あったか連帯ウェブ 日本共産党参議院議員山下よしき
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論戦・演説・講演原点山下よしき---「おばあちゃんの二つの教え」、「共産党に入ってよかった事」など、自らの生い立ちや政治家としての原点を熱く語った初期エッセイ集  
 

「復興構想会議」を批判

2011年4月20日 参議院・災害対策特別委員会

日本共産党の山下芳生議員が4月20日の参院災害対策特別委員会で行なった質問は次の通りです。

○山下よしき 日本共産党の山下芳生です。
 初めに、復興構想会議がつくられた経緯、目的、性格を簡潔に説明していただけますでしょうか。

○福山哲郎内閣官房副長官 お答えをいたします。
 未曽有の被害をもたらした東日本大震災からの復興に当たっては、第一に、被災者、被災地の住民の意見を、思いを反映をしなければいけないというふうに思いますが、同時に、国民全体がしっかりとこの大震災をとらえてどのような役割を担っていくかということを考えることも必要不可欠であると考えます。ですから、復旧の段階から、復旧だけではなく未来に向けた創造的復興を目指していくことが重要であると考え、この復興構想会議を設置するに至りました。
 そのためには復興に向けた指針を策定をしなければなりませんので、復興構想について我が国の英知を結集し、幅広く御議論いただくために、四月の十四日に第一回を五百旗頭議長の下に開催をさせていただきました。
 この会議の目的といたしましては、政府はこの会議からいただく提言を受けて速やかに復興に向けた指針に反映させ、一丸となって復興に取り組んでまいりたいと考えております。

○山下よしき 復興会議議長の五百旗頭真氏が十四日の初会合で、十六年前の阪神・淡路大震災の被災がかわいく思えると発言したと報じられております。
 官房副長官、事実ですか。

○福山官房副長官 復興構想会議の今現在の会議の運営のルールとして、どなたがどういう発言をしたかということを具体的に固有名詞を挙げて言うのはそれぞれ自制をしようと、しかし自分が発言をしたことについては、私はこういうことを主張したということについてははっきりとメディアもまた外に向けても公言をしていいという形で動いておりますので、議長がどのように発言したかについてはここでは控えさせていただきたいと思います。

○山下よしき いや、自分がおっしゃったから載っているんだと思いますけれども。共同通信でそうはっきり言ったということが配信されていますから、これは否定されませんね。

○福山官房副長官 まさにそのルールの下で議長が言われたならそういうことだと思います。

○山下よしき 私は、阪神・淡路大震災の被災地からの反発を招きかねない発言だと報道されておりますけれども、そのとおりだと思うんですね。実際、阪神・淡路の被災地からは、失礼な言い方だと、どれだけ阪神・淡路の人が苦労したか分かっていない、ましてや五百旗頭氏は神戸にいて悲惨な事実を目の当たりにしていながらあんな発言をするとはという声が伝わっております。
 防災担当大臣、この発言は不適切、不謹慎だと思いませんか。

○松本龍防災担当大臣 十六年前の一月十七日の阪神・淡路大震災、私もかかわってまいりました。六千四百三十四人の方が亡くなって三名の方が行方不明ということで、私も三か月か四か月ずっとかかわってまいりました。五百旗頭先生も自らが被災され、復興のプラン等を担当されたというふうに思っております。
 そういう意味で、今回の震災がマグニチュード九・〇という世界的にも最大規模の発災ということで、未曽有の複合的な原子力を含めた災害であるというふうにとらえられているというふうに思います。このような大災害からの復興構想をまとめる議長としての重大なある意味では責務、会議に懸ける決意を述べられたというふうに私は思っております。

○山下よしき 仮にそういう決意の表れとしても、阪神・淡路大震災がかわいく思えるという表現をするのは不適切だと私は思いますが、阪神・淡路大震災を知っている防災大臣、そう思わないですか。

○松本防災担当大臣 自らも被災をされた経験からそういう発言に私はなったというふうに思います。いろいろな解釈の仕方もあろうかと思いますが、五百旗頭先生がそういうふうに言われたときに、私も、まあちょっとそういう発言でいいのかなと思いましたけれども、ある意味では、被災をされたということを思えば、やっぱりそういう重大な今度の災害に対して決意を表されたとの理解をしております。

○山下よしき 実際に、阪神・淡路からは大変な失礼な言い方だという声が返ってきているわけですね。これははっきり言って不適切だと認めないと駄目ですよ、私は、担当大臣としてですね。
 実は、私は、阪神・淡路大震災の年に参議院に初当選させていただきました。災害対策特別委員となって、被災者の生活再建支援、とりわけ住宅再建支援の必要性を当時の村山首相、その後の橋本龍太郎首相に直接訴えました。しかし、当時の政府は、私有財産制の国では個人の財産は自己責任が原則だという、このゆがんだ自己責任論で個人の住宅再建支援を冷たく拒否したわけです。そのことがどれだけ阪神・淡路の被災者を苦しめたかと。
 私は、今回の五百旗頭発言というのは、その当時の拒否した政府の責任を免罪することにもなる重大な発言だと、かわいく思えるなんというのは。不適切だと思いませんか、防災大臣。

○福山官房副長官 その阪神・淡路大震災のときの反省を踏まえて、別に私どもという気はありませんが、民主党が議員立法を出し、自民党も公明党からも法案が出てきて、あの私有財産だけは拒否するというものが今変わって、そのことが今回も対応に対しての第一歩になっているというふうに私自身は理解をしております。
 さらには、五百旗頭議長のことに関して申し上げれば、先ほど松本防災大臣もおっしゃられましたように、五百旗頭議長自らが被災をされました。さらには、五百旗頭先生のゼミ生が一人地震で亡くなられました。お嬢様だと思いますが、お嬢様が家がなくなったので別の地域にある意味でいうと避難をしながら生活をされた経験もお持ちです。
 今回、五百旗頭議長はこの復興構想会議の議長をやられるに当たって、本当に毎日毎日どうこのことを、被災地の皆さんの心を受け止めてやれるのかということを考えておられますし、いち早く現地も御覧になられましたし、全く山下先生の御指摘のような気持ちで言われたんだというふうに私は思いません。とにかく懸命に、復興に向けて何とか力になりたいという思い一心で今も臨んでおられるというふうに私は考えております。

○山下よしき もうこれ以上はやめておきますけれども。
 さっき言いました、住宅再建支援は阪神・淡路の被災者の皆さんにはなかったんですね。それでも諦めなかったんです、阪神・淡路の人たちは。粘り強く運動して、政治を動かして、そして被災者生活再建支援法が作られました。それが何度か改正されて、さっき官房副長官もおっしゃったように、全壊世帯に三百万円住宅再建支援金が支給されるようになったわけですね。阪神・淡路の皆さんは、全くこれは恩恵ないんです。恩恵ないけれども、粘り強くつくった、自分たちが頑張ってできたこの制度が、今、東日本大震災の被災者の生活再建の大きな土台となろうとしていることを阪神の皆さんは我が事のように喜んでおられますよ。それが私は社会が進歩することだと思っております。
 戦後未曽有の大災害であるこの東日本大震災の救援、復興に責任を持って当たろうとする者、私たちも含めてですけれども、その者は、やはりそういう歴史を忘れてはならない、歴史をしっかり踏まえて、その歴史を更に進歩させる決意と構えで当たらなければならないと、これは自分にも言い聞かせておるわけですが、その思いから私は五百旗頭発言にこだわらせていただきました。
 次に行きます。
 歴史を踏まえるという点でもう一つ。復興計画の作り方であります。
 国が上から押し付けるのではなくて、何よりも被災者の意見を反映して作る、被災地の住民が参加して作ることが大事だと思っております。それは基礎自治体である市町村の仕事だと思います。そうやって住民参加で作った市町村の復興計画を県と国が支援することが基本であるべきだと私は考えますが、防災担当大臣の認識を伺いたいと思います。

○松本防災担当大臣 今、復興構想会議、いろいろこれから議論をなされるというふうに思っております。今、山下委員、大変重要な御指摘でございますが、阪神・淡路のときも一番、今となっては一番大きなものは何だったかというと、住まいも大事ですけれども、つながりという言葉が一番大事だというふうに私も記憶をいたしております。そういう意味では、地域のつながりやきずなをしっかり強める復興構想でなければなりませんし、地域の伝統や産業、そして様々な地域の住民の合意形成があって初めて復興構想というものがあるというふうに思います。まさに構想もそこの人たちの、住民の合意形成をしていきながら、ある意味では大きな構想をそこで提示をしていただくという仕組みが必要なのかなというふうに思っております。

○山下よしき 復興構想会議のメンバーの皆さんの発言を聞いておりますと、ちょっと心配になるんです。例えば五百旗頭議長は、復興構想会議がモデルや水準を示したいと、こう発言されております。河田惠昭関大教授は、人工地盤、高台造成、海岸砂丘などの提案をされております。それから、村井嘉浩宮城県知事は、水産業、農業の規模を集約化すべきだと、こうおっしゃっています。被災された住民、被災者の方々が本当にそういうことを望んでいるのかということを考えると、私はちょっと心配になるわけですね。
 先週、宮城県東松島市のある避難所を訪ねまして、津波で住宅が壊れ、農地が海水につかった農家の方からこう聞かされました。農家の淘汰、大規模農家の形成、飯米農家の切捨てが行われるんじゃないかと心配だと、こういう声ですね。
 官房副長官に伺いますけれども、復興構想会議に被災者の意見、被災市町村の復興計画を反映させるという仕組みはありますか。

○福山官房副長官 山下委員御案内のように、復興構想会議には宮城県、岩手県、福島県の各知事にも委員にもちろんなっていただいております。
 そして、復興構想会議の下に検討部会というのがつくられておりまして、これはより専門家の皆さんに現地のことも含めて御議論いただくという検討部会でございますが、今日、第一回目が行われました。もちろん、岩手大学の農学部の先生、東北大学の津波の専門家の先生も含めて、多くが地元を歩いた結果を今日もお示しをいただいて、議論をいただいております。
 地元の市町村の意見、住民の皆さんの意見、そして県の知事さんや県の意見を聞いてこの復興構想会議の全体の構想は作られなければならないのは、全くにもう言うに及ばず私は当然のことだというふうに思いますので、山下委員の御指摘を踏まえて、そのようにきっちりと対応していきたいと思っております。

○山下よしき 市町村の意見を聞くのは当然だということでしたから、そうなるように注視しておきたいと思いますが、阪神・淡路のときには県が作った計画に住民の意見が反映されなかったという、これはマイナスの教訓だと思います。住民が避難所に避難している間に、再開発やそういうプランが上から押し付けられました、区画整理などが。それが非常に住民を苦しめましたので、やはり住民参加がないと、幾ら県が決めたといってもこれは非常にまずいことになると。これは是非生かしていただきたいと思います。
 それからもう一つ、五百旗頭議長は初会合で震災復興税の創設を提唱されましたが、これ新税の創設や増税提案をする権限まで与えられているんですか。

○福山官房副長官 実は、先ほど私が申し上げた、誰がどのように発言をされたかということを、それは自身の責任で発言をしていただきましょうと言ったのは、今のような議論が起こるからです。
 つまり、五百旗頭議長は恐らく、御自身の発言ですから、御自身でそういう発言をしたというふうにお述べになったんだろうというふうに思いますが、五百旗頭議長が財源としての震災復興税について考えられたのは御自身の考え方として御披瀝をいただいたんだと思います。
 復興構想会議は何度も行われます。また、検討部会のアイデアや考え方もどんどん入れ込んで議論をいただくことになっております。もちろん現地視察や現地の御意見もいただきます。一個一個の会で、それぞれの御自身の、それぞれの委員の先生方が発言されたことの言葉じりをとらえて一つ一つチェックするような状況だと自由闊達な議論がされないから、そういうルールにしようというのが五百旗頭議長の私は御発言の趣旨だったというふうに思っておりまして、震災復興税の話が五百旗頭議長から御自身から語られたとしても、それは一つの考え方として申されたことだろうというふうに私は推察をいたしますし、そのことが別に一回目の会議で合意されたわけでもないし、合意形成されたわけでもありませんので、そこはまず自由に御議論いただくということで、私はそれでいいのだと思っております。

○山下よしき 実は同じ委員の玄侑宗久さんが御自身のホームページの中でこの復興税について、それについての議論は何もなされていないし、無論決議もしていないと、それにしても、復興構想会議は、机上の青写真では済ませたくないが、財政まで考える組織だったのだろうかと疑問を呈しておられます。
 私は、上から復興計画を押し付けるというようなことに、こんなことになってはならない、それから国民に復興税と称して消費税の増税を強要するようなことになってもならない。しかし、今そういうふうになる兆しが早くも見えてきていると、こう感じているわけであります。そうなるのか、ならないのか。なってはならないと思いますが、厳しく今後注視をしていきたいということを申し上げて、時間が参りましたので、終わります。


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