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論戦・演説・講演原点山下よしき---「おばあちゃんの二つの教え」、「共産党に入ってよかった事」など、自らの生い立ちや政治家としての原点を熱く語った初期エッセイ集  
 

 郵便子会社の整理・見直し──労働者を一人たりとも路頭に迷わすな

2008年6月5日 参議院・総務委員会

山下よしき 日本共産党の山下芳生です。
 今日は日本郵政の西川社長にもお見えいただきまして、日本郵政の関連法人の整理、見直しについて質問をさせていただきます。
 昨年の十一月に、郵政事業の関連法人の整理・見直しに関する委員会、いわゆる松原委員会の最終報告書が出されました。西川社長に提出されたわけでありますが、そこでの検討対象は二百十九法人に及んでおります。
 その中で、郵便の地域内・地域間輸送にかかわる関連法人がどのように整理、見直しされることになったのか、御報告いただけますか。

西川善文日本郵政社長 委員会の最終報告で検討を継続するとされておりました輸送会社は三十二社、それから郵便取集・配達の関連法人は七十一社でございます。

山下よしき それがどうなったかということについて。

西川社長 それにつきましては、いわゆるゼロ連結会社等三十二社につきましては、日本郵便逓送株式会社等十四社を子会社化することといたしまして、残りの十八社につきましては資本関係を整理しつつ取引を一般化するということといたしました。
 また、取集、配達の関連法人七十一社につきましては、引き続き日本通運との合弁として発足いたしました宅配事業会社、JPエクスプレス株式会社でございますが、この会社の在り方とともに検討中でございます。
 以上です。

山下よしき 御報告あったように、松原委員会というのは西川社長の指示で昨年の四月に発足したわけですが、この間、ずっと民営化に当たって徹底したコストの削減を図るための見直しの一環であります。
 郵政公社の平成十九年度の決算を見ますと、経常費用については人件費や集配・運送委託費の削減を進めたことなどによって二百九十六億円減ったというふうに報告されております。そのうち、郵便輸送の専用自動車の運賃は、郵政事業庁の要請を受けて平成九年から平成十四年までは三〇%を超える引下げが行われたことになるんですが、では、郵政公社になった平成十五年以降、運賃は何%削減されたんでしょうか。

伊東敏朗日本郵政常務執行役 お答え申し上げます。
 先生御指摘のトラックの運送委託運賃につきましては、公社化後に競争契約を段階的に導入いたしまして、そこで得られました競争入札効果を他の路線にも反映して運賃引下げを行っているところでございます。
 公社化以降これまで全体でどのぐらいかというのは、個々それぞれについて引下げを行っておりますので、トータルの割引、どのぐらいの引下げかというのはなかなか数字としては計算しにくいんですけれども、単年度ごとにそれぞれの路線、地域内でいえば地域の中の路線とか、あるいは地域間でもそれぞれの路線について月ごとに数%あるいは三割近く引き下げまして、トータルといたしまして約三割引下げを行ったところでございます。
 なお、具体的に運賃単価を見直しをいたしましても、例えばゆうパックなどの扱う大きさが増えますと、当然それに伴いまして更にトラックが必要になってくることもございますので、十五年度と十八年度の運送委託費の支払、具体的な支払ベースで見ますと二・八%の削減率となっているところでございます。

山下よしき 運賃の単価で見ますと、公社化以降、三割下がったという方向でありました。それまでに三割下がっておりますので、この十年前後で半分以下に運賃が下げられたということであります、これは大変なことですね。そういう中で、委託を受ける会社は、これもう唯々諾々とのまざるを得ないんですね。
 私、いろいろ聞きますと、計画どおりに引き下げなければ競争入札にすると通告されて、公社のコスト削減に従って下げてきたというんですね。その運賃の引下げにこたえてきたことが、そのままその運送委託会社で働いている労働者の賃金の引下げ、労働条件の引下げに連動しております。私のところにも、この間、メールやファクスで大幅な賃下げで生活ができないといったのが何通も届いております。ちょっと紹介します。
 Bさん。年収で二百万円以上も収入が激減した。私は生命保険を解約し、子供には大学進学をあきらめてもらい、食費、衣服など、日常で必要なものも切り詰めている。一番つらいのは、子供の希望をあきらめさせたことです。五十歳を過ぎ、日逓で働く以外にない状況だが、会社が子会社化になるときにはまた合理化があるようなうわさがあり、とても不安だ。
 それから、Aさん。十年前から始まった運賃引下げは最高時の五割を割り込むすさまじいもので、労働者への影響は、労働密度の悪化、休暇の削減、福利厚生の全面的な廃止、諸手当の大改悪、そして賃金、退職金制度の大改悪で基準賃金が二五%切り下げられた。平均の年収は百五十万から二百万円減収になって、住宅ローンを組んでいる人、子供の教育に費用の掛かる人は大変な生活設計の見直しをさせられているということでありました。
 西川社長に伺いますけれども、私は郵政公社、郵便事業会社は集配運送委託費の削減をやれば、これは公社や会社にとっては経費が削減できるでしょう。しかし、その一方で、この郵便輸送を担う現場の労働者には大変な低賃金が押し付けられております。これ、コスト削減が優先され、その一方で、これまで郵便事業を一生懸命支えてくれていた労働者が、こんな大変な賃下げ、労働条件が改悪になる、それ構わないという立場でしょうか、西川社長。

西川社長 お答えをいたします。
 平成十五年度以降、運賃の削減交渉や競争入札の導入等によりまして、トラック運賃を市場価格に近づけるよう努力をしてきたものと承知いたしております。その過程におきまして、受託運送会社にあっても経営合理化の一環として人件費の圧縮に努めてこられたものと思います。
 日本郵政グループといたしましても、今後とも市場価格というものを勘案しつつ、適切に運賃交渉を行ってまいりたいと考えております。
 以上です。

山下よしき 郵政民営化の本質が今まざまざと示されるお答えだったなというふうに聞きました。
 市場価格に合わせて努力をしたと。市場価格に合わせて運賃を下げるのが努力というふうに今社長からお言葉があったんですが、それで本当にいいんでしょうかね。物すごい日本最大の民間会社がたくさんの労働者、それから関連会社の労働者の賃金を下げることを努力だと言っていいのかと、私は率直に言って思います。そんなこと許していいのかと。
 日本郵便逓送株式会社、日逓は郵便輸送の五割超を請け負っている会社ですよ。ここがなかったら郵便物の配達はできないところですよ。そこをしっかりと頑張ってやってくださいねと言って、そういう関係つくっていくのが、私は民営化された郵政会社、郵便事業会社の社会的責任ではないかと思うんですね。
 以前紹介した、西川社長のお書きになった「挑戦 日本郵政が目指すもの」という本の中にも、コスト削減のためにリストラだけが正しいんじゃないというふうに書いていますよね。でも、実際に起こっていることは、関連会社に起こっていることは、まさにコスト削減のために労働者の生活を破壊することが起こっていると。これ、どうなんですか。これ、努力方向として、そんなにいいことやっているというふうに言っていいんですか、社長。

西川社長 お答えをいたします。
 郵便事業会社の経営は大変厳しいものがございます。特にゆうメールでございますとか、あるいはゆうパックでございますとか、競争関係が非常に厳しい状況の中で経営を行っておるということでございまして、この競争関係を考えますと、これらの事業を存続し、そして安定したサービスを国民の皆様に提供させていただくというためには、やはり効率化ということが避けられない、あるいはどうしても必要なことでございまして、その点、我々といたしましても徹底した努力をしてまいらなきゃならないということでございます。御理解をいただきたいと思います。

山下よしき とても理解できないですよ。
 安全、安定とおっしゃいましたけれども、それを担ってきたのが日逓などの郵便物を運送する労働者ですよ。彼らはこれまでいろいろ、公社、その前の時代から経営の改善だということで運賃の低減に一生懸命こたえて頑張ってきたんですね。でも、なぜ頑張れたのか。それは、自分たちが公共のサービスを担っているからだ、自分たちが頑張っているからはがきが八十円で、あるいは五十円で、以前は、全国どこでも届けるようなユニバーサルサービスが成り立っているんだ、自分たちが頑張っているから安全、信頼、確実に郵便物は届くんだ、だから頑張ろうと思ってそれにこたえてきたんじゃないですか。
 だけど、郵政公社化され、民営化されたら、十年間で三割、三割、六割以上運送委託費が下がっている。もう普通に考えて努力の域を出ているじゃありませんか、超えているじゃありませんか。年収六百万円台だった人たちが二百万円削られるんですよ。さらに、これから新会社化、子会社化になる。さらには、地域社員制度というのも新たに盛り込まれた。そうしたら、また賃金が下がって年収三百万円になるんじゃないかと不安が今ばあっと広がっていますよ。以前は誇りに満ちていた、おれたちが郵便事業を担っているんだという雰囲気の職場が、今暗い職場になっているというんですね。どうやってこれから生活していくんだろう、どうやって子供を、家族を養うんだろう、もうこれ以上下げないでほしいという声が渦巻いていますけれども、社長、それでもまだこれから経営努力やって下げるというのが西川さんの方針ですか、どうですか。

西川社長 お答えいたします。
 それは、我々の経営努力というのは何も委託運送費を下げることだけでは決してございません。その他の面においても一段と効率化を進める必要があるということでございまして、効率化の手法としては、ただ単に人件費をカットするというようなことではなくて、あるいは自動化を進めると、更に進める、あるいはITシステムをレベルアップさせるというようなことで効率化を進めるということもございます。しかし、それは全体としてやはりやらなきゃならないということでございまして、委託運送費というものにつきましてもらち外ではないということでございます。
 以上です。

山下よしき 結局、やるということじゃないですか。これは、本当にそういうことをやっていたら、おっしゃった安全、安心した配達業務ができるのかと。
 今、日逓の労働者の中からは、もうこれ以上下げられたら日逓で勤めることはできないだろうと。それはそうですよ。もう四百万円台になっているのが三百万円台まで下がったら家族養えないわけですから。そうしたら、ほかの運送会社に行こうかタクシーに行こうかということがもうささやかれているんですよ。労働者がいなくなったらどうやって安全、安心した郵便物の輸送ができるんですか。これ以上下げるなという、下げたらここにいれなくなるよという声、真剣に検討すべきじゃないですか、実態をちゃんと調べて。社長、どうですか。

西川社長 当然のことながら、先生御指摘のような実態も十分把握した上で、その上で全体として判断をしていくということでございます。

山下よしき 是非、実態見てください。もうこれ以上引き下げられないという実態がまざまざと分かると思います。
 次に、今紹介したのは日逓、いわゆるゼロ決算、ゼロ連結の三十二社の中で基幹的な部分を担う十四社、これから一本化されて子会社化になる会社です。それ以外の、三十二社の中で十八社はどういう今運命をたどろうとしているのか。これ本当大変なんですね。
 それ以外の会社は、先ほど社長から答弁があったように一般取引にされるわけですね。一般取引になったらどうなっているかといいますと、郵便事業の取引を収入の五〇%以下に抑えなさいということが通知されていると。六月いっぱいまでしか仕事がないということになっていると。ですから、十八社のうち、私が聞いたところによりますと六社は六月で会社解散ですよ、これまでずっと郵政を支えてきた会社が。そんなことをする権限がどこにあるんですか。私はそう思いますね。
 どうなんですか。収入の五割以下に郵便事業はもう抑えますよというようなことを、だれの、どこの権限、だれがそんな権限を許されているんですか。

西川社長 お答えを申し上げます。
 取引比率を五〇%以下にするということは一つのめどでございまして、ここで直ちに五〇%ということを決定したわけではございません。日本郵政グループとしては、まずは委託先へのもたれ込みといった依存関係のない、透明性の高い取引関係を目指してまいりたいということを考えておるわけでございます。
 以上です。

山下よしき すぐやれというんじゃないというふうにおっしゃるんですけれども、ここに持ってまいりました、昨年の十月四日、松原委員会の第二次報告、西川社長あての報告ですが、その中には、取引関係の一般化というところに、「その対象となる関連法人は、当該法人の新会社との取引比率を五〇%以下にすること」と、こうはっきり書いてあるんですね。
 その直後に、十八社に対して郵政事業株式会社、北村CEOから通知が行っておりまして、これはある会社に行ったものですけれども、郵便事業関連取引への依存の逓減を推進くださいますよう何とぞよろしくお願いしますと、減らしますよということをわざわざ通知しているわけですね。これからは、原則として運送子会社を通じた日本郵政グループ、郵便グループ以外の運送事業会社に対する再委託による運送事業等の執行を考えておりますと、これまでお願いしていたグループの三十二社であっても、もうこれは一般取引になりますと、再委託に入れれば、入るかどうか、それ以外のところに委託しますと言っているんですね。
 これはもう、これまで一〇〇%、だってこういう会社もほとんどは郵政のOBが社長になったり取締役になったりしてますよ。で、一〇〇%ほぼ郵便事業を、郵便の輸送を担ってきた会社です、全部。子会社にならない十八社もね。それが、ここでいきなり、もう五〇%以下にします、仕事はありませんと、ほかに再委託しますからと。これ死亡宣告ですよ。こういうことを本当に日本最大の会社日本郵政が平気でやっていると、こういうことでいいのかと私は思いますね。
 こういう関連会社の生の声も聞かせていただきました。
 もう既に六月末で解散が決まっておりますと、解雇予告通知も配られましたと。一〇〇%郵便の輸送をしております、仕事の量も今は全然変わっておりません、仕事はありますと。ところが、もう事業閉鎖の方向だというふうに経営者から言われたと。納得できるはずないでしょう。そういうことをもう平気でやるというようなことがいいのでしょうか。
 私は、是非ここはしっかりと見ていただいて、こんなとんでもない、今貧困と格差が広がっている中で日本郵政のやろうとしていることがそれに追い打ちを掛けているじゃありませんか。こういうやり方はやっぱり直ちに僕はもう中止するべきだ、やめるべきだと思いますけれども、社長、いかがですか。

西川社長 お答えいたします。
 中止云々についてはただいまは全く考えておりません。
 先ほど申しましたように、郵便事業全体が大変厳しい状況の中で運営をしておるわけでございます。ユニバーサルサービスを守るためにはどうしてもやはり一層の効率化ということは避けられないわけでございまして、そういった点を踏まえまして既定方針どおり進めてまいりたいと存じますが、先生の御指摘の点は私たちも十分踏まえてやってまいりたいと考えております。

山下よしき 既定の方針どおりやりたいんだが、指摘を踏まえてやりたいと。ただ、その踏まえ方ですけれども、私は少なくとも、こういうこれまで一〇〇%郵便事業を担ってこられた会社が解散になる。しかし、仕事はあるわけですから、仕事がなくなるわけじゃありませんから、また再委託をする先を見付けなければならない。だったら、そういう会社、解散したら会社はなくなりますけれども、そういう労働者に少なくとも、一方的に日本郵政の方針で、郵便事業会社の方針で職場を失い仕事をなくされようとしている労働者に対して、やっぱり企業の社会的責任として仕事のあっせんとか再就職のあっせんとか、これ一人たりとも路頭に迷わすことはしないと。
 これは民間会社だってやっていますよ、電機大手だって。そのぐらいはやってしかるべきではないかと思いますが、社長、いかがですか。

西川社長 我々としてもできる限りの努力はしてまいりたいと思いますが、再就職等についても、これは可能であれば我々もあっせんするについてやぶさかではございませんが、なかなか厳しいものがございますので、必ず再就職をあっせんするというお約束はちょっと難しいかと思います。
 以上です。

山下よしき 厳しいというふうに分かっていて切り捨てるんですか。それが日本郵政の方針ですか。それが、日本最大の民間会社になって、民営化したらバラ色になると言っていた実態ですか。それでいいんですか。もっと真剣につかんで、できればじゃなくて、そういうこれまで郵便事業を支えてくれた労働者、責任持って安心してこれからも働いてもらえるように最大限の努力するというのが当たり前じゃないですか。もう一度どうぞ。

西川社長 先生の御意見を十分踏まえまして努力してまいりたいと存じます。

山下よしき 増田総務大臣に伺います。
 今、私が紹介し、西川さんがお答えになったような事態が目の前で起こっているんですね、民営化という名の下に。大臣、こういう事態知っておられましたか。また、どうお感じですか。

増田寛也総務大臣 よく会社の方で今の実態等を踏まえてやられると、こういうお話でありますから、会社としてこの民営化を成功させると、会社のやはり経営基盤をしっかりと確立していただくということは大変大事でありますし、また、国会のこの民営化法の審議に当たって附帯決議がいろいろと付けられておりますから、これもまたきちんと守っていただくということが必要かというふうに思っております。
 この点をよく踏まえて、今社長さんの方からも委員のそういった御指摘を踏まえるというお話がございましたけれども、そういう形で今後事業を行っていただくということが基本であろうというふうに思っております。

山下よしき 私は、こういう事態を放置していたら、一体郵政民営化とは何だったのかということが国民的に問われると思いますよ。だって、これまで三事業一体でやっていたときには何の問題もなくうまく回っていたんでしょう。運送委託費だって適正な価格で支払われ、そこで働く労働者に人間らしいまともな生活を保障することができていたんですよ。税金一円も入っていませんよ、郵便事業も含めて、郵政事業には。何で民営化した途端にコスト、コストとなって、そこで働いていた一番郵便事業、郵政事業を支えてきた労働者が割を食わなければならないのか。こんな民営化はおかしいですよ。
 そのことを指摘して、質問を終わります。

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