度も説明をしてきておりますし、答弁もしてきております。何度も流行は起こるんです。現実に、どこの国を見ても起こっております。ただ、それをできればゼロにしたいと我々も思っています。しかし、ゼロにはできない。それは、東京でも五十人、百人、できるだけ低くしたい。その思いはもう皆さんと同じ、あるいはそれ以上に、私、責任者として持っております。
ただ、これはなかなか難しいウイルスであります。徹底的な対策をやりながらも、どこで感染したかも分からない、そういう、特に今の変異株はそういう状況になってきております。これをここで抑える、東京も、まだ医療機関も極めて厳しい状況にはなっておりませんけれども、今の段階から、大阪のように、まあ大阪は今厳しい状況ですので、そうならないようにするために今の段階から緊急事態宣言を発出させていただいて抑えていく。大きな波にはしたくない、小さな波でたたいていく、これは感染症の専門家も皆さん言われていることであります。できれば低くしたいですけれども、しっかりと、大きな流行をしないように、全力を挙げて取り組んでいきたいと考えております。
○山下芳生君 何度も流行の波が起こる、今後も起こり得るというのは、これからも繰り返すということを担当の大臣が、これから宣言を発出するときに発言してしまったんですよ。余りにもこれは、国民に対するメッセージとしては誤ったメッセージになってしまっていると思うんですよ。
今頑張っていると言っているけれども、先ほどからどの国でも繰り返すんだとおっしゃっていたけど、で、ハンマー・アンド・ダンスということを衆議院でおっしゃいました。だけど、ハンマー・アンド・ダンスはもう破綻したんですよ。何度、何遍、これいつまでこれ繰り返すのかと。みんな疲れ切っていますよ。
イギリスは今、ワクチンの接種、これを広げることと、それから徹底した検査をやっています。一軒一軒の御家庭に検査キットをお配りして、そして、無料で配布してですよ、このワクチンと徹底した検査で、一時一日数万件の感染者数があったのが、今ぐうっと抑え込んで、今お店で家族で食事を、友人と食事をやっているじゃありませんか。コロナを封じ込めるんだという立場に立たなかったら、何度も繰り返すんだという立場に立っちゃったら、全く展望ないじゃないですか、国民には。
私は、そういう姿勢だから、政府が、コロナを封じ込めるための大規模検査もやらないと。日本の人口比のPCR検査数は世界百四十六位ですよ。先進国として余りにも恥ずかしい。そういう消極的姿勢になっている。中小企業への十分な補償もやらない、医療機関への減収補填もやらない。その背景には、どうせ何度も流行の波が起こる、今後も起こり得るという姿勢があると言わざるを得ません。そんな姿勢で、そんな低い志で、一体どうやって国民の命と暮らしを守るんですか。大臣、どうぞ。
○西村康稔 内閣府特命担当大臣(経済財政政策) 私自身、何としてもこの感染拡大を抑えたいと誰よりも強く思っております。夜中に何度も目が覚めます。ずうっと考えています。私は誰にも負けないぐらい勉強し、勉強というとあれで、研究し、専門家の皆さんと毎日のように議論を重ね、専門家の皆さんも、ハンマー・アンド・ダンスと、これはもう感染症の常識だと言われています。そのことを私は申し上げているんです。
もちろん、ゼロにしたいです。しかし、なかなかできないウイルスだと、これは専門家の皆さん認めておられます。だけれども、大きな流行にならないように、強いハンマーを今回お願いをしているところであります。もちろん、大阪ではもう既に病床は非常に厳しい状況になっておりますけれども。
その上で、検査については戦略的に拡充をしていきたいと考えております。確かに、人口当たりの検査件数は少ないです。ただ、いろんな見方、これは尾身会長も紹介をされておられますけれども、日本の場合は、亡くなった方の数も非常に低く低く先進国の中では抑えてきておりますが、亡くなった方当たりの検査件数で見ると、これは非常に少ない、いや、ごめんなさい、多い件数になっておりまして、つまり、しっかりと検査で死者を、亡くなる方、重症化する方を抑えてきたという効果はあるものという評価がなされております。
いずれにしても、私も検査広げていきたいと考えております。検査キット、これは感度の問題、精度の問題、それから偽陰性、偽陽性の問題もありますので、陰性だから大丈夫だと、その日のうちにまた感染してしまうかもしれない、様々な課題がありますけれども、それも乗り越えてですね、乗り越えて、頻回に検査やっていくことを含めて、今モニタリング検査も私ども拡充をしておりますので、そういったことを含めて、戦略的に更に拡充をしていきたいと考えております。
○山下芳生君 幾ら言っても、百四十六位ですよ、言い訳できませんよ。私は、コロナを封じ込める立場に立たない政府の姿勢こそ今一番の問題だと思います。
今政治がなすべきは何か。コロナを封じ込めるための大規模検査を実行することですよ。中小業者の皆さんが事業を続けられる十分な補償を行うことです。そして、医療機関の減収補填に踏み切り、病床を確保するためにありとあらゆる手だてを尽くすことです。そして、東京オリンピック・パラリンピックは中止して、コロナ収束に全ての力を集中することですよ。
やるべきことをやって、何としてもコロナを封じ込める、感染を封じ込める、今そのことこそ政治の責任だということを申し上げて、終わります。