日本共産党 参議院議員 党副委員長
山下よしき

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参院選挙制度を憲法改定のテコにするな 参院憲法審

憲法審査会 2022.6.8
動 画
○中川雅治 憲法審査会長 山下芳生君。

○山下よしき 日本共産党の山下芳生です。両先生ありがとうございます。
私からは選挙制度改変の在り方について聞きます。
選挙制度は、憲法が保障する国民の権利の問題であり、議会制民主主義の根幹であります。したがって、その改変は憲法の要求に沿うものであることを前提に、議会を構成する全会派が意見を持ち寄り、議論を重ね、全会一致で実施することが望まれます。多数会派が少数会派の意見を無視し、自らに有利な選挙制度への改変を数の力で押し通すならば、それはやがて独裁政治にもつながりかねません。その趣旨から、参議院の選挙制度改革は、従来、全会派が参加する協議会が設置され、少数会派の意見の尊重並びに全会一致の原則を確認しながら進めてきました。
両参考人は、こうした進め方についてどうお考えか、簡潔に御意見伺いたいと思います。

○新井誠参考人(広島大学大学院人間社会科学研究科教授) ありがとうございました。
非常に、私は聞いていて重要な考え方だなと思っております。
是非、衆議院とは別に、特に参議院に関してはというふうな話になれば、実はそういった党派を超えた共通利害というふうなものを、利益というふうなものを確保しようという努力をされているのは非常に今伺ってすばらしいと思っておりまして、実は合区の問題は、私いつも思いますけど、これは党派を超えた問題だと思っておりまして、とにかくそのこともお考えいただいて、特に参議院で真剣に取り組んでいただいているようなのだというふうな話になれば、非常に今のお話しになった方向性はとても良いことではないかなと思っております。

○上田健介参考人(上智大学法学部教授) ありがとうございます。
私も基本的に、全会派が参加をして議論を重ねて、全会派が一致をして変えるというのは、やはり大事なことなんじゃないかというふうには考えます。
ただ、もう一つ大事な要素というのは、やはりその結果いつまでも決まらないというのはまたこれはこれでやはり問題がありますので、やっぱり限られた時間の中で、様々なプレッシャーがある中で議論を進めてお決めにならなければいけないというのは大変だとは思うんですけれども、どうか、何というか、良い、何というか、知恵を出し合って決めていただければなというふうに願っております。
以上です。

○山下よしき 御評価いただきましたが、この間の参議院選挙制度の改変は、こうした確認が乱暴に踏みにじられてきたと言わざるを得ないと思っております。
二〇〇〇年の非拘束名簿式の導入は、選挙制度改革協議会で丁寧に議論が重ねられ、来年の選挙は現行制度で行うとの全会派合意があったにもかかわらず、えひめ丸事故への政権の対応の不手際などにより自民党支持率が急降下し、党名を書く選挙制度では不利になると考えた自民党が突然非拘束名簿式を持ち出して強行し、翌年の選挙から導入されたものです。
当時、私は、協議会の一員として余りの党利党略ぶりに怒りを禁じ得ませんでした。二〇一五年の鳥取・島根、徳島・高知を合区にする十増十減は、最高裁判決が求めた抜本改革の要請に応える改革案を各党が、各会派が提案する中、自民党が改革案の提案を先延ばしにし、協議会が合意に至らずに、急遽提出された合区案は、委員会審査も行わずに本会議で強行されたものです。
二〇一八年の特定枠の導入は、合区によって立候補できない自民党議員候補者の救済という党利党略そのものですが、それまでの約一年間にわたる参議院改革協議会選挙制度専門委員会で一度も提案しなかった特定枠案を自民党が突然提出し、強行したものでした。私は、委員会での反対討論を用意していましたが、それも封殺されました。
こうしたこの間の経緯について、両参考人、いかがお感じでしょうか。

○新井誠参考人 なかなかその辺りはもう皆様の方法になってくるかなと思いますが、ただ、やはりこれ十分協議を重ねていただきたいというのは、なお国民の一人として思うところではございます。
とりわけ特定枠の在り方なんかはきちんと考えないと、やっぱりまずは憲法学者からすると、特定枠はやっぱりちょっと何か矛盾関係を持っているよなというふうなことを思う方もいたりもするわけですから、実はそういうふうな憲法研究などをしている人間なんかの観点から見ても、やっぱりちょっと慎重な議論をしていただくというのが重要になってくるかなと思っております。

○上田健介参考人 私もちょっと、なかなか党派的なものに対して何か言うと党派的になってしまいますので、ちょっとそれ、コメントは差し控えたいんですが、やっぱり慎重に議論をしていただきたいですし、その、いきなり何か出されたらやっぱり検討できませんので、それはやはり、何というか、きちんと俎上に上げて、できれば我々のような者の意見も聞いていただいた上で進めていただけると有り難いと思っております。
以上です。

○山下よしき 時間参りましたので。
いきなり検討できないものが出てきたんですよね、時間もない中。その繰り返しでした。私は、自民党は選挙制度のことを論じるなら、このような党利党略、多数による横暴を繰り返してきたことへの真摯な反省から語っていただかなければならない、それなしにあれこれを語る資格はないと、私、身をもって感じております。ましてや参議院の選挙制度を憲法改定のためのてこにすることは許されないということを強く申し上げて、終わります。