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論戦・演説・講演原点山下よしき---「おばあちゃんの二つの教え」、「共産党に入ってよかった事」など、自らの生い立ちや政治家としての原点を熱く語った初期エッセイ集  
 

 一定の前進があれば、制裁の一部を終了することができる

2008年6月4日 参議院・北朝鮮による拉致問題等特別委員会

山下よしき 日本共産党の山下芳生です。
 先日、北京で行われた米朝協議について伺いたいと思います。
 米代表のヒル国務次官補は、協議の終了後、記者団に対して、前向きな議論ができ、事態は着実に進展しているとの認識を示されました。その上で、今後二、三週間ほどのうちに技術的な問題を話し合う会合を開くことになるだろう、その会合より前には核申告は行われないと思うとも述べて、申告の実現に向けてなお詰めの協議が必要であるとの考えを明らかにされました。
 ヒル次官補と直接会談された齋木局長は、今回の米朝協議についてどのように評価されているのでしょうか。ヒル次官補がおっしゃったように、事態は着実に進展していると受け止めておられるのでしょうか。

齋木昭隆外務省アジア大洋州局長 お答え申し上げます。
 五月の二十七日と二十八日に北京でアメリカと北朝鮮が協議を行いまして、二十八日の夜に私も北京でヒル次官補とお会いして米朝協議の結果についていろいろと話を聞いてまいりました。
 ヒルさんの説明では、米朝協議の場では、アメリカから北朝鮮側に対して、その一週間前の五月の十九日に日米韓の三つの国でワシントンで協議いたしましたけれども、その三か国の会合の結果を踏まえて、早く申告を議長国である中国に対して出すようにということを改めて求めたということと、それからまた、今後のプロセスについていろいろと議論をしたという、そういう説明を受けました。またあわせて、ヒルさんから北朝鮮側に対して、拉致問題を含む日朝関係についても是非具体的な行動を取るべきであるということを北朝鮮側に対して働きかけを行ったということを聞きました。
 今回の米朝協議におきまして、北朝鮮が本来去年の末までに出すべきであった申告でございますけれども、これを議長国である中国に対して提出する、その具体的な時期についてのめどが立つといったことを含めた進展がそういう意味であったわけではございませんけれども、米朝間で実質的な意見交換を行われたというふうに私も理解しております。
 私がヒルさんとの間で確認いたしましたとおり、北朝鮮が早く申告を中国に対して提出して、六者のプロセスが再び動き出すように、引き続き日本としてもアメリカ、中国等と、韓国も含めて六者会合の参加国との間で協力し努力をしていくという、そういう考えでございます。

山下よしき 六か国協議の韓国代表の金塾朝鮮半島平和交渉本部長はこの一日にソウルで記者会見をされて、北朝鮮の核申告について、北は申告書を提出するための準備をほぼ終了したことを確認した、申告書の提出時期が決まっていないだけで、大きな問題はすべて解決されつつあると述べておられます。その上で金本部長は、米側は北から提出された一万八千ページの資料を分析している、完全かつ正確な申告にするためには資料の分析は大変重要だと語って、この資料のほかにも、現場の視察でありますとかサンプルの採取などを通じて専門的に検証していく必要があるとの考えを強調されました。
 北朝鮮による今後の核申告に向けたプロセスについて、齋木局長の見通し、どのようにお持ちでしょうか。

齋木局長 お答え申し上げます。
 北朝鮮は、去年の十月の六か国会合の成果文書、この中ですべての核計画の申告をするということを約束しておりますけれども、遺憾ながらいまだにこれを行っていない状況でございます。先ほど申し上げましたように、五月の十九日に行いました日米韓の三者会合等で、我々は、それまでの間、米朝間でいろんなやり取りをしてきたその内容について説明を受けたわけでございますけれども、特に日米韓の三者の間では、申告にはどういう要素が盛り込まれなきゃいけないかということについて突っ込んだ意見交換を行ったわけでございます。また、北京で行われた米朝の協議、五月の二十七日、二十八日の米朝協議でございますけれども、アメリカ側から北に対して、申告を早く出すようにということを求めたということは先ほどお答え申し上げたとおりでございます。
 ただ、さっきも申し上げましたけれども、今の時点で北朝鮮がいつ中国に対して申告を出すのかというその具体的な時期のめどが立っているわけじゃございません。また、出てきた申告の内容につきましては、いずれにしましても六か国の間で、例えば日本は日本としてもこの内容についてはきちんと検証していくべきだと思いますし、また、それぞれの国々が受け取った申告の内容についてはよく精査するというそのプロセスが必要だろうと思っております。申告が出てきたからそれでもって完了したということでは決してないんであろうと理解しております。
 いずれにしましても、この非核化のプロセスを前に進めていくためには、まずは早く北朝鮮がほかの国々に対して申告を出すということ、これがまず大事だろうと思います。その上で、その申告の内容についてこれを検証していくと。やはり検証をしないことには、果たしてその申告の内容が正しいのかどうかということについても判断が付かないという、そういう問題がございますので、これは六か国の中でそういう検証のプロセスというものを踏んでいくということが非常に重要であろうというふうに考えております。

山下よしき 今回の米朝協議では、先ほど齋木局長からお話があったように、日朝関係についても取り上げられました。ヒル次官補は、北朝鮮に対し、拉致問題を含め進展させるべきだと申し入れたとされておりますが、この米側の要請に対して北朝鮮側の反応はどうだったと聞いておられますか。

齋木局長 五月二十七日、二十八日の両日にわたって米朝間、ヒルさんと金桂冠外務次官との間でやり取りがありました中で、先ほど申し上げましたように、改めてアメリカの方からは、日朝関係の前進を図るべきだということを強く指摘したというふうに聞きました。拉致問題を含めて、日朝関係全体について具体的な行動を取るべきだということを北朝鮮側に求めたということでございます。
 ヒル次官補からの働きかけを受けて、金桂冠次官の方は、話を聞いて、本国に伝達をしますという姿勢を示したというふうに聞きました。金桂冠さんは、日本の担当の次官ではございませんものですから、米国担当でございますので、むしろ本国に伝えますというのが彼の答えだったというふうに理解しております。

山下よしき 続いて齋木さんにお伺いしますけれども、なぜヒル次官補はこの時期にこのような申入れを北朝鮮に対して行ったとお考えですか。

齋木局長 今この時期に限定された話ではございませんで、これは日米関係が非常に緊密であるということ、やはり同盟国であるアメリカとしては、六か国会議のプロセスの中で非核化のプロセスと併せて、日朝また米朝も含めてバランスの取れた形で進んでいくということが非常に重要であるという認識を前から持っているわけでございますけれども、その中でも日朝が全く動かない状況であるということについては、これはやはり北朝鮮側に対してきちんとやるべきであるということは、今回も含めて従来からこれは北朝鮮に対して申し入れているということでございます。

山下よしき 私は、これから最終段階に進む場合に、北朝鮮に対する支援を実施する際に、日本を除く四者で行うよりも日本を含む五者で行う方が各国の負担は軽くなるとの考えもあるのかなと。そのためには、日本が参加できるよう拉致問題も含め進展をと申し入れたのかなと、この報道を聞きながら感じたんですが、その点はあるんでしょうか、ないんでしょうか。齋木局長。

齋木局長 先ほど申し上げましたように、六か国協議の究極的な目標については二〇〇五年九月の共同声明の中でも明示的に書かれているところでございますけれども、朝鮮半島の非核化、北朝鮮の核廃棄を、これを求めるプロセスとしての交渉でございますが、あわせて日朝関係また米朝関係についても前進させる、究極的には懸案を解決して正常化に向かって努力していくということも約束事としてあるわけでございます。そういう中で、日朝の間で全く物事が動いていないということについてはやはり問題ではないかと、こういう問題意識に基づいてアメリカは北朝鮮に対して促していると、こういうふうに理解しております。

山下よしき しかし、否定はされませんでした。
 官房長官に伺いたいと思います。関連して、日朝関係にかかわる点なんですが、町村官房長官は四月十一日、対北朝鮮制裁の継続に当たって次のような談話を発表されました。
 現在我が国が北朝鮮に対して取っている措置は、北朝鮮側が拉致、核、ミサイルといった諸懸案の解決に向けた具体的な行動を取る場合にはいつでも、諸般の情勢を総合的に勘案して、その一部又は全部を終了することができる。この官房長官談話は、半年前に制裁継続を決めたときの談話、去年の十月九日ですけれども、では見られなかったものでありますけれども、今回こうした言及をされたのはなぜでしょうか。

町村信孝官房長官 よくそこまで読んでいただいて感謝をいたします。北朝鮮が読んでいるかどうか知りたいところではございます。
 同じ考え方でいるつもりであります。十月の時点と四月の時点で何か大きく政府が考え方が変わったということを意味することではございません。ただ、より明確に私どもの意図をこの際言っておこうという思いがあったことは事実でございまして、北朝鮮が具体的行動を取ること、それが重要だというメッセージを伝えたつもりで、従前からこれはもう何度も何度も言っているわけでありますけれども、改めてこの措置の延長に当たってそのことを強調をしたかったという思いでございます。

山下よしき 元々、この制裁というのは北朝鮮に前向きな対応をしてほしいというメッセージだということも政府は述べておりましたので、その流れの一環かなというふうに受け止めました。
 そこで、官房長官談話で言う制裁の一部を終了することができる具体的な行動というのは例えばどのようなことになるんでしょうか。

町村長官 先ほど外務大臣が大変丁寧に御質問に答えておられたわけでございますけれども、この具体的行動は何かということを具体的に申し上げることは難しいわけでありまして、実際に北朝鮮側がどういう対応を取ってくるのかと、これを見て個別具体的にやはり判断をしていかなければならない。
 要は、北朝鮮が諸懸案の解決に向けてその意思を持ち、その意思の下で具体的な行動を取ってくる。それを見ながら私どもとしては、その北朝鮮に対する措置の一部又は全部を、全部というのは、まさにそれはすべての拉致被害者が帰国をし、そしてその原因を究明をし、そしてその実行犯をしかるべき処分をするというような、かねてより言っていることでございますけれども、じゃ一部というのは何かというのが今の委員のお尋ねでございますから、そのまさにゴールに向けてのどういうアクションを取ってくるかということを見て政府として判断をしたいということでございます。

山下よしき そうしますと、拉致、核、ミサイルのうち、例えば核問題での一定の前進があれば、それが諸懸案を解決する意思があるというふうに判断できるような具体的な行動であれば、制裁の一部を終了することができる具体的な行動と判断することもあり得るんでしょうか。

町村長官 そこの具体論に入っていくと、じゃこのケースはどうだ、このケースはどうだというすべてのケーススタディーになってまいりますので、そこはやはり外交交渉上、私どもとしては言わない方がいいんだろうと、こう思っております。そういう意味で、この三つのテーマのうち一つだけが大きく進んで一つが残った場合とか、あるいは三つが少しずつ進んだ場合とか、二つは進んで一つはとか、いろんな組合せがきっとあるんだろうと思いますけれども、それはひとつ具体に申し上げることはお許しをいただきたいと思います。

山下よしき 最後に、拉致問題と核問題の関係について伺いたいと思います。
 私は、日朝平壌宣言の諸課題の包括的解決という立場、そして六か国協議の枠組み、これらの下で核問題の道理ある解決が図られるなら、拉致問題の早期解決の新しい条件も開かれると考えております。
 昨年十一月五日、当委員会での私の質問に対し町村長官も、「核の問題が前進をするための第一歩が踏み出されつつある、この状況を私どもも歓迎をするわけであります。」、「六者協議というフレームワークも一つの有効な、私どもにとりましては、拉致問題を解決するための有効な手段として、この場を活用しながら拉致問題の一刻も早い正しい解決を図るべく全力を挙げていきたいと思っております。」と答弁されました。
 また、高村大臣も、「核問題が先に進むということは、必ずしも拉致問題が取り残されて不利になるということではないと思っています。核問題が進むということで拉致問題が解決しやすい条件になってくる場合もありますので、私たちは、核が先に進めば、それに負けないように拉致も進むように全力を尽くしていく考えでございます。」と答弁をされました。
 どちらも非常に重要な認識だと受け止めました。
 それから半年たって、私はこの間の関係各国の様々な動きを見ておりますと、まさに長官や大臣が認識した方向で事態がじわりと進んでいるような印象を受けているんですが、その点での感触、感想、どうお持ちか、町村長官、高村大臣、それぞれ伺いたいと思います。

町村長官 今ちょうど第二段階の出口に近づいているのかどうか微妙な時期なんだろうと思いますし、ただこれは第三段階というものを、先ほど来申し上げておりますように想定をしてでの第二段階だということだろうと思います。そういう意味で、核問題が今の段階でどこまで進展したということは難しゅうございますが、しかし少なくとも後退はしていないし、米朝双方の努力、また議長国である中国の努力等々も相まって、少なくともいい方向に進みつつあるという状況はあるのではないかと、こう思っております。ただ、もちろん楽観ができる状況ではございません。
 そういう状況の中でありますが、残念ながら日朝関係については具体的な進展が得られていないと。しかし、この六者協議のフレームワークが有効であると私どもが考えております理由は、一つの項目だけ進んであとが取り残された状態というのは、この全体の六者協議のフレームワークの中で全体としての目標にやっぱり反するので、例えば拉致問題が解決されず日朝関係がもし進まないということになると、それは六者協議の共同声明に言わば反することになるわけでありまして、六者協議の共同声明を全体としてバランスよく実施していくということが必要になっているんだと、こういう認識でございますから、そういう意味で、この拉致問題の前進というものも当然なくてはならないプロセスの重要な一環であるというふうに考えているわけでございます。

高村正彦外務大臣 核、拉致、ミサイル、これがバランスよく進むのがベストだと、こういうふうに思っておりますが、何も進まないよりはどれか一つが進んだ方がいいし、どれか一つが先に進んじゃうとほかが進みにくくなるということは私は、場合によったらあるかもしれないけれども、むしろそうでないことの方が多いのではないかと思っております。
 ベストは、核、拉致、ミサイル、これがバランスよく進むということでありまして、今、残念ながら日朝関係、過去を含む日朝関係が遅れておりますので、ここを遅れないように全力を尽くしたいと、こういうふうに思っているところでございます。

山下よしき 終わります。

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