2006年05月25日
---「『要求あるところ山下あり』という言葉がぴったり」といわれる調査や国・自治体への要請、講演と精力的な活動が続いていますね。
山下 ええ。でもこの通り、体はいたって元気です。行く先々でエネルギーをもらってます。
子どもたちの笑顔こぼれて
---たとえば?
山下 そうですね、先日、奈良の重症心身障害児施設を訪問したんです。そこで、音楽にあわせて車いすの子どもたちが体操をしていました。先生たちはいっしょについて、大体マンツーマンで指導されていました。手を持ってもらって動かすのがきっと楽しいのでしょう。子どもたちの笑顔がこぼれていました。
「人間の尊厳」というんでしょうか、先生と子どもたちの姿にそういうものを感じました。どんなに重い障害を持つ子どもでも、人間らしく生きていく権利がある。それは社会全体で保障しなければならず、それができる社会こそ豊かな社会といえるのではないだろうかと思いましたね。
私が訪れた施設で、子どもたちを支えているのは圧倒的に一人ひとりのスタッフの「マンパワー」なんですね。それは深くて崇高な人間性なしには、できない活動だと思います。限られた人数でほんとによくやっておられます。政治はもっとこうした方々に光をあてるべきだと痛感しました。
利用者と施設ともに苦しむ
---ところが「自立支援」法の施行、介護保険の改悪、医療改悪法案と小泉政権のもとで、逆行する動きが頻繁に起きています。
山下 その通りです。利用者の自己負担の引き上げと、施設への給付引き下げが、利用者も施設もともに苦しめています。これはもう、障害児という一分野の問題にとどまらず、この国の政治がどこに向かって行こうとしているか、まざまざと示していると思いました。「政治の貧困」です。
---日本の社会のあちこちで悲鳴があがってますね。
山下 重症心身障害児施設をはじめ、たくさんの医療、介護、障害者施設を訪問し、「弱肉強食」「格差社会」ではない社会、その対極にある社会とはどうあるべきか、を考えさせられました。そして大きなヒントをいただいたような気がします。あらためて政治の果たすべき使命を胸に刻みました。 (つづく)
(「しんぶん赤旗」2006年5月24日付より)