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新しい日本をつくる事業の前進が世界を励ます

 2006年5月22日〜27日に行われた日中共産党理論交流体験談

(2006年8月6・13日付「大阪民主新報」より)

 大阪など1府4県を駆け巡っている山下よしきさん。7月は党創立84周年の月とあって、各地の記念の集いに講師として招かれ、「日本共産党は世界と日本をどう見ているか」を熱っぼく語りました。中でも関心を集めたのがことし5月、中国を訪れ中国共産党の幹部や学者らと理論交流してきた体験談です。その部分(要旨)を紹介します。

 日本共産党への期待と注目が国内でうんと高まっていると申し上げましたが、実は世界の中でも日本共産党は大変注目されています。

 そのことを直接体験する機会がありました。5月22日から27日まで、日本共産党の不破哲三前議長が中国の北京に招かれて、日中共産党理論交流が行われました。私も不破さんにお供して北京に行ってまいりました。

 「なぜ山下よしきが」という質問をよくいただくのですが、それについてはよく分かりません(笑い)。不破さんから電話があって、「行きませんか」ということなので、「喜んで」と行ってまいりました(笑い)。

なぜ理論交流をしているのか

 なぜ日本共産党と中国共産党が、理論交流をしているのかと言いますと、2年前に中国が新しい国づくりの方針を、マルクス主義の理論から練り上げようというプロジェクトを立ち上げました。というのも、28年前から中国は改革・開放路線をとっていて、市場経済を導入し、中国経済を発展させる道を歩んでいます。そして世界でもまれにみる急速な経済成長が進んでいます。あと何年かしたら、日本のGDPは中国に抜かれるだろうと、多くの方が予測しています。

 しかし、これだけの急速な経済発展の中で、中国社会には新たな矛盾が生まれています。貧富の格差が広がっています。あるいは環境が壊されています。

 そこで中国共産党の指導部の皆さんは、これまでの延長線ではない新しい国づくりの方針が大切だ、均衡ある発展を成功させるためには、社会主義を目指す国として、マルクス主義、私たちは科学的社会主義と呼んでいますけれど、その理論から国づくりの方針を練り上げる必要があるということで、プロジェクトを立ち上げました。

 数百人の学者の方々が直接参加する大プロジェクトで、10年以上かけてその答を出そうという壮大な計画です。

 しかも中国国内の知恵を集めるだけでなく、世界の社会主義に関する知恵を全部集めて、練り上げようと考えています。

 その中で、昨年12月に日本共産党の不破さんの話を聞きたいと、中国から代表の方々が来日されました。今度はその続きとして、不破さんが北京に第2回目の交流として行ってきたわけです。

 私たち日本共産党が、どういう立場で中国共産党の理論研究に協力しているかと申しますと、不破さんが5月に北京で学術講演をされたのですが、その最後にこう言っておられます。

 「あなたがたが壮大な未来を持った国づくりで、社会主義を目指す国ならではの優位性を発揮して大きな成功を収め、そのことが21世紀の世界的な発展の力となることを願って」

 これは大変大事な立場ではないでしょうか。

 中国というのは人口13億人、世界62億人の中で1番多くの人口を持つ大国です。その中国が、格差の問題とか環境の問題を、社会主義を目指す国ならではの力を発揮して乗り越え、均衡ある発展を成功させるならば、これは中国国内で「良かったね」というだけではなく、21世紀の世界のあり方にも、大変大きなプラスの影響を与えることは間違いありません。

 世界も今、貧困と格差の問題、地球的規模での環境の問題など、人類的課題に直面しています。

 アメリカは京都議定書の温暖化防止協定から抜け出し、本当に無責任な態度を取っています。資本主義に地球を管理する能力があるのかが問われています。

 一方、社会主義を目指す国々にとっても、これらの問題をどう解決するのかということが、同じく問われている。中国がそれを乗り越えたら、世界的な発展への素晴らしい貢献になることは間違いありません。

 だからこそ、新しい中国の国づくりに、日本共産党がこれまでいろいろ研究してきた科学的社会主義の理論の到達がちょっとでも役に立つならば、私たちは喜んで協力惜しみませんということを申し上げたわけです。

科学的社会主義を真剣に研究

 きょうのお話では、理論交流の中で、私が感じたことを3点ご紹介したいと思います。

 第1は、中国共産党の中に新しい国づくりを科学的社会主義・マルクス主義の理論から練り上げようと、真剣に研究されている方が、本当にたくさんいるということです。

 例えば、中国共産党の国際活動を担っている中央対外連絡部(中連部)の部長さんらと交流しましたけれど、この中連部の方は、世界を自分の足で歩いて世界の動きをしっかりと見ているんですね。

 私たちも注目しています南米の変革。昨夜NHKでも特別番組がありました。ベネズエラのチャベス大統領が、アメリカ言いなりの政権を選挙を通じて打ち倒し、世界第4位の石油資源の富をアメリカのために使うのではなくて、ベネズエラの民のために使う、公平な社会をつくるために努力している姿が、紹介されていました。

 南米大陸は、これまでアメリカ言いなりの国ばっかりだったのですが、98年のチャベス革命以来、次々と中道左派の「国民が主人公」の国づくりに進む政権が生まれています。こういう政権とも、中国共産党の方は幅広く交流しています。

 それからヨーロッパでは、共産党を名乗る党が混迷を深めていることも、詳しく知っておられました。激動の世界を自分の足で歩いて、目で見て、そういう中で、中国がどういう国づくりをしたらいいのかという問題意識を持って、マルクス・エンゲルスの立場をしっかり研究し模索しているんですね。

新しい綱領がすべてに答える

 2つ目に私が感じたことは、日本共産党の新しい綱領と、そこに至る理論的到達が、中国の方々の質問や問題提起に全部答えることができる内容を持っているということです。

 学者の方々との交流は、それぞれの方がどんな研究をされているかも分かりませんので、向こうから問題提起してもらった方が、効率的だということでそうしました。代表の方が7つの質問をされました。

 それは「われわれは今いったいどんな時代にいるのか、レーニンの時代に対する定義と比べてどうなのか」、「ソ連崩壊の根本的原因は何か」、「21世紀の世界の社会主義の展望はどうか」、「社会主義の道を実現するために、発展途上国と先進国には、それぞれどのような道があるか」、「社会主義と市場経済との関係をどのように考えるか」などで、「きょうは時間がないから、結論だけ言ってくれ」(笑い)と言うのです。

 しかし、「結論だけ」と言われても、一つ一つが大変大きなテーマでしょ。これはさすがに不破さんでも大変だろうなと思ったのですが、心配無用でした。不破さんは通訳の時間を除いて25分間で、この7つの質問に見事に答えました。これは不破さんが賢いということだけではなく、日本共産党の綱領の中に、質問に対する答えがすべて入っているということだと思います。

 そういう交流の場に身を置いて、日本共産党と中国共産党というのは、歴史や立場は違っても、科学的社会主義の理論と志で、「国民が主人公」の国づくりを進めていこうという、非常に響き合うもの、心が通い合うものがあるなと感じました。

反戦平和を貫いた歴史に誇り

 3つ目は、日本共産党の反戦・平和の歴史、自主独立の路線、そして激烈な反共攻撃の中でも職場・地域・学園で不屈に頑張っていることへの誇りを、中国の地であらためて感じたことです。

 不破さんは、理論交流の最初に、簡単な日本共産党の自己紹介をします。その紹介は、相手によって内容を変えていました。最初のころは、先方から靖国問題、歴史問題の質問が出されていましたので、その問題を話しました。

 日本共産党の創立は1922年の7月15日です。しかし戦前は、合法的な活動は一切許されませんでした。なぜなら、侵略戦争に反対すること、その戦争を推進している天皇制政府に反対することが、当時1番大きい罪とされたからです。

 戦後、1945年に合法的な活動を始め、不幸なことですけれども1966年、中国共産党からの干渉を受け、日本共産党と中国共産党の間は関係が途絶えます。98年に関係を正常化するまで32年間、関係がなくなってしまいました。

 しかしその間でも、日本共産党は日本の国会で、歴代の総理大臣に対し、日本が中国に対して行った戦争は侵略戦争だったと認めるかどうか、繰り返し追及してきた、と中国側に紹介しました。

 そして、小泉さんが毎年靖国参拝をする中で昨年5月、不破さんが、靖国神社に総理が参拝することの本質的意味がどこにあるかを、講演で明らかにしました。日本の戦争は正しかったということを、日本国民に広げるために存在する神社、そこに総理が参拝すれば、アジアの人だけではなくて、世界の人からも、信頼を失うことになるんだという本質です。この講演から国内外で靖国問題の世論がガラっと変わりました。

 外国から日本に来ているジャーナリストの皆さんも、みんな靖国神社を見に行きました。アメリカでも批判の声が上がり始めました。小泉さんがアメリカを訪問した時、本当はアメリカの議会で演説したかった。ところがアメリカ議会の実力者、下院外交委員長のハイドさん、第二次世界大戦で日本軍と戦った経験をお持ちですが、この人が猛烈に反対した。日本の戦争が正しかったということになると、アメリカはじめ連合国側が悪かったということになる。そんなところに参拝している人物を、アメリカの議会で演説させるわけにはいかない。こうして議会で演説できなくなったので、小泉さんはエルビス・プレスリー邸に行った(笑い)のですが、大変情けないことではないでしょうか。

 今、小泉さんの後継者選びが盛んですけれども、誰一人として「自分が総理大臣になったら靖国神社に参拝します」とは言えなくなりました。そのぐらい大きな変化が生まれています。

 そういうことも紹介すると、中国側は、「日本共産党と不破さんのこの問題での努力がよく分かりました。感謝します。引き続き頑張ってください」と言われました。

 小林多喜二はじめ反戦・平和を買いた党の先輩たちの生きざまと、今の活動が、中国の側にもしっかり届く力を持っているということを、大変うれしく思いました。

闘いの中から自主独立を確立

 もう1つの自己紹介は、自主独立の問題です。学者の方々に対して不破さんはこう言いました。

 1945年に合法的な活動を始めた日本共産党ですが、そのわずか5年後、1950年にソ連のスターリンから乱暴な干渉を受けます。日本共産党を2つに分裂させ、片一方に、武装闘争を押し付けるという干渉です。このため、日本共産党は大打撃を受けました。35人いた衆院議員がいっペんにゼロになる、大変な打撃です。50年に起こったので、私たちは「50年問題」と呼んでいます。

 この問題を総括した時、自主独立の立場をしっかり打ち立てなければならない、これが日本共産党の1番の教訓でした。

 自主独立の立場というのは、たとえ過去に革命を成功させた党、ソ連共産党であっても、日本の運動の方針にまで口を挟む資格はないんだということ、そして日本の運動の方針は、日本の国民が、日本共産党が、自分の頭と手でつくらなければならないんだということです。

 この立場を確立して以降、60年代に再びソ連から干渉を受けましたけれど、自主独立の立場に立ってはね返しました。中国との関係もこの立場で対応しました。だから、91年、ソ連が崩壊した時に、巨悪がなくなった、世界の進歩にとっては歓迎すべきことだという声明を、直ちに発表することができたんです。

 私たちの理論は、ただ机の上でつくったものではありません。20世紀の巨悪との生死をかけた闘いの中から、私たちが練り上げてつかみとった理論なんです、と紹介した時に、僕は本当に涙がこぼれそうになりました。

 最後の自己紹介には、ちょっとしたエピソードがあります。

 移動のバスの中で、いつも不破さんの横に座って案内をしてくれた中国側の方が、ポロッと不破さんに質問をしました。「日本共産党員は、党員であることを名乗らないこともあるんですか?」。不破さんは、「大企業では名乗ることもあれば、名乗らないこともあります。名乗ることによって、いろいろな不利益を受けることがあるからです」と答えました。

 その方は、「へぇー、じゃあ日本は、民主主義じゃありませんね」と驚きました。この反応に不破さんはまた驚いたんです。つまり、発達した資本主義の国で共産党員になることが、いかに勇気と決意のいることなのか、革命を成功させてから60年近く経つ中国の政権党の方たちには、なかなか理解するのが難しいことのようです。

 このやりとりの後からは、不破さんの自己紹介のテーマは、日本共産党がいかなる状況のもとで活動しているかという内容に変わりました。

 日本国憲法のもとでは、共産党員になることば自由です。思想信条は自由だと書いてあります。しかし、大企業の職場では共産党員である労働者と、そうでない労働者とは明確に区別されます。ひどい場合には、他の労働者と口も聞けない状態に置かれる場合もあります。

 しかしそういう中でも、私たちの仲間たちは、職場に自由と民主主義の旗を掲げて不屈に頑張り、裁判で闘って闘って、定年になってからも闘い抜いて、関西電力をはじめ、職場での思想差別は憲法違反だとの判決を勝ち取ってきました。

 しかし大企業側は、裁判で負けても「金を払ったら終わりや」と、心からこのやり方を改めるということはしません。しかもマスメディアを使って、日本共産党のことはほとんど報道しない、無視するというシフトさえとっています。共産党の前進を抑えるために、選挙制度の改悪を繰り返してきました。世界の発達した資本主義の国の中でも、ここまで共産党を抑え込む体制がとられている国は、日本以外にないと言っていいと思います。

 私たちはそういう中で頑張っているんです。ここで頑張ろうと思ったら、やはり確信が必要です。不破さんが、1つは科学的社会主義の世界観的確信、2つ目はアメリカ言いなり、大企業中心の政治から抜け出す道を掲げた日本共産党の綱領的な確信、3つ目は、どんなに厳しい攻撃のもとでも頑張れる、強く大きな日本共産党の組織をつくること、この3つを掲げて頑張っています、と紹介しましたら、教授クラスの方たちも、一生懸命ノートをとっていました。

発達した資本主義国での闘い

 私は、大阪で、大企業の職場の中で、共産党の旗を掲げて頑張っている皆さんの姿を思い浮かべました。

 こういう聞いは中国ではできないと思います。発達した資本主義の国で、世界のどこかでやらなければならない闘いです。それをやらなければ世界は変わらないといっていい、素晴らしい意義を持つ闘いを、私たちの仲間はやってくれているんだということを、非常にうれしく、誇りに感じました。

 これからも理論交流は続くと思います。だけどもっと大事なのは、日本のこの社会で新しい日本をつくる事業を、一歩でも二歩でも前進させることです。来年の一斉地方選挙と参議院選挙で、日本共産党の議席が増えることが、中国や世界の人々への大きな励ましになることは間違いありません。

 その先頭に立って奮闘したいと思います。

ぜひ、ご意見・ご感想をお寄せください
 
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