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国民の中で党を語る−民主的改革に共感は広がる

「党員・読者拡大の大運動」の前進めざして

山下よしき

 この論文は、「月刊学習」誌の求めに応じて、山下よしきさんが執筆し、同誌2003年9月号に掲載されたものです。ホームページ掲載にあたり、一部手直しした部分があることをご了承ください。
  「月刊学習」とは、日本共産党の路線や政策、歴史、科学的社会主義などをわかりやすく解説した学習と活動のための雑誌です。「月刊学習」のホームページ→リンク

 年内の解散・総選挙の可能性が高まるなか、政界はいっせいに走り出しています。「党員・読者拡大の大運動」を成功させ、党勢拡大の新しい上げ潮のなかで、総選挙と党大会をむかえることがいよいよ大切になっています。私は、街頭での訴えでも、国民のみなさんとの対話でも、学習会でも、日本共産党がいまの日本と世界をどう見て、どう変えようとしているのかを、第六回中央委員会総会(以下単に「六中総」と呼ぶ)の決定や、綱領改定案をベースに語っています。

 国民のなかに足を出せば出すほど、六中総決定や綱領改定案を豊かに語る中身ができるし、入党者や「しんぶん赤旗」読者をむかえる力がつく、これが私の実感です。

アメリカ追随の政治からぬけだし、新しい政治に

 私は、街頭でも、対話でも、イラクへの自衛隊派兵問題をとりあげます。「イラクに自衛隊を送る、それでいいんでしょうか」と問いかけています。イラク特措法が自民党、公明党など与党によって強行されましたが、有権者を訪問すると、ドアを開くなり、イラクへの自衛隊派遣は納得できないという方が少なくありません。イラク戦争には大義があったのか、イラクはいまどういう状態なのか、国民の多くが冷静に考えていると感じます。

 □安保廃棄を要求する党に反響がつよくなっている

 イラクでは、米軍の占領にたいして、イラク国民の猛烈な反発がおこっています。毎日のように武力衝突がくりかえされ、二日に一人の割合で米兵が死亡しています。米軍司令官がイラク全土が戟閑地域だと明言しているところに、自衛隊を派兵し、米軍を支援すれば、自衛隊がイラクの国民に銃を突きつけることになりかねないし、逆に自衛隊がイラク国民の標的にもなりかねません。小泉首相は、「殺されることも、殺すこともあるだろう」と国会で答弁しましたが、とんでもないことです。私は怒りをこめて次のように訴えています。

 憲法九条をもつ日本が、よその国に軍隊を送り込んで、他国の国民を殺す───こんなことは、これまでただの一度もなかったし、これからも絶対にあってはならないことです。

 いまイラクに必要なのは、自衛隊を送ることではありません。日本共産党は、先日、イラクに現地調査団を送りました。四十度をこえる猛烈な暑さがつづくなかで。戦争で水道が破壊され飲料水がありません。下水も壊され、汚水の処理もできず、伝染病の流行が懸念されています。病院や学校の修復も急がれます。イラクでいま一番もとめられているのは、こういう生活基盤、社会基盤の復興であり、そのために必要な専門家や技術者ではないでしょうか。アメリカにいわれるまま、とにかく自衛隊を送るというやり方にストップをかけて、イラク国民がほんとうにもとめている生活の再建に役立つ支援に切り換えるために、日本共産党は、みなさんと力をあわせてがんばります。

 同時に、国の政治を根本から変えることが大事ではないでしょうか。戦後半世紀以上たっているのに、外国の軍隊、米軍の基地が居座りつづけ、そのアメリカのおこなう戦争にたいして、世界中が反対していても、ひたすらつきしたがっていく。そして今度はイラクに.自衛隊を派兵しようとしています。こんな情けない、アメリカ追随の政治からぬけだして、憲法九条を堂々と訴える自主独立の新しい日本の政治をつくる、今度の総選挙はその第一歩をひらくチャンスです。

 日本共産党は、こういうアメリカいいなり政治の大本にあるアメリカとの軍事同盟、日米安保条約を国民の総意でなくそうといっているただ一つの政党です。この党が伸びてこそ、世界の平和に貢献し、世界やアジアの人びとと、ほんとうの友好関係をつくるまともな日本の政治ができるのではないでしょうか。

 「安保条約をなてすことを掲げるただ一つの党が伸びてこそ」という訴えは、新聞やテレビが民主党と自由党の合併問題を大キャンペーンし、総選挙を「二大勢力の対決」と描こうとしているもとで、とても大切です。また、反響もつよいと感じています。先日、あるお店を訪ねると、ご主人は、民主・自由の合併問題を報じるテレビ番組をじっとみていました。この方に先のお話をすると、「それはそうやねえ」と大きくうなずきながら納得され、「しんぶん赤旗」を読んでくれることになりました。

 □国民の反戦・平和の願いは強く、大きい

 たしかに、有事法制やイラク特措法がとおって“ガックリ”とか、民主党も含め団会議月の九割が有事法制に賛成してお先真っ暗″との声も一部にあります。しかし、私はイラク戟争をとおして、日本の国民 のなかに、反戦・平和の巨大なエネルギーが蓄えられたと思っています。

 大阪城公園で若者二千五百人が、「せんそうアカン!」の人文字を作りました。そこには二千五百のドラマがあったと思います。ある民間企業で働いている若い女性研究者は、友達と和歌山に旅行へ行く途中、別の友達から「人文字つくろう」というメールを受け、「こういうことをやりたかった」と旅行をとりやめて大阪にもどり、職場の友人にも広げて人文字に加わったと聞きました。全国各地でくりひろげられたイラク戦争反対の行動は、まさにそういう一人ひとりのドラマの結晶ではないでしょうか。

 このエネルギーは決して一過性のものではないと思います。今後、日本の自衛隊がイラクで米軍を支援する、あるいは、アメリカがイラクの次の標的におこす戦争に、米軍といっしょに出かけて支援することになれば、必ずや、国民、青年は立ち上がり、声を上げるでしょう。それはすでに、イラク派兵反対の世論が急速に高まっていることにも示されています。国会で数の力で押し切られたからといって、たたかいは終わりではない、という根拠がここにあると確信しています。

 六中総決定や綱領改定案は、イラク戦争をめぐつて、世界の戦争反対の動き、国連の役割の発揮など、情勢を歴史の大きな流れのなかでつかむことを提起していますが、日本の国民、青年が果たした役割を、そういう日でつかむことが、明るく、元気に活動する力になると感じています。

暮らしと経済───打開もとめる強烈な願いにこたえて

 全国どこをまわっても暮らし、経済の深刻さを痛感します。そして、なんとか変えてほしいという国民の気持ちは強烈です。私の選挙区は大阪市内の淀川、東淀川、西淀川、此花の各区ですが、中小企業が多いところで、小泉内閣の悪政が直撃しているところです。

 口小泉内閣の二年間が国民にもたらしたもの

 淀川区選出の党大阪市議会議員団長の姫野浄さんから、最近、こんな話を聞きました。いっせい地方選挙が終わってから、生活相談が急増しているというのです。一カ月五十件をこえるほどで、特徴として、パート、派遣など不安定雇用にかかわる相談が多くなっている。しかも、数が増えただけでなしに、中身が悪くなっているといいます。

 たとえば、ある高齢の女性からの相談は、昨年までパートの時給が九百円台だったのに、今年になって八二自円台になり、最近七百円台に切り下げられ、とうとう家賃も払えなくなったというものでした。この方は、数万円の年金とパートの収入で独り暮らしの生活を支えていました。姫野さんは相談をうけて、生活保護を申請することにしたそうですが、ちゃんと仕事をしている人までもが、生活保護を受けなければいけないところにまで追いつめられているということです。

 また、西淀川区は町会ごとのお祭りがさかんな地域ですが、北山良三市議会議員は、今年はお祭りの寄付金が集まらなくなっている、去年三千円くれた方が、「千円で勘弁してくれ」とか、企業でも「今年はようださん」と、地域のお祭りにも不況が影響していると語っていました。

 小泉首相になって二年たちましたけれども、この二年間に経済の指標でよくなったものは何ひとつありません。上がった数字は失業率と倒産件数、下がった数字は家計所得と株価です。とくに家計所得の落ち込みは深刻です。この二年間で勤労者世帯の収入は年収で三十二万円も落ち込みました。こんなことはかつてなかったことです。

 いま経済対策というのであれば、この落ち込んだ家計所得をいかにあたためるか、というのが要(かなめ)中の要です。ところが小泉内閣が「改革」といってやっていることは何か。この四月から、お年寄りの暮らしの支えである年金を初めて切り下げ、サラリーマンの医療費も大幅に引き上げました。そのうえに、消費税率を一〇%台にするという。これではますます家計所得が奪われ、消費が冷え込み、企業はリストラ・人減らしに走り、中小企業の仕事も減るでしょう。

 □経済を立て直す大きな方向を示しす

もうハッキリしました。小泉内閣の「改革」は、やればやるほど暮らしも沈没、景気も沈没です。私ほ街頭で、国民の暮らしを応援する政治でこそ、日本と大阪の経済を立て直す道が開けることを訴え、次のような提案をしています。

 一つ目の提案は、税金の無駄遣いをやめて、国民の暮らし第一に予算の使い方を切り換えることです。先日、長野県に行って来ました。副知事にお会いしてお話をうかがってびっくりしました。田中康夫知事のもと、「脱ダム宣言」、ムダなダムをつくるのはもうやめて、県民の大事な税金は県民の暮らしのためにまず使おうと、大きな変化がおこっています。

 たとえば、お年寄りの福祉施設の建設が県下五十数カ所で一気にはじまる、三十人学級も予算がついてスタートしました。みんな大喜びです。ムダをなくせば、暮らしや福祉、教育を前にすすめる道は開ける。長野一県でもこれだけのことができるのですから、国全体の予算の使い方を変えたらどれだけのことができるのか、わくわくするじゃありませんか。

 大阪は、無駄遣いのチャンピオンです。大阪湾を埋め立てて関西空港に二本目の滑走路を造っていますが、これが一兆五千億円です。旅客機の便数が減っているときになぜ滑走路を増やすのか、専門家も採算はとれないと指摘しているのにやめられない、とまらないのです。

 全国でおこなわれているこうした無駄遣いにメスを入れて、暮らし、福祉、教育を前進させる予算に変え、将来の不安を取り除けば、「消費は拡大、商売は繁盛」ということになります。この道をごいっしょに切りひらこうではありませんか。

 二つ目の提案は、働く人の雇用を守るルールをつくろうということです。∃−ロッパでは、企業はもうけのためなら何をやってもいいという考えは通用しません。従業員の雇用を守る責任、下請け中小企業の経営を守る責任がある、これらを守ってこそ企業も経済もまともに発展できる───これが、ヨーロッパではあたりまえの考え方であり、企業が勝手にリストラ・首切りできないしかけがつくられています。

 ところが日本では、そういうルールが弱いし、あっても守られていません。私は、参議院議員だったときに一つの提案をしました。「残業しても残業代を支払わない「サービス残業」は労働基準法違反の犯罪行為だが、残念ながら日本の職場ではまかり通っている。サービス残業をなくせば、雇用をうんと増やせる」と。最近、第一生命経済研究所が同じような提言をしました。全国の職場で「サービス残業」をなくし、雇用に置き換えれば、新たに百六十万人の雇用を生み出せるというのです。いま全国で失業に苦しんでいる方は三百五十万人ですから、約半分が解消されることになります。しかもこれは国の予算が一円もいらない。企業にいまあるルールを守らせるだけでこれだけの効果があるわけです。こうした企業の社会的責任、ルールをしっかり守らせる政治をつくろうではありませんか。

 いま、二つの提案をしましたが、どの政党、政治家でもできるというものではありません。企業からたくさんお金をもらっているような政党は、企業に厳しく対応を迫ることも、はっきりものをいうこともできません。

 日本共産党はゼネコンであれ、銀行であれ、どんな企業からもー円の献金もうけとっていない政党です。だからこそ、ムダをなくそう、雇用を守るルールを守らせようと、国民のみなさんと同じ目線でがんばることができるのです。今度の総選挙でこの党を大きく伸ばしてください。私を国会に押し上げてください。

 先日、団地で演説していたら、ずっと座って聞いていた中年の男性が、「ムダ遣いをなくすというのはその通りや。あんた今度、選挙に出るんか。がんばりや」といってがっちりと固い握手をしてくれました。

 暮らしがこんなに苦しいときに、自分たちが納めた税金がなぜ国民のために使われないのかという思いは非常に強いし、私たちのめぎす民主的改革はそういう人びとの心に響く力をもつと、宣伝や対話のなかで実感しています。

国民のたたかいが刻みこまれた民主的改革

 綱領改定案に示された民主的改革の内容が、国民の共感をよぶのは偶然ではないと思います。
 学習会などで私がよく話すのは、民主的改革の内容は机の上でつくられたものではなく、国民のたたかいのなかから練り上げられたものだということです。

 □青年の命のかかったたたかいに学び

 たとえば、「ルールある経済社会」という改革の具体的な内容の一つに、「サービス残業」をなくすという問題があります。党は、二〇〇〇年に「サービス残業」根絶法案を国会に提案しましたが、企業に労働者の始業・終業時刻を管理する責任があることを明記したところに大きなポイントがありました。

 これは、たたかいから学んだものです。たとえば、大手広告代理店「電通」 の社員だった大嶋一郎さん(当時二十四歳)が、長時間労働のすえに「過労自殺」した事件で会社側の責任を追及した裁判闘争です。

 裁判で壁になったのは、「電通」にはタイムカードがなく、何時から何時まで働いたのか正確な記録がなかったことです。一郎さんが「自主申告」した残業時間は実際よりうんと短いものでした。しかし、早朝に帰宅し、ワイシャツを着替えてすぐ出勤する毎日だったのに、そんなはずはないと、ご両親が執念をもって追求するなかで、「深夜退館記録」が残されていたことがわかったのです。実際には、一郎さんは、自殺するまでの一年五カ月は、残業と徹夜の連続でした。過労死の境界線といわれる年間三千時間をはるかにこえる三千五百時間の労働時間でした。

 ご両親はこの記録を会社に突きつけました。会社はそれでも、勝手に働いたのであって、会社が遅くまで仕事をしろと命令したのではない、休みをとればよかったのだなどと主張しました。挙げ句の果てに、冷たい家庭だったので家に帰りたくなかったのではないかとまでのべました。

 会社側のこの非情な対応に、ご両親は、家族一緒の写真を何校も提出して、どんなにあたたかい家庭であったのか反論されました。その結果、最高裁も会社側の言い分をしりぞけ、全責任は会社側にあると断じました。判決は、企業は「労働者の心身の健康を損なうことがないよう注意する義務を負う」とまで明記しました。

 日本共産党が提案した「サービス残業」根絶の法案は、こういう青年労働者の命のかかったたたかいに学んでつくられたものなのです。

 □「ルールある経済社会」は切実な願い

 また、こういうこともありました。私は、毎週はじめ、朝五時台の列車で大阪から東京に向かうのですが、あるとき夜明け前の駅のホームに見覚えのあるシルエットを発見しました。NTT労働者のKさんでした。「こんなに早くどうしたんですか」と聞くと、「いまから名古屋へ出勤です」というわけです。NTTは一昨年、五十歳をこえた労働者を全員退職させて、賃金を三割カットして子会社に移す、という前代未聞の大リストラを計画し、強行しました。対象となる労働者の数は十一万人にのぼります。Kさんたちは、何十年もNTTのために働いてきた労働者にそんな仕打ちをすることは納得できないと退職を拒否、NTTに残ってがんばる道を選びました。それにたいしてNTTは「広域配転」ということで、九州で働いていた人を大阪へ、大阪で働いていた人を名古屋へと飛ばしたのです。

 技術畑一筋の人間を、土地勘のない地域で営業の仕事につけるなど、なんの合理性もない、私にいわせればただのイヤガラセでしかありません。これが日本最大の企業、しかも政府が株の半分を持っているNTTでおこなわれているリストラの実態なのです。同じ資本主義国でもこんなやり方はヨーロッパでは通りません。そもそも五十歳をこえた労働者を一律に退職させるなど、明らかに年齢による差別です。それに従わない者を見せしめのために遠隔地に飛ばすなど人権侵害です。

 私は、この話を聞いて非常に悔やしく思いました。五十歳をこえての単身赴任や新幹線通勤は心身ともにきついでしょう。同時に、Kさんたちが、「負けてたまるか」と、仲間を信頼して職場でがんばっていること、ジュネーブにまでいって国連人権委員会やILO(国際労働機関)に自分たちの問題を告発していることを知り、誇らしくも思いました。こういう人たちのたたかいが、こんな社会を変えたいという思いが、「ルールある経済社会」をという提案には刻みこまれていると思っています。

 ですから、私はいうのです。今度の綱領改定案には、青年労働者の命が込められているし、労働者のたたかう血潮が渦巻いている″と。だからこそ、綱領改定案は、多くの人の心をつかむ力、生命力を持っているのだと思います。

 先日、中小企業で働く労働者のみなさんと、「日本共産党を知る会」をもちました。そこで以上のようなお話をさせていただいたのですが、「山下さんの話を聞いて元気になった」と四十一歳の労働者が入党してくれました。

 入党懇談のなかで、ある大企業からの受注が会社の仕事の九割を占めていたのに、それが突然打ち切られ、経営危機にひんしていること、労働組合としてその大企業に出かけ、仕事をまわすように要請するなど、職場を守るたたかいにとりくんでいることが出されましたが、これも「ルールある経済社会」をひらく立派な活動だと逆に私の方が学びました。こうした懇談の場が、綱領改定案をより豊かに仕上げていく積極的意味をもつのだと感じています。

 口中小企業でのとりくみ、未来社会論に目が輝いて

 また先日、青年とのトーク集会の後、環境関連の中小企業で仕事をしている青年に入党をすすめました。彼は、民青同盟に加盟したばかりだし、会社で共産党員として活動していくにはまだ自信がないから入らない、といっていましたので、よく勉強して、納得して党に入ってくれたらいい、といって対話になりました。

 彼は、中小企業では、労働者が権利だけを主張していたら経営が危なくなるのではと心配していました。私は、その心配は非常に大事だといったうえで、中小企業の経営者は、資本家であると同時に、大企業によって収奪されているという二面性をもっていること、だから日本共産党は、大企業の利益第一の政治を改革するために、中小企業の経営者とも共同をすすめる立場に立っていることを話しました。そして、中小企業の経営者はどうすれば経営がうまくいくか、雇用をどう守るかを真剣に考えている、ただ大企業とちがってスタッフがいなかったり、いい知恵がでず、安易に労働者にしわ寄せして、乗り切ろうとする場合も少なくない。そういうなかで、労働者の側から知恵をだして経営改善を提案することも大事だと話しました。ある中小タクシー会社の労働組合は、介護士の資格をとって、福祉タクシーをはじめることを提案、実現し、みんなが勉強して資格をとって、利用者も増え、経営も安定してきたことを紹介しました。彼はくいいるように聞き入っていました。

 彼が関心をもったもう一つが党の未来社会論でした。綱領改定案は、資本主義が巨大に発達した生産力を制御できないもとで、環境問題や南北問題、恐慌がおこっていることを分析し、そういうゆきづまった資本主義の諸問題を打開する新しい社会を展望している。これから世界がどうなっていくのか、環境をめぐってどのように生産活動、経済活動をしていったらいいのかのヒントがあるからぜひ読んでほしい、と語ると目を輝かせていました。

 労働者としてよりよい仕事がしたい、自分の能力を社会に役立てたいと願いながらも、どう実現したらいいか悩んでいる青年たちの気持ちに、綱領改定案は希望の灯をともす力をもっています。こうした対話はとても楽しいものです。彼が、綱領改定案を学んで、労働者として、研究者として、そして人間としてどんな成長をみせてくれるか、楽しみにしています。

「しんぶん赤旗」 の紙面、内容を伝える

 読者拡大では、私は「しんぶん赤旗」 の紙面の魅力で読んでいただくことが大事だと考えています。

 口いい社会、いい生き方を考えるヒントがある

 私自身、「しんぶん赤旗」の紙面から学ぶことが多いのですが、最近の日曜版でも、小学校六年生が渋谷で監禁された事件の特集を読んでみると、渋谷の街が、不況で既存のお店がつぶれて、かわりに風俗店がつぎつぎ入ってくる、そういうなかで犯罪の温床となるような街になってしまったことが書かれていました。なるほどと思いました。そういうことが書いてあると紹介すると、鴻池大臣などの短絡的でなんの解決にもならない発言にいっそう怒りが広がるし、大人がどういうことを考えないとだめなのか、どういう社会をつくっていく必要があるのか、そのヒントになる新聞だということがわかってもらえます。

 党の政策や活動を知らせ、理解してもらうことはもちろんですが、それにとどまらない、もっと広い意味での情報紙、暮らしに役立つ、よりよい生き方するために役立つ情報紙だと思います。社会がほんとうにいろんなゆがみをもっているだけに、紙面をつうじてそのことが伝われば、いい社会、いい世の中をつくりたい、よりよい暮らし、生き方をしたいと願っている方々は「しんぶん赤旗」の読者になってくれると感じています。

 □苦しみの原因を知り、打開の方向を考える

 「暮らしがたいへんでようとらん」という声も返ってきます。この前、淀川区でニット関連の零細業者を訪ねると、業者婦人が住居兼工場の中で一人で機械を動かしていました。「しんぶん赤旗」を読んでほしいとお願いしたら、「不況で単価が下がってそれどころやない。私ら一日この機械動かして何千円にしかならんのです」といわれました。

 私は、しばらくの間、ご苦労をお聞きしたうえでいいました。「大企業の利益第一で中小企業をつぶして平気な小泉内閣の政治がある。じっとがまんしてても中小業者の営業は守れないし、庶民の暮らしも守れない。みんなでどうしたらいいのか、しっかりつかんで声をあげ、力をあわせることです。ほんとうのことを知らんとあかん。『しんぶん赤旗』 はそのことを書いている新聞だし、月八百円、一日三十円弱です。お母さんが動かしてる機械を一日十分間分、この新聞読むために動かしてくれませんか。それで自分を苦しめている原因がどこにあって、どうしたらそれを打開できるのか、読んで考えてほしい」と訴えたこともあります。

 この方は購読してくれましたけれど、読者を増やす活動とはそういうことだし、「たたかいの組織者」 に通じることだと思います。そのことがきっかけになって、いっしょに考え、力を合わせることができれば、世の中をよくする大きな力になっていくわけですから。いまそういう気迫も大事だと思っています。

“政治を変えたい”の思いにこたえるために

 「日本の政治はこのままでいいのか」という声は、全国どこにいっても満ちていますし、話がかみ合います。

 たとえば、地方自治体を訪れると、これまでの自民党政治と、それに拍車をかける小泉内閣のもとで、地域経済が破壊され、雇用が奪われているなかで、どうやって道を切りひらくのか、真剣な努力と模索がおこなわれています。文字どおり必死です。それだけに、綱領改定案で提案されている民主的改革の方針・内容をそれぞれの地域で具体化し練り上げて、共同をすすめて運動をおこすことがきわめて大事になっていると痛感しています。

 いまの政治を変えたい、暮らしを何とかしてほしい、という思いにこたえるうえで、総選挙は政治を変えるチャンスです。先ほどのべたように、いまメディアは、自民党と民主・自由党の対決というような表面的な報道にとどまっています。

 しかし、政治の中身を変える道、民主的な改革の方向を示しているのは日本共産党だけです。それを国民に知らせるのも私たちです。街頭宣伝もするし、訪問もして訴えます。政治を変えたいと願っている多くの人びとに「しんぶん赤旗」を読んでもらい、共感するところ、なるほどなと思ったところをまわりの人に広げてもらう、入党してともにがんばってもらいたいと思います。

 六中絶決定、綱領改定案を土台に日本共産党を気軽に、そして迫力をこめて語り、党を大きくするためにがんばりたいと思います。

(おわり)

日本共産党 市田忠義 宮本岳志 しんぶん赤旗
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