“万葉集の山”に盛土 生活環境に支障、放置するな 参院環境委
2025年5月29日![]() (写真)質問する山下芳生議員=29日、参院環境委 |
日本共産党の山下芳生議員は5月29日の参院環境委員会で、奈良県の二上山に巨大な盛り土が出現し、周辺住民の強い不安を引き起こしている問題についてただしました。
二上山は豊かな自然とともに、万葉集にも歌われた歴史的価値が高い山です。盛り土は産業廃棄物中間処理事業者が汚泥を粒状に「造粒固化」し集積したもの。造粒固化物は有価物としてコンクリートの骨材などに活用するのが一般的です。
山下氏は、現地調査で「二上山の自然を愛する会」から聞いた「盛り土が削られて搬出された形跡は一度もない。盛り土はどんどん大きくなる一方だ」との証言を告発。「景観や歴史的価値を損なうだけではなく、盛り土の崩壊・崩落への心配、有害物質の浸出、地下水、河川の汚染の心配など周辺住民の生活環境の保全上の支障が発生している。放置できないのではないか」とただしました。
環境省の角倉一郎環境衛生・資源循環局次長は「地元住民から排水の水質検査を求める要望書が奈良県に提出され、県が必要な対応を検討していると聞いている。委員の指摘も踏まえ、県に事実関係を確認し、適切な対応が行われるよう注視したい」と答えました。
さらに山下氏は、盛り土を形成している造粒固化物が販売された形跡はないとして、「環境省の指針からすると有価物でなく廃棄物に当たるのではないか」と質問。角倉次長が「指針を踏まえ県が適切に判断することが重要だ」と答えたのに対し、山下氏は「有価物をカムフラージュにして産廃の最終処分場にしている疑いがある。必要な調査をしてただすのが環境行政の責任だ」と指摘しました。