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論戦・演説・講演原点山下よしき---「おばあちゃんの二つの教え」、「共産党に入ってよかった事」など、自らの生い立ちや政治家としての原点を熱く語った初期エッセイ集  
 

 すべての公務員労働者に民間労働者と同等に労働基本権を保障すべき

2008年6月5日 参議院・内閣委員会

 2008年6月5日、山下芳生議員は、参議院内閣委員会で、公務員労働者が労働基本権を著しく制約されている事に関して、労働基本権の確立を歴史的に振り返り、公務員制度改革の観点から渡辺特命担当大臣の考えをただしました。

山下よしき 日本共産党の山下芳生です。
 初めに、委員外発言をお許しいただいた岡田委員長を始め理事、委員各位に感謝を申し上げたいと思います。
 公務員の労働基本権について渡辺行革担当大臣に伺います。
 私は、労働基本権は労働者の生きる権利として保障されたものであるとともに、労働条件の決定過程に労働者が関与するために不可欠であるがゆえに保障された権利であると考えております。
 十九世紀の資本主義の発展過程において、労働者は失業や劣悪な労働条件のために厳しい生活を余儀なくされました。そこで、労働者に人間に値する生活を実現するために、労働者を保護し、労働運動を容認する立法が制定されることになったわけであります。このような経緯、言わば人間社会の発展を経て労働基本権が確立をされ、我が日本国憲法にもそれが保障されたと考えます。
 労働基本権。すなわち、一つ、労働者の団体を組織する権利であり、労働者を団結させて使用者の地位と対等に立たせるための権利である団結権。二つ、労働者の団体が使用者と労働条件について交渉する権利である団体交渉権。交渉の結果締結されるのが労働協約であります。三つ、労働者の団体が労働条件の実現を図るために団体行動を行う権利である団体行動権。その中心は争議権であります。この労働三権が保障されてこそ労働者は人間に値する権利を実現することができ、かつ、自分のことは自分で決めることができると考えます。
 以上、労働基本権は労働者にとって非常に大事なものと思いますが、まずその点での渡辺大臣の御認識を伺いたいと思います。

渡辺喜美内閣府特命担当大臣 日本国憲法では、第二十八条において、「勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、これを保障する。」と規定をいたしております。
 また、一方において、御案内のとおり、公務員の労働基本権については、議会制民主主義や財政民主主義の要請、公務員の地位の特殊性、公務の公共性、市場の抑止力の欠如等の理由によって一定程度制限をされてまいりました。
 公務員の労使関係については、長年の積み重ねにより労使間において良好な関係が築かれているとの見方もございます。しかしながら、近年の社会保険庁や大阪市などにおける不祥事の背景には、真に責任ある労使関係が構築されてこなかったのではないかという指摘がございます。また、労使交渉に関して労使が説明責任を果たす仕組みがなかったのではないかという指摘もございます。
 まさに、こうした問題認識に基づいて昨年十月に専門調査会の報告が取りまとめられたわけであります。今回の基本法案においても基本方針の一つとして基本権の問題は取り上げられているところであります。

山下よしき 全面的に公務員の労働基本権までお答えになってくださったんですが、私がまず確認したいのは、公務員のみならず、労働者にとって労働基本権がいかに大事なのかというまず大臣の御認識を伺いたかったんですね。
 労働者は、仲間と団結をし、その集団の力で使用者と交渉し、必要があれば争議行動を行うことによって初めて使用者とある程度対等の立場に立てるということだと思います。
 この労働三権、その意味では一体のものだと私は考えますが、大臣、いかがですか。

渡辺特命担当大臣 日本国憲法の第二十八条においては、「勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、これを保障する。」と規定をいたしておると認識しております。

山下よしき 三つ大事だという御認識だと思います。
 ところが、先ほど大臣少しお触れになりましたけれども、公務員労働者はその労働基本権を著しく制限されております。団結権はあるが争議権はなく、団体交渉権はあっても協約締結権はありません。これには歴史がありますね。
 元々、戦後、一九四七年に制定された旧国家公務員法には、スト権の禁止も政治活動の禁止もありませんでした。前年の一九四六年に制定された日本国憲法二十八条は、先ほど大臣が言われたように、「勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、これを保障する。」としております。勤労者、つまり民間の労働者も公務員も区別せずに労働三権を保障しております。だから、当時の公務員は、ごく一部の例外、警察、消防、監獄などを除いて、官民の区別なく適用された旧労働組合法の下でスト権も認められておりました。
 ところが、旧国公法が施行された直後、一九四八年七月二十二日、アメリカ占領軍総司令官マッカーサー元帥は芦田内閣総理大臣あてに書簡を発し、公務員制度の抜本改革を指示しました。これを受けて、当時の連立内閣は急遽政令二〇一号を公布して、公務員の争議行為の全面禁止と団交権の大幅制限を断行いたしました。続いて、同年十二月には、吉田内閣の下でこの政令二〇一号を追認する国公法の改正が行われて、国家公務員は労働組合法と労働基準法の適用を除外され、スト権も協約締結権も奪われ、人事院勧告制度の下に置かれることになったわけであります。
 これが歴史的経緯であります。公務員の労働基本権は占領時に強権的に奪われた。これを回復することは、私は民主主義の復権にほかならないと考えます。
 大臣に伺いますが、元々保障されていた公務員労働者の労働基本権がアメリカ占領軍の一片の書簡で奪われ、その後、六十年間そのままで経緯している事実についてどのように認識をされておりますでしょうか。

渡辺特命担当大臣 昨年、国家公務員法の議論を行っていただいた際に、私が参議院における内閣委員会で答弁をいたしております。
 安倍内閣の時代は、戦後レジームの大転換を掲げていろいろな政策の実現を図っておりました。戦後レジームの脱却という立場に立って公務員制度の改革を行っていくという位置付けが昨年はなされたわけでございます。御指摘の、昭和二十三年のマッカーサー指令によって公務員の労働基本権が制約をされたという歴史的な背景はそのとおりであろうと思います。
 戦後レジームの、大転換の中で公務員の労働基本権が制約をされ、人事院制度が創設をされました。その枠組みの中で公務員制度が構築されてきたことを考えれば、公務員の労働基本権の問題は戦後レジームの脱却という立場に立って考えられる課題だと考えます。

山下よしき 大変大事なことを言われていると思いますが、今おっしゃった参議院の委員会の答弁とともに、私が調べますと、大臣自身、専門調査会第九回会合、〇七年四月二十四日においてこうあいさつされております。戦後レジームの改革の中で、この労働基本権の問題はその重要な構成要素であります。協約締結権、争議権を一定の範囲で付与する方向で御検討いただければと存じますと。ここで戦後レジームの改革の中で重要な構成要素、労働基本権、その中には締結権と争議権も入っているという、これは、その会議録を読みますと、今日は、いつもは口頭しゃべるんですが、文章にしてまいりましたというふうにお述べになっておりますので、かなり練りに練ってそこを確信的に述べられたんだと思います。
 この文章の中に、私が今紹介し大臣もお認めになった、戦後、マッカーサーの指令によって与えられていた公務員の労働基本権が奪われた、ここから脱却することが重要な構成要素なんだというふうに私はこれは読み取ることもできるのかなと思ったんですが、そういう歴史的な流れを踏まえて労働基本権の問題を考えるんだという理解でよろしいんでしょうか。

渡辺特命担当大臣 専門調査会の第九回ですか、の会合で私からそのような発言をしたのは、そのとおりでございます。
 当時、専門調査会では延々と出口なき議論が行われていました。私が大臣になりましてから、佐々木座長にお願いをし、四月には中間取りまとめを行っていただきたいと要請をしたところでございます。いわゆる中間取りまとめというのは、かなり方向性が明らかになったものが普通は出てくるわけでございます。是非そういう方向性を明らかにしてほしいという趣旨でそのようなかなり踏み込んだ発言をしたわけでございます。
 専門調査会報告においては、公務員に労働基本権を付与することにより、労使双方が責任感を持ってそれぞれの役割を果たし、職員の能力を最大限に生かす勤務条件が決定、運用されることを通じて、公務の能率の向上、コスト意識の徹底、行政の諸課題に対する対応能力の向上といった効果が期待できるとしています。
 基本法案第十二条においては、協約締結権を付与する職員の範囲の拡大に伴う便益及び費用を含む全体像を国民に提示し、その理解の下、国民に開かれた自律的労使関係制度を措置することとしています。まさに、専門調査会の最終報告書にのっとった修正案が今回、国会に諮られたものと認識をいたしております。

山下よしき 専門調査会の最終報告は私も見ましたけれども、協約締結権の付与、人事院・人事委員会勧告廃止の方向は示されておりますけれども、争議権や消防職員などの団結権については両論併記にとどまっております。先ほど、三つがそれぞれ大事だとおっしゃった労働三権という点から見れば不十分だと思います。
 そこで、公務員の労働基本権の意義について少し踏み込んで議論したいと思うんですが。先ほど、大臣からはこう思うということがありました。私は、憲法が勤労者に区別を付けていない以上、すべての公務員労働者に民間労働者と同等に労働基本権を保障すべきだと考えます。同時に、憲法が公務員を全体の奉仕者と規定しているように、事業と職務が公的性格を持つこと、また賃金原資が税金など公的資金であることから、民間労働者と異なる特質を持っていることに配慮しなければならず、その点で独自のルールも制定する必要があると考えております。
 その上で伺いますが、私は、公務員労働者に労働基本権が保障されることにどういう意義があるか、先ほど大臣がおっしゃったことに加えて、労働者として保障されるのは当然だが、それだけにとどまらない意味があると思っております。
 繰り返しになりますが、日本国憲法に「すべて公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない。」とあるように、一人一人の公務員が国民全体に奉仕する存在でなければならない、公務員は国民の権利を尊重する立場で仕事をしなければならない、そのためには自らの人権が保障され、人権を理解することが不可欠だと思います。愛情たっぷりに育てられた子供は愛情を知るといいますけど、やはり人権をしっかりと保障された公務員でこそ国民の人権に敏感になれるんではないかと思うからであります。
 そういう点では、消えた年金、宙に浮いた年金を何十年も放置するようなことがあってはならない。また、仮に、決まった法律が憲法に照らして公共の利益にそぐわないと一人一人の公務員が感じたなら、少なくともそれを上司に伝え、見解を求めることもできると思います。そのような行動を取ることが可能になるような権利保障と環境が必要であって、そのような権利保障は、公務員に対する、国民全体の利益にも通じるものではないかと私は思うんですが、全体の奉仕者たればこそ、国民の利益に敏感になるためにも公務員の権利が保障されるということは通じるんじゃないかと。いかがでしょうか。

渡辺特命担当大臣 基本権の問題につきましては、午前中、神本委員の質疑の中でも申し上げましたように、行政改革推進本部の専門調査会において検討を行い、その提言を受けて今回の基本法案の立案を行ったところでございます。この基本法案が成立した場合は、成立後一か月以内に置くことになる国家公務員制度改革推進本部の下に労働組合を含め関係者の参加する検討機関を設置し、その場において第十二条に係る具体的な検討を行うことになります。

山下よしき 時間ですので、終わります。

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