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論戦・演説・講演原点山下よしき---「おばあちゃんの二つの教え」、「共産党に入ってよかった事」など、自らの生い立ちや政治家としての原点を熱く語った初期エッセイ集  
 

 

2008年3月31日 参議院・総務委員会

山下よしき 日本共産党の山下芳生です。
 まず、古森経営委員長にNHK経営委員長としての基本的立場を尋ねたいと思います。
 放送法には放送の不偏不党、政治的に公平であることが明記されております。経営委員長としてこの立場を堅持することは当然だと考えますが、いかがでしょうか。

古森重隆NHK経営委員長 お答えいたします。
 放送法には、おっしゃるとおり、第一条に放送の不偏不党が書いてありますし、放送法第三条の二に政治的に公平であることが規定されております。したがって、放送を行うに当たりましては、当然この放送法の趣旨を十分踏まえることが求められていると認識しております。
 経営委員長といたしまして、経営委員会の委員長といたしまして、番組基準及び放送番組の編集に関する基本計画の審議を通じましてこうした放送法の趣旨がNHKの放送全体にきちんと生かされることを担保していきたいと考えております。
 以上であります。

山下よしき そこで伺いますが、二月二十六日、都内で行われました某自民党衆議院議員を励ます会に委員長出席された事実はありますか。

古森経営委員長 ございます。
 これにつきましては、武藤容治という衆議院議員を励ます会に出席しております。武藤容治氏は、大学卒業後、富士フイルムに入社されまして、私の社長をしております会社でございますが、十年以上にわたって勤められた方であり、当社の総務課を通じて出席に関して依頼が、打診がありまして応じたものでございます。あくまでも富士フイルムの社長として出席したものであり、経営委員会の委員長として出席したものではないということを言明申し上げます。
 以上であります。

山下よしき しかし、励ます会であなたは、NHKの仕事もしておりまして、経営委員長を仰せ付かりまして、昨年の六月以来、苦闘しております、皆さんの応援を是非お願いいたしますと、NHK経営委員長の立場を明らかにしてあいさつをされたと聞いております。違いますか。

古森経営委員長 それは自己紹介の中で申し上げたときでございまして、私はそのときは、私は個人で出ておりますけれどもNHKの経営委員長もしております、NHKを是非応援してくださいという立場で申し上げました。

山下よしき 不偏不党、政治的に公平であらねばならない公共放送NHKを管理監督すべき立場にある経営委員長が特定の政治家の励ます会の、たとえ元社員だったとはいえ、発起人となり、あいさつするというのは、国民・視聴者に誤解を与えるのではないかと思います。経営委員長の任にある間はこういう行動は慎むべきではないかと私は思いますが、いかがでしょうか。

古森経営委員長 先ほどもお話ししましたように、当社の総務課を通じて依頼があった話でございます。富士フイルムの社長として、会社の先輩として出席したものでございます。私は経営委員会の委員長といたしまして、職務においては不偏不党、政治的公平の立場を堅持しており、私企業の社長と委員長の立場というのは厳密に切り分けてアクトをしている、行動しているというふうに考えております。

山下よしき 誤解を与えるような行いは慎むべきだと私は思います。経営委員長の言動がNHKの政治報道に対する国民・視聴者の信頼を低下させるようなことがあってはならないということを指摘しておきたいと思います。
 続きまして、国際放送について伺います。
 古森委員長は三月十一日の経営委員会で、海外向けの国際放送では利害が対立する問題については日本の国益を主張すべきだと述べられましたが、ここで言う国益とはどういうことでしょうか。

古森経営委員長 本件は、三月十一日の経営委員会で、国際番組基準の一部変更を審議する際の議論として申し上げた意見だと記憶しております。私は、利害が対立する問題については、日本は当然日本国民の立場に立って国益を主張すべきという公式見解もあろうと思いますし、あるいは国民世論の動向もあろうというふうに思います。こういうものが正しく発信されていくべきという趣旨で申し上げました。
 以上であります。

山下よしき 何が国益かというのはだれが判断するんですか。

○○古森経営委員長 国益とは広く日本国民全体にとって利益という意味で用いたものであります。国際放送においても、必要な費用について国民の受信料から賄われておりますので、国民全体の利益を重視すべきではないかという視点もございます。
 国際番組基準には、放送法にあります不偏不党は当然のことでありますが、我が国の重要な政策及び国際問題に対する公的見解並びに我が国の世論の動向を正しく伝えるということが規定されております。受信者が国際放送の場合は特に世界に広がりますので、対象が異なりまして、この人たちは日本の公的見解、世論は大変な関心事であるということから、できるだけ多くの意見を反映しつつも、我が国の立場を明らかにし、国民の利益にかなうよう、NHKが自ら編集権の下で適切に判断していくものというふうに考えております。

山下よしき 古森委員長は、その委員会の後の会見で、国際放送では政府見解や国会決議などを伝える必要があると語ったと報道されておりますけれども、そうしますと、古森委員長の言う国益の主張というのは政府見解や国会決議を伝えるということとイコールなんでしょうか。

古森経営委員長 当時の発言は、私の記憶では政府見解というよりも公的見解と申し上げたと思っております。失礼、公式見解というものを申し上げたというふうに思います。
 そういうものはいろいろございましょうが、一つは、公式見解というのは政府あるいは国会議員の議決で決まったものでありましょう。この国会議員というのは国民の皆様から選ばれた人たちでありますし、それからまた選ばれた政府の方たちが、いやしくも公的見解、公式見解というものは日本のことをきちんと考えた、そういうものに沿ったものだというふうに私は認識しております。
 以上であります。

山下よしき その政府見解が国際的に正しい見解かどうかというのはいろいろな判断が必要だという場合もあると思います。
 それで、NHKの国際番組基準というものを読ませていただきました。その冒頭にこううたわれております。国際放送を通じて諸外国の我が国に対する理解を深め、国際間の文化及び経済交流の発展に資し、ひいては国際親善と人類の福祉に貢献すると。大変すばらしい中身だと思います。ですから、狭い国益の主張ではなくて、広く国際的に理解を深め、交流を深め、国際親善と人類の福祉に貢献する、これが国際放送の本来の目的だと、ここに書いてあるわけですけれども、そうじゃないんでしょうか。

古森経営委員長 そのとおりであります。ですから、私は、偏狭な国益という、主張ということではなくて、当然公共放送として放送する場合にはいろんな意見の吟味もありましょう。あるいは国際広報の吟味、すべてのことを考えて公的見解、公式見解はなされるものだと思いますし、国民もまたその線によって適切に判断するものだというふうに考えております。
 以上であります。

山下よしき 自国の政府見解だけを出す国営放送のような放送とか立場の違う意見を紹介しない多様性のない放送というものに耳を傾ける人は世界では少ないと思います。英国放送協会、BBCが国際的に高い評価を受けているのは、自国に不利なことでも公正に伝えようと努力をしてきたからだと思います。NHKの前身に当たる戦前の日本放送協会は、国家の管理に組み込まれて、戦争を推進するための国策宣伝機関になってしまいました。その痛苦の教訓に立って、戦後、憲法は表現の自由をうたい、放送法には編集の自由が明記されたことを忘れてはならないと思います。NHKが自らそういう歴史の教訓を投げ捨てるようなことをあってはならないということを指摘しておきたいと思います。
 続きまして、障害を持つ人たちが情報にアクセスできる機会を向上させる問題について聞きたいと思います。
 デジタル放送は、美しく迫力のある画像ですとか、アナログ放送ではできなかった様々なサービスを提供することを可能にいたしました。私もデジタル放送で映画を見ておりましたら、途中から見たんですけれども、途中までの粗筋という文字情報がぱっと出るということに大変驚きました。こうした技術革新の成果というのはすべての人々が享受できなくてはならないと思います。
 そこで、放送のデジタル化に伴い、障害者や高齢者に優しいサービスが飛躍的に充実されるべきだと思いますが、総務大臣とNHK会長の見解、決意を伺いたいと思います。

増田寛也総務大臣 お答え申し上げますが、字幕放送についてまず申し上げますと、アナログの場合には専用の受信機が必要だったわけですが、デジタル化に伴いましてこの字幕受信機能というのが標準仕様となりました。それから、解説放送につきましても、アナログ放送では例えばステレオ放送とか二か国語放送を行う場合に同時に解説放送というのは実施できなかったんですけれども、デジタル化されますと、こうしたステレオ放送等の場合でも解説放送を実施することが可能となったと。技術的に大変な進歩がこういうことを可能にしたわけでございます。
 したがいまして、放送事業者、当然NHKにおかれましてもこうした機能を十分に生かして、特に高齢者それから障害者に優しいサービスの充実を是非図っていただきたいと、このように期待をするものでございます。

福地茂雄NHK会長 高齢者でありますとか、あるいは視覚、聴覚に障害を持っておられる方、障害のある方々により放送を楽しんでいただきますように、この字幕放送とか解説放送につきましてはますます力を入れていますが、まずはNHKといたしましては放送時間を増やすということをまず第一に取り組んでいきます。それから、デジタルテレビには字幕放送とか解説放送が受像できるチューナーが内蔵されておりますので、なお一層デジタル放送が増えればそういった機会も増えてくるんじゃないかと、そういうふうに考えております。
 私はNHKの放送技術には大変大きな自負を持っておりますけれども、先般、技術研究所を訪れましたときに、そういった障害のある方々に対する技術的な研究が大変進んでおりまして、御紹介いたしますと、例えば視覚障害の方から要望の多いニュース速報を自動的に音声にする技術の開発でありますとか、あるいは聴覚障害者向けに生放送での安価な字幕制作技術の開発とか、あるいは高齢者には、速さに変換する、話速、話す速度を自動的に変換する機械といいますか、技術ですが、これは私も実際に自分で聴講してみましたけれども、そういった技術の開発に向けて積極的な努力をしておりまして、放送時間、それからそういった放送技術の問題と併せて、視覚、聴覚の障害のある方々へのお力添えをしていきたいと思っております。
 以上です。

山下よしき そこで、字幕放送については先ほど同僚委員から質問がありましたので、私の方からは、生放送の字幕を増やしてほしいですとか、災害時の臨時ニュースに字幕がなかなか付いていない問題があるよとか、ローカル放送にも是非字幕をという要望が出ておりますので、是非御努力いただきたいということだけ申し上げたいと思います。
 次に、視覚障害の方にとって、ドラマなどの番組でせりふが入らずに無音のときですとか、あるいはニュースなどで外国語のコメントに日本語の吹き替えがないときなど、解説放送があればテレビ番組の内容がきちんと理解できるということになります。例えば、大変人気のあった朝ドラの「ちりとてちん」、私も毎日見ておりましたけれども、これですと、草若家の玄関先にたたずむA子というふうに解説放送が流れますと頭にその情景が浮かぶという具合であります。
 そういうNHKの解説放送の現在の到達と今後の目標について説明いただけますか。

福地会長 解説放送でございますが、平成二十年度から始まります行政の指針では、新たに視覚障害者のために情景描写などを言葉で説明する解説放送についても目標が設定されます。
 具体的な目標は、七時から二十四時の間に放送する番組につきましては、平成二十九年度までの十年間で、総合テレビで一〇%、教育テレビで一五%に解説を付与するというものでございますが、NHKでは解説放送、平成二年以来ドラマや教育番組を中心にジャンルを広げながら実施をしておりますが、行政の指針に対する平成二十年度の解説付与率は総合テレビで五・三%、教育テレビで九・一%を予定しております。
 今後どのようなジャンルの番組にどういった解説を付与するかということが、それがどういったことが効果的であるかなど、解説放送に対するニーズをしっかりと踏まえながら目標達成に向かっていきたいと思います。

山下よしき 例えばドラマですと、もう機械的に説明を入れるというふうになりますとドラマの面白さが損なわれるので、脚本家の方がそういう、もう一本ドラマをつくるぐらいの労苦をいとわずやられていると聞きました。しかし、要望高いですから、是非一層の努力をしていただきたいと思います。
 最後に手話放送について伺いたいと思います。
 現在、NHKの総放送時間における手話放送の割合、どうなっていますでしょうか。

福地会長 手話番組は、平成二十年度はNHK手話ニュース、それからこども手話ウイークリー、NHKみんなの手話、こういったものが一週間に七番組、合計三時間四十五分のニュースを教育テレビで放送いたします。教育テレビの放送時間のこれは二・六%に当たります。
 以上でございます。

山下よしき 非常に低いんですね、手話放送の今到達というのは。
 ところが、総務省に聞きますけれども、視聴覚障害者向け放送普及行政の指針というものがありますが、その指針の中に手話放送の目標が入っておりません。どうして入っていないんでしょうか。

中田睦総務省政策統括官 お答え申し上げます。
 字幕放送の場合でございますと、元々の番組に字幕が入る、したがいましてすべての方が字幕を御覧になるいわゆるオープンキャプションの方式だけではなくて、元の番組には字幕は入っておりませんけれども、聴覚障害者の方が選択して字幕を付けたものを御覧になる、そういうことが可能になってございます。
 他方、手話放送の場合には、これは字幕放送と異なりまして、送出されますデータ量が圧倒的に多いということがございまして、視聴者の方が選択的に手話を付けるということが難しく、現在ではできません。そういう形で、手話放送の場合はすべての方が御覧になる画面に手話を付けるしかないということがございます。
 そういうことで、今回、あしたから始まります新方針のベースになっております研究会の報告、これ昨年の三月でございますけれども、この報告書の中でも、手話放送につきましては字幕放送と同様に指針を策定すべきであるという意見もございましたが、今申し上げましたような技術的な課題、それから研究開発の可能性、諸外国の状況などを考慮して検討していくことが求められると、そういうことになってございまして、現在検討中と、検討課題とさせていただいております。

山下よしき 現在検討課題ということなんですが、先天性の聾者の方、それから幼少時に失聴した人にとっては聴覚を用いないで獲得した手話が基盤の言語となって、手話が重要なコミュニケーションの手段となっている場合が多いですね。そういう方々にとっては字幕放送よりも手話放送の方が理解しやすい場合もある。あるいは、両方放送してくれれば大変理解しやすいという意見もあります。
 手話の伝える力というのはなかなかすごいなと。聾者の方の意見を伺いますと、例えば速くしたりゆっくりしたり、強弱の表現を手話で使い分けることができる。あるいは、手や指だけを使うのではなくて、顔の表情ですとか身ぶり手ぶりも使って伝えていくので、大変個性が出るし、気持ちがストレートに表れると。そういう方々にとっては大変大事な情報伝達手段だと思いました。
 なかなか技術的に困難だというんですが、例えばイギリスでは字幕・解説放送に加えて手話放送の目標値を設定して、放送事業者に対して目標達成を義務付けております。現在、同じ画面に出すしかないということですが、イギリスでも、クローズドサイニングというんでしょうか、選択して手話の画像がまた別に出るということも一生懸命検討している。だから、困難ではあっても目標を持たなければそこに近づくことはできません。やっぱり高い目標を持ってその困難を、課題を克服していくことが私は求められているんじゃないかと思います。
 デジタル化で電波に乗せることができる情報の伝達量は飛躍的に向上したわけですから、こういうことにもチャレンジしていくことが私は大事だと思いますが、総務大臣とNHK会長の認識を伺いたいと思います。

増田総務大臣 今お話にございましたとおり、やはり字幕放送、解説放送、それから、いまだ率は低いんですが手話放送ですね、これも技術的な問題も是非解決をしてその普及をより一層図っていかなければならないと。今BBCの御紹介もございましたけれども、いろいろな先進事例等もよく調査研究をして、特にNHKにおかれてはこうしたものに率先して取り組んでいただきたいなと。
 総務省の方でも、普及の目標等を設定したり、あるいはこうした制作費の一部助成等を行ってきておりますけれども、今後こうしたことを更に充実させるなりして、是非、今お話がございましたとおりの字幕放送、解説放送、さらには手話放送も含めて、より一層普及が図られるように私どもも努力をしていきたいと、このように考えております。

福地会長 この字幕放送、解説放送を今後更に普及させていきますためには、専門的な技能といいますか、字幕を作る人だとかあるいは解説を制作する人、そういった専門能力を持った人の人材の確保でありますとか、また音声を自動認識して文字化するシステムの開発とか、そういった私たちが取り組まなければならない課題もたくさんございますが、しかしこれは是非達成に向けて努力していきたいと思います。
 それから、聴覚障害者に対する手話の問題ですが、これは、手話放送は画面の片隅で手話をやる、これは画面構成上も、それから手話を御覧になる方も両方見にくいという欠点がまだあります。それで、もう一つの取組として手話番組そのもの、手話ニースでありますとか手話だけの番組とか、そういった方向の開発にも力を入れて、この手話問題は両面から推進していきたいと、かように考えております。
 以上でございます。

山下よしき 終わります。

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