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論戦・演説・講演原点山下よしき---「おばあちゃんの二つの教え」、「共産党に入ってよかった事」など、自らの生い立ちや政治家としての原点を熱く語った初期エッセイ集  
 

災害時に大きな役割を果たす公立病院 縮小・再編計画の見直しを!

2011年4月26日 参議院・総務委員会

日本共産党の山下芳生議員が4月26日の参院総務委員会で行なった質問は次の通りです。

○山下よしき 日本共産党の山下芳生です。
 今回の改正は、従来の震災から支援を拡大しており、また第一弾ということもありまして、私どもも賛成です。その上で、今日は災害時における病院の役割について質問をさせていただきます。
 まず厚労省、副大臣来ていただいておりますが、東日本大震災の被災地にある病院の被災状況、医療提供状況、どうなっているでしょうか。

○大塚耕平厚生労働副大臣 御質問の件でございますが、私どもで確認をしております被災状況につきまして、岩手県は全九十四病院中四十一病院、宮城県は全百四十七病院中百十一病院、福島県は全百四十病院中三十五の病院で何らかの被害を受けている状況でございます。
 また、そうした中で診療機能の制限が行われている病院は、岩手県では七病院、宮城県は二十四病院、福島県は二十一病院でございます。

○山下よしき 大塚副大臣、もう一回確認ですけど、その被害状況のうち全壊した病院というのは分かりますか。

○大塚厚労副大臣 全壊した病院は、岩手県では三、宮城県では五、福島では原発の影響によって機能が停止している病院を別にすれば、全壊というものは発生しておりません。

○山下よしき それでは総務省に伺いますけれども、同じ質問ですけれども、同じく自治体病院の被災状況、医療提供状況、どうなっているでしょうか。

○片山善博総務大臣 被害状況でありますと、報告を受けております内容は、岩手県では全公立病院二十九病院中被災したものが五病院、うち全壊が三病院、宮城県は全公立病院三十三病院中被災したものが二十二病院、うち全壊が三病院、福島県は公立病院十七病院中被災したものが十二病院で、うち全壊については福島県については報告を受けておりません。

○山下よしき 資料を配付しておりますけれども、自治体病院、公立病院の被害状況一覧であります。全壊が八件と大塚厚労副大臣からお話があったうち六件が自治体病院、公立病院だということであります。岩手県でいいますと、高田病院、大槌病院、山田病院、宮城県でいいますと石巻市立病院、石巻市立雄勝病院、それに公立志津川病院であります。いずれもこれは沿岸部の過疎地域で救急を担う地域の基幹病院であります。特に岩手では、沿岸部に七つ県立病院がありまして、そのうち被災したのが五つで、全壊三、半壊二となっているわけであります。
 これらは、たまたま公立病院の中で被害の大きかった病院が集中している、あるいはたまたま建物の構造上問題があったということではなくて、やはり沿岸部の過疎地域で中核的な医療を担ってきたのが公立病院だったということの裏返しでもあるんではないかなと私は思っております。そういう被災地の公立病院が災害時に果たした役割は極めて大きいと思っております。
 これは私なりに、五つぐらい役割を発揮していただいたあるいはいただいているんじゃないかと思うんですが、一つは、まず発災時。これは地震で壊れずに、津波に流されずに、入院患者の命を守る避難場所としての機能を発揮したと。もちろん全患者を守ることができなかった場合もあります。上層階や屋上で避難された方しか救えなかった場合もありますが、多くはそういう機能を発揮したという面があるんじゃないかと。それから二つ目に、発災直後。これはもう救命活動の拠点としての役割を大いに発揮していただいたと。それから三つ目に、その後やや災害という点では落ち着いた後ですけれども、避難所での救援あるいは救護医療活動に力を発揮した。それから四つ目に、重症患者の方々は内陸部などへ移送するということも必要ですけれども、これも役割として担ったと思います。それから五つ目に、被災外からの医療支援チームをまとめて指揮するという機能もやはり公立病院が発揮しているところが多かったんではないかと思うわけですが、いずれもそういう医師、看護師、スタッフの皆さん自身が被災されている中で、病院、診療所、開業院が全壊、半壊したなどの状況の下で、地域の医療機関としての役割を果たすために非常に大きな役割を果たされてきたのが公立病院だと思います。
 そこで、まず厚労副大臣に伺いますが、今回の災害における病院、とりわけ公立病院の果たした役割についてどのように認識されているでしょうか。

○大塚厚労副大臣 公立病院の役割はどうかという御質問でございますが、当然、今先生が御指摘をいただいたような五点の実質的機能を果たしたというふうに私も思っておりますので、地域においては極めて重要なインフラであるというふうに認識しております。

○山下よしき 総務大臣の認識を伺いたいと思います。

○片山総務大臣 今先ほど山下議員がおっしゃったとおりだと思います。思いますが、これは必ずしも公立病院に限った機能ではないと思います。公立病院以外の一般の民間の医療機関の皆さんも本当に献身的に、中には病院機能を全く損壊してしまった、破壊されてしまった中でも、公立病院の医師、看護師、その医療スタッフと同じような働きをされていると思いますので、全体として高く評価されるべきだと思います。
 特に今回の被災地は、ちょっと表現は適切でないかもしれませんけれども、なかなか民間の医療機関では採算が取れないような地域の医療をカバーしていたという面で、今回大きくクローズアップされることになったんだろうと思います。

○山下よしき 私も公立病院に限ったことではないと思うんですが、しかし、今回の被災地の多くが今大臣がおっしゃられたようななかなか民間病院ではカバーできない地域もありましたので、そういうこともあって公立病院が非常に大きな役割を発揮したんだと、これは大事なポイントだと思います。公立病院がやはりそういう地域医療、とりわけ過疎地の医療を担ってきているんだということだと思うんです。
 その一方で、私、残念ながら院長も含めて多くの方が亡くなったり行方不明になった公立病院もあるわけですね。海岸にとても近い立地だった宮城県石巻雄勝病院は、院長さんも含めて六十四名の方が死亡ないし行方不明になっておられます。これは三階建ての建物でしたけれどもその上を超える津波に襲われたわけでありまして、もうどうしようもなかったということなんですが。
 私は、一方で役割を果たしていただいた面とともに、これ残念だけれども役割を発揮し得なかった公立病院からも今後に生かすべき教訓をきちっと整理する必要があるのではないかと思いますが、総務大臣、いかがでしょうか。

○片山総務大臣 これは本当に残念なことでありますけれども、病院とともに人的スタッフもその多くを失ったというところもあります。本当に痛ましいことだと思います。
 今後の教訓としては、やはり病院自体がこういう非常に打撃を被る災害のときにもちゃんと存続し得て、地域の当面の医療活動、救護活動に従事できるような、そういう条件を整えるということが一つの大きな課題になるだろうと考えております。

○山下よしき 私は、今回の経験を踏まえて、これから被災の各自治体が復興計画を作成されるわけですが、その際、公立病院の位置付け、果たすべき役割をやはり高めていく必要が生じるんじゃないかと、おのずからそうなっていくと思うんですが、その点の総務大臣の認識とそれに対する総務省としての支援の強化、どうお考えでしょうか。

○片山総務大臣 幾つかのプロセスがあると思いますが、差し当たってはやはり公立病院を早く機能回復させる、施設の再整備も含めて機能回復させるということが重要になるだろうと思います。
 それについては、先ほどもちょっと触れましたけれども、今日閣議決定をいたしました財政支援と助成の特例法の中に公立病院に対する支援策も盛り込んでおりまして、従来よりは手厚い助成制度を今回講ずることにいたしました。あと、そのほかの国の支援措置もありますので、それらを活用していただいて、是非早急に地域の、特に今回の被災地域の医療の再生に努力をしていただきたいと思います。
 それからもう一つは、そういう当面の再生を急ぐわけでありますけれども、同時にやはり将来的な持続可能といいますか災害体制、災害に強い病院機能というものをいかに確保していくかということも念頭に置きながら再生計画というものを作っていただきたいと考えております。

○山下よしき そこで、災害に強い町づくりを考える上でやはり自治体病院の果たす役割はこれから非常に大きな位置付けを持ってくるだろうと思うんですが、それは今回の被災地だけではないわけでありまして、全国でそういう役割を発揮してもらう必要があると思います。
 その点で、私、一つ非常に前々から危惧していることなんですが、この間、総務省が公立病院改革ガイドラインというものを作りまして、これは主に医療機関の採算面から物差しを当てて、各自治体に改革プランなるものを作らせてきたわけであります。大きくはもう公立病院の縮小、再編、統合ということになっておりますが、その結果、このガイドラインが策定され、改革プランが策定されて以降、公立病院の数、病床数の数共に減少しておりますし、医療スタッフの削減なども行われております。
 私は、この公立病院改革ガイドライン、それからガイドラインに基づく各地の公立病院の縮小、再編計画、三年ないし五年で今進んでおりますけれども、これやはり今回の災害における公立病院の果たしてきた役割あるいは果たし得なかった役割に照らして改めて見直す、再検討する必要があるんではないかと思うんですが、大臣、これはいかがでしょうか。

○片山総務大臣 元々、公立病院は自治体の経営でありまして、自治体で判断をしていただくというのがこれは基本であります。その際に、幾つか経営上のポイントというのがあって、一つは、先ほど来、山下議員がおっしゃっておられるような、特に民間の医療機関では対応できないようなそういう地域でいかに医療機能を守っていくのかという観点、これが一番大事であります。あわせて、その医療機関が財政面を含めて持続可能でないといけないという、こういう観点もあるだろうと思います。そういう重要な観点を踏まえた上で、それぞれの自治体が今後の公立病院の在り方というものを考えてこられたわけであります。
 今回、非常に大きな被害に見舞われてその該当の地域は当然今までどおりのプランでは妥当しなくなると思いますので、この際よく見直しをされて今後の公立病院の在り方については議論をして検討していただければと思いますし、それから、該当しない地域、今回被災されていない地域も、今回被災された地域の公立病院の問題点とか教訓とかを踏まえて、改めて今までのプランというものが妥当なのかどうかというのは点検をしていただければと考えております。

○山下よしき 終わります。


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