「憲法の持つ力に確信をもった」「日本共産党の議席の値打ちがよくわかった」――18日、党大阪府委員会が主催した「憲法問題学習会」で共通して出された感想です。
学習会の講師は、山口富男衆議院議員。衆院憲法調査会の発足直後からのメンバーで、これだけ長く在籍しているのは中山太郎調査会長と山口さんだけ。調査会を毎回傍聴している市民団体からは”護憲派の論客”と呼ばれています。国会や党本部でいっしょに仕事をしていたこともあり、私が直接お願いをしたところ駆けつけてくれました。
憲法をめぐる攻防の最前線に身を置く山口さんの講演は、300人の参加者を90分間ひきつけました。
11月11日の衆院憲法調査会の公聴会で、宮沢喜一元総理に「過去50年余り、9条は務めを果たしてきた。どういうことがあっても、わが国は国外で武力行使すべきでない」と言わしめたのは、考え抜かれた山口さんの質問だったとは、私もはじめて知りました。場内に拍手が起こりました。
この日の公聴会の参考人は、宮沢元総理のほかに、中曽根康弘元総理、武村正義元蔵相。山口さんはどんな質問をするか悩んだそうです。そしてとった作戦は、中曽根元総理には改憲論をぶつのがわかっているのできびしく質問する、宮沢元総理と武村元蔵相には憲法を擁護する部分があればそこをふくらませる質問にする、というものでした。
実際、中曽根氏に対しては「あなたが改憲が必要としてあげた理由は、すべてこれまで『憲法の枠内』と説明してきたことではないか。自衛隊にしても、集団的自衛権にしても。これまでの説明は間違いか?」と鋭い一矢。中曽根氏は「誤解を招くので…」としか答えられませんでした。
そして宮沢氏に対する質問です。宮沢氏は冒頭の意見陳述で「国内外の変化に現憲法が対応できないとの意見があるが、日本国憲法は柔軟に書かれており、運用によって変化に対応することができる。いまの憲法をいじらなくても十分やっていける」と述べていました。そこで山口さんは「その考えには9条も含まれるのか?」とたずねました。5人の質問者のなかでそこを聞いたのは山口さんだけ。この質問が先の発言へとつながるのです。
自民党の元総理ですから、さすがに冒頭の意見陳述でみずから9条の問題を述べることはできなかったのでしょう。なにせ隣には改憲タカ派の総帥ともいえる中曽根氏が座っているのですから。質問者に聞かれたので自分の考えを述べたという形なら宮沢氏もものが言いやすいという訳です。山口さんはそこまで考えて質問をしたのです。
山口質問に対する宮沢元総理の発言は、翌日の「毎日」「東京」など各紙が引用し大きく取り上げました。そのことが憲法を守る国民世論と運動を励ますことにつながるのです。憲法そのものが持つ力とともに、日本共産党の国会議席のかけがえのない役割を見事にうきぼりにしてくれる話です。
憲法調査会の訪米調査で、アーミテージ国務副長官の「日本は集団的自衛権をもつべき」との発言に、山口さんがその場で反論し、アーミテージ氏が顔を真っ赤にしながらも「決めるのは日本の皆さんです」と言わざるを得なかった話も痛快でした。
カリフォルニア大学バークレー校のあいさつでは、自民、民主の議員でなく、日本共産党の山口さんの周りにアジアから来た留学生達が集まり「ナイススピーチ」と共感を呼んだことも、9条の持つ力のすごさを感じさせてくれました。
今日の学習を力に、立場の違いを超えた「憲法を守る」一点での対話と共同を大阪中にひろげるために、日本共産党の支部と党員がいっそう力を発揮できるよう私もがんばりたいと思います。山口さん、いいお話ありがとうございました。