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論戦・演説・講演原点山下よしき---「おばあちゃんの二つの教え」、「共産党に入ってよかった事」など、自らの生い立ちや政治家としての原点を熱く語った初期エッセイ集  
 

 個室ビデオ店火災──徹底した調査と分析、再発防止策を

 2008年10月1日に大阪のなんばでおこった個室ビデオ店の放火火災で16人もの尊い命が奪われました。以前にもカラオケ店、雑居ビルの火災で多くの命が奪われているのにもかかわらず、三度引き起こされた悲劇。再発防止が徹底されていないのはなぜか…。

○山下よしき 日本共産党の山下芳生です。
 法案に関連して、十月一日発生した大阪市浪速区における個室ビデオ店火災について質問いたします。
 まず初めに、十六人の犠牲者の方々に心よりお悔やみを申し上げますとともに、負傷された方々の一日も早い御回復をお祈り申し上げます。
 私も三日後に現地に、現場に立ちました。放火とはいえ、どうして十六人もの犠牲者が出たのか。とりわけ二〇〇一年の新宿歌舞伎町雑居ビル火災、二〇〇七年の宝塚市カラオケボックス火災の教訓を踏まえ消防法が二回改正されたにもかかわらず、なぜ今回の火災を防ぐことができなかったのか。突然人生を絶たれてしまった犠牲者の無念に思いをはせながら、その点が私の頭に浮かんでまいりました。
 そこでまず消防庁に聞きます。新宿歌舞伎町雑居ビル火災を踏まえて行われた消防法改正の内容について、簡潔に説明いただけますか。

岡本保消防庁長官 今御指摘がございました平成十三年の新宿歌舞伎町雑居ビル火災につきましては、この原因として、階段室におきますいろんな物品が存置されていたこと、あるいは避難訓練が未実施などいわゆるソフトの防火管理が非常に不適切であったということ、それから直通階段が一本しかないということから、当該階段からの出火によりまして避難経路を効果的に確保できなかったというようなこと、さらには防火戸が閉鎖しなかったために急激に火炎が店舗内に流入したというようなことが問題点と指摘されまして、その意味で、これらを踏まえまして、これらに対応できるように各消防機関に対する違反是正に関する措置命令権限を強化する、あるいは防火管理業務に対します定期点検の報告書の導入、階段など避難上必要な施設の管理の義務付けといったような消防法の改正を平成十四年の国会でお願いをし、行ったところでございます。

○山下よしき 宝塚市カラオケボックス火災を踏まえて行われた消防法改正の内容についても御説明ください。

岡本消防庁長官 今御指摘の平成十九年の兵庫県宝塚市のカラオケボックスの火災では、このカラオケボックスが地上二階建てで延べ面積約二百平米という小規模な施設ではございましたけれども、防音構造の個室が並んでいるというカラオケボックスの構造であったということから利用客が火災に気付くのが遅くなったということ、また当該個室が狭い空間で密集しておりまして、火災の煙、熱などの避難経路が短時間に断たれて逃げ遅れが生じたことなどが要因として指摘をされました。
 これらを踏まえまして、この消防法の施行令を改正しまして、カラオケボックス、それからこれと同様の危険性を有しますインターネットカフェ、あるいは漫画喫茶、個室ビデオ店などにつきまして、すべての自動火災報知設備の設置を義務付ける、また、このような小規模な施設に対応できるような自動火災報知設備の開発といったことと併せて検討を進めまして、本年の十月一日からこの施行令の実施をしたところでございます。

山下よしき 私は、国民の生命、身体及び財産を火災から保護する、そのことを任務とする消防庁として、二回の惨事を踏まえた法令の改正が行われたにもかかわらず、三たび惨事が繰り返されたことを重く受け止める必要があると思います。
 消防庁を所管する総務大臣の認識を問いたいと思います。

鳩山邦夫総務大臣 今の長官の説明を聞きますと、それは二回の、新宿の歌舞伎町の雑居ビルの火災でこういうふうに手を打ったと、それから宝塚でしょうか、カラオケボックスの火災を踏まえてもこういうふうに消防法令を変えたという説明があって、これが本当にきちんと実行されておれば今回このような惨事には至らなかったのかなと、こういうふうに思うわけでございまして、例えば自動火災報知設備の設置を義務付けたというんですが、何か新聞報道によれば、よく誤作動するので止めてしまったということがあった、あるいは、それでも結構鳴っておったけれども、みんな個室ビデオですとヘッドホンをしていて、ヘッドホンをしているとやっぱり非常に聞こえにくいという状況もあったとか、様々な不幸が重なっていたんだと思います。
 実際、夜間にあの大阪の個室ビデオ店、三人いたわけですね。人材は三人いた。しかし、ふだんから避難誘導の訓練などをしていたかどうかははっきりしませんし、結局その三人いて何もできなかったという状況もあるということになりますと、これまた新たに反省をしながら、今後の再発防止のためにありとあらゆる知恵を出していかなければならないんだろうなと、こう思っておりますが、イタチごっこみたいになってしまう部分も実際あっておるわけでございますから、こうした困難に立ち向かうには相当な知恵も力も勇気も要るなと思います。

山下よしき 今回の個室ビデオ店の火災というのは、雑居ビルかつ個室型店舗で発生したわけで、まさに新宿歌舞伎町雑居ビル火災、そして宝塚市カラオケボックス火災、これは四十四人と三人亡くなった、この両方の教訓が共に生かされなければならないはずの現場で起こったわけなので、これは重くやっぱり受け止める必要が我々もあると思っております。
 そこで、現在、消防庁、国土交通省、警察庁の調査、捜査が継続ないし予定されておりますが、科学的な要因分析を踏まえた再発防止策が待たれているところであります。しかし、現時点で私が検討を要するなと感じた点について、以下質問をしたいと思います。
 まず、店舗内の構造問題でありますが、今回の店舗は一階のフロアを間仕切りして三十二の個室を設けておりました。一室約二平米の極めて狭い個室でした。さらに、両側に個室がずらっと並ぶ廊下はまるでウナギの寝床のように細長く、クランクに曲がった廊下の奥は行き止まりの状態でした。これでは火災が発生したときに安全に避難することはできないなと私は思いますが、こういう建物内部の構造が消防法あるいは建築基準法上許されるのか、お答えください。

小川富由国土交通大臣官房審議官 お答えをいたします。
 建築基準法令におきましては、火災時における避難の観点から廊下の幅などに関する規定がございます。具体的には、今回の事案にありますような階数が三以上である程度の面積を有する建物につきましては、いわゆる居室と申しますけれども、ビデオを見るとか宿泊をするとか、そういった部屋の床面積の合計がその階で二百平米を超えるという場合につきましては、今回の事案のように両側にそういうお部屋がある場合の廊下については一・六メートル以上、片側だけだということでありますとその廊下は一・二メートル以上ということとなっております。
 ただ、一方、今回の事案に即しますと、いわゆるあの一階の部分について、これは二百五十平米ぐらいだというふうに聞いておりますけれども、こういう個室などの床面積の合計が二百平米以上というふうになるかどうかというところが微妙でございます。二百平米以下となりますと、こういった部屋があるなしにかかわらず廊下の幅に関する制限はないというふうになっております。

岡本消防庁長官 建物の構造に関する規制は、今御説明ございましたような建築基準法で規定をされておりますが、消防法令において、施設の通路幅やその構造上の特段の規定はございません。
 しかし、一方で、消防法の中で、いわゆる防火管理、ソフトの防火管理として避難、廊下の階段、その他必要な施設について、例えば物品を置いているようなことがないようにとか、避難に支障が生じないような適正な管理をする、それを例えば具体的には消防計画というような形で定めていくというようなことを規定しているというものでございます。

山下よしき 消防法上、建物の構造には規制がないということであります。それから、建築基準法上も、居室面積二百平米以下なら廊下の幅に規制が、以下ならないわけですね。今回、一階のフロア全体の面積が居室面積になるのではなくて、おっしゃったように居室部分、そうすると三十二掛ける二平米ぐらいですから恐らくないと思います。そうすると今回規制にならない。これ、個室に区分けされて危険度は増したのに実は規制が掛からなくなると。これは法の盲点ではないかなと私は感じました。
 次に、煙の問題について質問します。
 現地に行って私は驚いたのは、個室ビデオ店が入居しているビルの壁はほとんど焦げておりませんでした。ビデオ店入口のひさしの下が少し黒くすすけている程度でして、大炎上ではなかったと。何でこれで十六人もの犠牲者が出たのか。警察によりますと、死因は全員一酸化炭素中毒だったということであります。
 元々このビルには窓がありましたけれども、ビデオ店の内装、個室を設けるための間仕切りによってその窓がふさがれておりました。排煙施設、煙を出す施設がない状況でした。それからまた、間仕切りやソファーが燃えにくい材質でなかったとも言われております。これらは消防法、建築基準法上問題ないんでしょうか。

小川官房審議官 お答えをいたします。
 排煙の設備関係でございますけれども、これにつきましても、三階以上で延べ面積が五百平米を超える建物、あるいは今回ありましたように一定の窓のない居室、そういったものであって、これはただし書がありますが、間仕切り壁などの天井の部分あるいは壁の仕上げなどで防火材料を用いていない場合は排煙設備を設けなければいけない、つまり火事のときに煙を逃がす設備を設けなければならないということになっております。
 今回火災のあった個室ビデオ店におきましてこのような建築基準法令が適用されるのかどうかということにつきましては、まだ立入調査が行われていないということでございまして現時点では明確になっておりませんが、私どもとしては、特定行政庁であります大阪市の方に調査の進捗方をお願いをし、情報の収集に努めてまいりたいと考えております。

岡本消防庁長官 御指摘の点につきましての消防法令上の規定におきましては、構造上の話は建築基準法上の規定でございますが、消防法上は、窓の設置あるいは間仕切り、御質問のソファーの不燃化等について特段の規定を設けてはおりません。

山下よしき 窓がふさがれていたことが確認されたら建築基準法違反の疑いがあるということだと思います。同時に、内装の材質には何ら規制がありません、窓があればですね。そして、警察によりますと一酸化炭素というのは一口吸い込んだら体が動かなくなるような大変危険なものだということなので、こうした密室に近い状態で炭素を含む物質が燃えますと、不完全燃焼となって一酸化炭素が発生しやすいと。ですから、あらかじめやはり燃えにくいもの、一酸化炭素を出さないものにする必要がこういう場合はあるんじゃないかなと私は感じました。
 次に、初期消火、避難誘導等については、もう時間がありません、恐らくこれは、先ほど大臣もおっしゃったように、されていなかったんではないかという報道ですから、これも重要だと思います。
 もう一つ、疑問なのは、なぜ消防の立入検査で、大阪市消防局は二〇〇五年、二〇〇七年にこのビルに立入検査を実施しておりますが、こうした問題点が是正されなかったのか。この点、消防庁、いかがでしょうか。

岡本消防庁長官 お答えいたします。
 今御指摘ございましたように、火災が発生しましたビルに大阪市消防局は平成十七年、十九年の二回、立入検査を実施しております。その際の指摘といたしましては、各階段の防火戸の閉鎖が不良であったのでこの改修をするということ、さらには、変電設備に標識を設ける、あるいは、その消防用設備等、一定の消防用施設が設置されておりますが、この設備の点検の実施、その結果の報告といったこと、それから、これは直接的なものではございませんが、一階の個室ビデオ店への使用変更といったものを届け出るなどの是正指導をいたしております。
 このビデオ店への使用変更につきましては同年の七月に届出が行われていますが、残りの指摘事項につきましては違反処理基準に基づいて指導を継続していたところであるというふうに承知をいたしております。

山下よしき 指摘された点に窓がふさがれていたということは入っていないんですね。これは現場に行ってそれなりにきちっと見れば恐らく分かっていたんではないかなと私は思うんですが、なぜそれができなかったんでしょうか。そこはどうでしょうか。

岡本消防庁長官 具体的にその窓の閉鎖の状況等について大阪市消防局が、先ほど申し上げましたように、その指摘をしていないということが事実でございますので、またその点につきましては今後の調査の中でその理由等を明らかにしていくべきものだと思っております。

山下よしき 消防が入っても、窓がふさがれていた場合は、これは建築基準法上の違反行為になりますので、消防の立入検査で分かっても、ひょっとしたら権限外ということで連携が取られていなかったかもしれない。私はそれは非常に残念だと思うんですね。ですから、これは消防の検査で火災に関連するような法令違反があると、それはちゃんと消防として関係機関に連絡をするということをやることが極めて大事ではないかなということを感じました。
 大臣に伺います。様々なこうした問題点がございます。改正された消防法が施行されたにもかかわらず、有効な対策を講じることができなかった。要因分析は調査結果を待たねばなりませんけれども、十六人が犠牲になったことは消せない事実であります。なぜ繰り返したのか。私の指摘した問題点も含めて、徹底した調査と分析、再発防止策を取る必要があると思いますが、大臣の認識を伺いたいと思います。

鳩山総務大臣 おっしゃるとおりだと思います。徹底した分析と対策を行うために、総務省では、あの大阪市の火災起きてすぐに消防庁職員を直ちに現地派遣いたしまして、大阪市消防局と連携しながら原因調査を徹底して行っているところでございまして、また全国の消防機関に対し、すべての個室ビデオ店等について緊急調査を実施するとともに、防火指導、あるいはこれは避難訓練等も含めるんでしょうが、徹底するよう直ちに通知をいたしております。
 ただ、さっきイタチごっこと言いましたが、個室ビデオでこういう惨事が起きたから個室ビデオばかり調査しても、本当はもっと危険なところがまだいろいろあるかもしれませんから、そうした点にも目配りをする必要があるんだろうと。これらの徹底した調査をいたしまして、その結果を分析して専門家が判断をして、有効な対処方法を検討していきたいと思います。

山下よしき テレビに個室ビデオ店の開業を指南する業者という人が登場して証言しておりました。開業する人の中には全くの素人も多い、投資した資金をいかに早く回収するかだけを考える、そのためには個室の数を増やすのが一番いい、安全を考える人なんていない、これが実態だと思います。市場原理、利益優先主義に任せていたのでは国民の命も安全も守ることはできません。
 しかも、利用者は終電に間に合わなかったサラリーマンなどとともに、働く貧困層と言われる人たちが多かったとも言われております。ホテルよりも安く宿泊することができるからであります。こうした経済的、社会的な背景も踏まえて、今回の惨事を教訓に、今度こそしっかりした再発防止策を取らなければならないと思います。
 最後に、再発防止にとって消防職員の体制の充実強化が重要であります。大阪市では、こうした惨事があったにもかかわらず、消防職員の削減が計画をされております。これでは国民の安全、安心に責任を持つとは言えません。
 大阪市だけの問題ではありません。全国の消防職員の数は、政府の基準に照らしても充足率七五%程度で推移をしております。これでは何度法令の改正をしても絵にかいたもちになりかねないと。実際、消防庁の資料によりますと、消防機関の防火対象物への立入検査実施率は、平成十一年度三一・四%から平成十八年度二五・二%へと下がり続けております。実施数そのものも百十一万件から九十七万件へと下がっております。
 消防体制の充実強化に対する国の支援、とりわけ三位一体改革以来大幅に削られてきた交付税の復元、増額がどうしても必要だと思いますが、職員の充実強化、それから交付税の復元、増額、この二点ですね、これは総務大臣として今度の惨事を踏まえた重要な責務だと思いますが、見解を伺いたいと思います。

鳩山総務大臣 私、この間まで法務大臣やっておりまして、当然、五年五・七%という純減は掛かるわけでございますが、例えば検事、これはやはりこれから様々な事件を裁くためには必要だと。それから刑務官、これは大変厳しい仕事をやっている方たちでございます。それからもう一つ、入管の職員、これはどんどん外国から来るお客さんが増えていますから、入管がきちんとやりませんと危険人物が入ってしまうかもしれない。そういった意味で、安全、安心部門は増やしてその他は削るということで、例えば国家公務員の定数もいじられているわけですね。
 そうなりますと、また消防は自治体消防でございますから、自治体の消防というのは最も安全、安心に密接不可分なわけですから、今先生のおっしゃったような七五%などというようなことではとても困るわけでございまして、そうした意味では地方税財源の充実、三位一体で削られた五兆円の交付税の復元等も含めて全力で頑張っていかなければならないと決意をいたしております。

山下よしき 時間が来たので、終わります。

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