あったか連帯ウェブ 日本共産党参議院議員山下よしき
よしきブログニュースとお知らせおたより紹介プロフィール論戦・演説・講演事務所案内リンク集
トップページ ご意見・ご要望をお寄せくださいサイト内検索
論戦・演説・講演原点山下よしき---「おばあちゃんの二つの教え」、「共産党に入ってよかった事」など、自らの生い立ちや政治家としての原点を熱く語った初期エッセイ集  
 

 道路特定財源を廃止すれば、暫定税率の根拠がなくなるのは当然

2008年4月8日 参議院・総務委員会

山下よしき 日本共産党の山下芳生です。
 福田首相は、国民世論と国会論戦に押されて、三月二十七日、道路特定財源制度を廃止し、二十一年度から一般財源化すると述べました。増田総務大臣も首相と同じ立場でしょうか。

増田寛也総務大臣 総理がそのような御決断をされたわけでございまして、私も内閣の一員でございます、同じ見解を持っているものでございます。

山下よしき そうしますと、地方税法第七百条、道府県は道路に関する費用に充てるため軽油引取税を課するものとする、及び同六百九十九条、道府県は道路に関する費用に充てるため自動車取得税を課するものとする、これは改正しなければならないのではないでしょうか。

増田総務大臣 総理の御決断もこれも今後の与野党協議を、建設的な協議を促していく上で決断をされたと、こういうふうに理解をしているわけでございまして、今後与野党の協議がどういうふうになるかということにかかわってくるわけでございますが、あの提案をきちんとそのまま実現するということになりますと、今先生からお話がございました地方税法の七百条、それから同六百九十九条、これにつきましては法律的な改正の手当てが必要になってくるというふうに思っております。

山下よしき 非常に大事な答弁だったと思います。地方税法の道路特定財源の部分を、総理の提案に従うとすれば改正する必要があるということであります。
 これは、高速道路を果てしなく造り続ける自動装置となってきた道路特定財源制度がなくなって一般財源化されれば、社会保障にも、そして教育にも、そして道路にも使えるようになるわけで、この制度が半世紀前にスタートして以来初めてのことであります。国民の支持も広がっております。読売の四月三日、一般財源化賛成が五八%。この復活を許してはならないと思います。
 さて、道路特定財源制度がなくなれば、その上乗せである暫定税率の根拠もなくなると思います。だって、道路に使うための財源が足らないからということで暫定税率を設定したわけですから、しかし、そもそも道路だけに使う特定財源制度は廃止すると、でしたら暫定税率も根拠がなくなるのは当然だと思います。
 既に四月一日から道路特定財源の暫定税率が期限切れとなって、ガソリン、軽油の価格が値下がりをいたしました。参議院の選挙で国民が自公政権に下した審判の結果でありまして、国民の一票の力の大きさを感じているわけであります。政府は、期限切れになれば国民生活が混乱すると言っておりましたけれども、ガソリンスタンドに行列ができたぐらいで大した混乱はなかったと思います。むしろ多くの方が歓迎していると思います。私は、その背景に原油価格や穀物価格の高騰に端を発した電気、ガス、パン、しょうゆ、食用油、牛乳などなど生活必需品が相次いで値上げされたことによる家計の負担増がある、そこにガソリン、軽油が下がったことが非常に歓迎されているという面があると思いますけれども、総務大臣の認識を伺いたいと思います。

増田総務大臣 今のお話につきまして私の方から二点申し上げたいと思うんですが、一つは、この暫定税率が失効するということになりまして、暫定税率相当額の負担が軽減される、ガソリンが安くなったわけでありますので、その点について、国民の皆さん方の声として、それを歓迎する声があるというのは、これは私も十分承知はしております。
 一方で、地方六団体が私のところにも参っておりますし、各方面を歩いておりますが、地方団体の方で非常にやっぱり大事な歳出というものを予算として組んでいて、もう既にそれを執行せんとしている段階で、今回のことによって執行を留保しているということがございます。
 今後、これが長引くということになれば、当然、住民サービスの見直しをしないといけないという事態になるわけでございますので、そういうことを通じて、国民生活に深刻な影響が出てくるのではないかと。
 それから、地方の場合には特に道路整備についてもまだまだ不十分でありまして、そのために道路特定財源のみならず一般財源も含めて財源を充当させているという実態もございますので、その部分については、地方で行います道路整備のみならず、国の直轄部分などは確実にもう行われないということになっていくわけでありますので、そのことの影響も出てくるであろうと。
 ですから、私は今、当面国民の声として、ここ一週間の間にいろいろと歓迎する声があるというのは十分理解をしてございますけれども、今後、逆に、国民の生活に対して今回のことによって深刻な影響が出てきやしないかと、そこを大変危惧をするものでございますし、既に、直接的な地方の雇用として大変重要な建設業などは、もう今非常に資金繰りがそのことによっても苦しくなっているという声も聞いておりますので、この点も併せて十分御理解をいただきたいというふうに思っております。

山下よしき 地方財政の問題、それから建設業の問題は後で議論したいと思いますが、私は、今国民が歓迎している、そういう下で、地方税法等改正案、この法案は四月一日以降性格が大きく変わったと思うんですね。要するに、従来どおり暫定税率を維持継続するという性格から、今やいったん下がった税率を再び引き上げるという性格の法案になったと思います。
 性格変わったという認識、大臣ありますか。

増田総務大臣 従来、暫定という言葉でありながら三十年も続いてきたというお話ございましたんですが、継続して続いてきたわけですが、いったん今回切れたのは事実でございますし、それをまた元に戻すということになれば確かに国民の負担は増加をすると、こういう性格を持っているということもこれは事実でございますが、現実に支障が生じているということに対してはやはりきちんと手当てをしていかなければならないと。
 手当ては確実に行っていかなければならないということでございますので、私は、長年続けられてきたこの地方税の中での暫定税率の負担ということに対して、暫定という言葉の問題はあるにしても、そういったガソリンについては、特に負担が伴うということについては国民の中で意識は定着をしてきたというふうに考えております。

山下よしき 私は、これだけ生活必需品の値上げラッシュの中でガソリン、軽油価格が下がったことは歓迎されているときに、これ打ち切って再び引き上げるようなことをすることが、それこそ国民生活に大混乱を招くというふうに思います。これはしっかりと、地方の声ももちろんですが、国民生活の実態も踏まえた決断が必要だと思います。
 税金を取る側からすれば元に戻すだけということになるんだと思いますが、払う側からすればこれは大幅な負担増、大増税になるわけであります。国民も、再可決に反対が六四%、賛成は三四%で大きく上回っておりますから、これしっかりと見る必要があると思うんですね。
 それから、暫定税率の復活、再値上げが国民生活と日本経済にどれほどの打撃となるか、私はここで運輸業界の実態を紹介したいと思います。
 トラックの燃料である軽油価格は四年前に、二〇〇四年一月、一リットル八十円から、今年の一月百三十円まで上がりました。運賃はほとんど上がっておりません。実は、一九九〇年、参入規制の緩和によって全国の運輸事業者の数は四万社から六万二千社に激増いたしました。しかも、新規参入の大半が保有台数五台の零細事業者でありまして、元々、労働者の長時間労働と低賃金で経営が成り立っている状態だったのに、そこに過去に例のない燃料代の高騰が直撃をした。ですから、事業者の経営と労働者の生活、健康、安全が極限状態まで今追い込まれている実態だと思います。
 私も生の声をいろいろ聞きました。青森でトラック三百九十台、五百人の労働者を抱える運送会社の社長さんは、去年の六月、月五千万円だった燃料代が今年に入って八千五百万円にもなった、しかし、運賃は一円も上げてもらえないと窮状を訴えられました。それから、大阪の零細事業者の運転手Aさん、二十五トン車で大阪それから名古屋の間を往復されておりますけれども、一日の拘束時間は平均十四・八時間、休日は月四日以下。これだけ働いても手取りは月二十三万円しかなりません。燃料代が高騰する前は月三十五万円ほど手取りがあったんですけれども、零細事業者では燃料代の高騰がストレートに賃金低下になって現れているわけですね。
 これは、この法案で軽油価格がどうなるかというのが決まりますが、総務大臣、こうした運輸業界の実態どう思われますでしょうか。

増田総務大臣 私も運輸業界の皆さん方に、ごく最近、今年になってから直接いろいろお話聞いたわけではありませんが、知事時代には、今先生お話しになったように、途中で軽油価格が上がっていった、そういう時期でございますし、またそれから、大変な過当競争がございますので、それぞれの経営が大変厳しく、それから従業員の皆さん方もそこで大勢働いておられるわけでございますから、そうした皆さん方をきちんと養っていく上で大変御苦労多いという話は承っておりました。
 この点については、各地方において、特に地方の活性化のためにも物流ということは大変重要な要素でもございますから、そうした業界を特に地域地域でもきちんと維持していく、そういう業に就いておられる皆さん方もきちんと生活として成り立っていくような、そういうことが行われていかなければならないと、こういうふうに思っております。

山下よしき 地方においても物流は大事だということですが、やっぱり運輸というのは日本経済の動脈だと思います。とりわけ国内貨物輸送量の約九割を担っているのがトラック輸送業界ですので、言わば大動脈ですね。それがこの間の規制緩和と燃料代の急騰によって大動脈が詰まりかかっていた、切れかかっていたと。それが今回、暫定税率の期限切れ、値下がりでようやくちょっとスムーズに流れ始めた、ほっと一息つけた。ただ、暫定税率というのは一リットル当たり軽油で言いますと十七円ですから、これ廃止されても四年間で五十円近く値上がりした分を全部カバーすることはできません。
 しかし、それでも今ほっと一息つけているのを再び引き上げて、またもやこの大動脈を詰まらせる、極限状態に追い込もう、こんなことをしていいのかと。これはしっかりと認識しないと駄目ではないかと思いますが、大臣、いかがですか。

増田総務大臣 確かに国民の声、それからあと運輸業界に携わっている皆さん方も、こうしたコストが掛かるということに対しては大変御負担に思われるでしょうし、それから、今回のことについても、一方でいろいろ無駄遣い等も指摘されている中で、そうした負担を国民の皆さん方、業界の皆さん方にお願いをするというのは大変心苦しいものがあると。そこは、やはりそういう痛みというものもきちんと認めていかなければならないと私は思いますが。
 その上で、今いろいろと財政需要、地方団体もいろいろと苦心をしながら財政需要を考えて予算をつくっているわけでございます。これが今年ということだけでなくて、今までもずうっとこうした税の御負担をいただきながら財政運営に必要な歳入というのは確保してきたわけでございますので、是非この点については、今後のやはり地域地域のサービスにも直結してくることでございますので、十分御理解をいただく努力を私どももしていきたいというふうに思いますが、御負担を、御理解をいただきましてお願いを申し上げたいと。
 そして、このことは地方財政という観点ももちろんあるわけでございますし、あと、あの中で総理の方も、今後の言わば低炭素社会といいましょうか、環境問題ということからもやはりそうした負担ということをあの中で申し上げているわけでございます。
 論点が非常に広いわけでございますので、今の例えば軽油でいいますと、三十二円十銭だったものが十五円と、本則に戻って十七円十銭安くなっているわけですが、これはまさに税率にかかわってくる部分でございまして、この間の総理提案の中でも今後の税率についてはいろいろと検討というふうに書いてあります。ただ、その中で暫定税率も含めた税率は国、地方の厳しい財政状況を踏まえ検討ということを言っているわけでございますので、私どもとしては是非この暫定税率部分の税率を考えていく上でも、地方の道路整備の必要性、それから特に地方の厳しい財政状況というものも踏まえて御検討お願い申し上げたいというふうに思います。

山下よしき 地方の道路整備の必要性ということをすぐおっしゃるんですけれども、確かに道路特定財源制度と暫定税率の復活を前提に、これまでどおり十年間で五十九兆円もの道路中期計画に基づく道路建設を続けようと思ったら足らなくなると、大変だということになるのかもしれませんが、しかし、総理の新提案というのはそういう前提を崩したと思うんですね。ガソリンや軽油に掛かる税金は道路整備だけに充てるのではなくて、それこそ先ほどお話のあった医師不足対策ですとか高齢者に安心して老後を過ごしてもらうためにも使えるようにしよう、これが一般財源化という首相の新提案だと思います。
 だったら、道路は今までどおり造るんだという従来の前提に立つんじゃなくて、そういう古い考えから抜け出して、一回、何を優先課題にするか一から議論することが今求められているんであって、暫定税率がなくなったら大変だというのは、今までどおり道路を続けるという前提に立つという古い考えじゃないんですか、大臣。

増田総務大臣 国のことを言うと少し言い過ぎになるかもしれませんが、国の場合にはオーバーフローして、言わば特定財源が道路に使えないという中で今回の問題が起きているということでありますが、地方の場合には、確かにお話のとおり使途が限定をされている目的税として今回の軽油引取税、自動車取得税、構成されております。したがって、そういった面でそこが自由になるということは地方団体の裁量の余地もうんと拡大をするということにつながっていくわけですが、一方で、今そういう特定財源を充てている以上に、実際には一般財源も含めて全体の半分以上については、全体の半分以上というのは道路整備についての費用構成は全体の半分以上について一般財源と地方債で賄っていると、そこに私自治体のいろんな判断が入っているんだろうというふうに思っております。
 ですから、これをきっかけに当然自治体の歳出構造の見直しということも行われるでしょう。各自治体も更にいろいろと優先度というものを考えるきっかけにもちろん私もなると思うんですけれども、しかし現実の、今の道路特定財源というか、地方の道路整備の財源構成ということを考えますと、それは自治体も議会を経ていろいろ御判断をして、一般財源それから地方債というものを充ててそうした費用を賄っているということをお考えいただきますと、私は今暫定税率の復活をお願いするのは大変心苦しいと、御負担をお願いするのは大変だというふうに思っておりますけれども、そこを十分に国民の、あるいは地域の皆さん方の御理解をいただいた上で、是非この問題について地方財政の状況もお考えいただきたい、御理解いただきたいというふうに思っております。

山下よしき 時間が残りわずかになっちゃったんで聞けないんですけれども、地方の財政が大変になったのは道路特定財源の暫定税率がなくなるから大変じゃないんですね。やっぱり、九〇年代、国から地方に対して公共事業を押し付けた、そして三位一体改革で交付税を大幅に削減した、これが一番地方財政を大変にしているわけですから、暫定税率九千億円減ったら大変だと言う前に、三位一体で地方の交付税五兆一千億円減らしたやつをまず元に戻せばこんな声はほとんどなくなるんではないかと私は思います。
 それから、地方の建設業者の仕事の問題ありました。私は、大規模開発では大手ゼネコンの下請に入るだけで砂をかむような仕事になるとよくよく聞かされるんですね。そうではなくて、同じ道路でも身近な生活道路の整備、維持管理だったら直接地元の業者さんに仕事をしてもらうことができるわけで、ところが、そういう地元の生活道路が、国の直轄事業の負担金などが全体としてそのままになって生活道路が割合減ってますから、そういう仕事が地元の業者さんに行きにくくなっている。これも道路特定財源の、逆に悪弊だと言わざるを得ないと思います。
 せっかく見直しが、大臣おっしゃったように、いいきっかけになるんです、これは。国も地方もどこに税の優先順位を付けるのか、国民的に、住民的に議論をすると。これ、だから決して困ったことではなくて、前向きな産みの苦しみが今生じているんだというふうに理解すべきではないかということを申し上げて、終わります。

ページ最上部へ   トップページへ    
 

 ■山下芳生国会事務所  〒100-8962 東京都千代田区永田町2-1-1 参議院議員会館1123号室 TEL:03-6550-1123 FAX:03-6551-1123

 日本共産党国会議員団近畿ブロック事務所〒537-0025 大阪市東成区中道1-10-10ホクシンピース森ノ宮102 TEL:06-6975-9111 FAX:06-6975-9115

本サイトへのリンクや、文書・写真などの複製・転載などにつきましては、事前にご連絡をくださるようお願い致します。
Copyright since 2003, Japanese Communist Party. All right reserved.