「なぜ17人の仕事がなくなり賃金もゼロになるのか」。労働者の憤りに満ちた声が響きました。郵政民営化にともない、長年、郵便物の輸送を専門に担ってきた近畿高速郵便輸送(株)、大阪エアメール(株)の2社が一方的に会社を解散され、労働者全員が解雇された問題で、全港湾阪神支部のみなさんと総務省に要請。(写真は、要請前の打ち合わせ)
今年の6月、私は国会で日本郵政の西川社長に、「日本郵政、郵便事業会社の方針で、職場を失い仕事をなくされようとしている労働者に対して、企業の社会的責任として仕事の斡旋、再就職の斡旋をすべきではないか」とただし、「先生のご意見を十分ふまえまして努力してまいりたいと存じます」との回答を得ていました。
その後、郵便事業会社にも直接申し入れたにもかかわらず、まともな仕事の斡旋はされていません。自動車、電機など民間大企業が競い合うように人減らし・リストラに走り雇用不安が高まるいま、政府が株式を100%保有している日本郵政グループが労働者を路頭に迷わすようなことは断じて許されません。総務省の担当者は、「郵便事業会社に伝えます」とのことでしたが、解決するまで労働者とともにトコトンがんばりたい。
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すばらしい集会でした。日本弁護士連合会が国会内で開催された「〜ワーキングプアの解消に向けて〜労働者派遣法の抜本改正を求める11・20院内集会」。(立って発言しているのは仁比議員)
5人の当事者からの実態報告は胸に突き刺さるものばかりでした。トヨタ車体に日研創業から「住み込み派遣」されていた青年は、突然の「雇い止め」で「仕事」と「住まい」の両方を一気に失ってしまいました。政府の派遣法改定案が、雇用期間1ヶ月の派遣を認めていることを「常に解雇予告されながら働くことと同じだ」と批判し、「まじめに働けば暮らせる社会にしなければならない」と訴えました。
三菱重工高砂製作所で派遣として働く46歳の男性は、「偽装請負」解消のため知らない間に派遣にされ、また請負に戻されました。高温高圧のガスが通る筒状の金属部品の断面をグラインダーで削りつなぎ合わせる仕事は熟練が必要で、「三菱重工の新入りの正社員に仕事を教えたこともある」といいます。正社員として雇用するよう三菱重工に直訴した男性は、「私は父親として家族を守りたいだけなのです。安心して働きたいだけなのです。どうかみなさんお力をお貸しください」と声を詰まらせながら訴えました。
5人の訴えに共通していたのは、対等な人間としての扱いを受けてないことでした。「派遣に安定性を求められても困る」(日研創業)、「お前らは雇用の調整弁や」「お前らはティッシュペーパーと同じじゃ。代わりは何ぼでもおる」(三菱重工)、「不満ならやめたらいい。代わりはいくらでもいる」(外国航空会社)、「派遣のクセに生意気な奴」(倉庫会社)など、低賃金・不安定にくわえ、人間としての尊厳を傷つけられているのです。人間としてこれは放置できません。
集会には、民主党、社民党、国民新党、公明党の議員、連合の代表も参加していました。私は、「いろいろ立場はあるが、私たちがよって立つべき一致点は、5人の方たちのような働き方をなくすことだ。こんな働き方が拡がったのは自然現象でもなければ労働者の責任でもない。派遣労働を認める法律をつくったからだ。ならば元に戻すのが立法府に身を置くものの歴史的使命だ」と発言。5人の当事者の報告を聞いて心底感じた思いでした。
日弁連のみなさんが国会内でこのような集会を開いてくださったことを最大限に生かし、派遣法抜本改正めざす国会のとりくみを一気にステージアップさせなければいけません。