日本共産党 参議院議員 党副委員長
山下よしき

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大阪ダイキンPFOA汚染 健康影響調査せよ

参議院環境委員会 2023.4.25
速記録 資 料 動 画

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(写真)質問する山下芳生議員=25日、参院環境委

日本共産党の山下芳生議員は25日、参院環境委員会で、大阪府摂津市での大手空調メーカー・ダイキン工業による有機フッ素化合物(PFOA)汚染問題を取り上げ、国として、ダイキンに責任を取らせ、健康影響調査を行うことをもとめました。

山下氏は、ダイキン工業淀川製作所周辺の地下水がPFOAに汚染され、近隣住民の血液から極めて高濃度のPFOAが検出された事実を提示。昨年がんを発症し「(PFOAとの因果関係を)証明する手だてが何もない」等の不安を抱く住民の声を紹介しました。

山下氏はその上で、「近くに住んだため有害物質を取り込んでしまった。理不尽と思わないか」「市民の願いは健康への影響を明らかにすることだ」と迫り、健康影響調査の実施を主張しました。

西村明宏環境相は、「不安は承知している。科学的知見が不十分なので専門家会議が議論している。結果を踏まえしっかりと取り組む」と答えました。

山下氏は、2004年には工場周辺の安威(あい)川で1リットル当たり6万7000ナノグラムという世界最悪レベルの汚染を引き起こしながら、主たる汚染源であることを認めず「健康被害はない」と主張するダイキンを批判。米国では米ダイキンを含む排出企業が調査費用や和解金を支払った事例をあげ、日本政府の姿勢が問われると迫りました。西村環境相は、「ダイキンが汚染源と確定すれば社会的責任は果たさなければならない」と答えました。

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○山下芳生君 日本共産党の山下芳生です。
今日は、発がん性や低体重児の出生、免疫の阻害などが指摘されている有機フッ素化合物、PFOS、PFOAについて質問します。
資料一に示しましたように、先月、米国の環境保護庁、EPAは、飲料水のPFOS、PFOAの基準を従来の一リットル当たり七十ナノグラムから四ナノグラムと大幅に強化し、非常に低い濃度といたしました。EPAは、これにより、数千人の死亡、数万人の深刻な病気を防ぐことができるとしております。
西村環境大臣、日本の暫定基準、五十ナノグラムは米国の基準を参考に設定したものだと聞いております。米国がより厳しくしたんですから、日本の基準も厳しくすべきではありませんか。

○国務大臣(西村明宏君) 先月、今、山下委員御指摘の米国環境保護庁、EPAがPFOA等に関する飲料水の規制値案、これを公表したということは承知しております。
環境省といたしましても、厚生労働省と連携をしながら専門家会議でこの水質の目標値等について今御議論をいただいているところでございます。今回、公表されました米国環境保護庁の考え方、そしてまた、現在策定作業が進められているWHOのガイドライン、こういったことなどを含む最新の知見というものを踏まえて、できるだけ速やかに専門家による議論を深めていただいて、その結果を踏まえて、国民の皆様の安全、安心のための取組、これをしっかり進めてまいりたいと考えています。

○山下芳生君 米国のこれまでの基準は動物実験に基づくものだったと聞いております。米国は今回、疫学調査、つまり人間の調査に基づいて厳しく規制を強化したわけですから、日本も一刻も早く厳しくすべきだと思います。
米国と比べて規制と対策が大きく遅れている日本で、PFOS、PFOAの汚染による健康不安が広がっております。その象徴とも言えるのが、大阪府摂津市にある大手空調メーカー、ダイキン工業淀川製作所から排出されたPFOAによる住民の健康不安です。
資料二は、先日放映されたNHK「クローズアップ現代」が作成したPFAS汚染全国マップであります。地下水などの汚染では、摂津市を含む大阪の棒グラフが最も高く、最も太くなっております。これはダイキンによる汚染であります。全国的に見ても、大阪の汚染が深刻であることが分かります。摂津市では、ダイキン周辺の地下水がPFOAに高濃度に汚染され、その地下水によってかんがいされた畑の土壌や農作物も汚染されております。
資料三は、ダイキン周辺の住民の血液からも高濃度のPFOAが検出されたことを示す検査結果であります。特に、この上の表ですけども、地下水の水で野菜作りをしている住民の血液からは極めて高濃度のPFOAが検出されています。農作物を食べたことによるPFOA摂取が原因だと推定されております。また、この下の表は、長年ダイキンの周辺に住んでいて野菜作りはしていない住民の方ですが、その血液からも高い濃度が確認されております。過去に水道水に含まれていたPFOAやダイキンが排出した大気中のPFOAを摂取したことが原因と推定されております。
こうした下で、ダイキン周辺の住民の健康に対する不安が広がっております。とりわけ、がんなどの病気を発症した人の不安は大きいものがあります。
資料四に何人かの方の事例を紹介いたしました。
Aさんは十八年以上ダイキン周辺に住んでいて、PFOAの血中濃度は米国の指針値二十ナノグラム・パー・ミリリットルを超えております。Aさんは昨年がんを発症されました。PFOAの影響があるのではないかと本人も周りの人もみんな思っているんですが、証明する手だては何もないと、誰も答えを出してくれないと胸のうちを語っておられました。
それから、Bさんはダイキン周辺で育った方です。御本人は今のところ問題ないんですが、子供さんが甲状腺の病気を持っています。今まではPFOAのことを知らなかったけれど、情報を得て、自分がPFOAを浴びたことが子供の病気の原因ではないかと思うようになった。つい最近、その子供さんに孫ができたけども、赤ちゃんの顔を見てかわいいと思うと同時に、この子にもPFOAの影響があるのではないかと、つらく情けない思いが湧いてくると言っておられました。
それから、Cさんは、農家でもなく、売っている野菜を普通に食べてきた方ですが、血液検査で高い数値が出たのでまさかとびっくりされました。昔ダイキンの近くに長く住んでいて、その頃生まれた子供さんは五歳から副腎の病気になり、六歳で症例の少ないホルモンの病気を発症し、大学病院に十年通ってホルモン異常の注射を打ち続けてきました。この子供さんは、ダイキンの近くでザリガニやカエルを捕って遊んでいたそうです。Cさんは、最近ダイキンがPFOAを垂れ流していたということを知って、それまで子供の病気の原因は分からなかったけれども、ダイキンの近くに長く住んでいたことと因果関係があるのだろうか、これからも子供や若い人の体に残るのだろうか、心配だとおっしゃっていました。
西村大臣、この方々は、どなたも普通に水を飲み、普通に空気を吸い、普通に野菜を作って食べてきた方々です。それが、たまたまダイキンの近くだったために、体に有害物質を取り込んでしまい、自分の健康に不安を抱き、子や孫の健康まで心配しなくてはならなくなりました。環境大臣として、余りにも理不尽だと思わないでしょうか。

○国務大臣(西村明宏君) 今、山下委員御指摘の、ダイキンの工場周辺でPFOA等が大きな関心事項となっているということは承知しておりますし、また、住民の皆様から不安の声が上がっているということは重々承知しておりますし、真摯に向き合っていかなければならないというふうに思っております。
環境省でも、地元の自治体やまた市民団体の皆様方からそのような声を直接伺っているところでございます。現時点では、先ほど申し上げたように、PFOA等の有害性についての科学的知見が不十分でありますので、今御指摘のあったがん、また甲状腺、副腎、こういったものにどのような影響があったのか、こういった点について今専門家会議において議論をいただいているところでございますので、速やかに結論をいただいて、それを受けた上で、しっかりと国民の安全、安心のための取組、これを進めていかなければならないというふうに思っております。

○山下芳生君 専門家会議で検討いただくのは当然なんですけど、私、この方々の話を直接聞いて理不尽だと思ったんですよ。だって、普通に水を飲み、空気を吸い、畑で野菜を作っていた。しかし、それがたまたまダイキンの周辺だったがために、PFOAが出されたということは間違いないんですよ、ダイキンから、そして血中濃度が高くなっているのも間違いないんですよ。たまたまダイキンの近くに住んでいたがためにこういう不安を、病気になる方はいろいろいらっしゃいます、しかしPFOAの影響ではないかという不安を感じるようになったのは、やっぱりダイキンの、PFOAを排出したダイキンの近くに住んでいるがゆえに余計な心配を今されている、さいなまれているわけです。自分のここに住んでいたことによって子や孫にまで健康に影響が、悪い影響があったんじゃないかってね。
これ理不尽だと、この理不尽を感じながら、これを正すことが私は環境行政の原点でなければならないと、これ理不尽感じなかったら環境省の存在意義ないんじゃないかとすら思うような私は憤りを話聞いて思ったんですけど、大臣の肉声が聞きたい、政治家としての。よろしくお願いします。

○国務大臣(西村明宏君) 今、山下委員から大変思いのこもった御質問をいただいたところでございます。
公害行政、これは環境省の原点の一つでもございますので、しっかりとやっていかなければならないというふうに思っております。ただ、そうした上で、こういった住民の皆様の不安があるということでございますので、それゆえに科学的な知見、これをしっかりと出していくということが住民の皆様の不安を和らげることにもつながる。それゆえに、今国際的にもこういう目標値等に関して議論が行われている、またそういったものを踏まえて専門家会議で御議論いただいているということでございますので、専門家会議において科学的知見がしっかりと出されていった上で、住民の皆さんの不安というものも払拭できるでしょうし、また風評被害といったものに対しても払拭できるのではないかと考えております。
どのような知見が出てくるのかしっかりと見守りながら、またできるだけ速やかにその結果が出ることを期待しているところでございます。

○山下芳生君 科学的知見ということをおっしゃいました。そのとおりだと思います。
住民の皆さんの一番の願いは、PFOAの健康への影響を明らかにしてほしいということです。これ、当然の願いだと思います。
健康不安を取り除くためには、このPFOAとそれぞれ紹介したような疾病との因果関係を科学的に明らかにするしかないと、そう思いますが、大臣、この点は認識一致できるんじゃないでしょうか。PFOAと疾病との因果関係を科学的に明らかにしてこそ不安は取り除かれる、いかがですか。

○国務大臣(西村明宏君) 必要な科学的知見を求める上で必要なものに関しては、委員御指摘のとおりだと思います。

○山下芳生君 これは私が勝手に言っているだけではなくて、資料五に摂津市議会の意見書を添付いたしました。
今年の三月二十八日、PFOA等についての健康影響調査と疫学調査を行い、健康基準を速やかに定めるよう求める意見書が全会一致で可決されました。意見書では、市民の不安は健康への影響及び風評被害です、その解消のためにも健康への影響調査、疫学調査等が求められます、新たな基準を作る上でも汚染実態のある現地での情報収集、調査研究は欠かせませんと、こうあるわけですね。
ですから、専門家会議でいろいろ検討されていますけど、その専門家会議できちっとした基準を、健康調査に、健康についても基準作る上では、やはり調査をしなければ基準ができないじゃないですかということを全会一致で摂津の議会が意見書として政府に対して出されています。
このとおりじゃないでしょうか。やはりこの調査してほしいと、健康影響調査ですね。応えるべきじゃないでしょうか。

○国務大臣(西村明宏君) 専門家会議において必要な調査等々は当然行っているものだと承知しております。調査研究、どういったものが今行われているか詳細には承知しておりませんけれども、もし詳細にということであれば、事務方の方から答弁させます。

○山下芳生君 簡単に報告して。

○政府参考人(神ノ田昌博君) お答えいたします。
現時点では、PFOA等につきましては、血中濃度と健康影響との関係を評価するための科学的知見は十分ではないというふうに承知をしておりまして、そういった状況の中で血液検査をしてもその結果の解釈が困難であるというふうに認識しておりまして、住民の不安解消にはつながらないというふうに考えてございます。

○山下芳生君 科学的知見が十分じゃないから調査しても不安の解消にはならないという答弁ですか。

○委員長(滝沢求君) 神ノ田部長。

○山下芳生君 いやいや、ちょっと待ってください。
いや、ちょっとよく理解できないんですけれども、知見が十分じゃないから、その知見を得るための調査をすべきだというふうに摂津の意見書は言っているんですよ。それに応えるべきじゃないんですか。

○政府参考人(神ノ田昌博君) お答えいたします。
これは、世界的に見ても健康影響との関係というのが明らかではないということでございますので、今現時点で血液検査をすれば、いたずらに不安をあおってしまうというふうに考えてございます。

○山下芳生君 とんでもない答弁ですね。何ですか。今知見がないから調査したら不安になる。調査しないから不安になっているんですよ。大臣、ちょっとこれはおかしいよ。知見がないから、調査して、自らのがんとか副腎の病気とかね、そういうものがあるわけですよ。近所にダイキンがPFOAを放出したということ、近所にあるダイキンがPFOAを放出したというのは明らかなんですよ。そのために血中のPFOA濃度が高くなっている、異常に。そうしたら、そのPFOAと自分たちの病気の因果関係を調べなかったら不安解消できないから調べてくれと言っているのに、知見がないから調べたら余計不安になるって、とんでもないですよ。不安を抱く方が悪いというようなね、そんな答弁ですよ。なので、ちょっとここはもういいですよ、本当、おかしいと思いませんか、それは。(発言する者あり)いや、もう長々と要らないですよ、時間ないんだから。

○政府参考人(神ノ田昌博君) お答えいたします。
健康影響ということにつきましては、統計がしっかり取られております。がん登録推進法、これでがんの罹患はしっかりと把握されておりますので、それは自治体持っています。その中で、現時点ではですね、環境省の方に自治体の方からこの地域においてがんが増えているというような情報は寄せられていないというところでございます。こういったことをしっかりと住民の方にも啓発、周知していく中で不安を解消していくということは重要だと考えております。

○山下芳生君 ということはですね、ちょっと本当に心配になりました。
PFASに関する総合戦略検討専門家会議、第一回会議、一月三十日で環境省が配付した資料に次のような記述があります。PFOS及びPFOAについては、住民の不安に寄り添い適切な情報発信を行っていく必要がある、国民に分かりやすく発信できるようQアンドA集を整理していく、具体的なイメージは別紙一のとおりと。で、別紙見ると、PFOS、PFOAに係るQアンドA集、質問案として、日本国内でPFOS、PFOAによる健康影響が発生していますかというQがあるんですよ。
これ、このQに対してどういうアンサーを作るんですか。だって、今のところ健康影響はありませんというふうに書くんですか、こんなに不安があるのに。調査もちゃんと積極的、能動的に、個別に、日本独自でやはりやらなきゃならないと思うんですけど、それをやらないでこれ書けますか、答え。

○政府参考人(神ノ田昌博君) お答えいたします。
QアンドAにつきましては、今専門家に作成をお願いしているという段階でございますので、この場での答弁は避けさせていただきたいというふうに思っております。
私が申し上げたのは、しっかりと統計としてがんの罹患情報は行政的に自治体は把握をしていると、そういった中で、この地域において特段、突出してがんが増えているということではないということを申し上げました。
以上でございます。

○山下芳生君 何でがんだけ言うんですかね、私いろんな疾病を紹介しましたけれども。それぞれあるわけです。まあいいです、いいです。
それで、私は、この健康影響調査をする上で、ダイキンの責任は極めて重大だと思うんですよ。ダイキンは一九七五年からPFOAの放出を始めました。米国では、二〇〇〇年に環境保護庁、EPAがPFOAの人体への影響を懸念し調査の必要性があると公表し、その二年後、二〇〇二年にはPFOAの大手メーカー、スリーエムが人体への危険性を理由に製造を打ち切りました。しかし、日本ではその後も製造が行われて、二〇〇四年にはダイキンから放出となった安威川で六万七千ナノグラムと世界最悪レベルのPFOA汚染が確認されております。それでもダイキンは二〇一二年まで排出を続けたんですね。あのスリーエムが製造を中止してから十年間も製造、排出をやめなかったというのがダイキンです。私はダイキンの責任、そして規制してこなかった国の責任は重大だと思いますが、ところが、ダイキンは、今も摂津のPFOA汚染について主たる汚染源であるということを認めてないんですよ、一部はダイキンの排水した可能性があるとしているだけで。それから、ダイキンは、住民の健康被害について調査を行うこともしないで健康被害ないと言い切っております。
西村大臣、私は企業には社会的責任があると思います。地域の健康を守ることも社会的責任の一つだと思います。ダイキンが自らの事業活動、生産活動によって排出したPFOAによって地域の環境が汚染され地域住民に健康不安が広がっているのに、ダイキンのこういう態度は許されるものではないと、これ放置していいものじゃないと思いますが、ダイキンに健康調査に対する責任を果たさせる必要があるんじゃないでしょうか。原因者なんだから。

○国務大臣(西村明宏君) 今おっしゃっているように、健康被害に関してその科学的知見が明らかになった場合は当然そういった社会的責任を果たしていただかなければならないというふうに考えますけれども、現状において、今事務方からお話もあったように、科学的知見、これをしっかりと専門家会議で調査いただいておりますので、それを見た上で対応していかなければならないと思いますが、ダイキンといたしましても、今言ったように、排出していたわけですけれども、現状まだ法規制が行われていない状況におきましても、製造と使用は現状全廃をして、地下水の浄化等といった汚染対策には取り組んでいるというふうに承知しておりますが、こういった最新の知見、これを基にして関係自治体に助言するとともに、ダイキンに対しましても今後の対応を促してまいりたいというふうに考えています。

○山下芳生君 私、紹介した声に本当に応える姿勢を感じられずにね、これでいいのかなと思いながら今質問しているんですけど。
ダイキンは、アメリカではちゃんと水質調査に係る経費を出しています、水道水を汚染した責任を取ってね。それから、飲料水からPFOAを除去するため四百万ドル払っています、テネシー川の汚染についてですけど。それから、アメリカではPFOAを、もうこれ映画にもなりましたけど、大量に環境中に排出したデュポンが、デュポンの負担で七万人の住民の血液調査をやって、そして六つの症状、妊娠高血圧症とか精巣がんとの関連を確認しております。全部汚染者責任。原因企業が費用も負担して調査研究をやって、こういうところまで来ているんですね。そういうことをもう何年も前にやられているのに、いまだに日本は、知見が明らかでない、知見が明らかでないと言ってダイキンにも何もしない。それで環境行政としての責任果たされるのかというふうに思わざるを得ません。
大臣、いかがですか。もうそんなこと言っていていいんでしょうか、もうアメリカではダイキンちゃんと責任果たしているのに。いかがですか。

○国務大臣(西村明宏君) 今委員から御指摘のあったデュポン社の件ですけれども、これ訴訟になって、非常に多くの訴訟、三千五百件の健康被害を訴える訴訟があったというふうに承知しておりますけれども、これの上で、訴訟の判決ではなくて和解によってその補償が行われたというふうに承知しております。
ダイキンにおいては、まだそういった状況で法的な係争にはなっておりませんけれども、アメリカのデュポン社の件とは全く同一に見るわけにはいきませんけれども、委員御指摘のように、ダイキンがその汚染源となっているところとかが確定するのであれば、そういった社会的責任をしっかり促していかなければならないと思っています。

○山下芳生君 ダイキンの責任ははっきりしているんですよ。ダイキン以外ないですよ、こんな大量にPFOAを環境中に排出しているのは。
それから、はっきりさせようと思ったら、ダイキンは大阪府にこれまでの製造の量とそれから大気中に放出した量をちゃんと報告しています。それを出さないようにしてくれと言っているんですけど、これ出させるべきじゃないかと。これ一点。ダイキンのどれだけの製造と排出したのかを大阪府にちゃんとデータとして出させる。政府としても出させて、委員会にも、委員長、提出することを求めたいと思います。
それから、連続して言いますけど、もう時間ないので。環境省がこれ調査を積極的にやらなければこの不安は解消できません。知見を世界から集めるだけじゃなくて調査しなければなりません。このPFOAの調査、それから健康への影響の研究の先駆者である小泉昭夫京大名誉教授が最近こういうことを言っておられます。PFASの場合、健康影響を確認するための緊急に必要な情報は低出生体重児への影響、それから腎がんのリスク、それからワクチンの効果だが、どれもそれほど検証に時間が掛かるとは思わないと。低出生体重児への影響は、やる気になれば、既にエコチルの採血がなされていますのですぐに行える。ワクチンの効果も、コロナウイルスへのワクチンの接種状況とコロナ罹患を調べることなどデータは既にあるので、あとは血液検査を実施すれば行える。腎がんに関しても、PFASの製造に関わった職員の調査、それから多くのがんコホート研究、要するに、一定期間追跡する研究が既に多く走っているので、追跡前に保存されている血液の分析を行うことで十分質の高い疫学研究は可能だと言っています。
私は、このさっき紹介した被害者の皆さんの苦しみ、声に応えるためには、そういう調査を今すぐできるんだということを専門家、第一者、一人者が言っている。やるべきじゃないですか、大臣、決断して。

○委員長(滝沢求君) 西村大臣、時間ですので、簡潔に願います、答弁は。

○国務大臣(西村明宏君) はい。
住民の皆様の不安、これは本当に真摯に受け止めなければならないというふうに考えておりますので、委員の今御指摘のあった件に関しましては、専門家会議等も諮りながら検討してまいりたいというふうに思います。

○山下芳生君 終わります。