3月23日、「憲法第9条を守るコンサート」に行ってきました。たまにはいい音楽を聴いて心を豊かにしなくては、しかもそれが憲法を守る力になるのなら、と楽しみにしていたのですが、会場のドーンセンター(大阪府立女性総合センター)ホールは立ち見が出るほどの盛況ぶりでした。
冒頭から涙が出てしまいました。老田裕子さん(ソプラノ)の歌う「約束」という歌です。戦争中に母親と父親を亡くした少年。母と交わした「僕は泣かない」との約束…。戦争が子どもたちをどんなにつらい目にあわせるか、強く、深く、迫って来ました。芸術のもつメッセージ性を再認識しました。
横井和子さん(ピアノ)の弾くベートーベンの「月光」は圧巻でした。80歳を超える日本のピアノ界の重鎮のお一人ですが、導入部の静かな旋律で映画「月光の夏」を思い出し、後半の激しい旋律に心を揺さぶられました。司会の日下部吉彦さん(音楽評論家)との対話で、横井さんが戦争で夫を亡くされたことを知りました。
「結婚して間もないときでした。ビルマで戦死しました。私の息子はすでに還暦を過ぎていますけど、主人はいつまでたっても26歳のままです。戦争ほど愚かなことはありません。戦場で亡くなった人だけでなく、その周りの人たちまで悲しい目にあわせます」
横井さんは、コンサート実行委員会の呼びかけ人のお一人でもあります。会場でいただいたプログラムには「私たちは、改憲の動きに危惧し、憲法第9条を守りたいという一点での思いを集め、音楽家の良心から音楽を通して社会に意思表示をおこなうために『憲法9条を守るコンサート』を企画いたしました。この取り組みは、改憲が断念されるまで毎年継続してコンサートを開催していく所存です」とありました。
出演者、スタッフはすべてボランティアです。コンサート収益は、憲法9条を守るために使われます。そんな企画に、たくさんの音楽家の方たちが結集し、会場は超満員であふれる。この国の人びとの平和への熱情は、改憲派のそれを上回る強さを秘めているのだと改めて確信させてくれる夜でした。