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論戦・演説・講演原点山下よしき---「おばあちゃんの二つの教え」、「共産党に入ってよかった事」など、自らの生い立ちや政治家としての原点を熱く語った初期エッセイ集  
 

 

2008年3月27日 参議院・総務委員会

山下よしき 日本共産党の山下芳生です。
 安心して住み続けられる地域社会にとって路線バスは重要な役割を果たしていると思います。とりわけ過疎地の高齢者にとっては買物や病院通いに不可欠な生活の足、命の足だと思います。
 そこで、まず総務大臣に、地方における路線バスの役割、それを維持することの重要性、どう認識されているか、伺いたいと思います。

増田寛也総務大臣 やはり地方の場合には、特に高齢者がそこに居住をして生活を営んでいる、病院などにそうした路線バスを活用して通院されているという方、大変多くおられるわけでございます。国の方でもそうした路線バスを維持するために補助事業等などを実施をしているようでございますけれども、こうした路線バス、今交通弱者と言われているような皆さん方、高齢者のみならず、雪などの場合には一般の方もなかなかいろいろ他の交通手段を得るというのも厳しいわけでございますので、やはりこうした路線バスというのは大変重要でございますし、今後もそうしたことを維持していって、そしてその地域を守るということが大変重要だと、このように認識しているところでございます。

山下よしき 高齢者のみならず一般の方にとってもという御認識でありました。
 ところが、政府のモータリゼーション政策の下で自家用車の普及が進む中、バスの利用者が減少しております。民営バス事業者の七割は赤字経営となっております。その結果、全国各地でバス路線の廃止が進んでおります。
 国土交通省に伺いますけれども、一九九五年度から二〇〇五年度までのバス路線の廃止キロの累計は幾らでしょうか。

神谷俊広国土交通省自動車交通局次長 お答え申し上げます。
 平成七年度から十七年度までの路線バスの廃止キロの累計でございますが、九万一千三百八十七キロメートルとなっております。

山下よしき 十一年間で九万キロ、地球二回り分のバス路線が廃止されたということであります。
 資料に各年度ごとの廃止キロの累計をグラフにしておりますけれども、年を追うごとに廃止路線が増えているということであります。
 国土交通省に伺います。ちょっと質問の順番変えますけれども、二〇〇六年度の路線バスの赤字額は幾らか。全国、それからそのうち三大都市圏、その他地域、それぞれ答えていただけますか。

神谷局次長 お答え申し上げます。
 毎年私ども保有車両三十両以上の事業者について集計をしておりますけれども、平成十八年度の乗り合いバス事業者の赤字額は、三大都市圏につきましては百七十四億円、その他地域につきましては四百億円、全国の合計は五百七十四億円となっております。

山下よしき 今お答えあったとおり、やはり地方の赤字額が大きいわけですね。したがって、バス路線の廃止も都市部よりは地方で進行していると推察されます。
 国土交通省に引き続き伺いますが、国のバス運行対策費補助金のピーク聞きますと、一九九四年がピークで百十億円だったと承知しておりますけれども、それがこの間かなり減少してきていると。〇八年度は幾らになりますか。

神谷局次長 平成二十年度の予算額でございますが、現在七十三億五千万円を予算案の方に計上させていただいております。

山下よしき ですから、ピークの一九九四年から二〇〇八年を比較しますと、国のバス補助金は六六・八%、七割弱に大幅に減少しているということであります。
 続いて国土交通省、国の補助の対象となっているバスの系統は全体の何%になりますか。

神谷局次長 お答え申し上げます。
 平成十七年度の実績でございますが、乗り合いバスの全系統数四万七百九十六系統に対しまして地方バス路線維持費補助の対象系統は千七百九十九系統でございまして、全系統の四・四%ということでございます。

山下よしき 全体の四・四%。それから、補助は赤字路線に対してのみ出されますから、赤字路線の割合は全国で大体七割というふうに言われておりますから、単純計算しますと二万八千五百系統が赤字と考えられます。そのうち国の補助が千七百九十九系統ですから、赤字路線の中だけ見ても一割にも満たない補助率、補助割合になっているんですね。
 赤字系統路線の国の補助がない分は、これは多くでは県や市町村が単独で補助をしてバス路線の維持をしております。その下でどんな事態が進行しているか。
 先日、NHKのニュースが秋田県仙北市の路線バスが廃止の危機に直面していると報じました。早速私現地に赴きまして、秋田県や仙北市、そして住民の皆さんの意見を聴いてまいりました。仙北市というのは日本一深い湖の田沢湖ですとか武家屋敷と桜で有名な角館がある町でありまして、昨年、旧三町が合併してできた人口三万六千人の市であります。この仙北市を走るバス路線は、乗車密度が低くて、国の補助の対象になっている路線はありません。十二の路線があるんですが、全部県の、そして市の補助で運行をしておりました。ところが、その県の補助制度が今度見直される予定になっておりまして、ちょっとハードルが高くなって、そうすると広域の二路線は県の補助が残るんだけれども、残る十路線については市が単独でバス会社に補助をして運営しなければならなくなると、それはとてもなかなか厳しいということで、存続の危機になっているということが分かりました。
 それから、角館から車で三十分以上、バスですと四十分のところに桧木内という約六百世帯の地域があります。そこを訪ねました。高齢者のみの方、世帯も多いんですが、バスを利用されている住民の皆さんに少し意見を聞かせてくださいと、前の日にNHKで報道されたバス問題で国会から話を聞きますよというビラを配っていただいただけで、別に一人一人お誘いしたわけではないんですが、公民館に二十人弱の方が集まってくれました。やっぱりこれは大変な心配事になっているんだと思います。
 そこで、皆さんバスに、どんなふうに利用されていますかと聞きますと、毎週病院に通っているという高齢者の方たくさんいらっしゃいました。それから、地域の中にあったスーパーが去年撤退し、なくなりまして、日々の生鮮食品や日用品の買物にも、角館方面に少なくとも週二回は出かけなければならない。どれもバスというのは日常生活にやっぱり欠かせないということが分かりました。この桧木内の地域から角館までは片道五百二十円、病院までですと六百七十円、往復で千円から千三百円以上掛かるんですけれども、それでもバスがなくなったら私は死ななきゃならないという声も出されました。
 それから、この桧木内には小学校、中学校もあるんですが、高校はありません。角館や大曲に通っているわけですが、もしバスがなくなったら孫たちは下宿をしなければならなくなるという声も出されました。
 総務大臣に伺いますが、こういう地域にとってバス路線の維持というのは市場原理で考えるわけにはいかない。もうかるから走らせる、もうからないから撤退するというわけにはいかないと思いますが、いかがでしょうか。

増田総務大臣 今、お話ございましたような地域、私も、かなり岩手と県境を接しているところもございますので、そういった地域でのバス路線の維持、地元の自治体の支えがあってそれで維持されている場合が実際のところ多いと思います。自治体の方でもやはり、地域の足としてやはりそうしたものを欠くことができないので、いろいろバス会社と協力して車両を小型化したりとか、その集落のルートなどもいろいろ考えたり、それから時間帯等もいろいろ工夫をしておられるんでしょうけれども、しかし完全に採算ベースに乗せるというのは実質上不可能でございますので、そうしたことについて自治体の方でもいろいろ単独事業として財政措置等を講じていっているのではないかと。
 総務省の方でもそうした地方単独事業についても地方財政計画の中で位置付けをして、そして交付税措置等を行っているわけでございますが、やはりそうした公的な支援ということもつなぎ合わせて、そして現在維持が行われているものと、このように考えております。

山下よしき 確かに、市単独の支援については交付税措置がされるんですけれども、これは自治体はそれでも二割以上は持ち出しになるわけですので、なかなかそれが進まないということも今起こっているわけですね。ですから、国の補助が非常に少ないというのが今大変なネックになっているんじゃないかと、私は現地に行って感じました。
 実は、この間、規制緩和によってバスの需給調整規制が廃止されまして、事業者への補助から路線ごとへの補助へと地方バス路線維持の補助の在り方が変わりまして、これまでの収益の上がる路線から赤字路線に事業者内部で補てんするというインセンティブが働かなくなりまして、これが路線廃止を加速させております。それから、路線の休止又は廃止が許可制から届出制になったということも路線廃止に拍車を掛けております。さらに、バスの補助制度が二〇〇一年度から補助対象を複数市町村にまたがる広域的幹線的路線に重点化されたことも拍車を掛けております。
 そこで、国土交通副大臣来ていただいておりますから、地方のバス路線が撤退、廃止が相次いでいるときに、地方自治体が路線の維持に大変な苦労をしているんですが、国の支援が私は非常に不十分だと思います。責任を果たしていないと思います。道路は整備されても、それを活用するバスが走れない。これでは地方の再生、活性化どころか、ふるさとで生きていけなくなる方がますます増えるんじゃないかと心配されますが、国の補助を抜本的に拡充すべきではないでしょうか。

○副大臣(平井たくや君) 委員御指摘のとおり、地方バス路線維持対策というのは変わってきております。複数の市町村にまたがり、キロ数が十キロ以上、一日の輸送量が十五から百五十人、運行回数が三回以上等の要件はなかなか厳しいというふうに思います。
 先ほど総務大臣からお話がありましたとおり、国と地方の適切な役割分担の中でそういう路線バスの維持ということを図っていかなきゃいかぬということで、先ほどお話ありましたとおり、欠損補助や車両購入に対する補助は行っていますし、交付税措置も一部していただいております。
 加えて、これ、委員御存じのとおり、平成二十年度予算においては、昨年十月に施行された地域公共交通の活性化及び再生に関する法律に基づく取組を支援する地域公共交通活性化・再生総合事業を新たに設けて、三十億円を計上しております。これは、地域の多様なニーズにこたえるために、バス、乗り合いタクシー等の事業に取り組む地域が設置した協議会に対して、その協議会で策定した計画に基づいた事業についてもうパッケージで支援すると。つまり、もうバスだけではなくて、あらゆる公共交通機関の在り方を考えながらパッケージで支援していこうということですので、こういう御提案を各いろいろな地域からいただきたいと我々は考えております。

山下よしき 国の補助が減っているというのは、やっぱり直視しなければならないと思うんですね。
 それから、地域ごとの協議会でいろいろな在り方を考えるということですが、実は仙北市もデマンド型乗り合いタクシーというものを試行運転しておりまして、これはなかなか私は注目いたしました。去年、民間バス路線が廃止された地域で市が住民と話し合って試行運転を今しているんですけれども、あらかじめ登録した利用者が予約制で停留所から乗るタクシー、ワゴン車でしたけれども、市が地域のタクシー会社と協定を結んで運行をしておりますけれども、大型バスを購入するより経費はうんと少なくて済んで、予約のやり方が分かれば利用もしやすくて、住民にも好評と、登録されている方も随分増えているようです。画一的なやり方ではなくて、地域の実情に合った移動の足の確保を行政と住民が一体になって知恵を出して考えることの大切さを私は感じました。
 ただ、このデマンド型乗り合いタクシーに対する補助は三年間しか出ないんですね。ですから、これも、やっていると言うけれども、ずっと出るわけじゃない。地域で頑張れということになっていますから、これは極めて、もっとこれやるべきだと私は思うんですね、非常に努力されていますから。
 それから、そう言いますと、じゃ、私はやっぱり国の補助をもっと増やすべきだと思いますが、そこで聞きますけど、国土交通省さんに伺います。地方バス路線維持に道路特定財源は使えますでしょうか。

平井たくや国土交通副大臣 地方バス路線維持補助に特定財源は入っておりません。特定財源は、バスレーンの整備等々には使われておりますが、そういう路線維持ということでは交付されておりません。

山下よしき 道路特定財源で道路は地方までどんどん延びる一方で、その道路を走るバスがどんどんなくなっていると、これでいいんだろうかと私は感じました。
 国土交通省さんに伺いますけれども、高速道路の建設費は一キロメートル当たり幾らになりますか。

原田保夫国土交通省道路局次長 建設コストにつきましては、地形の状況でありますとか都市化の状況によりまして大きくそれぞれが違っておりますが、例えば平成十五年度から十七年度までに供用しました高速自動車国道十八事業につきまして平均建設コストを算出いたしますと、一キロメートル当たり六十一億円でございます。

山下よしき 今お答えにあったとおり、一キロ当たり六十一億円ということであります。先ほど答弁があったように、国のバス補助金は年間七十三億円なんですね。要するに、高速道路一キロメートルちょっと分しか全国のバス路線維持に対して国はお金を出していないということになるわけです。
 道路中期計画では、今後十年間で高速道路に二十三兆円掛ける計画でありますけれども、私は道路特定財源を一般財源化してバスの路線維持にも使えるようにするべきだと思います。それが道路を本当に生かす道にもなると思いますが、これは総務大臣、いかがでしょう。

増田総務大臣 道路特定財源の使途の問題については国土交通省で責任を持って考えるべき話だと思うんですが、たしか私の、予算委員会でいろいろもらった資料を見ておりましたら、道路特定財源の使途拡大の中で、デマンドバスについての使途拡大が入っていたかというふうに思います。いろいろ国交省の方でも御検討をされて、その使途について、純粋の道路というよりも、そういった道路と関連するところにもいろいろ広げておられるのだろうと。
 いずれにしても、その問題は国交省でいろいろお考えになるわけでございますが、私どもも、総務省として、こういった地方財政措置等を通じて、こうした過疎地域の路線を維持するということについては地方財政上の措置として手当てをしていきたいと、このように考えております。

山下よしき 先ほど、小泉内閣の道路特定財源一般化という路線を是非踏まえてという総務大臣自身のお答えがありましたけれども、地方が今どうなっているかしっかりと見ていただいて、道路特定財源の一般財源化が地方活性化にとっても非常に大きな貢献になり得るということをしっかり御認識いただきたい、そのことを申し上げて質問を終わります。

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