あったか連帯ウェブ 日本共産党参議院議員山下よしき
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論戦・演説・講演原点山下よしき---「おばあちゃんの二つの教え」、「共産党に入ってよかった事」など、自らの生い立ちや政治家としての原点を熱く語った初期エッセイ集  
 

アメリカのユニバーサルサービスに学ぶべし

2011年4月19日 参議院・総務委員会

日本共産党の山下芳生議員が4月19日の参院総務委員会で行なった質問は次の通りです。

○山下よしき 日本共産党の山下芳生です。
 四月十一日、北海道東北地方知事会が東日本大震災に係る要望書というものを出されまして、その中に、地上デジタル放送の難視対策設備の多くが損壊、流失、被災した市町村や事業者等の限られた人的資源を災害復旧復興に傾注せざるを得ないことを考慮すれば、七月二十四日までに難視対策を完了させることは極めて困難であると。地上デジタル放送の難視対策が確実に実施されるまで被災地域における地上アナログ放送の停波を一定期間延長することという要望書を出されております。
 被災三県でのアナログ停波は、もうはっきりと延期を表明されるべきではないでしょうか。

○平岡秀夫総務副大臣 この問題については、この委員会でもいろいろと問題提起もされておられまして、我々の方も、まずは実態を把握しなければならないということで、必ずしも十分な時間があったわけではございませんけれども、緊急に調査をし、そして取りまとめもさせていただいたところでございます。
 そういう実態を踏まえ、さらには、これまでの地上デジタル化へ向けての取組というのは総務省だけがやってきたわけではございません。地方自治体の協力も得てやってまいりましたし、民間を含めて放送事業者の方々にも協力をしていただいたというふうな経緯もございます。そういう関係者の皆さん方のいろんな御意見もいただきながら、できるだけ早期にこの取扱いを決めていきたいというふうに考えています。

○山下よしき 早期といいますけれども、もう三か月ですから、もう調査をされているわけですよね、十万世帯が津波で壊れたり設備が流されたりしておりますので、もうこれは延期せざるを得ないと思うんですよ。だったら、それをきちっと早く言わないと、無用な心配を被災者の皆さんに、どうなるのかなということを、もうこれ以上与える必要はないと思いますが、いつ言うんですか。総務大臣は今週の冒頭という、そういう報道もあったんですけれども、いつそれを表明されるんですか。

○平岡総務副大臣 委員の御指摘も踏まえてできるだけ早期というふうにしか今は言えないんですけれども、決めるのが、要するに、今言った関係者がいろいろおられるということでございますから、私が決めるとか、総務大臣がここで決めるとかということでもないのでありますけれども、ただ、もうできるだけ早期に、本当に今日の議論も踏まえてできるだけ早期に決めていきたいというふうに思います。本当にそれは、ここでも、しっかりと、早期に決めますということで御理解いただきたいというふうに思います。

○山下よしき もう早く決断をするときはしなければならないと、災害ですから。
 それで、加えて、準備が間に合わないのは、私は被災三県だけではないと思うんですね。といいますのは、政府や放送業界は今年の一月以降、二十万人規模の地デジボランティアを動員すること、それから各地での相談活動、テレビでの大量宣伝を柱にした最終国民運動を呼びかけてきました。しかし、震災からこの一か月間はほとんどこれらの活動がストップしております。テレビCMも全国で一時中断されましたし、NHKの広報部に聞きましたら、再開も検討しているけれども来月からすぐに再開というわけにはいかないという状況だということでありました。
 ですから、これは全国的に十分な準備が整う状況に今ないと。である以上、全国一律のアナログ停波は延期することも検討すべきじゃないですか。

○平岡総務副大臣 被災した地域についての取扱いは先ほど申し上げたとおりでありますけれども、それ以外の地域についてはこれまでも比較的順調に対応が進んできたというふうに思っておりますし、確かに今の現状というものは大変厳しい状況ではありますけれども、関係者一同、最大限の努力をして、七月二十四日へ向けて努力しているということでございますので、是非とも予定どおりに進めていきたいというふうに考えておるところでございます。

○山下よしき もうこの一か月、ちょっと事情変わりましたからね。変わった事情も踏まえて、本当に全国一律でやっていいかどうか、その点やっぱりよく事情を聞いて検討する必要はありませんか。決めたからやるんだということではいけないと思いますが、いかがですか、そこは。

○平岡総務副大臣 先ほど申し上げましたように、被災した地域についてはしっかりと今事情を聞いているわけでありますけれども、それ以外の地域についても、それぞれの我々の地方支分部局もございますので、そういうところからも情報を得ながら今考えているところでありますけれども、今までのところ、我々としては実施は可能であるというふうに判断しておりまして、その方針に基づいてこれからも最大限の努力を注入していきたいというふうに考えています。

○山下よしき 私は、もう全国の一律実施、停波というのは再検討すべき段階に来ているというふうに思っております。
 次に、今日の朝日新聞に「三陸 テレビ見られない」という記事が載っておりました。気仙沼では、自宅が住める状態なのにテレビを見られないという世帯が目立つと。地元のケーブルテレビ、気仙沼ケーブルネットワークの局舎が約四百メートルも流され、全壊したためだと。加入世帯七千世帯ということだそうですが、そこで、気仙沼市は、震災を受けて開局した臨時FMラジオ局を通じて生活情報を伝えようとしているという報道でありました。
 大震災の被災地で、食事や入浴などの地元の詳細な生活情報を発信し続けるコミュニティーFM放送が活躍をされております。全国のコミュニティーFM放送局二百を超す加盟局で組織される日本コミュニティ放送協会では、震災発生直後から被災地支援を呼びかけて、特に尽力したのが、被災四県で緊急に開設された、先ほどの気仙沼のような臨時のコミュニティーFMへの送信機器などの支援だったそうであります。
 すぐに沖縄や北海道の放送局が予備の機材を送られることになったそうですけれども、こうした地域密着のコミュニティーFMの活動に対する大臣の評価を伺いたいことと、それからNPOなどによって開設、運営されているこうした被災地のコミュニティーFMに対して、放送局ではありますけれども何とか支援することはできないだろうか。この点、二点伺いたいと思います。

○片山善博総務大臣 被災地からのニュースで、このコミュニティーFM局の活躍ぶりが伝えられることがしばしばあったと思います。私は、大変大きな力を発揮されていると思います。それは、山下議員がおっしゃったように、被災者の皆さんに必要な生活情報でありますとか支援の情報が伝わるということはもちろんでありますけれども、そういう情報を伝える前の段階の取材の段階から含めて、地域の連帯感というものを非常に高くする、一体感を醸成するということに大きく貢献されていると思います。地域のFM局のラジオを聴いて被災者の皆さんが非常に励まされる、そういうこともあると伺っております。今回、改めて、この地域FM局の有用性、重要性というものを私も認識した次第であります。
 こういう貴重な媒体というものがちゃんと持続するようにするにはどうすればいいのか、ちゃんと運営されるようにするにはどうすればいいのかということでありますけれども、これを政府や自治体が何らかの支援をするということは、それはそれで別途理念上の問題も私はあると思いますから、できるだけ民間の支援といいますか、活用といいますか、それが求められるんだろうと思います。これが原則だと思います。
 伺いますと、中央共同募金会などが民間企業からの拠出金を基にしてこのコミュニティーFM局を助成しようとするような動きもあるようでありまして、それは非常に私は結構なことだと思います。是非こうした取組が広がることを期待をしているところであります。

○山下よしき 次に、法案関連の質疑に入りたいと思いますが、まず、光の道構想の目的、それから効果について簡潔に説明いただけますか。

○平岡総務副大臣 光の道構想というのは、御案内のように、全ての世帯において超高速ブロードバンドサービス利用の実現ができるようにしていこうという大きな目標でございますけれども、このことによりまして、我々が期待していること、様々なことがございますけれども、例えば、行政、教育、医療など、生活に密着、直結する分野を中心にICTを活用し、高齢者やチャレンジドを含めて誰もがコミュニケーションの権利を保障された上で、ICTの恩恵を迅速、公平、十分に実感、享受できる豊かな社会を実現していくこと、さらに、今後の我が国経済の更なる発展、あるいは雇用の創出、地域の活性化等についても大いに寄与していくという効果を期待しているところでございます。

○山下よしき そこで、まず経済成長、雇用の創出、地域活性化等に寄与するということなんですが、情報通信業界というのは、この間、毎年、ほかの産業と比べ物にならないような高い利益率を上げております。主要携帯三社で二〇%前後でして、群を抜いております。
 にもかかわらず、雇用の方はどうなっているかと見ますと、一九九九年以降、圧倒的に非正規雇用労働者の割合が増えているわけですね。例えばNTTグループでは、二〇〇一年以降、この十年間で、七万六千人もの労働者が正規雇用から非正規雇用に置き換えられて、不安定雇用、低賃金化が図られました。ドコモショップに行きましたら、もう大体若い労働者ですけれども、ほとんど全て契約社員というふうに聞いております。
 情報通信業界が栄えても、そこで働く人々の雇用が劣悪化したり健康が破壊されるということではいけないんではないかと。やはりこうした状況というのは抜本的に転換されてこそ、この光の道構想の恩恵が全国民的にという多面的な恩恵になるんではないかと思いますが、その点、大臣、いかがでしょうか。

○片山総務大臣 これは各企業の雇用政策でありますから、私の方でとやかく申し上げることではありませんが、一般論としていいますと、できるだけ安定した雇用が実現するということが私は我が国の雇用政策としては望ましいことだと思います。
 競争原理が激しい領域でありますから、それが労働コストの引下げにつながりやすいという傾向がないわけではないと思いますが、それぞれの企業においてできるだけ良質の雇用を確保するように努めていただきたいと思いますし、そのことが、業界全体もそうですし、各企業の持続的な成長に必ずや私はつながると思いますので、その辺はよく長い目で自社の行く末も見られて雇用というものを扱っていただければと思っております。

○山下よしき 大事な御答弁でした。成長産業でこそ雇用の質を良くするという観点は非常に大事だと思っております。
 次に、高齢者やチャレンジドを含めてICTの恩恵を享受できる豊かな社会について聞きますが、アメリカでは、聴覚障害、言語障害をお持ちの方に向けて通信サービス制度、略称TRSと言われる制度があると聞きました。
 この制度では、通信事業者の拠出によって運営されている制度ですが、聴覚障害者のお宅に特別なキーボード付きの電話機が配付されると。この電話機で電話会社のオペレーターを呼び出した後、相手の電話番号と伝えたい内容をキーボードで入力すると、オペレーターが入力された文面を相手に電話で読み上げて伝えると。相手の方が答えた内容をオペレーターがキーボードで入力して、聴覚障害をお持ちの方に伝えて返してくれると。このサービスは、アメリカのどこからでも七一一に電話すれば、年中無休、二十四時間体制で対応してくれるそうですが、ユニバーサルサービスの名にふさわしい私は制度だなと思いました。
 日本でもこういう制度を私は導入すべきだと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

○片山総務大臣 この問題に限らず、どこまでユニバーサルサービスの範囲を拡充するのかというのは、これからの一つの大きな論点だと思います。拡大すれば、その分だけこれまで以上にコストが掛かりますから、それをやはり利用者全員で負担を共有するということが必要になってきます。そのコンセンサスがどこまで得られるのかということだと思います。現時点では、多分、山下議員の御提案はまだコンセンサスが得られるに至っていないと思います、まあ問題も提起もされていませんから当然といえば当然なんですけれども。
 今後、ですから、少しずつそのユニバーサルサービスの範囲を拡大していくということは、当然これは趨勢として進むと思いますけれども、一つ一つ着実にコンセンサスを得ながら、皆さんの同意と納得を得ながら進めるという、そういう作業手順が必要だろうと思います。

○山下よしき もう時間参りましたけれども、日本のユニバーサルサービスの概念というのは、主として地域格差を緩和するということに限定されております。これは非常に狭いですね。その狭い限定された概念からより豊かな内容に発展させていく、それは国民の合意、必要ですけど、合意が得られるような発信をやはり総務省を先頭に積極的にやらないと、もう実際にアメリカでは合意がされて定着しているわけですから、そういうことを希望して、質問を終わります。


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