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”明るいナショナル”で暗い差別と人権侵害! 電気懇の総会であいさつ

2006年09月16日

photo 京都のホテル本能寺会館で開催された電気労働者懇談会(電気懇)第19回総会に来賓として出席しごあいさつ。電機大手の職場で働く労働者が、要求実現や労働組合の民主的発展などをかかげて活動しているのが電気懇。きょうも日立、東芝、松下、三洋、シャープ、NECなどの労働者が全国各地から集まりました。(写真は、NECの職場でうつ病の労災認定を求めてたたかい勝利したHさんと)

 2001年夏から、日本の電機大手各社は、相次いで大リストラ計画を発表し、強行しました。当時私は、党本部のリストラ反対・雇用を守る闘争本部事務局長として、毎日、新聞報道をチェックしていたのでよく覚えています。「きのうはA社で何千人」「きょうはB社で何万人」と大変暗い気持ちになったものです。

 リストラのやり方はどこでも同じ。中高年の正規雇用労働者を「早期希望退職」という名で職場から追い出し、代わりに安上がりで使い捨てできる「派遣」や「請負」などの非正規雇用に置き換えるというもの。「連合」傘下の労働組合がリストラに協力するもとで、電気懇の皆さんは「退職強要をはね返す何カ条」などのビラを配布し、職場と地域でたたかいを起こしていきました。

 あれから5年。いまや労働者全体の3人に1人、青年と女性の2人に1人が非正規雇用となり、「ワーキングプア」という言葉まで出回るようになりました。その大きな原因となっているのが電機大手の製造現場に広がる非正規雇用です。

 同時に、決して”やられっ放し”ではありません。人間らしい雇用を求めるたたかいもまた力強く前進しています。たとえば、松下プラズマの違法な「偽装請負」を正す吉岡力さんのたたかいです。松下は、請負会社に雇わせた労働者を、松下社員の指揮命令の下に、大阪の茨木工場で働かせていました。これは明らかに職業安定法違反です。職安法は、派遣先(松下)の指揮命令で使う労働者は、派遣先が直接雇うように定めています。松下は、法律違反をずっと続けていたのです。しかも、請負社員の給料は松下の3分の1で!

 なぜ、松下はこんなことをするのか?じつは、派遣先企業が指揮命令する「派遣労働」では労働者派遣法が適用されます。この場合、同一職場で労働者が1年間(来年3月からは3年間)働けば、派遣先企業に労働者を直接雇用する義務が生じるのです。労災事故も派遣先企業の責任が問われます。こうしたことから逃れるために、実態は「派遣」なのに、請負会社に仕事を丸ごと請け負わせた形をとる「偽装請負」が、大企業の製造現場で広がっているのです。

 05年、松下は、請負社員に、「働き続けたければ、別の派遣会社に移籍しろ」と言ってきました。しかも、その派遣会社は、時間給を350円も下げ、「この条件でしか雇わない」と言うのです。04年1月から請負社員として働いていた吉岡さんは、松下のやり方が許せませんでした。弁護士に相談するなかで、これまでの松下のやり方は、法律違反の「偽装請負」であること、違反の是正は、松下が直接雇用するしかないことを知ります。そして、松下に直接雇用を要求し、大阪労働局に松下の職安法違反の是正を求めて告発しました。

 その結果、大阪労働局が松下プラズマの違法性を指摘し是正指導。違法な「偽装請負」は解消され、吉岡さんは05年8月に松下の社員になりました。たった一人の青年労働者のたたかいが、大企業の違法行為をやめさせたのです。スゴイ!

 ここで終われば円満解決だったのですが、松下はそうはしませんでした。吉岡さんにしか適用しない「期間工」就業規則なるものをつくり、雇用期間を5ヵ月間に区切ってきました。そのうえ、吉岡さんをテントで囲い、他の社員と接触させないように隔離し、一人だけで仕事をさせたのです。朝会に出席させない、社内報や健康保険組合ニュースを渡さないなどの嫌がらせもしました。そして06年1月、吉岡さんを解雇したのです。「明るいナショナル」で「暗い差別と人権侵害」がやられたのです!

 では吉岡さん以外の請負労働者はどうなったか?05年7月21日付で違法な「偽装請負」の状態から、適法な派遣契約に切り替えられました。これで、1年たてば直接雇用の社員になる権利を得たわけです。ところが、1年を迎える直前、06年5月21日付で、松下は彼らを「派遣」から再び「請負」に切り替えました。松下社員が指揮命令すれば「偽装請負」ななるので、逆に松下社員を請負会社に「出向」させるという手の込んだやり方までとって!「明るいナショナル」の「姑息な脱法行為」です。

 こんなことが許されていいのか!違法行為を告発した一人の労働者を差別と人権侵害のうえに解雇し、ものづくりの現場で企業を支える大量の労働者を、あくまで安上がりの駒として使い捨てる。それも、1年という短期では効率が悪いので、手の込んだ「脱法行為」までやって都合よく使ってから捨てる。誰もが名を知る大企業の職場で、こんなことがまかり通れば、この国の社会はとても”いびつな形”になってしまいます。
 
 いま、吉岡さんは、北摂地域労組に加入し「職場に戻せ!」と松下を相手にたたかっています。「朝日」、「読売」、関西テレビ、『エコノミスト』、『東洋経済』、『文藝春秋』など多数のメディアが、吉岡さんを取材しました。そして、「格差社会」の根底に、大企業の違法な「偽装請負」「脱法派遣」の実態があることを告発するキャンペーンを張るようになりました。世論が大きく動き始めたのです。そんななか、9月4日、厚生労働省は違法な「偽装請負」を解消するよう通達を出しました。大きな成果です。

 松下に続き、東芝でも、「偽装請負」の是正を神奈川労働局に要請するなど、電機懇の仲間のたたかいは「人間らしく働くルール」をつくるうえで大きな力を発揮しています。そのことに敬意を表するとともに、政治の舞台で「ルールある経済社会」をつくるために、力を合わせましょうとあいさつしました。

 それにしても、目の前で、大企業の違法、脱法行為がまかり通っているときに、国会で自ら追及できないことが猛烈に悔しい!なんとしても来年の参院選で国会に戻り、吉岡さんたちのたたかいに連帯する論戦を展開したい!勝利へのモチベーションを一段と高めてくれた電気懇の総会でした。

 03年の「リストラ反対・雇用と地域経済を守る全国交流集会」でともに基調報告した全労連の寺間組織局長もお見えで、旧交をあたためることができました。

 ぜひ、吉岡力さんのHPをぜひご覧になって連帯と支援を!
 

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 総会の帰り、四条大橋から先斗町あたりの「床」が並ぶ風景をパチリ。京都ですね〜。

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