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論戦・演説・講演原点山下よしき---「おばあちゃんの二つの教え」、「共産党に入ってよかった事」など、自らの生い立ちや政治家としての原点を熱く語った初期エッセイ集  
 

 デジタル放送が行き届くまでアナログ放送の一斉打切りは延期を

2008年5月20日 参議院・総務委員会

山下よしき 日本共産党の山下芳生です。
 先ほど礒崎委員が取り上げた番組について、たまたま私も当日のホームページで感想を書いておりましたので、紹介したいと思います。
 いい番組でした。今日夜のNHKスペシャル「セーフティーネット・クライシス」。バブル崩壊後の雇用の規制緩和、医療、介護、生活保護など社会保障の縮小が、この国に住む人々の社会への信頼を崩壊させつつあることを、数字だけでなく一人一人生身の人間と家族の実態から描き出しました。
 仕事を失い、国民健康保険料が払えず保険証を取り上げられ、がん治療を受けられず五十歳前半で亡くなった男性。四十年余り働き余裕ある老後を楽しみにしていたやさき、脳梗塞で右半身麻痺となった独り暮らしの七十代の女性は、介護保険制度の改悪で機能回復に必要な介護が受けられなくなり大粒の涙をこぼしました。生活保護の適正化、自立支援の名の下に、保護を打ち切り、高校に進学した子供たちにアルバイトを強要する行政の在り方も。
 こうした深刻な事実を前に、政府の社会保障国民会議座長も、経済界代表も、このままではいけない、医療や介護は最低限の保障が必要、貧困の再生産は避けねばならないとコメントせざるを得ませんでした。すべての国民、とりわけ政治家、官僚、経済人に見てもらいたい、そして、私たちの社会が進むべき方向を真剣に議論したい、そう思える番組でした。番組制作者の力戦奮闘に政治の場でしっかりこたえたいと思いますと私は書きました。
 今日はNHKの永井理事にもお見えいただいておりますから、是非、福地会長と今井副会長にも私の感想をお伝えいただきたいとお願いしておきたいと思います。
 私は、こうした番組から政治の責任と役割を重く受け止めるんならともかく、あたかも取材先に問題があるかのような発言で番組制作を萎縮させるような行いこそ公正性を欠き、政治的介入となると一言申し上げて、本題であります電波法の質問に入りたいと思います。
 政府が地上デジタル放送への完全移行、アナログ放送を停止してしまう日としております二〇一一年七月二十四日まであと三年二か月余りとなりました。私は、本当にやるなら、一つは、これまでアナログ放送でカバーしていた地域に一〇〇%デジタル放送を送り届けること、二つには、それを国と放送事業者の責任によって行うことが必要だと思いますが、どうでしょうか。

小笠原倫明総務省情報通信政策局長 私ども、現在アナログ放送を御覧いただいている方のすべてにデジタル放送を届けることが必要なことだと考えておりまして、戸建てあるいは共聴施設といった住居の形態、あるいは都市部あるいは地方、あるいはお年寄りや経済弱者も含めて、すべての国民の方々が地上デジタル放送に対応すべく、引き続き私ども総務省といたしまして放送事業者の関係者とともに万全な対策を講じてまいりたいと考えている次第でございます。

山下よしき デジタル放送の送信というのは、デジタル化を決めた国と放送事業者の責任で行われるべきものだということだと思います。
 ところが、総務省及び全国地上デジタル放送推進協議会が昨年の九月に発表した市町村ロードマップによりますと、現在地上アナログ放送が受信可能となっている世帯でも二〇一一年七月二十四日までにデジタル放送の電波が届かない世帯が残るということになっております。全国で約三十万から六十万世帯、NHKと民放合わせてですけれども、テレビが映らなくなることが前提になっているわけですけれども、こういうことでいいんでしょうか。

小笠原局長 先般、先般と申しますか昨年、先生が御引用されました、発表しました市町村別ロードマップの数字でございますが、これは昨年九月時点でのコンピューターシミュレーションの結果を公表したものでございます。
 総務省としては、今後とも、先ほど申し上げましたけれども、中継局の整備あるいは辺地共聴施設の改修等を推進することによって、アナログ放送を御覧になっている全国の受信者がデジタル放送を御覧いただけるよう最大限の努力を行っていく所存でございます。
 これにより、二〇一一年までに地上系の放送ネットワークでデジタル放送が送り届けられないことが生ずることがあっても、それを最小限とするよう取り組んでまいる考えでございまして、また、どのような場合においても二〇一一年に地上デジタル放送を御覧いただけない世帯の生じることのないよう、まさに最後のセーフティーネットとして衛星を利用したデジタル放送を送り届ける放送についても検討しているところでございます。

山下よしき 衛星放送による補完措置、五年程度ということですけれども、検討されている放送チャンネルというのはNHKと教育テレビ、それから東京の民放五局、合わせて七局ということでありまして、東京の視聴者にとっては補完ということになるんでしょうけれども、地方の人たちにとっては、例えば気象情報とかでは、東京の気象情報を見ても仕方がないわけで、台風が高知に接近しているときに東京の天気予報が流れているということでは具合悪いですから。ですから、そういうことでしたら、そういう衛星放送による補完ということではなしに、デジタル放送がきちっと電波を通じて行き届くまでアナログ放送の一斉打切りは延期するとか、あるいは届き始めたところから段階的にアナログの停波をしていくなどの方法に切り替える方が私は親切だと思います。
 そこで、少し地域の問題を聞きたいと思いますが、デジタル放送のカバー世帯を見ますと、和歌山県の世帯カバー率が群を抜いて低いわけです。現在の計画でも九六・一%で全国ワーストワン。元々地形的に不利な条件の地域がたくさんあって、これまでのアナログ放送も電波が届かなくて難視地域が多いところでありますが、それがデジタル化によって更に難視世帯が拡大して、このままだと一万五千世帯もの難視世帯が新たに発生するということになっております。
 私も、和歌山県庁を訪ねまして担当者の方のお話伺いました。総務省から出向してこの対策に当たっている職員の方もいらっしゃいましたけれども、急ピッチで今対策を進めておられます。県としてはケーブルテレビを推進しているということでしたけれども、ただ、地デジの話は国の政策の転換によるもので、本来国がちゃんとすべきだという思いは和歌山の方は大変強いんですね。知事も議会もそういう要望を国に上げております。国の支援策を強めてほしい、しかし二つ問題があると県の方がおっしゃっていたんです。
 一つは、国民に情報が伝わっていない。すなわち、具体的にどこが難視になるのか分からない。先ほどの市町村ロードマップも非常に大ざっぱなマップでして、詳細なところが分からないんで、県にも、市町村からどこが映らないんですかと問い合わせがある。一万五千映らなく新たになるよということを知らない県民もたくさんいるだろうということが一つ。
 二つ目に、だれが何をするか、役割分担がはっきりしていないということもありました。本来、国と放送事業者がやるべきですけれども、手をこまねいていたんでは駄目ですので、実際は市町村が旗を振るという必要もあると思います。熱心な市町村はそれやっていますが、そうではないところは二〇一一年になって突然テレビが映らなくなる、そんな恐ろしいことになるんじゃないかという心配もあるというふうにおっしゃっていました。
 国の責任、事業者の責任でやってほしい、しかしその上で二つ心配がありますよと、こういう和歌山で聞いた声に、総務省、どうお答えになりますでしょうか。

小笠原局長 先生御指摘になられましたのは、住民の方々に対するしっかりした情報を提供するということと、それからもう一つは、国及び放送事業者としての努力ということだろうと思います。
 まず第一点の、住民の方々へのしっかりした情報提供ということでございますが、まず、昨年発表いたしました市町村別ロードマップでございますけれども、これは、地元の方々にできる限り前広に情報を提供するという観点から発表いたしたものでございます。そして、その内容は、最初に御説明しましたのはコンピューターシミュレーションの結果でございます。
 したがいまして、これを、現地にこれから参りまして実際の電波の状況をしっかりと測定すると。かつ、それによって、まあ相当なマージンを見込んでいる部分もありますので、現地で実測しますと実際には映ると、逆のケースも中にはあるかもしれませんが、そういったことをしっかり把握して、それを地元の方々に提供する。それとともに、仮にそれで電波が届かないということになればどんな措置が考えられるのかと。つまり、あるいはギャップフィラーといったような小さな中継局を設置するとか、あるいは共聴施設を設置すると、あるいはケーブルテレビを活用すると。いろんな方法をできる限り活用して、それを、先ほども申し上げましたように最小限にする努力をしてまいります。
 それから、国それから放送事業者の努力ということでございますが、まず放送事業者から申し上げますと、現在も逐次中継局の設置というものを進め、かつそれを見直しているところでございます。
 つい最近、三月末、中継局ロードマップというものも見直しました。その結果、例えばNHKでいいますと、和歌山県では置局予定数を十局増加させました。さらに、和歌山の地元局ではございますテレビ和歌山、こういったところにつきましても、これまで整備時期が明示されていなかった二十局についても何年までにやりますということを明示していただきました。それぞれ放送事業者とも努力を行っているところでございます。
 また、私ども、当然国といたしましても、今年度、二十年度予算措置で、辺地共聴施設の支援のための措置の拡充というものを盛り込んだところでございます。
 それを実施するための法律が今御審議いただいているまさに電波法なんでございますが、こういったことを、電波法成立になりましたら、できるだけ速やかにそういった辺地共聴施設の整備事業を遂行してまいりたいですし、かつ、それとともに、大臣も御答弁申し上げておりますが、受信者側の対策ということで、現在、情報通信審議会に諮問しております。そのうち御審議の結果も踏まえて適切な措置というものを来年度予算要求も含めて検討してまいりたいと、かように考えている次第でございます。

山下よしき 和歌山の中でも、地デジの難視対策に大変熱心に取り組んでいる自治体がございまして、和歌山県北部の紀美野町というところに行って話を聞きました。
 紀美野町は人口一万一千人、四千二百十四世帯のうち、八割を超える三千四百四世帯が現在も共聴組合を組織して共同アンテナを敷設してテレビを見ております。NHK共聴もあれば自主共聴組合もあります。合わせて全部で四十一の組合があります。元々難視聴地域が多いところですから、地デジ問題の相談が身近な町役場に来るそうですね。どうなるんやろ、デジタルになってと。町役場にそういう地デジ対応専門部署などあるわけはございませんので、まあ知識のある職員の方が懸命に対応されておりました。そもそも、国が決めたデジタル化で、町が個別世帯の対応まで面倒を見る責任も法的な義務もないんですけれども、これ放置したのではそれこそ二〇一一年えらいことになると、突然映らなくなるわけですから、これは町が取りまとめに入って、対策をしようと乗り出しているわけであります。やむにやまれずそうされているわけだと思います。
 先ほど紹介したように、和歌山県は光ファイバー網を整備する方法を進めておりますけれども、光ファイバーの整備というのは非常に事業費が膨大で、町の財政、それから町民にも負担が大きいです。そこで、この紀美野町では、情報通信審議会でも推奨されておりますギャップフィラー方式、小型の中継局を幾つも連続してリレーさせることによって、受信、送信、受信、送信ということでカバーを広げていくというやり方ですけれども、これで対策することを決めました。これだと、小型の中継所を一か所設置するのに事業費が五百万円、それが大体五十か所ぐらい要るんじゃないかと言われておりますので、合計二億五千万円。光ファイバーははるかに高いですから、かなり安く済むんだそうですけれども、それでも維持管理や将来の改修、設備の更新などを考えますと年間一千万円程度掛かる見込みでして、一世帯当たりの負担をどうするか今検討中です。最初は一世帯三万円払ってもらって、後はもう必要な維持管理は町が持とうやないかということで言っているようですけれども、いずれにしても町や住民に手間も負担も掛かるということであります。
 こういうことは、本来国と放送事業者がやるべきではないかと私は思うんですけど、こういうことを町にやらせておいていいんでしょうか。

小笠原局長 まず、基本的なことからもうちょっと、申し訳ございませんが申し上げますと、まずNHKの役割、責務ということから申し上げますと、NHKには放送法に基づくいわゆるあまねく普及義務というのがございまして、もちろん基本的にはアナログ電波を、アナログといいますか現在でいいますとアナログ電波を届ける、今回はデジタル電波を確保すると。それとともに、こうした中継局の設置に代えてNHKがそれぞれの状況によりまして共聴施設を整備すると、そしてそれによって放送サービスを確保するというようなことも行われると。いずれにいたしましても、無線により、有線であれ、NHKについてはあまねく普及の責務があるということを申し上げます。
 それから、民間放送事業者の場合ですが、これについても、放送法上、NHKとはちょっと若干異なりますが、努力義務といいますか、課されております。その場合、いわゆる従来から山間地等におきましては電波が良好でないというところにつきましては、地元の住民の方々あるいは自治体が共聴施設を整備しているというところもございます。したがいまして、このデジタル型ありまして、こういった自主共聴施設の部分について、住民の方々が、あるいは国ももちろん一定の支援を行いつつ改修をお願いするということを考えておるところでございます。これが基本的なところでございます。
 それで、じゃ、先生御指摘になったようなケースについてどうかということなんでございますが、今お挙げになった例のように、自主共聴施設というものとNHK共聴施設というものが混在と申しますか両方あると。市町村によりましては、それを一体的に整備すると。先生今御指摘になった例では、更に放送以外のいわゆるブロードバンドも含めて整備ということもお考えになったのかもしれませんが、そういったようないわゆる、何といいますか、いろいろな、多様な目的を踏まえた統合的な御計画ということにつきましてどう対応するのかということかと思いますが、私どもとしては、今後こうした当該市町村の具体的な御希望あるいはその具体的な計画というものをお伺いいたしまして、その中で、NHKとの間で、つまり先ほど申しましたようにNHKの責務というのもございますので、NHKとの間でどのような役割分担あるいは連携協力が可能かということは具体に即しまして適切に検討してまいりたいと考えております。

山下よしき NHKの責務、放送を届けなければならない、あまねくということでありましたけれども、先ほど紹介した紀美野町のギャップフィラー方式は、電波を発信する施設ですので電波利用料まで払わされるということになるわけですね、町が。これは私はどうなのかと。放送事業者が本来電波を届けるべきところを、届かないから町が、別にそんな義理はないんだけれども、町民の皆さんがテレビ見れなくなったら大変だからということでギャップフィラー方式でということで乗り出したら、電波利用料まで取られると。これ二重におかしいなと私は思いましたね。
 そして、ついでに言いますと、紀美野町には元々NHKの共聴組合が十七あるんです。ギャップフィラーによる難視対策が実施されますと、このNHK共聴施設というのはもう不要になりますね、要らなくなります。当然、設置、維持の費用も掛からなくなるわけですが、ところが、新たにギャップフィラーを設置するこの設置費、維持管理費、それから電波利用料についてもNHKは一切出さないということになるようです、このままだと。NHKが出すのはもう要らなくなったNHK共聴施設の施設の撤去の費用だけと。
 これは、本来NHKがあまねく放送を行き渡させる責任があって、これまでは共聴の施設の維持だとか、あるいはそれをデジタルに改修するんだったら自分もそこは持たなければならないのに、ギャップフィラーという別の方式になったら何も持たなくていい、これはおかしいんじゃないかと。本来、NHKがこういう電波利用料も含めて負担するような方向で検討されてしかるべきではないかと思うんですが、いかがでしょうか。

永井研二日本放送協会理事 お答えいたします。
 NHKは、御指摘のとおりに、地上デジタル放送の普及に向けて、中継局の整備それからNHK共聴のデジタル化に最優先で今取り組んでいるところでございます。
 紀美野町の例のように、自治体が新たにギャップフィラーを設置して地上デジタル放送を受信することも一つの受信形態であるというふうに考えられます。このようなケースについては、NHKとしても何をどこまで協力できるのか、制度的及び経費的な側面等も含めまして、支援の在り方を総務省とも相談しながら検討を進めていきたいと考えております。

山下よしき 電波利用料のことも含めて総務大臣、いかがですか。ちょっとこれ私は、そういうところまで電波利用料を課せられるというのはいかがかなという感じを持つんですが、いかがでしょうか。

小笠原局長 電波利用料について、ギャップフィラーに関する電波利用料について申し上げますと、御承知のように、電波利用料といいますのは、いわゆる電波利用共益事務の処理に要します費用につきまして無線局免許人全体で負担するという考え方に基づいております。したがいまして、先生御指摘のいわゆるギャップフィラーにつきましても、負担の公平性の観点から申しますと、電波利用料免除ということではなくてやはり御負担を求めるということが適当と考えている次第でございます。
 現実にどの程度の負担になるかということでございますが、先ほど申し上げましたように、電波利用料というものにつきましては出力を勘案して料額を算定するということを考えておりまして、平成二十年の場合、御指摘のギャップフィラーの電波利用料は年額にいたして五千四百円ということでございますので、もしこれを自主共聴組合が設置するということになりましても、過度な負担とはならないものと認識しているところでございます。

山下よしき それは一基の場合ですよね。リレーしますから、五十そういうのを造らなければならなくなるであろうと言われていますから、その五十倍掛かってくるわけですね。
 ですから、そういうことも含めて、NHKが本来は負担していた、これまでは、ものが、負担なくなる、知りませんよということになっていいのかということですから、これは少し大臣、是非自治体が善意でやっていることに対してこういう負担までかぶさってくるというのはいかがなものかと思いますが、何らかの対応が必要じゃないでしょうか。

増田寛也総務大臣 ギャップフィラー方式、私も現場を見に行ったことがありますけれども、大変有効な手段だと思うんですけれども。
 その上で、今回の電波法の改正の中で、国のそういう施設についてもきちんとお払いをいただくということにしているんで、電波の関係からいうと、どうしてもいろんな主体からも利用料をいただくということになるわけですが、この問題は、やはり地上デジタルについていろいろ関係者がどういう負担をしていくのか、本来やはり、NHKの場合ではNHKの方であまねくこれについて電波を行き届かせなければいけないわけですし、それから難視聴地域については、やっぱりこれは私は国も責任を持っておるし、それから自治体の協力も得にゃいかぬというふうに思うわけでありますが、そういうことで適切な費用負担ということを考えていくと。
 特に、地形上非常に不利な地域については特にきめ細かい措置が必要でございますので、電波利用料をなかなか免除というわけには私はそちらの観点からいかないと思うんですが、地上デジタル波で、全体をきちんとデジタル波を行き渡らせるという観点の費用負担の在り方ということは、ギャップフィラー方式の場合にはどういうふうな費用負担をすればいいかということを含めて、よく考えたいというふうに思います。

山下よしき 時間の関係で、経済的弱者の対策については割愛させていただきたいと思います。
 都市部での難視聴対策について質問を進めたいと思います。
 先ほどのお話にもあったように、あのロードマップというのはあくまでもシミュレーションですので、実際に映るかどうかはやってみなければ分からないということが特徴であります。思いも寄らないところで実際に難視聴世帯が発生するということもあり得るわけですね。ところが、それがどうなるかというのはもう知らないわけです、だれも、やってみないと。
 そこで、都市部では、これからアンテナを立てたりしようという方々が、実際映るかどうかというのをどういうふうに知ることができるんだろうかと。これ事前に知らないと、アンテナは買って立ててみたけれども映らないということでは、アンテナの費用無駄になりますから、やっぱり事前に映るかどうか情報を得るということが視聴者の利益にとっては非常に大事だと思うんですが。
 映りますよというふうにマップではなっているエリア内でもそういうことが起こり得るんじゃないかということ、それから事前調査をやっぱりするべきじゃないのかと、だれの責任で行うべきなのか、この三点、いかがでしょうか。

小笠原局長 まず、全体的な傾向から申し上げますと、地上デジタル放送といいますのは受信障害に強い方式を採用しておりますので、アナログ放送に比べますと、受信障害の程度は大幅に改善するものと予測しております。
 恐らく都市において映るか映らないかということが問題になりますのは、現在アナログで受信障害になっている地域がデジタルになった場合に、すべて解消されるのか、あるいは一部残るのかといったところが、私どもとしては実際には問題になるかと思います。
 もちろん、デジタル放送におきましても、場所によって受信障害が継続する場合もございますので、現在受信障害があって共聴施設で御覧になっている場合、それをデジタル化に合わせて撤去あるいは縮小する際には、事前に先生御指摘のような受信障害の解消範囲というものを調査することが必要となってまいると考えております。
 その調査をどういう主体でやるのかという御質問がございましたけれども、この調査は基本的には、その受信障害の原因となった建築物の所有者にとりましては共聴施設を撤去あるいは縮小することによりましてこれまで掛かっていた維持管理経費というものが軽減されるということでございますので、基本的には当該建築物の所有者において主体的に実施することが望ましいと私どもとしては考えているところでございます。
 特に私ども、公益事業者、例えば電力とかそういったような大規模な公益事業者の施設所有者に対しましては、その社会的責任あるいはその公益性等にかんがみまして従前から、そういった調査を早期に実施していただきたい、あるいはその対象世帯へ十分御周知いただきたい、あるいはその受信障害を抱えた世帯に対しては適切な対応をいただきたいということを働きかけているところでございます。

山下よしき 具体的なちょっと起こっている事案について伺いたいと思うんですけれども、都市部では全世帯の中でケーブルテレビに加入している世帯が多いと思うんですね。その理由として、先ほどあった受信障害対策で利用している世帯がかなりあります、ビルや障害物が多いからだと思うんですが。
 台東区のある事例なんですけれども、ある企業による受信障害地域なんですが、受信障害対策が施されていた二千八百の世帯に対して、最近その原因者である企業側、ビルを造った原因者ですね、から二〇一一年七月で受信障害対策は終了するという旨の手紙が来たらしいんですね。これからはもう対策しませんから、アンテナを建ててデジタル放送を見るか、ケーブルテレビに有料で加入してくださいと。これまでは無料でケーブルで見ていた地域ですけれども。しかし、本当にその障害がなくなるのかどうか分からないわけで、その原因者に協議を申し込んでいるようですけれども、いや、もう責任ありませんということで話合いにも応じてくれないと。
 総務省はこういう場合の考え方を示しているようですけれども、話し合ってくださいよということのようですが、話合いにも応じないという場合がやっぱり実際出てきていると。これ、何らかの形でもう少しこの考え方を改善する必要があるんじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。

小笠原局長 私どもの考え方といいますのは、先ほど申し上げましたように、基本的にはその建築物の所有者の方が主体的に実施することが望ましいと考えておりまして、その旨、現実にそういった問題に対応いたします地方局に対しまして通知をしておるところでございます。
 そしてまた、ただ、先生御指摘になった例は具体的にどういうものかというのは私もつまびらかには承知しておりませんけれども、現実にその中でどのように解決を図るかということにつきましては私どもきめ細かい対応が必要だと考えておりまして、例えばその地方局に対しましては、特に大規模な施設から、現地に対する説明会その他、あるいは様々な実例、あるいはどのような解決法があるかといったような選択肢といったものを情報を提供して、速やかにそういったものの解決が図られるように取り組んでまいりたいと考えておるところでございます。

山下よしき もう、無料で障害対策でケーブル見ている人はそれが当たり前だと思っているんですね。それが突然、もう私の責任ではなくなりましたのでどうぞ自分で加入してください、有料ですと言われても、びっくりする方多いと思うんですね。是非これは、どうそれを折り合い付けていくのかというのをしっかりと、国がやった政策変更ですから、責任持って進めていただきたいと思います。
 最後に、新タワーの建設について伺います。
 NHKと在京民放五社は関東地域をカバーしている放送設備を東京タワーから墨田区に計画中の新タワーに移すということになっておりますが、移動の時期はいつごろになるのか、それから二つ目に、移動に伴って新たな難視世帯、電波障害が生じることがあった場合、放送事業者がしっかりと対応していく必要があると思いますが、どうなのか、視聴者はこういう問題についてどう対応したらいいのか、三点伺います。

小笠原局長 まず、移転の時期でございますけれども、私どもが放送事業者から聞いております限りでは、新タワーは二〇一一年度中に竣工と。それ以降、試験放送等行って問題がないことを確認した後に本放送の開始ということになる予定と聞いております。いずれにしても、二〇一一年七月のアナログ放送の停波後に放送が行われる予定となるものと承知しております。
 そして、先生御指摘の新たな受信障害等が起こった場合にどういうふうに対応するのかということでございますが、こうしたビル陰、新タワーへの移転に伴いまして新たな難視の発生など何らかの影響が生じる場合には、受信者の利益保護の観点から、放送事業者が責任ある取組を実施するよう私どもの方でも指導助言をしていく所存でございます。
 具体的には、昨年十二月、放送事業者六社に対しまして、この移転に伴って生じる電波の混信等の影響に関する取組については、放送事業者において責任ある取組を行うよう私どもとしても要請したところでございます。

山下よしき 終わります。

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