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論戦・演説・講演原点山下よしき---「おばあちゃんの二つの教え」、「共産党に入ってよかった事」など、自らの生い立ちや政治家としての原点を熱く語った初期エッセイ集  
 

 危険物施設に対する公的検査の拡大強化が必要
 医師、看護師の抜本的な増員と緊急の確保に全力を尽くせ

2008年5月15日 参議院・総務委員会

山下よしき 日本共産党の山下芳生です。
 初めに、消防庁に伺います。
 今年二月十五日に出された消防審議会の大規模地震に備えた当面の消防防災対策のあり方に関する答申では、危険物事故の動向それから発生原因、どう述べているでしょうか。

荒木慶司消防庁長官 危険物施設における事故の動向につきましては、危険物の流出事故は平成六年までは減少傾向を示していたものの、この年を境に増加傾向に転じ、平成十八年中に発生した火災・流出事故件数は、平成六年と比べると火災が約二倍、流出事故が約二・二倍となっており、特に危険物が大量流出する可能性がある五百キロリットル以上の大型屋外タンク貯蔵所に限定すると、その流出事故は六倍となっていると述べているところであります。
 また、事故の原因については、事故が発生する原因は、腐食等劣化によるものが流出事故全体の三割強を占めており、近年の増加傾向は施設の老朽化の進展に大きく関係しているものと考えられる。特に、流出事故が著しく増加している五百キロリットル以上の屋外タンク貯蔵所の約八割は昭和五十二年以前に設置されたものであり、また給油取扱所の地下貯蔵タンクについては、その多くが設置後三十年以上経過している実態にあると述べているところであります。

山下よしき 危険物施設の事故は増加傾向にあり、その発生原因として施設の老朽化の進展が考えられるということであります。
 そこで、五百キロリットル以上の大型屋外タンクを始め、危険物施設が集中している石油コンビナートの保安規制について聞きたいと思います。
 経済産業省、石油コンビナートにかかわる保安四法、すなわち消防法、高圧ガス保安法、労働安全衛生法、石油コンビナート等災害防止法のうち、高圧ガス保安法の規制緩和がいつ、どんな内容で行われたのか、簡潔に説明していただけますか。

稲垣嘉彦経済産業大臣官房審議官 お答えいたします。
 高圧ガス保安法に係る自主検査の導入に関する規制緩和につきましては、昭和六十二年一月の通達制定により認定事業者の自主検査制度が導入され、平成九年四月の高圧ガス保安法の施行により法律上の位置付けがなされました。同法に係る開放検査周期の延長については、平成十一年九月の通達改正により、貯槽についてそれまで一律三年であったものが使用材料に応じた延長がなされました。この際、併せて認定保安検査実施者については独自に開放検査周期を定めることができることとされました。

山下よしき 一九九六年の高圧ガス保安法の改正で、通産大臣が認定した事業所には自主検査と、それから検査周期の延長、これは運転を止めずに連続運転できるということが容認されたということであります。
 当時、私は参議院の商工委員会で質問に立って、保安規制の緩和で事故が増加する危険性を指摘して反対しましたけれども、その後事故はどうなったのか、経済産業省、高圧ガス災害事故の推移について九七年から二〇〇七年の数字を述べていただけますか。

稲垣審議官) お答えします。
 一九九七年から二〇〇七年における盗難、喪失を除く高圧ガス事故の件数は次のとおりでございます。一九九七年、八十九件。九八年、九十件。九九年、七十九件。二〇〇〇年、九十九件。二〇〇一年、百二十二件。二年、百三十八件。三年、百四十六件。四年、百五十七件。五年、百六十五件。六年、百九十三件。二〇〇七年は二百八十三件でございます。なお、人身被害を伴う災害の発生につきましては、おおむね横ばいの毎年約五十件となっております。

山下よしき 資料にグラフを示しておりますけれども、保安規制の緩和後、事故が増加しているわけであります。経済産業省、その要因は何でしょうか。

稲垣審議官) お答えします。
 高圧ガス事故の原因には、一、設備の設計・構造不良、二、設備の維持・管理不良、三、管理・操作基準の不備、四、運転・工事に係るミスなどがありますが、そのうち劣化、腐食等といった設備の維持・管理不良と、認知確認ミスといった運転・工事に係るミスが原因の多くを占めております。
 なお、近年これら劣化、腐食等に伴う漏えい件数が増えており、現在その原因について分析をしているところですが、最近の社会的な安全意識の高まり等を背景に、従来は報告されていなかった軽微な事故が報告されるようになってきたことも一因と考えているところであります。

山下よしき 劣化や腐食等による災害が増加しているということでありまして、これも資料にその分布を示してありますが、要するに設備の経年劣化が事故の増加の背景にあるようであります。ただ、私は、設備が老朽化する、イコール劣化、腐食が増える、イコール事故が増大すると安易に認識していいのか、よく考える必要があると思っております。
 厚生労働省、平成十九年三月のボイラー等の自主検査制度の導入の可否に関する検討会報告書では、石油精製業設備で平成十四年から十八年に発生した爆発・火災事故のうち、設備の腐食、摩耗、亀裂等によって発生した事故は防ぐことができたか否か、どう分析しているでしょうか。

鶴田憲一厚生労働省労働基準局安全衛生部長 お答えします。
 御指摘の報告書は、平成十九年三月に取りまとめられたものでありまして、先ほど御指摘がありましたように、その十二の事例の原因というものを見てみますと、工学的に未知の現象であった又は予測不能であったと考えられるものが二、三例にとどまっておりまして、大部分は過去の経験、知見の集積により経年裂傷の防止及び管理を適切に行えば防ぐことができたと考えられるというふうに指摘されております。

山下よしき 大部分は防ぐことができた事故だったということであります。これは逆に言いますと、過去の知見を集めて、それから管理を適切に行えば、たとえ設備の老朽化が進んだとしても事故を未然に防ぐことはできるということだと思います。
 非常に大事な指摘だと思いますが、経済産業副大臣、重く受け止めるべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。

新藤義孝経済産業副大臣 御指摘の厚労省の報告書につきましては、私どもとしても承知をしております。経年劣化や保安管理上の問題があるということでございます。
 そして、経産省といたしましては、この高圧ガスの利用に伴う災害の防止、これをより確実にするためには、こうした報告書に御指摘いただきました点も含めまして、さらには近年の事故についての実態の把握、それから要因の分析、さらには総合資源エネルギー調査会高圧ガス部会、私どもの中にもそういうものがございますから、こういった専門家の御意見もいただきながら、随時、技術基準ですとかそれから検査方法、こういったものをきちんと既成制度への反映に図ってまいりたいと、このように思っております。
 今後とも、このコンビナート設備の保安規制を担う関係省庁とも十分に連絡取りながら取り組んでまいりたいと、このように思っております。

山下よしき 先ほどの厚生労働省の報告書では、こうした事故は高圧ガス保安法の適用を受ける設備には発生しているが、労働安全衛生法の適用を受けるボイラー等では発生していないとあります。これも非常に重要な指摘だと読みました。
 両者のどこが違うのかといいますと、高圧ガス保安法は事業者による自主検査を容認しましたけれども、労働安全衛生法は第三者機関による公的検査が現在も維持されております。自主検査と公的検査の違いが大きいと思うんですね。
 厚生労働省、この報告書では、石油精製業界の社内検査の公正性、独立性の確保についてどのような状況が見られると分析しているか、具体例も含めて紹介していただけますか。

鶴田部長 報告書におきましては、自主検査制度を導入するには、社内検査において、定められた検査手順・方法が遵守され、判断基準がゆがめられないこと、検査の公平性、独立性が担保される必要があるとされております。
 また、報告書におきましては、石油精製業で問題がある等の理由で事業場認定の取消処分が行われている例が挙げられております。それにおきましては、ボイラー等の連続運転の認定事業場では、一つは虚偽報告を行ったことによるもの、二つ目は、認定の変更の手続に違反があったもの等があります。また、高圧ガス保安法の特定施設に係る認定保安検査実施者に対する不正による取消処分も行われております。
 このうち、一企業で起こった不正事案の経緯を見ますと、経営に危機感を持った外資系トップが急激な補修コストの削減を企図する中、二製油所において、コスト削減と検査を含む業務の効率化が優先され、法令遵守が軽視されるようになり、平成十四年までの数年間、高圧ガス保安法の保安検査の検査項目の省略及び虚偽報告を行うことに至ったと、そういう状況が見られるというふうに報告されております。

山下よしき 以上のようなことを踏まえて、報告書は最後に、「石油精製業界において、経営や競争が激しいときであっても、社内検査の検査手順・方法が確実に遵守され、また社内の検査部門が会社の経営から独立して公正な判断が行われるようにするための仕組みが構築され、かつ、それを維持し続けるだけの体制があるとは言い難いと言える。」というふうに記述をされております。
 これが実態だと思うんですが、経済産業副大臣、災害防止のために保安規制の緩和をやってきた下でこういうことが起こっている。私は、今、緩和から規制の強化への転換、少なくとも石油コンビナートのような危険物が集中する大規模施設では、自主検査に任せるのではなくて公的検査を復活強化することが求められていると思いますが、いかがでしょうか。

新藤経産副大臣 まず、規制緩和というのは検査の方法についての緩和がなされたということでございまして、規制の基準が緩和されたものではないというふうに私は理解をしております。そして、まず、その意味におきまして、高圧ガスを設置する事業者というのは、その保安の確保と災害の防止を徹底して行うというまず責務があります、業者としての。それに対して、こういう事業者にその責務を全うさせるべく我々行政が厳格に規制を執行していく、このことが重要だと思っておるわけでございます。
 そして、高圧ガス保安法というのは、こうした考え方の下で、まず高圧ガスの処理量が多い事業者につきましては、都道府県知事が設備の検査を行うとするとともに、保安管理能力が高いと認められる事業者につきましては自らが設備の検査を行うことができると、こういう認定制度にしているわけでございます。これは、認定を受けた事業者が自らの設備の状況に応じて独自に徹底した検査そして保安管理を行うことにより安全性を一層向上させるものだと、こういう趣旨から行っているものでございます。一方で、認定事業者におきましても、法令に照らして保安管理体制に問題があることが明らかになった場合には、認定の取消し等、厳正に対処してきているつもりでございます。
 今後とも、立入検査等を通じチェックをしっかりと行い、また問題があれば厳正に対処してまいりたいと、このように思っております。

山下よしき これは非常に認識が甘いなと率直に思いますね。
 二〇〇四年に四十六社、八十事業所が認定をされておりました。それがいろいろな検査不適正、それから事故もありまして、六社、十一事業所の認定は取り消されているわけですね。物すごい比率ですよ、これは。一般の事業所の事故率よりもはるかに高い事故や不正が認定事業所で起こっている。
 その下で、去年の十二月も三菱化学鹿島事業所で下請の四人の労働者が火災事故で亡くなるという大きな事故まで起こっちゃった。これも認定事業所でしたよ、取り消されましたけれども。こういうことが次々起こっているわけですね。そして、結果として去年の厚生労働省の報告書では、これは自主検査と言っているけれども、公正性、独立性がちゃんと担保できていないという認定がされているんです。
 一方で、大規模災害がこれから起こる、国民や住民に大きな被害が及ばないとも限らない下で今こういう事態を放置していいのかということですが、私は、企業任せでは老朽化がやっぱり進む下で事故を防ぐことはできないと思います。産業界全体として設備の定期修理に掛かる費用や人員も減らされているということがあるわけですから。
 ここは是非総務大臣に認識を伺いたいと思いますが、消防の調査権限、体制を強化することはもちろん大事だと思います。同時に、危険物施設の老朽化が進む下で保安規制の緩和をこれ以上放置することは、私は国民の安全に責任を持つ姿勢とは言えないと思います。事業者の自主検査ではなくて、公的検査の拡大強化など行政の役割を高めることが必要だと思いますが、防災、それから住民の安全の一翼を担う総務大臣として、心に留め置くではなくて、関係大臣、各省庁とも率直に協議をして真剣に検討すべきだと思いますが、いかがでしょうか。

増田寛也総務大臣 今、経産省の副大臣の方から御答弁ありましたとおり、当然このことについて、基準が緩和されたりと、そういったことではいけないわけで、そこのところはきちんと法律を執行して、そういったことが起こらないように今しているわけですが、いずれにしても、関係省庁間で横に緊密に連携を取ってこの災害危険ということに対処していかなければならないということがございまして、それぞれの立場でそれぞれの役割をきちんと果たすということが私は大事だと。
 それからもう一つは、こうしたやはり国民生活の安全性を守るという観点から、今回の我々の消防法の改正というのも、これも一つの我々の役割を果たさなければいけないということからの提案であるわけですが、この公的検査の充実をやはり図っていかなければならないと。この点については、危険物施設の安全確保ということに向けて、こうした公的検査の充実を図るなどしてこの安全が確保されるように努めていきたいと、このように考えております。

山下よしき 先ほどの質疑でもありましたけれども、幾ら消防庁が一生懸命やっても、経済産業省の分野で規制が緩和されて事故がどんどん増える。しかし、起こった事故の後始末、火災消しに行くのは消防庁やという、そういう大事な役割を私は総務大臣が果たさなければならない。
 だから、消防法の中で公的検査を強めるのは当然ですけれども、それ以外の分野でも防災という点から必要な手だてを取るように、私は、心にとどめ置くというだけではなくて、関係省庁に提起していただく責任が大臣にはあると思いますけれども、いかがですか。

増田総務大臣 先ほど来その点については御指摘をいただいているところでございますので、きちんと受け止めて対応していきたいというふうに思います。

山下よしき 次に、産科の救急医療について質問をいたします。
 一昨年、昨年と妊産婦の搬送先が見付からずに死亡、死産するという悲しい出来事が続いた奈良県では、総合周産期母子医療センターが未整備でした。総合周産期母子医療センターの開設に当たって、医師の確保、看護師の確保も含めて、県任せにしないで国が責任を持つと、昨年の十月、当委員会で西川厚生労働副大臣は私に答弁をしていただいたわけですが、現状どうなっているでしょうか。

西川京子厚生労働副大 本当に、昨年、妊婦さんが亡くなるという不幸な事件がありましたが、それが一つの象徴的ではありますが、この救急医療、周産期、そして小児科の医師の不足というもの、大変ここ一年ほど大きく社会問題化しております。緊急に厚生労働省としても対応しなければいけない。>  長期的にはやはり医学部の定員の増とか女性医師の働く環境の整備とかいろいろな政策があるわけですけれども、短期的にこの五月に緊急医師確保対策、あるいは看護師の研修センターへの補助とか、そういう施策を行いまして緊急の確保に努めております。
 そして、今月の二十六日に奈良県の奈良県立医科大学附属病院の産科病棟を改修いたしまして総合周産期母子医療センターが開設することになりまして、それを指定することとしております。

山下よしき 二度の悲しい出来事の痛苦の教訓の上に開設の運びとなったことについて、関係者の努力に敬意を表したいと思います。これが安心して赤ちゃんを産める社会にという願いにこたえる第一歩になるように期待したいと思いますが、ただ、手放しで喜べない面があるんですね。
 当初の計画よりも医師、看護師の確保が不十分に終わりまして、NICU、新生児集中治療管理室の稼働を、当初計画二十一床だったんですが、約半分の十二床でスタートせざるを得なくなりました。国として、原因をどう分析し、今後にどう教訓を生かすのか、また、奈良での医師、看護師の確保をどう支援するのか、お聞かせください。

西川厚労副大臣 確かに当初の御計画では、新生児の集中治療管理室が、NICUと言いますけど、これが二十一床、そして母子、母体と胎児集中治療管理室、MFICUと言いますが、これが六床という計画でございましたが、やはり看護師がちょっと確保できないということでございまして、医師の方は予定どおりでございましたけど、十二床と六床ということで事業を行うことになりましたが、実は厚生労働省の方で総合周産期母子医療センターとしての指定基準というのは、NICUが九床、そしてMFICUは六床以上が整備されているのを総合周産期母子医療センターという指定基準をしておりますので、基準は十分に満たしているわけでございます。
 ただ、奈良県といたしましても、更に看護師確保に、来年の春には達成したいということで御努力をするようでございますから、厚生労働省としてもしっかりと連絡を取り合ってサポートしていきたいと思っております。

山下よしき 看護師さん、たくさん養成されているんですよ、県内で。なかなか県内に残ってくれないといういろいろ苦労もあるようです。やっぱり、県任せにしていたのではなかなか思うように運ばないということなんで、是非国が責任を持って引き続き、奈良だけではありません、全国の医師、看護師の抜本的な増員と緊急の確保、全力を尽くしていただきたいということを申し上げて、終わりたいと思います。

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