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 新春対談 品川正治さん 山下よしきさん

 

 経済界のリーダーの一人で、憲法9条を守ろうと全国を行脚する品川正治さん。「あったかい人間の連帯を国の政治に」と、この夏の参院選「比例代表で5議席を」とたたかう日本共産党の山下よしき元参議院議員。2人が憲法、教育、暮らしと経済、若者について縦横に対談しました。

山下 品川さんは「『戦争を起こすのも人間なら、戦争を許さない努力ができるのも人間』ということが私の座標軸」と、今、憲法9条を守ろうと訴えておられますね。

「敵はいない」日本「世界中が敵」の米

品川正治氏品川 それは、僕の戦争体験から体得したものです。戦争中、「国が戦争を起こした中でどう生きるのか」を考えていましたが、戦場での戦闘を直接体験して、問題の立て方が間違っていたと思いました。戦争を起こした人間がいたわけだし、戦争を止めることができるのも人間しかいないと。これが僕の戦後の一貫した座標軸になりました。

 小泉前首相は「日米は価値観を共有する」といいましたが、平和憲法をもっている日本と、ずっと戦争をしているアメリカの価値観はまったく違います。憲法9条2項は、世界に敵はありませんという立場であり、アメリカは世界中に敵がいるという立場です。

 日本は世界第2位の経済力を持つ国ですが、アメリカのような軍産複合体はなく、産業構造は平和産業です。 日米の価値観は違うことをハッキリさせることが大事です。

山下 戦争と平和の問題について、私は若い人に3つのことを一緒に考えてほしいと話しています。

 一つは、戦争の事実を知ろう。空襲や原爆による被害とともに、侵略や植民地支配をした加害についても事実を知ること。二つめは、世界をよく見よう。戦争は過去の問題でなく、イラクなど今、生きる人たちが戦渦にさらされていることを自分の問題として考えてみよう。三つめに、戦争を絶対にしないと決めた憲法9条を守るために力を合わせようと。 この話は若者も受け止めてくれています。

品川 孫娘にどう言えば戦争体験を伝えられるのかを考えて、戦争はすべての価値観が「勝つため」という価値観に従属してしまったこと、すべてが戦争に動員されたこと、戦争指導部が国家の中枢に入ったことを話しています。実戦経験もあり、足に弾が残っている私の言葉には、生々しさを感じているようです。

とんでもない財界の教基法改悪要求

品川 僕は、一人息子の夫婦に先立たれました。嫁は孫が4歳の時、息子は孫が12歳の時に亡くなり、僕と妻が孫を育てることになって、教育の当事者になりました。授業参観にも行きました。教育の当事者になると、「先生はダメ」なんて思わない。教育の難しさ、先生の苦労を垣間見て、子どものために先生に協力したいと思いました。 政界、財界で「教育改革」という人たちは、そんな現場が見えていない。教育基本法の改悪を財界が要求したことは、もってのほかです。

山下 昨年は教育基本法が改悪されましたが、改悪反対運動の中で財産ができたと思います。 「いじめ・自殺」や子どもと教育について、父母や先生、大人たちが子どもを真ん中において話し合う取り組みが、草の根で広がりました。

 子どもを真ん中において話し合ったら、どこからも、「愛国心を教えるべきだ」「競争と振り分けの教育をやるべきだ」という話は出てこない。

 子どもがいる限り、子どもたちのために頑張る父母、先生たちがいる限り、子どもたちの成長のための教育の営みは続きます。

品川 息子は政治学者で、教育行政学の講義もしていました。晩年がんと闘いながら、娘の13歳から22歳の「誕生日に1冊ずつ渡してほしい」と10冊のノートを預かりました。娘にあてた遺書でした。教訓じみた内容でなく、言葉づかいも年齢に合わせていました。

 15歳のノートには「家事はおばあちゃんに頼むのではなく、たまにはお勝手に立つように」と、味噌汁の作り方まで書いてありました。22歳のノートには「失恋したでしょう」と自分の失恋談を書いていました。さすが教育者だと思いました。

山下 ぐっとくるお話ですね。

品川 今の教育の状況を見て、戦後の教育は失敗しているとは思いません。フルートの好きな孫は、小学生の時、自分で区役所と連絡を取り合って、老人ホームや福祉施設の慰問に回っていました。自分の時代より、うんと社会性を身につけていると思いました。

山下 同感です。阪神大震災の時、多くの若者がボランティアで被災地の救援に駆けつけました。若者は、自分の問題として感じる心を持ち、行動する力を持っています。

「世界変えられる」に若い人が響く

山下 私は、憲法改悪をはね返して憲法を守る意義を広い意味でつかんでもらおうと考えて、「憲法を守ることができたら、日本の政治が変わります」「国の根本法である憲法の改定に国民がノーと言えば、首相の交代ではすまない、国のあり方が前向きに変わります」と言っていました。

 その時、革新懇の本で品川さんが「憲法を守ったら世界が変わる」と語っておられるのに触れて、スケールの大きい話に感銘を受けました。

品川 国民が憲法改定にノーと言えば、日中関係が変わります。日中関係が変われば、日米同盟を太平洋で強化しようとするアメリカの戦略は困難になり、日米関係も変わらざるを得ません。 世界第2位の経済力を持つ日本で、国民が9条改悪にノーをつきつけたら、ベルリンの壁の崩壊以上に、世界に影響を与えると思います。

山下 世界を変えられるという話をしてみたら、若い人にすごく響くことが分かりました。

 若者はアフリカなど世界の貧困に心を痛めています。アメリカ言いなりの軍事優先をやめれば、世界の子どもたちを救うことができる。そのことが伝わると若者たちの目が輝きます。品川 今の若い人たちには自信を持てますね。

 私が所属している国際開発センターでも、多くの若い人、女性が多いですがアフリカや中南米の現地で活動しています。ある30代の女性は、数千人のボランティアを支援して、現地の政府とも交渉している。よくやるなあと思います。

 広く世界を見ているし、指導力も持っている。日本も捨てたものではないぞ、21世紀の日本は世界のための日本だと彼女たちが示してくれるのではないかと感じます。

弱者救済する力を使わないのは犯罪

品川 安倍内閣の政策の中心は「成長」です。日本のエネルギーをみんなそこに振り向けようとしています。

 経済は誰のためにあるのか、何のための経済かを考えれば問題点がハッキリします。イギリス、フランス、ドイツ…、どの国が好きかと聞かれたとき、その国のGDPや成長率を基準に選ぶ人はほとんどいないでしょう。

 日本はそれらの国々よりはるかに経済力は大きいのです。さらに1%成長させるのはものすごい大金が必要です。そのため年金や社会保障を改悪し、家計から収奪しています。 「成長」に対して「もったいない」という言葉が必要になっています。本当に国民に必要な福祉は、日本の国力があれば、世界で一番容易にできるはずです。

山下よしき氏山下 障害者に重い負担を押しつけた障害者「自立支援」法が悲劇を生んでいます。

 12月に滋賀県で、障害を持つ二人の娘さんと43歳の父親が無理心中されました。休日には娘さんを博物館に連れて行き、養護学校の運動会では手作りのお弁当を食べさせていたという父親は、いったいどういう気持ちで心中を図ったのか…。悲しくて悔しくて涙が止まりませんでした。

品川 日本には豊かさの一方、地獄絵図があります。弱者を救う力を日本はもっているのに、それをしないで、大企業のために使うような共犯者にはなりたくはありません。

山下 犯罪行為だと…。

品川 できることをしないで、その逆の方向に進んでいる政治に我慢なりません。これを放っていたら、この国の将来はありません。経済は国民生活に従属すべきもの

山下 住民税や国保料、介護保険料の負担増で「長生きしても一つもええことがない」というお年寄り。仕事につけなくて、2人に1人が非正規雇用、「どうせ俺の将来はホームレス」という若者。日本社会は進歩どころか、後退しているのではと思います。

 品川さんが著書で「経済は国民生活に従属すべきもの」とおっしゃっているのを拝見して、我が意を得たりです。「国民の生活のために経済はある」と、人間より経済が優先されていることを痛烈に批判されています。

 それを経済人の方がおっしゃっていることに意を強くしました。

品川 経済は誰のためにあるのか、「俺のためだ」と思ってやっている社長はいません。

 今、アメリカの圧力で市場原理主義が導入されて、経営者が市場から問われるのは、何を作っているか、どんなサービスを提供しているかではなく、利潤率だけです。産業人としてやりきれない思いです。

 かつて市場に対してものを言えるのは、経済団体だけでした。個別企業がものをいうと株価を下げられるからです。今は経済団体も市場原理主義を奉じています。企業が経済団体に入っている意味がなくなっています。

 自分たちの産業や仕事が社会で担っている役割や誇りを、経営者が語れないなら、働く人たちが発言することが大事だと思います。

国の進路決めるのは国民しかいない

品川 「日本は平和憲法を守る」「経済は国民生活に従属する」、この道を行きますと言えばいいんです。

 憲法通りにやれば、日本は十分な形になる。今の役人は優秀ですから、国民がこの道を行くと決めれば、十分やっていけます。日本が世界で一番いい国だと言われるのは、さほど難しくないと思います。

山下 品川さんは「この道を行く」と決めるのは、国民にしかできないことだともおっしゃっていますね。

品川 その通り、今、国民の出番です。

 外交官が日米関係を変えることはできません。国民が改憲にノーをつきつけて、アメリカ型ではなく、憲法に沿った道を進むことを決めたら、それが可能になります。

山下 私は街頭演説でも、若者に向かって「就職できていますか。正社員になれないからといって、自分が悪いと自分だけを責めないでください。悪いのはあなたではない。人間らしく働くルールを壊した大企業のリストラ戦略と政治の責任です。一緒に政治を変えていきましょう」と訴えています。

 それを聞いた若者が泣きながら、「あなたが悪いんじゃないと言われて救われた」と話してくれたこともありました。

 今、若者はそこにとどまらず、行動を起こしています。昨年は松下プラズマ(高槻市)の青年、トヨタ系部品メーカー(徳島)の青年たちが、「偽装請負」から直接雇用へと、闘って道を開いています。1600人の請負労働者全員を正社員にすると発表した企業でも、17人の若者が労働組合を作ったのが発端でした。

 国の進路を決めるのは国民しかいない。その若者の決める力、行動する力が前進しています。

 「偽装請負」「サービス残業」でも法律どおり解消するだけで、何十万人、何百万人が貧困から抜け出すことができます。これをすべての職場、若者に広げていきたいと思います。

品川 「自分のせい」と思っている人に、それは違うよと示すことができたのは大きな仕事ですね。自分を責めて、自殺に追い込まれる悪循環を、ここらで断ち切る必要があります。

山下 今、東南アジアでも、中南米でも平和の波、変革の波が起きています。いずれも「国民の暮らしを犠牲にするアメリカ式の経済ではダメ」「アメリカとの軍事同盟に縛られず、平和の道を」が共通しています。

 品川さんが言われた、「日本は平和憲法を守る」「経済は国民生活に従属する」「この道を行くと決めるのは国民」というのも、世界の変化につながるものですね。

品川 21世紀は、アメリカを問う世紀になるでしょう。それは、もう始まっています。

山下 そんなときにアメリカ一辺倒で、平和も国民生活も壊すような政治をいつまでも続けさせるわけにはいきません。今年が政治の流れを変える年になるよう頑張ります。

品川正治(しながわ・まさじ)1924年兵庫県神戸市生まれ。44年、徴兵で中国戦線へ。東京大学法学部卒。現在、国際開発センター会長、経済同友会終身幹事。日本興亜損保(旧日本火災)の社長、会長、経済同友会副代表幹事、専務理事を歴任。近著は『戦争のほんとうの怖さを知る財界人の直言』(新日本出版社)、『これからの日本の座標軸』(同前)、『9条がつくる脱アメリカ型国家――財界リーダーの提言』(青灯社)。


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