2007年01月19日
百聞は一見にしかず。やっぱり現場を見てみるものですねえ。先日放送された「特集 景勝地に異変!!うごめく巨大公共工事」「衝撃の真相”箕面の滝”は人口の滝だった」(毎日放送「MBSボイス」12月14日放映)で取り上げられた「箕面トンネル」と「水と緑の健康都市」開発の現場を、番組にも登場し「とんでもない計画!」と喝破した堀田文一大阪府議に案内していただきました。
現場を視察してまず感じたことは、なんでこんなことを大阪府民の税金使うてせんとあかんのやろう、大赤字と大借金が確実やのにいったい誰が責任とるんやろう、という疑問です。
大阪府道路公社がつくっている「箕面トンネル」は、大阪市中心部から北上した新御堂筋(国道423号)が突き当たる箕面山系を、5.6キロの長さでぶち抜くもの。トンネルからの湧き水が、大阪の景勝地「箕面の滝」を細らせてしまったことが問題となり、ポンプを使って湧き水を滝上流の川に戻しています。トンネル内に入り、揚水パイプを見せてもらいましたが、思ったより細くこれで滝の水量が戻るのかちょっと心配…。揚水ポンプの電力には年間3000万円かかるといいます。 しかし、その程度の額はかわいいもの。トンネルの総事業費は800億円余。トンネルはこの春に供用開始されるのですが、交通量の見通しは、同じ長さの第2阪奈有料道路「阪奈トンネル」の7分の1しかありません。通行料金(片道600円)だけではとても事業費をまかないきれず、すでに多額の税金が投入されています(国170億円、大阪府140億円)。ええんかなあ…。
さらに問題なのは、番組が「ここまでして工事をすすめるのは、トンネルの向こうに大規模なニュータウンをつくっているため」と紹介した「水と緑の健康都市」開発。これも大阪府の事業です。 トンネルはまだ通れないので、山中のくねくね道を、滝やお猿をみながら、車で開発現場に向かいました。その間30分余。こりゃトンネルつくらんと人が住んでくれんわなあ…と実感。 山中から見下ろした「水と緑の健康都市」の開発現場の全容はとても広大(313ヘクタール)です。箕面山系の豊かな緑が、その部分だけ、まるで巨大なお好み焼き用のコテで削り取られたかのように無くなリ、土がむき出しになっていました。滝の水を枯らし、山の緑を剥ぎ取ってつくる「水と緑の健康都市」とはいったい何なのか!? これまでの経緯を見れば、いかにこの開発事業が無責任なものかよくわかります。バブルが破たんした91年、大阪府がこの事業に乗り出すことを決定。98年、総事業費2011億円をかけ、5000戸・1万8500人のニュータウンづくりに着工しましたが、オオタカの営巣が発見されたうえ、地価下落で採算が取れない見通しとなり、開発は2001年に「中断」されました。 ところが、その後大阪府は、すでに工事が着工していたことなどを理由に、まちの規模を縮小(総事業費985億円、2900戸・9600人)して工事を再開しました(今年秋にまち開き)。しかし、完売しても回収見込みは235億円にしかならず、分譲前から750億円もの赤字が見込まれているのです。
寒風吹きすさぶ広大な造成地の上で、大阪府の担当者から説明を受けながら思いました。これは税金使うてやる仕事やない!こんなことに使うんやったら、子どもやお年寄り、障害者、生活保護世帯への負担引き上げは絶対にやめてもらいたい!社会的弱者にもっとぬくもりのある施策をすすめてもらいたい!と。 この現実を、広く大阪府民に知らせなければなりません。そして、目前の選挙で、大阪府議会でこんな無駄、無謀、無責任な大規模開発に賛成してきた自民、民主、公明、社民の各党に、厳しい審判を下さなければなりません。府民の税金を食い物にしながらの大暴走に”待った”をかけられるのは、他の誰でもない大阪府民なのですから。 調査には、宮本たけし参院大阪選挙区予定候補、名手ひろき箕面市議も同行してくれました。