これが昼休みなんや
労働者としての原点
私は鳥取大学を出て、先輩の紹介もあり、大阪のかわち市民生協でお世話になることになりました。
生協の商品を組合員に、トラックで毎日とどけるのが仕事です。組合員さん、大学出たての私にしたら、まあ地域のおばさまですね。みなさんとの話もできるし、仲間もみんな20歳代で若い。楽しく仕事をさせていただいたんですが、身体はしんどかった。
荷物が多いコースだと、午前中の配送が終わって事務所に戻るとすでにお昼すぎ。それから午後の分の積込みや入金作業をすると、休憩時間は昼食を一気にかきこむ時間しかないという状況でした。
「なんでこんなしんどいんや」若い職場には不満が鬱積(うっせき)していました。
でも、ただ文句をいうだけでは何も変わらない。そこで労働組合として実態調査をやろうじゃないかとなったのです。ストップウォッチ片手に、午前の配送から帰ってくる労働者一人一人の作業を分刻みで記録。全員分をまとめて問題点と改善方法を議論しました。
結論は、午前の配送から帰ったら入金だけ済ましてすぐ休憩に入ること、午後の分の積込みは午後一時から全員で協力しながらやること、そのために組合員さんに午後の配達時間が少しずれることへの理解を求めること。
やってみるとどうでしょう。全員見事に昼休みが取れるではありませんか。昼食後時計を見るとまだ三十分も休憩時間がある、当時は信じがたいほど画期的なことでした。せっかくかちとった時間だから有意義にすごそうと、ホームに着けた配送車の前のスペースでテニスに興じたことを覚えています。一球一球打つごとに、ええなあ、これが昼休みなんやなあ、と喜びをかみしめました。
もう20年近くも前の思い出ばなしですが、これが私の労働者としての原点であり、いまの政治家としての活動の土台となっていると思っています。