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ラテンアメリカの”面をなす変革”

2004年12月21日

 午前中、党大阪府委員会の勤務員の皆さんに、中央党学校の「綱領」講義の報告会。昨夜の反省をふまえ、資料にこだわらず、志位委員長の講義のオリジナルな部分、私自身が大事だと感じた点を中心に話しました。皆さん一定以上のレベルの方なので、一から話す必要がなく自由にやれて楽しかった。2時間の予定がなんと1時間で終わってしまいましたが、「簡潔でよかった」「ポイントがよくわかった」と好評でした。

 夜は、党淀川・東淀川地区委員会主催の学習会「激動の世界と日本共産党」で講演。@拉致問題、日朝協議について、A現在の世界をどう見るか(20世紀の人類史的な変化をしっかりつかむ、植民地体制の崩壊が何をもたらしたか、21世紀――戦争と平和、経済のグローバル化をめぐる二つの道の対決)、B日本共産党の野党外交とその基盤(反戦平和の歴史、自主独立の路線、国内の草の根の活動)という内容で1時間10分お話しました。
 
 講演の準備の過程で発見し驚いたのは、ラテンアメリカ地域で進行中の大変革です。アメリカのお膝元ともいえるこの地域で、アメリカの支配から抜け出し、国民の利益を守ろうという新政権の樹立があいついでいるのです。

 98年12月ベネズエラ、03年1月ブラジル、エクアドル、03年4月パラグアイ、03年5月アルゼンチン、03年10月ボリビア、04年10月ウルグアイと、まさに”面をなす変革”が進行中です。
 
 思い起こせば2年前にキューバを訪ねたとき、ブラジルの大統領選挙の真っ最中で、キューバ共産党と政府の幹部は「おそらく左翼陣営が勝利するだろう」と予測していました。そして直後に革新派のルラ大統領が生まれました。そのときは「予測が的中したな」という程度の認識しかなかったのですが、じつはそれはブラジル一国の変化ではなく、南米大陸全体に広がる大変動の始まりだったのです。

 なぜこんな大変動が起こるのか。その背景にあるのが、IMF(国際通貨基金)による「新自由主義」と呼ばれる経済構造改革の押し付けです。80年代以降、ラテンアメリカ各国は、国際収支が悪化し、巨額の債務を抱えるもとで、IMFの経済自由化措置を受け入れます。IMFは、どの国に対しても一律に、規制緩和、民営化、社会保障の切捨て、投機の自由化を押し付けます。

 その結果何が起こったか。ノーベル賞受賞の経済学者スティグリッツ氏は「ラテンアメリカ諸国の経済成長率は、『改革』の実施前と比較すると半減した。国民一人当たりの所得は減少し、貧富の格差が拡大し、いくつかの国では総人口に占める貧困層の割合が上昇した。失業率が上昇し、雇用保障のないインフォーマル部門で働かざるをえない人の割合も増加した」と分析しています。

 多国籍企業の利益を第一とする”アメリカ型経済”の押し付けが、ラテンアメリカ全域を「失われた5年」に直面させたのです。

 これがラテンアメリカの”面をなす変革”の土台です。

 最も新しいウルグアイの左翼政権誕生について、「しんぶん赤旗」メキシコ市駐在記者の菅原啓さん(キューバ訪問にも同行してくれた方です)が興味深いレポートを書いています(『月刊学習』05年1月号)。

 人口340万人の小国ウルグアイは、パンパと呼ばれる広大な草原地帯で牛や羊の放牧が盛んに行われている農牧国です。食肉や羊毛の輸出で70年代までは国民生活も比較的豊かでした。ところが、80年代に入り、国際市場における輸出産品の価格低下、近隣諸国の経済不況の影響を受け、国際収支が悪化し、IMFの指示を受け入れざるを得なくなります。

 ウルグアイは20世紀はじめに、1日8時間労働制、老齢年金制度など当時としては世界的にも進んだ社会制度を確立していた国でしたが、こうした制度を次々掘り崩していきます。正規の雇用契約を結んだ労働者は13年間で8分の1に激減。1世帯あたり(4人家族)の最低必要生活費は月800ドルといわれているのに、約半数の世帯が300ドル以下の収入しかありません。

 世界有数の牛肉生産国のウルグアイで、国民が牛肉を食べられなくなっている。それが170年にわたり、共同で政権を独占してきた親米保守の二大政党を打ち破り、バスケス新大統領を誕生させる土台となりました。

 いま新自由主義政策の転換を掲げる南米各国の政府は、貧困層対策や民主的な税制改革などに共通して取り組んでいます。南米各国が団結して、アメリカの勝手気ままな振る舞いを阻止する動きも強まっています。

 戦争と平和をめぐっても、経済のグローバル化をめぐっても、「アメリカ一辺倒」の自民党政治に未来がないことは、地球の反対側で起こる大変動を見てもはっきり示されているのではないでしょうか。

 学習会には160人が参加してくれました。「本当に世界は大きく動いていることがよくわかりました。これからの活動に勇気を持ちえた。自民党政権の続いていることが何かこっけいに思えてきました」「東アジア地域とラテンアメリカ地域の話が新鮮で胸踊る思いがした。資料とその説明がすばらしい。広大なテーマの中心点をまとめた話に感服しました」などの感想をたくさんいただきました。激動する世界をリアルにつかむことは予想以上に大きな力となるようです。

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