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機関投資家が食料・エネルギー高騰に影響

2008年06月24日

 非常に興味深い証言でした。米上院の国土安全保障・政府活動委員会は5月20日、長年、米国でヘッジファンドを経営してきた人物を呼び、公聴会を開きました。

 マイケル・W・マスターズ氏(マスターズ・キャピタル・マネージメント社のマネージング・メンバー/ポートフォリオ・マネジャー)は、機関投資家が食料とエネルギーの価格高騰に影響を与えているのは明白、と証言し、投機マネーが食料・エネルギーの高騰の原因になっていると指摘。彼はまた、現在、「指標投機家」と呼ばれるグループが商品先物市場を食い物にしている実態を紹介し、「現実の買いだめに相当する」と批判、「指標投機家の行動を規制すべき」として3つの規制策を挙げました。以下、証言のポイントを紹介します。

 ▼ 商品価格は、米国史上のいかなる時期よりも過去5年間で全体的に上昇してきた。私たちは、過去、たとえば1973年のアラブ産油国の石油輸出禁止による供給危機の結果としての商品価格の高騰を経験してきた。しかし今日、過去の経験とは異なり供給は豊富だ。ガスポンプの制限はなく、そして食料は棚にあふれている。

 ▼ 現在私たちが経験しているのは商品先物市場への新しい類型の参加者によって引き起こされている需要ショックなのだ。とりわけ、企業や政府系年金ファンド、政府ファンド、大学基金、そして他の機関投資家がそうだ。私が指標投機家(index speculator)と呼ぶこれらのグループは、その投資額の一定部分を商品先物市場に配分し、商品先物市場における旧来の投機家とは非常に異なる行動をとっている。彼らは、S&P−ゴールドマンサックス商品指標、ダウジョーンズ−AIG商品指標などの代表的な指標に従って25の主要な商品先物に資金配分を行う。

 ▼ 2000−02年、株式市場の深刻な下落の結果、損害を被ったいくつかの機関投資家は、商品先物市場を機関投資に適した新しい潜在的「資産クラス」とみなし始めた。商品指標取引戦略に配分されている資産が2003年末の130億ドルから2008年3月には2600億ドルに増大し、これらの指標を構成している25商品の価格が5年間で平均183%上昇している。商品先物価格は現物商品の価格の基準であるため、指標投機家が先物価格を上昇させると、たちまち直物市場と実体経済に波及する。

 ▼ 一般新聞では、石油価格の高騰は中国の石油需要の増大に起因すると説明されている。過去5年間に、指標投機家の需要増大は中国の需要増大にほぼ匹敵している。指標投機家は、先物市場を媒介して11億バレルの石油を備蓄しているが、それは合衆国が戦略的石油備蓄で5年間に備蓄してきた石油の8倍に相当する。

 ▼ 過去6カ月間で記録的な高騰を示している食料価格に話を向けよう。経済学者は合衆国のトウモロコシのかなりの部分がエタノール生産に振り向けられていることに焦点を当てて答えている。経済学者が見落としているのは、機関投資家が過去5年間で20億ブッシェルの穀物先物を購入してきた事実だ。いま、指標投機家たちは合衆国のエタノール産業が1年間フル稼働で使用するだけの穀物先物を備蓄している。小麦の話をすると、指標投機家の小麦先物の備蓄はすべての米国民に2年間あらゆるパン、パスタなどを提供するに足る量なのだ。

 ▼ 指標投機家は、商品一単位あたりの価格に関心を持たない。彼らは必要なだけの先物契約をどんな価格が必要になっても彼らの資金が尽きるまで購入する。指標投機家の需要でとりわけ問題となる側面の一つは、それが実際に、いっそうの価格上昇をもたらすということだ。価格上昇が、騰貴する商品への投資額を増やす性質を持っている指標投機家をいっそう魅きつけることになる。指標投機家の利潤拡大目的の先物に対する需要は、価格に敏感に反応する消費者の行動からの予想とは逆の結果を生み出す。

 ▼ いまや伝統的な政策手段では、現物の商品市場における需要と供給という基礎をほとんど顧慮することなく投資決定を行う指標投機家によってもたらされた問題は解決されえないことを理解することは容易である。たとえばOPECが市場により多くの石油を供給したとしても、指標投機家の石油先物に対する需要に対してはほとんど影響を与えないだろう。たとえ米国民が自動車の共同利用とか公共交通機関を利用するなどの節約を通じて石油需要を減少させたとしても、商品先物に対する機関投資家の需要にほとんど影響を与えないだろう。

 ▼ 指標投機家の取引戦略は、商品先物市場を経由した現実の買いだめに相当する。機関投資家は、投機的利益を積み上げるという目的のためだけに限られた量の必要不可欠の商品を買い占めているのだ。指標投機家は先物市場に何の利益も与えておらず、社会に対して巨額の費用を押し付けているのだ。

 ▼ 不幸にも、CFTC(商品先物取引委員会)は一部の投機家が商品先物市場に実質的には無制限のアクセスができるような規制緩和を行ってきた。私は、本日の証言を指標投機をただちに減少させるために取ることができる3つの措置の外観を述べることで終えたいと思う。(と述べたうえで、@年金基金の商品指標複製戦略を、不適切な年金投資とみなして禁止する、A投機的取引高制限の抜け道になっている銀行とのスワップ取引を規制する、などの政策を提案)

 以上、機関投資家が食料・エネルギー高騰に影響を与えているとの元ヘッジファンド関係者による米議会での証言のポイントでした。

 6月21、22日、サウジアラビアで開催された産油国と消費国の緊急閣僚会合は、原油市場での投機行為を規制する声明を採択しました。これまでの国際会合では合意に至らなかった投機マネーの規制に踏み込んだのです。ただ、今回の声明は具体的な方策を盛り込むには至りませんでした。食料やエネルギーなど、人類が生きていくうえでの基本になるものは投機の対象にしないとする国際的合意が緊急に求められています。

 昨年の独ハイリンゲンダム・サミットでは、独がヘッジファンドの直接規制を提案しましたが、日本が反対してつぶれました。洞爺湖サミットの議長国として、日本が再びブレーキ役になることのないよう、政府に積極的なイニシアチブを迫らなければなりません。

 日本共産党は、まず資本主義の枠内でも最大限の努力を行う立場です。同時に、貧困、投機、環境などの問題は、資本主義の枠内で根本的に解決できるのか?21世紀は地球的規模で資本主義の是非が問われる世紀になると考えています。こうした壮大な展望も持ちながら、直面する食料・エネルギー高騰問題に対応したいと思います。

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