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論戦・演説・講演原点山下よしき---「おばあちゃんの二つの教え」、「共産党に入ってよかった事」など、自らの生い立ちや政治家としての原点を熱く語った初期エッセイ集  
 

 

2008年2月13日 参議院・行政監視委員会

山下よしき 日本共産党の山下芳生です。
 温暖化の影響は、海面の上昇、熱波の多発、干ばつと豪雨、多くの生物種の絶滅の危険など、既に世界各地で深刻な形で現れつつあると思います。IPCC第四次評価報告書では、温暖化が突然、回復不可能な気候変動と悪影響をもたらす可能性があると警告し、今後の二十年ないし三十年の削減努力と投資がかぎだと述べております。非常に重要な内容で、とりわけ政策決定者である政治家が真剣に受け止めなければならないと思っております。
 そこで、昨年十二月バリで行われたCOP13の採択文書にはこのIPCC報告の内容がどのように盛り込まれたのか、報告願えますか。

南川秀樹環境省地球環境局長 二つの文章に引用されております。
 まず、バリ・アクションプランそのものでございます。これでございますが、気候システムが温暖化していることは疑う余地がなく、排出削減が遅延することは温室効果ガスが低い濃度で安定する機会を逃し、著しい気候変動リスクの危険性を増大させることを示したIPCC四次報告書の内容を踏まえる、条約の究極目的の達成のためには、全世界で大規模な排出削減が必要となることを認識し、IPCC第四次報告書の述べるとおり緊急に気候変動に取り組む必要性を強調する。
 もう一つが、いわゆる先進国の更なる約束についてのワーキンググループの結論の中でございます。これは長いので、関係部分だけ読みます。
 IPCC四次報告書が、地球の温室効果ガスは今後十年から十五年で頭打ちになって、その後非常に低い水準に抑制される必要があり、IPCCがこれまでに示したシナリオの中で最も低い水準で大気中の濃度を安定するためには、二十一世紀半ばに二〇〇〇年比で半減以上とする必要があることに留意した。それから、もう一か所でございますが、潜在的損失を限定するためには、附属書T国、これは先進国でございますが、附属書T国が、全体として排出量を可能な手段で二〇二〇年までに二五から四〇%という幅で一九九〇年比削減することが必要であることを認識した。
 以上でございます。

山下よしき 先進国が果たさなければならない責任が明記されたということだと思います。
 そこで、日本政府は二〇五〇年までに温室効果ガスの排出量を半減させる立場を明らかにしておりますけれども、そうした長期目標を実効あるものとするためにも、二〇二〇年までの中期削減目標を明らかにし、先進国を始めとする国際社会の積極的な合意を図るために力を尽くすべきだと思いますが、いかがでしょうか。

桜井郁三環境副大臣 気候変動問題の解決には、すべての主要排出国が参加する世界全体としての排出削減を実現する枠組みを構築することが重要であると考えております。
 今後、長期にわたり世界が一致協力して排出削減に向けた取組を推進、継続していくためには各国間の削減負担の公平感が極めて重要な要素であります。公平感を確保する観点から、我が国としては、積み上げ型で国別総量目標を検討することが有効であると考えております。このような方法により国別総量目標の合理的、客観的な相場観を形成することができると考え、ダボス会議で福田総理がクールアース推進構想を提案したところであります。
 今後、我が国としては、クールアース推進構想についての各国の理解を得ながら議論をリードしていきたいと考えております。

山下よしき ダボスにも触れられましたので次の質問は割愛したいと思いますが、私は、ダボスの総理の特別演説は、これからの新しい枠組みの目標設定について、セクター別のアプローチによる積み上げ方式によって総量目標を決める、さらにまた基準年の見直しにも言及されております。
 これでは削減する総量がどういう事態になるのか、どういう量になるのかあいまいでありますし、これはサミットに向けてリーダーシップを発揮するどころか諸外国から新たな不信感を招くものにもなりかねないというふうに思っておりますが、国際的にこうした、はっきりした態度が取れない背景に私は国内対策の遅れがあるのではないかと思っております。
 二〇〇六年度の速報値では、我が国の総排出量は基準年に比べて六・四%増加しております。残念ながら、目標達成が危ぶまれる事態にあるわけです。最大の問題は、産業界の温室効果ガス削減を日本経団連の自主行動計画に任せ、削減を義務付ける取組を怠ってきたことにあると私は思っております。
 EU諸国は、企業と政府との協定や排出総量規制などによって大幅削減に踏み出しております。イギリスでは京都議定書の目標値八%減に対して一四・八%の減、ドイツでは目標値八%減に対して一八・四%減を既に達成するなどして、軒並み目標を達成し、更に大幅削減に踏み出そうとしております。
 我が国も、産業界と政府との間で総排出量の削減協定を結んで目標達成の責任を公的なものとする対策に踏み出すべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。

桜井副大臣 自主的行動計画については、審議会の場においてフォローアップを行っており、今年度は目標の引上げを始めとする自主行動計画の拡大、深掘りを進めているところであります。この結果、産業・エネルギー転換部門の二十業種が目標の引上げを行ったほか、業務部門を中心にこれまで自主行動計画を策定していなかった業種が新たに策定するなどの成果を上げているところであります。
   〔理事岸信夫君退席、委員長着席〕
 目標引上げの業種は、日本化学工業協会だとか電機電子四団体、そして新規に策定したところが、全国産業廃棄物連合会、日本新聞協会、大手家電流通懇談会などであります。
 一方で、現状のままでは目標達成は容易ではない業種もあり、まずは政府による厳格なフォローアップを通じて、今後の対策が十分に行われるよう、必要でありますので、これらを考えておるわけであります。

山下よしき 私は、それで目標達成が本当にできるのかと思っております。
 環境省が発表した二〇〇六年の温室効果ガス排出量の内訳、排出形態別それから管理主体別の内訳を述べてください。

南川局長 まず、排出形態別に申し上げます。
 全体としましての排出量は十二億七千五百万トンでございます。パーセントで申し上げますと、産業部門は三六%、業務部門が、これビル関係でございますが一八%、家庭部門が一三%、運輸部門が二〇%。それから、発電所内などの、あるいは送電ロスなどのエネルギー転換部門が六%。また、それ以外に非エネルギー起源のもの、これはゴミ焼却等様々なものがございますが、これが七%ということでございます。
 次に、管理主体別でございますが、大きく分けまして、企業あるいは公共部門関連で八〇%、家計関係が二〇%となっております。

山下よしき 当然ですけれども、排出量の大部分は企業活動によるものであります。また、企業、公共部門が八〇%。家庭やマイカーなどの家計関連は二〇%。したがって、大幅な排出削減を達成していくためには、企業活動に伴うCO2の排出削減が決定的なかぎを握ると思います。
 もう一つ紹介したいのは、環境NGO、気候ネットワークの調査によりますと、日本のCO2総排出量の五一%を八十二の発電所、十七の製鉄所、二十七のセメント工場、二十六の製油所など百八十の事業所が排出しているという衝撃的な事実が明らかとなりました。わずか二百足らずの事業所が国内の排出量の半分を占めている、この事態をどう認識されますでしょうか。

桜井副大臣 御指摘の気候ネットワークのデータの詳細は承知しておりません。
 日本経団連の自主行動計画に参加する企業からのCO2排出量で見れば、産業界の排出量は我が国の総排出量の約四〇%と大きな役割を占めております。こうしたことから、産業界による積極的な取組が必要であると考えているところであります。

山下よしき 経産省もそういう試算はしていないというふうに聞いておりますけれども、一つの調査の結果として、二百足らずの事業所が半分以上出しているという数値も出ているわけですね。副大臣おっしゃったように、したがって産業界の削減における役割は大きいということになろうかと思います。
 そこで、少し具体的に見てみたいんですが、一九九〇年以降、石炭火力発電所の建設、稼働が増え続けております。発電所の設備容量で約二千三百万キロワット増えました。
 九〇年と二〇〇五年の発電種別の二酸化炭素排出量を報告していただけますか。

南川局長 石炭火力発電所から排出された二酸化炭素でございますが、一九九〇年度が約六千万トン、これが二〇〇五年度には二億五百万トンということで、三倍を超える増加になっておるところでございます。

山下よしき 石油やLNG、天然ガスと比べても石炭火力の排出量の増え方が突出しております。資料に石炭火力発電所の二酸化炭素排出量の推移をグラフ化しておりますけれども、御存じのように石炭火力は石油火力に比べてCO2の排出量は一・八倍にもなります。その石炭火力による発電をどんどん増やしてきましたので、CO2の排出量が増えるのは当たり前であります。我が国のCO2全排出量に占める石炭火力の排出量は、九〇年四・八%から二〇〇五年一五・一%と急増をしております。
 経済産業省に伺いますけれども、なぜこんなに石炭火力発電が増えたんでしょうか。

○新藤義孝経済産業副大臣 この石炭火力発電につきましては、やっぱり石油ショック、このことを語らないわけにはいかないというふうに思います。
 それで、石油ショックのとき、一九七三年のときに発電量ベースで石油による発電が七一%あったと、そしてそこの石油が止まってしまったことで我が国はパニックに陥ったと。そのときに石炭は国内炭のみで四・六%だったんですね。ですから、石炭だけではなくてエネルギーの安定供給を確保しなくてはならないと。これは国是になって、そしてその中で石油代替エネルギーの導入、原子力ですとかLNG火力とともに石炭というものが発電をされてきたということでございます。
 それで、これ原子力発電所の場合は、計画してから着工して運転が開始するまでに大体三十年から四十年のサイクルがあると言われております。石炭の火力発電所の建設につきましてはおおむね十年程度の期間を要すると言われておりまして、石油ショック以降に計画されていたものが九〇年代以降に順次立ち上がってきて、そしてそれによって近年、石炭火力発電が増加してきたんではないかというふうに思っております。
 本年度では、石炭の火力、電源構成において石炭が二四・五%、原子力が三〇%、そしてLNGが二五・九%、そして石油はかつて七〇%を占めておりましたが、今は七・八%まで下げてきていると、こういう状況があるわけです。
 そして、御指摘のようにこの石炭火力発電のCO2の削減、これは大きな課題だと思っております。ですから、それにはやはり老朽石炭火力の天然ガスへの燃料転換、こういったものも今、国として補助金制度をつくって促しておりますし、また高効率な石炭火力発電の導入ですとか、それから一番新しいものでは石炭火力発電所から出たCO2を地中に埋め込むと、こういうような革新的な技術も今研究しようと始めているところでございまして、この技術開発をしっかりとやって、そしてその中でエネルギーのベストミックスというものも我々は追求していきたいと、このように思っております。

山下よしき 今いろいろ御答弁あったんですけれども、石炭から天然ガスへの転換については確かに政策はあるんですけど、ほとんどこれは進んでおりません。それから、石炭から、火力から出たCO2を貯留する技術、これはまだ実験中でございまして、一万トン規模の実験、次にようやく十万トン規模、しかも安定性やコストの問題もありますから、これいつ実用できるか分かりません。
 私は、これだけ石炭火力発電が増えたのは、いろんなエネルギー事情はもちろんおありでしょうけど、これも一つの要因ではありますけれども、もう一つ大きな要因としては、やはりCO2の排出総量を減らすという目標を電力業界がずっと持ってこなかったということは極めて大きいと思います。
 電事連の自主行動計画には原単位目標しかありませんで、排出量目標はありません。だから、平気で石炭火力を増やすことになるわけですね。先ほどの数字やグラフでも分かるように、石炭火力だけで一九九〇年から二〇〇五年までに一億四千五百万トン、CO2の排出量を増やしております。もし、石炭火力分を除いたとすれば、日本全体の排出量は九〇年から四千六百万トン減っていたということになるわけでして、日本全体の排出増の主因、主な原因は石炭火力と言えると思います。ここを切り替えなければ、私は京都議定書の削減目標の達成さえ困難になるのではないかと思うわけであります。
 そこで、経産省に伺いますが、電事連は今回の見直しでこの総量目標をちゃんと持つということにしたんでしょうか。

新藤副大臣 これは産業部門における自主行動計画の内訳をお尋ねになられているんだと、このように思いますが、しっかりとこの厳格なフォローアップをしていきたいと、このように思っているわけです。
 そして、その中で、全体でいいますとこのCO2の削減の引上げが二十一業種にわたって行われました。それから、しっかりと削減させるための検討を産業構造審議会・中央環境審議会合同会合のこの最終報告を何度も行いまして、その中で産業部門の自主行動計画によってこのCO2を削減しなければいけない、そのうちの六割から九割の追加削減効果を見込んでいると、こういうことがあるわけです。
 そして、御指摘のこの総量規制につきましては、確かにこの総量で規制しているところと、それから原単位の抑制をしようというところがあるわけです。これは、原単位の場合は、要するに生産量の製造当たりの排出量を抑えるわけですから、まあ省エネにはなりますが、しかし生産量が増えれば排出量が増えてしまうと、こういう問題が出てきます。一方で、総量規制につきましては、これは生産量にかかわらず絶対量を下げることができるわけです。しかし、この将来の生産量の見通しがはっきりと見えない中で全体を抑制してしまうことは、これは経済活動の抑制にもつながる側面もあるわけでございまして、これは非常に苦しいところだと思いますね。
 ですから、今後は、私はこういうものを、結局、今おっしゃったように六%の達成も非常に難しいです。でも、私たちは六%ではなくて二〇五〇年までに全体の五〇%の削減をしなきゃいけないと。しかも、それは今のようなやり方では絶対に、その六%は達成できても将来の目標達成は非常に厳しいと。これはもうみんなが分かっていることですから、やはりここを今まで日本が積み重ねてきた技術によって、しかもそれを革新的な技術を開発することによって我々は達成させなければいけないし、世界のリーダーになるべきだと私たちは思っておるんです。
 そういうもののための今年度から予算も多額の予算をつぎ込んで研究開発しようと思っておるわけでございますから、総量抑制と、そういった原単位による削減と、これはうまく絡み合わせていかなければならないんじゃないかなと、このように思っております。

山下よしき 産構審、中環審の二〇〇七年度自主行動計画フォローアップ、去年の年末に出ておりますけれども、そこでは電事連、電力業界の指針目標に排出量の目標はやっぱりないんですね。増やし頭が排出量目標を設定してないんです。それどころか、経産省の資料では、これから新たに運転開始する石炭火力発電所が茨城、京都、広島、長崎、神奈川、福島、島根と全国七か所もあります。ますますCO2が増えることになると。私はそんなことを許していいのか、いいはずないと思うんですね。
 経団連の自主行動計画に任せる従来のやり方を改めて、産業界と政府の間で総排出量の削減協定を結んで実効ある政策にすべきだということを再度申し上げて、質問を終わります。

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