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論戦・演説・講演原点山下よしき---「おばあちゃんの二つの教え」、「共産党に入ってよかった事」など、自らの生い立ちや政治家としての原点を熱く語った初期エッセイ集  
 

 道路特定財源を一般財源化し、不要不急の道路建設を今すぐやめよ

2008年4月10日 参議院・総務委員会

山下よしき 日本共産党の山下芳生です。
 おとといの質疑で総務大臣は、道路特定財源と暫定税率の失効によるガソリン、軽油価格の値下がりについて国民は歓迎していること、元に戻せば国民の負担は増加することを認める一方で、地方が予算執行を留保しており、長引けば住民サービスの見直しをしなければならないこと、地方の道路整備はまだまだ不十分であることを挙げ、暫定税率の復活をお願いするのは大変心苦しいが、国民の理解をいただきたいと述べられました。
 そこでまず、地方自治体が予算執行を留保している問題について議論したいと思います。
 初めに、今回の道路特定財源と暫定税率の失効が地方の道路事業費の財源にどの程度影響を与えるのか。総務省、平成十七年度決算ベースで見ると、都道府県、市町村の道路事業費に占める地方道路特定財源の暫定税率分と地方道路整備臨時交付金の比重はどのようになりますか。

久保信保総務省自治財政局長 平成十七年度決算統計などによりますと、都道府県の道路関係経費、これは六・二兆円ございますけれども、のうち、道路特定財源の暫定税率分は九%、〇・六兆円、地方道路整備臨時交付金は七%、〇・四兆円を占めております。
 また、市町村の道路関係経費、これは四・七兆円ございますけれども、このうち、道路特定財源の暫定税率分は八%、〇・四兆円、地方道路整備臨時交付金は五%、〇・二兆円を占めております。

山下よしき 暫定税率分、臨時交付金合わせますと、都道府県で約一六%、市町村で一三%ということであります。おおむね一割五分ということなんですね。
 国交省に伺いますが、四月一日に発表した「平成二十年度道路関係予算の当初配分について」、この趣旨を説明していただけますか。

菊川滋国土交通大臣官房審議官 お答えいたします。
 租税特別措置法あるいは地方税法、平成十九年度内に成立いたしませんでしたものですから、歳入として揮発油税などの暫定税率分の税収が見込めないということ、さらに財源特例法も未成立でありますので、制度面では地方道路制度臨時交付金、臨交金などが執行できなくなりました。
 このため、御指摘のありました記者発表資料でございますけれども、当初の配分額として、国民生活や地域経済に無用の混乱を生じさせることがないように、一つ、国民生活の安全、安心の確保について支障がないよう引き続き直轄国道を適切に維持管理する、二つ、これまで支払を約束している義務的経費への対応、三点目、緊急を要する事業への対応などを措置することとして、約五千億円の配分について発表したものでございます。

山下よしき 要するに、道路の上に石が転がっているのはどけなあかん、あるいは用地を買収する、買いますという契約しているところはやっぱり執行しなければならない、そして梅雨前、出水期前に直すべきところは直さなければならない、そういう三つの項目で、いろいろまだ見通しは分からないですけれども、ここは予算執行しますよということだと思います。
 そこで、総務省が道路特定財源の暫定税率失効に伴う四十七都道府県の対応を調査したところ、四月一日現在、三十六団体が事業予算の執行留保を決定したというふうになっております。うち二十五団体は道路関係予算を執行留保しているとのことですが、総務大臣、この二十五団体というのは、先ほど国交省が示された道路関係予算の当初配分についてという内容で最優先する事業を選択したと理解していいでしょうか。

増田寛也総務大臣 各都道府県の、道府県のそういう判断の詳細まで私どもの方で調査しているわけではないんですが、道路事業について調査の、向こうからの回答を見てみますと、新規事業を凍結すると言っているところがあります。それから、債務負担行為に基づく契約済みの事業や必要最低限の維持管理事業、それから災害復旧事業等の保留が困難な事業、これらに限定して執行と、こういうふうに回答してきているところがございます。
 それぞれいろいろな御判断があると思いますけれども、今申し上げましたようなものについて優先的な判断をしておられるということだと思います。

山下よしき 事業予算の執行留保を決定した三十六団体のうち、四団体は道路関係事業を含む普通建設事業予算を執行留保する、それから七団体は普通建設事業予算以外の経常的経費を含め執行を留保する、これは福祉や教育も入るのかもしれません。ということでしたが、そもそも道路にしか使えない道路特定財源の暫定税率失効に伴う歳入欠陥がどうして道路以外の事業の執行留保になるのか、総務大臣、説明していただけますか。

増田総務大臣 公共団体の判断というのは、予算全体を見ながら今後どういうふうに継続的に執行していけばいいということを判断されるんだと思います。
 道路の場合には、特に地方の道路整備の場合には、道路特定財源を充てている部分と同時に、そのほかの一般財源、特に起債を財源とした借金で建設をしている。その起債の、借金の償還日というのは、毎年、決まった時期に決まった形できちんと返さなければいけないということでございますが、ここは団体間によっていろいろ状況は異なっていると思いますが、こういう道路特定財源での、特に暫定税率分を借金の返済などに充てているといったような団体は多いのではないかというふうに思います。
 したがって、そうした借金の返済に充てる分を今度は他のところから回していかなければならないんではないか、こういうふうに判断をして、しかもそれがどの程度膨れ上がるかということはまだ今ははっきりしないんで、他の分野の執行も併せて止めて、非常に慎重な上にも慎重に今後を見通していこうと、こうしているんではないかというふうに思います。

山下よしき 道路建設に充てた借金の返済に回さねばならないことであろうということでしたが、宮城県も、発表文書を見ますと、道路建設に充てた地方債の償還費用を工面するためにほかの分野の執行を見合わせているという発表がございました。私はこの道路建設に充てた借金が非常に膨らんでいるということが大きな問題だと思うんです。
 資料の一枚目を御覧ください。都道府県、市町村の道路関係経費における公債費の推移を示しました。一九九七年と二〇〇六年を比べますと、道路関係の公債費は都道府県で二・二二倍、市町村で一・三七倍に膨らんでおります。
 総務大臣、どうしてこんなに地方の道路関係の公債費が膨らんだんでしょうか。

増田総務大臣 これは、地方の場合には、先ほど申し上げましたように、道路建設、道路財源、特定財源では足りないんで一般財源まで含めて充当しているわけですが、その際に、各公共団体の方で過去の累次の国の経済対策に各公共団体も付き合って、そして事業を実施してきた、国、地方一体となって事業を行うと、そういうことで景気対策を、経済対策を実施してまいりましたので、そういうことで多く事業を実施をした、その償還が今ちょうどその時期に当たっているんではないかと、こういうふうに考えられます。

山下よしき 国の景気対策に地方が付き合って、公債を増やして今償還の時期に当たっているということでしたが、おっしゃるとおり、景気対策として一九九一年からの十年間で総額四百三十兆円、その後、九五年にそれが十年間で六百三十兆円に膨れ上がりましたけれども、公共投資基本計画を政府が決定した、道路の五か年計画、これは国の計画ですけれども、十一次で七十六兆円、十二次が七十八兆円と莫大な額が決定された。その結果、地方でも行け行けどんどんで道路建設が行われて雪だるま式に借金が膨らんだ、それが今自治体の財政を苦しめているということだと思います。
 ですから、道路事業費の一割五分程度の暫定税率失効による歳入欠陥が道路以外のサービスにまで影響してしまうほどの自治体財政になった背景には、こうした経過があると思うんですね。ならば、地方の予算執行が留保されているとか住民サービスに影響するからということで単純に道路特定財源の暫定税率を復活させることで果たしていいのか、ここは冷静に考えなければならないと私は思います。
 二つ提案したいと思うんですが、一つは、やはり地方の道路事業にも不要不急の事業はないか徹底的に精査し見直しをすること。これは総務大臣もおととい、自治体の歳出構造の見直し、優先度を考えるきっかけに今回の事態がなっているとお認めになった。そして、地方でもその作業が先ほど言われたように始まっている、これが一つです。二つ目に、それでも必要な事業について、地方の財源が不足するんであれば、これは国が補う必要がある。公共事業を押し付けながら交付税を削減したのは、これは政府の責任ですから。地方の要求も一貫してトップは交付税総額の復元、これが六団体のトップですよ。
 ですから、以上二点、地方の道路事業にも不要不急はないか徹底的に見直すこと、そしてそれでも必要であれば国が補うこと、これが大事だと思いますが、大臣の認識、見解を伺いたいと思います。

増田総務大臣 地方の道路整備の必要性は、これはほぼ多くの方がお認めいただいているものというふうに思います。
 その中で、今こういうふうに現実に歳入欠陥が起こっている、あるいは起こる可能性がこれからずっと広がるということを危惧して、公共団体も必要最小限のものは何かということのいろいろな判断をしているわけですが、しかし、この道路整備、多くの団体もいずれは何らかの形で着手をしなければいけないということはきちんと思っているものというふうに思います。ただ、それが今後借金で、また更に借金を積み重ねてというわけにはいかないということで、今のお話がございました地方六団体のその声明の中でも早く暫定税率はきちんと戻せということを私ども言われているわけでございますし、今月に入りましてまたもう一度六団体の代表の方が参られましたけれども、そのときにもきつい御指摘をいただきました。したがって、そのことは政府としてもきちんとそういった公共団体のお考えにもこたえていかなければならないと思います。
 交付税、確かに大変最近削減をされてきたというのも一方で事実でございますので、こうした交付税について、今回増額の措置をしてございますが、やはり地方団体の歳出の中でこうした一般歳出をきちんと措置をする、確保していくということは国としてもこれからも努力していきたいというふうに思います。

山下よしき 私は、真剣な歳出構造の見直しをすることなしに、地方が大変だと、それは大変だと思いますよ、予算組んだけどこういう事態になったんですから。しかし、だからといって、道路特定財源の暫定税率をそのまま復活させるということになったらこれは何にも変わらない。そのことが地方の借金を増やしてきた原因にもなっているんですから。ですから、せっかく世論に押されて首相が道路特定財源の一般財源化ということを提案したんですから、その流れを後戻りさせてはならないと思います。
 先ほど、国民は目先の利益、安さで今支持しているという御発言ありましたけれど、私はそうじゃないと思います。やっぱり、こういう道路だけを別枠扱いして、聖域扱いして、どんどんそこに特定財源で使うことがいいのかということも考えて、国民は後戻りするべきじゃないという判断をしていると思います。それを是非しっかりと踏まえる必要があると思います。
 次に、地方の道路整備について議論したいと思います。
 私は、長年の道路特定財源制度の下で、地方の道路整備の在り方がいびつになってきていると思います。資料の二枚目に、地方の道路事業のピークが一九九〇年代からどんどん減り続けて半分近くになったというグラフを示してあります。その一方で、国の直轄事業は減っておりません。ですから、地方の負担金も同額で維持されております。その結果、これは道路橋梁費ですけれども、そこに占める国直轄事業の負担金の比率が九〇年代の九%程度から一八%と倍増しております。結局、生活関連道路の整備予算が大きく圧迫され減少しているという事態が進んでいる。
 総務大臣、こうした事態、どう思われますか。

増田総務大臣 全体的な数字は今お話がございましたとおりでございますが、やはり地方の道路整備事情は地域によっていろいろございまして、地方で国の方にお願いをして整備をしていただかなければならない非常に幹線的な道路、それからあと一方で、地方の方で単独事業で実施できるような、言わばそういったものは身近な生活関連道路が多いと思いますけれども、そうしたもの、様々整備の進捗状況に合わせてあろうと思います。
 ただ、いずれにしても、私が申し上げたいのは、それらが、生活道路でも最後にはいろいろ幹線道路といったところにつながって全体としてネットワークを構築していかないといけないということでございますので、いかにそういった全体のネットワークを効率的に構成するのかということで、各公共団体の方によくその点は御判断をいただきたいというふうに思います。

山下よしき 国直轄の比重が増えて生活関連道路などが減っているという事実、これはお認めになりますか。

増田総務大臣 それは、この数字を見ますとそういうことであろうというふうに思います。

山下よしき その下で地方でどんな事態が生まれているか。私は先日、福島県のあぶくま高原道路を視察してまいりました。資料の三枚目に道路の地図を載せておりますけれども、東北自動車道の矢吹インター、左側から赤いラインで、福島空港を経て、磐越自動車道の小野インター、右側までをつなぐ三十六キロの自動車専用道路であります。まだ破線の部分は完成しておりません。
 国交省、この道路の総事業費、現在までの事業費の内訳、国と地方の負担割合、幾らですか。

菊川審議官 この道路、現在、福島県とそれから福島県の道路公社で事業を実施いたしております。
 本道路の総事業費でございますけれども、約一千三百億円でございまして、事業を平成六年度から着手しておりますが、十九年度までに投入した費用の合計額は約一千百六十億円でございます。内訳は、有料道路事業が約三十二億円、国の補助事業として八百八十三億円、県の単独事業として二百四十四億円でございます。
 それぞれの国と県の負担割合は、有料道路事業が、国が無利子貸付けで四割、県の出資金が二・五割、それから公庫、民間の借入金が三・五割と。それから、国の補助事業につきましては、国が五・五割、県負担が四・五割ということでございます。また、福島県の単独事業は全額県の負担というふうになっております。

山下よしき 総事業費千三百億余りで造られております。国、地方半分ぐらいずつでしょうか。
 実際に走ってみて私びっくりしました。小野インターから平田間ですれ違った車は十四台、それから空港から矢吹間はすれ違った車は一台もありませんでした。ゼロであります。福島空港というのは、実は東京便がなくて、新幹線で一時間半ですから、元々乗降客が年間見込みの半分程度になっております。ですから、そこに結ぶ自動車道もなかなかやっぱり予定よりも相当少ないんだなと思いました。しかも、その同じところに既に県道があるわけですね。十分そこで行き来できるわけです。何でこういう道路が急がれるのかと率直に思いました。
 一方、県民が切望する生活道路の整備は遅々として進んでおりません。その典型が国道百十四号です。
 資料四枚目にちょっとポイントポイントの写真が載っておりますが、百十四号は福島市から阿武隈山地を越えて太平洋側に抜ける道路であります。大型車もたくさん通る。しかし、くねくねと曲がりくねった道路で、道幅も狭く大変危険です。トレーラーがもう曲がれるか曲がれないかと。もう既に十年以上前から地元の自治体が国や県に整備の要望をしておりまして、この四枚目の資料は、実際、百十四号の整備促進期成同盟会ということですけれども、会長は自民党の参議院議員の方がなっておられます。ところが、国も県も、予算がないからということでなかなか進まないということをおっしゃられました。この川俣町の町長さんからも是非よろしくと言われたんですが。
 あぶくま自動車道に対して県の道路予算は毎年一〇%ぐらい注がなければならない。総額が減っていますからね。ところが、こういう本当に必要な道路がなかなか整備されずに残っている。何でこうなるのか。
 私は、やっぱり国の道路特定財源、これは毎年固定されて三兆五千億円ぐらい入ってくるわけですね。それが入ってくるから道路中期計画で十年間で五十九兆円。その中には高速道路ネットワーク、その中には地域高規格道路。このあぶくま自動車道は地域高規格道路の中に規定されております。この仕組みが地方の道路事業の総額が減る中でなかなか自由度を低くしている、本当に必要な道路を後回しにしている、そういうことになっていると私はいたく思ったんですが、総務大臣、どういう認識でしょうか。

増田総務大臣 福島の個々の道路について私、熟知しているわけではありませんけれども、今の福島の佐藤知事さんも何回か私のところに、総務大臣室に来られまして、やはり道路の財源の話は大変心配はしておられました。
 県の方でも優先度いろいろあるのかもしれませんし、また直轄の方といろいろと相談しながらやっておられるんだろうと思いますが、ただ、いずれにしても、財源が減ってしまっては今先生お話にございましたとおりのこの百十四号の方にもなかなか回っていかないということもあります。ですから、その点については是非御理解いただきまして、いろいろお話、御見解はあろうかと思いますけれども、やっぱり地方の、私は、道路の整備の必要性ということについては十分あるわけでございますので、その財源を確保するということについて是非御理解いただければというふうに思います。

山下よしき 実際に今の仕組みでもこれができてこなかったんですよ、道路特定財源があっても。結局は、道路特定財源があることによって不要不急の大型幹線道路が優先されて、必要なところに回っていないわけですから、額があればというんじゃないんですよね。あってもこの仕組みがある限りなかなか回ってないということが今問われているわけですから、心苦しく思うことはないと思いますよ。道路特定財源、暫定税率やめたら地方の財政も必要な道路も進むようになる。そのことを申し上げて、終わります。

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