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論戦・演説・講演原点山下よしき---「おばあちゃんの二つの教え」、「共産党に入ってよかった事」など、自らの生い立ちや政治家としての原点を熱く語った初期エッセイ集  
 

 NHKは、不偏不党、政治的に公平であるべき

2008年6月10日 参議院・総務委員会

 2008年2月26日、NHKの古森重隆経営委員長(富士フィルム社長)は、自民党の武藤容治衆院議員の励ます会に出席しあいさつ。山下議員は、不偏不党、政治的中立は経営委員長として資格が問われる問題であり、今回の出来事は、国民や視聴者に誤解を与えることになり、慎むべきと述べ、今後再びこのようなことがないよう要求しました。
 また、先に総務委員会質疑においてI議員が、NHK放送の特定番組の内容に「政治的公平性に問題がある」などと発言したことにたいして、政治的中立の確保を求めました。

山下よしき 日本共産党の山下芳生です。
 まず、古森経営委員長に質問をさせていただきます。
 四月八日の経営委員会において、去る二月二十六日、武藤容治自民党衆議院議員を励ます会に古森委員長が出席された問題が議論されておりますけれども、どのような議論がなされてどのような結論になったのか、御報告いただけますでしょうか。

古森重隆NHK経営委員長 四月八日の経営委員会におきまして、私から経営委員全部に報告いたしまして、経営委員会の見解をまとめました。
 経緯につきましては、三月三十一日のこの総務委員会でも御説明したとおりでございますけれども、武藤さんは、武藤氏は、富士フイルムに十年以上勤めた方でございまして、当社の総務課を通じて出席したものでありますこと、そして、自己紹介の中でといいますか、実は司会者から紹介がありまして、富士フイルムの社長と同時にNHKの経営委員長と紹介がございましたものですから、私は今日は富士フイルムの社長の立場で出ております、武藤さんとはしかじかかくかくの関係でということを一つ申し上げたときに、私は紹介がありましたようにNHKの経営委員長もしております、NHKをひとつよろしくお願いしますと、まあ言わなくてよかったんですけれども、これを言うと皆さんわっときたりすることが多いものですから、つい言ってしまいました。ということでございます。具体的に何かお願いしたものではなくて、そういうことでございます。
 さらに、経営委員長の立場で武藤先生を、武藤さんをどうぞよろしくというふうに申し上げたわけではなくて、NHKをよろしくと申し上げたわけで、武藤さんに対しては、いろいろ政治的課題もたくさんあるでしょう、しっかり頑張ってくださいというお話を申し上げたことにとどまりました。念のために申し添えます。
 それからさらに、経営委員会では、経営委員長の職務においては、不偏不党、政治的公平の立場を堅持しておりますと、企業の社長と委員長の立場は切り分けていると申し上げたということも報告いたしました。
 この報告を経営委員会受けまして、放送法上、一民間人として励ます会に出席することまで禁止されているわけではなく、経営委員会の職務を遂行する上で、不偏不党を遵守している、又は遵守していれば問題ないと見解をまとめまして、これは公表いたしました。
 以上であります。

山下よしき 私は、不偏不党、政治的に公平であるべき、またあらねばならない公共放送NHKを管理監督すべき立場にある経営委員長が特定の政治家の励ます会の発起人となり、出席し、あいさつするというのは、国民や視聴者に誤解を与えることになり、慎むべきであると考えますと三月三十一日の当委員会でも申し上げたんですが、同時に、この武藤容治議員はNHKにとっては普通の議員ではないと私は考えます。NHKを国営放送と位置付ける必要があると主張をされている方で、放送産業を考える議員の会のメンバーであります。
 武藤容治衆議院議員、公式ホームページを見せていただきますと、二〇〇六年に、国営放送の位置付けが必要であるという認識から放送産業を考える議員の会を立ち上げ、今後国営放送のあるべき姿など提言していくことになりましたというふうに書いてありますが、こういう議員だということを御認識されていたんでしょうか。

古森経営委員長 先ほど言いましたような経緯で出席を引き受けましたために、武藤さんの、武藤議員のNHKに関する主張については知りません、後で知りました。出席した時点では承知しておりませんでした。

山下よしき 出席した時点では御存じなかったということですが、NHKを国営放送と位置付ける必要があるということですから、国営放送とは何ぞやといいますと、一般的には国家によって直接運営される放送局、又は国家権力によって国民に対して強い統制を掛けて行われる放送と理解するのが一般的であろうかと思います。これは、現在の公共放送としてのNHKとは相入れない考え方だと言わなければなりません。ですから、こういう考え方を持つ議員の励ます会に現職のNHK経営委員長が発起人となり、あいさつするのは、私は問題だと思います。
 御存じなかったということですが、現在そういう議員だということをお知りになった上で、出席されたことを反省し、今後は、こういう経歴をお持ち、また考え方をお持ちの方でありますから、古森さん自身が経営委員長である時期は出席を見合わせるのが当然だと思いますが、いかがでしょうか。

古森経営委員長 私企業の社長という個人の立場と、経営委員長としての職務というのは、私の場合には切り分けなければいけません。そういう切り分けという立場の中で考えておりますから、私はこの問題は大きな問題ではないというふうに考えております。
 以上でよろしいですか。今後、今後のことですか。

山下よしき 今後。

古森経営委員長 今後のことは、呼ばれるかどうか分かりません。仮定の問題にはお答えできません。

山下よしき 仮定の問題じゃないんです。今後の前に、そういうNHKを国営放送として位置付ける必要があるということを議員の会をつくられた中心メンバーの一人なんですね。そういう方に、現職の公共放送のNHKとして、国民を代表して管理監督するあなたが行ったということ自身、私は、知らなかったとはいえ反省する必要があると思いますし、今後は呼ばれるかどうか分からないじゃなくて、呼ばれたとしても行きませんというのがこれは普通だと思いますが、どうですか。

古森経営委員長 先ほどお答え申し上げたとおりであります。

山下よしき ということは、あれですか、国営放送と位置付けるという武藤さんの励ます会の発起人になったこと、あるいは参加されたこと、今でも、現在でも、そういう方だということを知った上でも間違いではなかったと、反省する必要はないとお思いなんですか。

古森経営委員長 毎回申し上げておりますとおり、私の個人的な立場と経営委員長の立場というのは切り分けなければ、私は社会に存在し得ません。そういう意味で、完全に切り分けたつもりでおります。
 ただし、武藤さんの考え方に賛成したからということで参加したわけではありません。あくまでも富士フイルムのOBということでございましたから参加したということであります。

山下よしき それは通用しないんですね。古森さんはお一人なんですから。富士フイルムの社長であると同時にNHKの経営委員長なんですから。ですから、行ったら司会者の方が、意図してはなかったんでしょうけれども、古森さんは、NHKの経営委員長ですと紹介されるんですよね。だから、公式には、公的には、世間では古森さんはNHKの経営委員長なんですよ。その経営委員長が、NHKを国営放送として位置付けるべきだということを公式に議員の会で中心的に活動をされている方に、これは深い関係になっていくというのは、私は世間では通用しないと思うんですよ。その通用しないということを自覚されないんでしょうか。もう一度確認します。

古森経営委員長 何と言ったらいいんでしょうか。そうですね、関係がないことはありません。そういう意味で考えていけば、関係はないことはないというふうには思います。
 ただし、私はあくまでも経営委員長としての職務は中立公正でやっているつもりであります。それは今後もそういうふうに続けていくつもりでありますから、それ以上のお答えはできません。

山下よしき それはおかしいでしょう。中立公正であろうとすれば、国民から見て中立公正だと思われなければ、NHKの放送に対する不偏不党性が信頼が揺らぐんですよ。私はそういう問題として前回も提起した。
 その後、今、武藤さんという方がどういう方か、国営放送としてNHKを位置付けるべきだと主張し活動している中心的な方だということが明らかになったら、私は、個人的な関係が、かつて同じ社員だったということまで消し去りなさいとは言っていません。しかし、武藤さんという議員がNHKを国営放送として位置付けるべきだと言っている方だという以上、そして古森さんが現職のNHK経営委員長、不偏不党であるべきNHKを管理監督する、国民を代表して、立場にある責任者である以上、これはやはり相入れないじゃありませんか。それを、それ以上言えないとかという認識なんですか。ちょっと深く考えていただきたいですよ。

古森経営委員長 そうですね、これ以上は言えませんですね。
 彼はそういうふうに考えているかもしれないけれども、私は必ずしもそう考えていない。彼はそういうことを言ったから、彼との関係を一切絶つわけにはいかない。(発言する者あり)だから、だから、十年も勤めていましたから私は出たわけであります。
 ですから、私は彼の考え方を知っての責任ある行動ではありませんし、私的な立場でありますから、関係がないと申し上げている。関係がないと言わざるを得ないじゃないですか。そうでしょう、違いますか。

山下よしき 関係がないと言えない立場にNHKの経営委員長になった以上、立たれているんですよ。もしそれが本当にこれだけ繰り返し意見を伺っても自覚されないというんだったら、これは私はNHK経営委員長としての資格が問われてくると言わざるを得ませんね。
 もう一度聞きますけれども、いかがですか。

古森経営委員長 毎回申し上げますけれども、私は経営委員長としては中立公正の立場で臨みます、今後も臨みます。それ以上のことは言えません。

山下よしき 極めて残念な御答弁しか返ってこなかったというふうに申し上げたいと思います。
 そういう姿勢を国民の皆さんが聞いて、NHKの不偏不党というのが本当にどこまで貫かれるのかという私は疑念を持ち、信頼を低下させることになりはしないかということを指摘しておきたいと思います。
 次に、福地会長に伺いたいと思います。
 先ほども議論がありました、五月二十日、当委員会で行われたNHKスペシャルをめぐるやり取りです。私もその場におりまして、福地会長が御退席された後、少し発言をさせていただきました。NHKスペシャル「セーフティーネット・クライシス」の感想を述べた上で、こうした番組から政治の責任と役割を重く受け止めるのならともかく、あたかも取材先に問題があるかのような発言で番組制作を萎縮させるような行いこそ公正性を欠き、政治的介入になると一言申し上げた次第であります。
 先ほど福地会長は、同僚委員の質問に答えられて、この番組については現状を取材した上で三人の関係者に討論してもらい、公平性は確保しておると明確に答弁されました。また、放送の不偏不党にのっとった取材、編集をしなければならないとしつつ、憲法に保障された思想、信条の自由が職員にも保障される旨御答弁されました。どちらも非常に重要な御認識だと思います。
 そこで、五月二十日の当委員会における自民党委員の質問の中では、偏った取材、偏った編集というふうな疑念があるということをお言いになった上で、NHKの内部の調査をしてみる必要もあるとの発言まで飛び出したわけであります。私は、非常に公平公正な番組であったという先ほどの会長の御認識からすれば、かつてハリウッドで吹き荒れたような赤狩り、悪名高い赤狩りですね、こういうことにも通じるような思想、信条の自由やあるいは言論、表現の自由を侵害するような行いはやるべきじゃないと思うんですが、ここで出された問題ですから、NHKの会長としてはきっぱりそのことははねのけていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

福地茂NHK会長 私は会長就任以来、不偏不党ということを絶えず言ってまいりました。しかし、私は今の立場上、全番組をチェックすることは不可能でございますので、放送分野につきましては放送総局長に業務を分掌しております。しかし、それだけでは無責任でございますので、やはり自分の主義主張といいますか、これは放送法の心がどれだけやっぱり現場で実施をされているかということをやっぱり自分の目で検証する必要があるということで、いろんな番組ございますけれども、私がとりわけ関心を持っておりますのは、今も話題になっておりますNHKスペシャルです。NHKスペシャルについて、担当局長にシーズはどのぐらいあるんだと、このぐらいの厚さのシーズを持って、一枚ずつですからかなりあります、それだけ多くの中から、ちゃんと提案書の中から選ばれているんだな。
 じゃ、その一枚一枚の提案書について、どういうふうな企画と申しますか、既に提案の段階で取材がなされておりますけれども、取り上げた企画の中で更に追加をして取材をしていくわけですが、どういうふうな形で取材ができているかということは、企画会議にこれは黙って飛び込みまして、予約せずに飛び込んで、そこで二十人以上の職員が、いろんな立場の職員が極めて活発な意見、いろんな立場からの意見を闘わせておるのを見まして、あっ、こういった両方の意見がこういった場で闘わされているんなら大丈夫だというふうに私は安心いたしました。
 また、そういった、今度、企画が進みまして次の段階は、処理した映像を編集していく段階ですが、どういうふうな映像にしていくかと、それは別の機会に、また別の編集会議にこれも黙って飛び込みました。そこでは、粗撮りしたというんでしょうか、フィルムを、映像を何分かに、所定の時間に編集していく、その編集の現場の中でやっぱりこれも十数人の職員が極めて熱心な討議をしております。
 そういった中でNHKスペシャルができ上がっていくんだという、例えば一例でございますけれども、そういったものをかいま見ることができました。別の機会に解説委員室にも飛び込みまして、あの解説、ニュース解説というのがどういうふうな討議の中でということも検証してまいりました。
 以上でございます。

山下よしき 会長自らいろいろ現場に飛び込んで放送の不偏不党、また放送の自由というものがどのように行われているのか、現場を直で見られるというのは大変いいことだと思います。
 ただ、そのときに、この間のやり取りを通じて少し私が心配したのは、そういうふうに会長が現場にいろいろ行く中で、間違っても思想調査みたいなことに感じられたら、これは逆に萎縮するというふうに思いますので、伸び伸びと自由に仕事がされるように、当然そういう会長の視察には配慮といいますか気の配り方が大事だと思いますが、いかがでしょうか。会長どうぞ。

福地会長 その辺を一番心しておりまして、私が出ていきますのは討議の状況を見ていくのでありまして、私の意見をそこに差し挟むようなことはいたしておりません。
 ただ、私が申し上げますのは、編集権の自律という権利は不偏不党という意味で担保されなければならない、編集権の自律の下に何を言ってもいいんじゃないんだよということは念のために申しております。
 以上です。

山下よしき それは私も理解しておるつもりなんですが、同時に、放送法にある放送の不偏不党というのは、国家が放送あるいは放送事業者を縛るための手段として使われては絶対にならないと。国家や政党、特に政権党の介入から放送事業者の表現の自由を守る手段、逆に言うと国家を縛る手段として放送の不偏不党、放送の自由というものが戦前の痛苦の教訓から導き出されていると。この理解はやはり何をもって不偏不党とするのかという点で非常に大事だと思うんですが、その点、確認したいと思います。

福地会長 政治的にまずは不偏不党の中立を確保することだと心得ております。

山下よしき 終わります。

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