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論戦・演説・講演原点山下よしき---「おばあちゃんの二つの教え」、「共産党に入ってよかった事」など、自らの生い立ちや政治家としての原点を熱く語った初期エッセイ集  
 

 登録型・日雇い"派遣哀史"改善迫る

参院行政監視委員会で、若者の 貧困化の要因ともなっている急増する派遣労働、とりわけ登録型派 遣や日雇い派遣について、違法行為が常態化している実態を示し、 舛添要一厚生労働相にその是正策をただしました。

山下芳生 日本共産党の山下芳生です。
 若者の貧困化の要因ともなっております急増する派遣労働、とりわけ、派遣会社に労働者が登録をし、派遣先が決まったときだけ雇用契約を結ぶ登録型派遣、日雇派遣の問題について聞きたいと思います。
 福田首相も、日雇派遣について様々な問題が指摘されている、労働者派遣制度について見直しの検討を始めていると代表質問の答弁でお述べになっております。
 労働政策審議会の部会に厚生労働省が提出した、日雇派遣について主に指摘されている事項、紹介していただけますか。

太田俊明厚生労働省職業安定局長 今お話のございましたとおり、今年の九月から労働政策審議会におきまして具体的な見直しの検討を開始したところでございます。その中で、日雇派遣につきましても大変大きな課題となっているところでございます。
 御指摘のございました労働力の需給制度部会の資料として、日雇派遣について主に指摘されている事項ということで提示しているところでございますけれども、これは、当該部会において公労使各委員より指摘されている事項あるいはマスコミで報道されている事項につきまして私ども事務局で取りまとめたものでございます。
 具体的な指摘されている事項でございますけれども、例えば、雇用契約期間が短いとか仕事があるかどうか前日まで分からないといった雇用が不安定であるというようなこと、さらには賃金水準が低いあるいは不払があるといった賃金等の問題、さらには安全衛生の措置の問題、社会保険の加入の問題、労働条件の明示の問題、あるいは教育訓練の機会の確保の問題、こういったことが指摘されている事項として盛り込まれているところでございます。

山下芳生 私も、登録型派遣、日雇派遣の若者たちから直接、大阪や東京で声を聞いてまいりました。それから、つい先日は派遣の集合場所、千葉県の二俣新町の駅、東京ディズニーランドの先ですけれども、麹町宿舎を六時に出て、七時ぐらいから八時半ぐらいまで、次々と集まってくる若者をつかまえては聞きました。
 私が聞いて感じたのは、指摘されているような、まあ違法行為だと思いますけれども、これは特殊な例じゃなくて、常態化しているということであります。これどうするのか。法律を守らせる、そのために労働行政の人員体制をきちっと確保する、これはもちろん重要ですけれども、同時に、不安定かつ低賃金、立場の弱い登録型派遣、日雇派遣という雇用形態そのものに根本原因があるなと私は感じました。
 そこで、具体例を、若者たちから聞いた生の声を大臣に是非聞いていただいて少し認識を問いたいんですけれども、まず、労働条件提示の問題であります。
 大体、登録型派遣の若者は、登録した派遣元に何月何日は空いていますよと予約を入れます。そうすると、前の日に仕事が紹介される。ところが、メールだとか電話だとかファクスだとか、場合によっては事務所で紙でもらうんですけれども、そこには何時にどこに集まれ、仕事の内容は大体こんなんだという大ざっぱな業務内容は書いてあるんですが、その程度なんです。どこの会社に派遣されるのか、事業名がない、休憩時間がないということがもう一般的だと私は把握して分かったんですが、これは法律違反じゃないでしょうか。

太田職業安定局長 今お話しのありましたようなことを一般的に申し上げれば、労働者派遣法第三十四条で、派遣元事業主は、労働者派遣をしようとするときは、あらかじめ、当該労働者派遣に係る派遣労働者に対しまして、派遣労働者が従事する業務の内容等の就業条件を明示することになっておりまして、これが適正になされていない場合には労働者派遣法に違反するということになるわけでございます。
 したがいまして、こういった違反が認められた場合には厳正に指導を行っているというところでございます。

山下芳生 事業所名、休憩時間がないというのは、これは欠けていますね。

太田職業安定局長 この就業条件の明示の中には、これは業務の内容だけでなく、例えば事業所の名称、所在、就業の場所、それから今お話しのございました開始時刻、終了時刻あるいは休憩時間、さらには安全、衛生等々、十項目以上の項目がありますので、これらの業務内容等につきましてその就業条件を明示するということが法律上の要請でございます。

山下芳生 私が入手した大手派遣元のお仕事内容確認、これがあらかじめ配られる内容です。そこには事業所名もなければ休憩時間もありません。これはもう法律違反だという答弁がありましたから、具体的に資料を提出したいと思いますから、大臣、厳正に対処していただきたい。いかがですか。

舛添要一厚生労働大臣 今委員おっしゃるようにいやしくも法律違反があるということは法治国家として許せないことでありますので、厳格に対応したいと思います。

山下芳生 この仕事の紹介ですけれども、幾つかあって選べるんじゃないんですね。大体、派遣元から紹介される仕事は一つです。あらかじめ希望を軽作業とか重労働とかティッシュ配りとか取られるんだけれども、来るのは大体もう希望関係ないと。重作業が一杯、力仕事ばっかり来ると。派遣元の方もやっぱり力仕事の募集が多いんでしょうね。そうしたら、それを絶対に確保せなあかんということですから、派遣の労働者の希望関係なしでどんどん来るというんですね、選択権なしで。
 それから、集合場所から派遣先の会社への移動ですけれども、徒歩で行ったりバスだとかワゴンというのもありますけれども、私が聞いた中で複数あったのは、トラックの荷台に積まれて運ばれるということなんですよ。しかも、保冷、冷凍庫みたいな、ほろじゃないですよ、ハードなやつです。中に小さい明かりがついていたとか、別の若者は、僕の場合は明かりもなかったと。三十分真っ暗な中に何人も詰め込まれて移動されて、突然ドアが開いたら、ここで降りて弁当だけ買うておけと指示されたと。
 これはもう明確に法律違反だと思いますけれども、いかがですか、警察庁。

末井誠史警察庁交通局長 貨物自動車で荷物を看守するために必要最小限度の人員を荷台に乗せる場合や、警察署長が支障がないと認めて人員を限って許可した場合を除きまして、乗車設備以外の場所に乗車させて車両を運転してはならないという規範がございますので、これに該当するときは道路交通法違反となります。

山下芳生 結構聞きました。これもきっちりと監視する必要があると思います。
 それから、教育訓練の機会が保障されていないということですが、これはもう本当に胸を痛めます。ある派遣の労働者、青年ですけれども、こう言うんですね。仮に軽作業でラインの作業だって、やっぱり物を覚える必要がある。それから、引っ越しの段ボールを運ぶことだって、運び方はやっぱり教えてもらわなあかんと。だけれども、分からないからといって聞いても、全然優しく教えてくれない。おまえはこんなものできへんやろうと初めから決め付けられたり、朝礼で派遣はほんまにいけてないと、ほんまやったらおまえら要らぬのやけどと、こんなことを言われると。これは、それでも黙ってみんな仕事をやらなければならない。私、もう聞いていて涙出そうになりました。
 それから、事前面接、これは法律では禁止されておりますけれども、もうこれざらですね。登録型であるにもかかわらずあらかじめ事前面接受けさせられて、結局駄目よと言われて交通費もその時間も保障されない。おれはピエロかと、こんなつぶやきも聞きました。
 それから、ひどい場合はトラックの同乗の派遣というのがあるんですけど、工場だったら証明もらいやすいですけど、トラックに同乗していったんだけれども、その仕事の証明をもらい忘れた。そうしたら、もうそれがないと後で日払いの賃金を事務所でもらえないんですね。精算しても、請求しても乗っていたかなととぼけられてパアになった、こういうこともあります。
 もっとひどい場合は、何時に来てくれ、トラックに乗ってもらいたいからと行ったけれども、もう十分前に行ったのにトラックは出ていたと。電話したら、今から来いと。大阪の東大阪から和歌山の新宮まで自分で電車賃払って行った。ところが、もう夕方に、乗り継ぎが悪いですから、出てもう帰っちゃっていたと。その分、往復交通費六千円ですよ、だれも出してくれない。その一日の賃金もパアですよ。そういうことが聞けば聞くほどあるんですね。
 私は、彼らに聞きました。なぜ抗議しないんだと、なぜ改善求めないんだと。こう言ったら彼らは言うんです。できるはずないじゃないですかと。そんなことしたら、次から仕事を紹介してもらえなくなる。彼らは派遣先の企業からも毎日監視、評価されています。仕事をしたという証明書には頑張ったか頑張っていないか、使えるか使えぬかということをちゃんと派遣先に書かれていて、それを派遣元に持っていって賃金もらうんです。
 じゃ、何でそんな日払い派遣を続けるんだと聞いたら、日払いだからだと、日銭が欲しいからだと言うんですね。彼らは本当にお金がないです。こう言うんです、派遣にはお金が掛かるんだと。なるほどなと思いました。だって交通費も出ない。毎日交通費が要るんです。それから携帯代もばかになりません。ひどい場合は、労働者の方から電話を掛けさせて仕事内容を聞く。ぺらぺらぺらぺらもう毎日八分ぐらいしゃべられてえらい電話代がたまるということもありました。家賃も払わなあかん、食費も掛かる。だから、彼ら本当にお金がない。だから、日銭がなかったら食べられへんから、やっぱり日雇にずっと彼らは抜けられないんですね。
 一番悲しいことは何ですかと聞いたら、人間扱いしてもらえないことだと、物扱いされることだと、そうもうみんな言いますよ。そう語る彼らの目は本当に寂しそうです。
 大臣、私は若者たちのこうした働き方、これはやっぱり政治がしっかり受け止めるべきだと思いますが、いかがお思いですか。

舛添厚労大臣 私が現実に実態を調査したり若者に聞いたわけではありませんので、今委員がおっしゃったことを前提にして、そのとおりだということで前提にして話せば、やはりこれは先進国としてこういうところは改善していかないといけないと思いますので、例えば立法府の方でもきちんともう少し立法措置をやるとか、我々も厚生労働省の方も各都道府県で労働局があり、こういうところをきっちり監視しています、労働基準局を含めて。労働行政というのは正に何のためにあるかというのは、そういうことを是正するためにあるわけで、これは現場でしっかりやっていると思います。
 さらに、しかしこういう問題の背景にあるもの、それを含めて総合的に検討して、若者が夢や希望が持てないような社会はあってはいけないと、福田内閣は希望と安心の内閣ですから、是非希望をかなえるような政策を実行したいと思います。

山下芳生 さらに、生の声を紹介したいと思うんですけど、劣悪な労働環境、労災隠しとも思われることも常態化しています。
 例えば、息もできない臭い職場、入れ歯洗浄剤の職場、もう半日いたら辞めざるを得ないと。そういうところにはあえて使えそうにない子が行かされていると、どうせ辞めるやろうからということですとか。あるいはプレスで指を落とした派遣の子もいる。安全装置がなかったとか、あるいはマイナス二十度の冷凍庫で作業させられて凍傷になった。派遣元に労災申請したけれども、うちはそんなことやっていない、掛かった医療費請求してくれたら医療費は払うしこれから仕事ようけ回すがなと言われたと。
 それから、驚くべき低賃金ですね。大体、派遣先の企業は派遣元に、まあこれ絶対言ったらあかんでと言われているんですけれども、ぽろっとやっぱり漏れ聞こえてくるんですね。時給千二百円ぐらいで派遣労働者を使っています。ところが、労働者には時給大体八百円前後になっている。交通費出ませんから、その分考えたら最賃以下ということもざらです。
 それから、定番といいまして同じ職場にずっと一定期間派遣される場合もあるんですが、それでも、例えば大阪の人でしたけれども、富山県のNECに行ったと。昼夜二交代を、夜夜夜休み、昼昼昼休みとやっている。二十万円というふうに書いていたけれども、寮費三万数千円取られ、そしていろんな施設代一万円取られ、結局十万円前後しか残らない。寮も、借り上げられた寮だけれども、部屋が幾つかあって一人ずつのところも、それはましな方で、アパート、ワンルームに四、五人で泊まっている場合もあると。
 その彼は、結局、幾ら仕事してもお金が貯まらないと、結局大阪の親元に帰る交通費がないから、一万数千円ですけど、サラ金へ手を出して、そこからどんどん借金が膨らんで、もう逃げるようにして帰ってきたということも言ってくれました。ワーキングプアの入口になっているなということを実感いたしました。私は話を聞きながら、細井和喜蔵の「女工哀史」、かごの鳥より監獄よりも寄宿舎暮らしがなおつらい、あの歌を思い出しましたね。現代の青年たちが正に派遣哀史とでも言うべきような状況に置かれている。
 長らく、戦後こういう派遣労働というのは禁止されてまいりました。それが規制緩和の流れの中で解禁され、八五年、どんどんどんどん拡大されてこういう状況を生んだ。私は、個々の法律違反をなくしていくことももちろん大事ですけど、若者を物扱いし安上がりに使い捨てにしていく登録型派遣、日雇派遣という働き方そのものを政治の力でなくすべきだと考えますけれども、大臣の御認識、伺いたいと思います。

舛添厚労大臣 先ほどいろんな観点から総合的に検討してみる必要があると申し上げたのは、各種アンケートなんかをやってみますと、若者の中にこういう、気楽だから派遣型がいい、登録型がいいということを言う人も一定程度あるわけですね。だから、非常に価値観が多様になって、フリーターとかそういう方を含めて、そういう形態の働き方の方がいいんだという人も一定程度いる。だから、そういうニーズもあるんだということを前提の上で、しかし、今委員がるる御説明いただいたような事例がございますから、これをよく検討した上で、どうすれば、今のような非常にだれが聞いてもこれはおかしいなというのはあるわけですから、これは改善していく。
 今、審議会においてこの点、しっかりと今検討していただいていますので、それを結果を受けましてしかるべく検討し、新たな政策が必要であればまたきちんとやりたいと、そういうように思っております。

山下芳生 確かに、日雇派遣がなくなったら困るという若者はいるんです。私も聞いたらそういう答えをする人がおりました。しかし、なぜかと。その日の生活費に困るからなんです、日雇派遣がなくなったら。だから、そういう日雇で日銭を稼がなければならないような、生活費さえ、その日の、ないような状況をなくしてくれたら、もうすぐでもこういう人間扱いされない働き方から抜け出したい、ちゃんと仕事を見付けるために頑張りたい、仕事が、ちゃんとまともな仕事に就けるまで、就職できるまで、その間の生活費を保障してくれたら、みんな日雇から抜け出すと思いますよというのが多くの方の声でした。だから、そこは深く見る必要があるんではないかなと思います。
 この問題は若者だけの問題ではないと思います。登録型派遣、日雇派遣の若者の急増というのは、低賃金、不安定なわけですから、ある方は異性とお付き合いすることに積極的になれませんと、こう言ってくれました。そのとおりだと思いますね。ですから、これは非婚化、少子化に拍車を掛ける大きな要因にもなっていると思います。企業の目先の利益だと思います。これ、教育訓練をやって労働者の能力を引き出して企業の健全な発展に資するんじゃないですから、安上がりに使い捨てるんですから、目先の企業の利益に資するだけでこれは少子化、晩婚化、将来の無年金者を大量につくっているわけですから、社会全体に大きなマイナスとなるこういう働き方については、若者の実態を直視して大きな視野で問題に対処していただきたい。
 私は最後に、大臣に是非、困った人をほっておかないのが政治家の原点やと会うたんびにおっしゃっていますから、周産期医療の場合も千葉県に行ったりされました。私は是非、こういう登録型派遣、日雇派遣で働いて苦しんで、それでも一生懸命頑張っている、働いている人、一人一人本当にいい子なんです。こんな子たち、若者たちを使い捨てにしたら許されへんと僕は思いました。政治家としてそういう声を直接聞くというのは非常に大事なことだと思いますが、それを御提案したいんです。

舛添厚労大臣 貴重な御提案賜りましてありがとうございました。私も、できるだけ現場主義で歩いてみたいと思いますので、なかなか公務の時間が立て込んでおりますのでどこまで時間取れるか分かりませんが、そういう努力はしてみたい、そう思います。
 それから、やはり小泉改革の光と影、そういうものについてしっかりと見詰めた上で正すべきは正す、そして、本当に困っている人、影の部分が当たって困っている人、そういう方がおられることは現実だと思いますので、これにきちんと手当てをする、それが福田内閣の一つの大きな責務だと考えて、私はその内閣の閣僚として全力を挙げてまいりたいと思います。

山下芳生 終わります。

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