○山下よしき 村木参考人の闘いに心から敬意を表したいと思います。同時に、もし村木参考人が検察の不当な見立てに屈していたらと思うとぞっとする思いでありまして、恐ろしさをいろいろ文章を読んで感じました。政治家として、このようなことは二度とあってはならない、防止のために責任を果たさなければならないと思っております。
まず、検察の在り方検討会議で村木参考人は、大阪地検から事情を聴きたいということで伺ったらその日に逮捕されました、逮捕前の取調べというのは非常にあっさりしたものでございました、どれも全て否定したら逮捕されたという状況で非常に不思議な感じがしましたと述べておられます。
事情聴取即逮捕ということになったわけですが、その逮捕の際に、例えば弁護士を付けることができるとか黙秘権を行使できるなど、国民が有する権利が十分に説明されたのか、また保障されたのか。これはいかがでしょうか。
○村木厚子参考人 私が持っている権限についての説明はあったというふうに思います。ただ、例えば、弁護人に自分から連絡を取りたいとか、それから家族に、特に私は子供を一人だけ家に残して大阪に来ておりましたので、家族に連絡を取りたいとかいうことを申し上げたときには、全部それはこちらからしますというふうに言われて、じゃ、いつ弁護人に連絡をしてくださるのか、いつ家族に連絡をしてくださるのか、弁護人が知らないままでいろいろなことがまだ進むのではないかというような不安は非常に感じたということは記憶に残っております。
○山下よしき 取調べの中で、先ほど参考人に対しては暴力だとか脅迫などはなかったということでしたが、検察による例えば人権侵害的な行為であるとか屈辱的な行為など、気になる点はありませんでしたでしょうか。
○村木参考人 多少大きな声は出されましたけれども、暴力的なことはございませんでした。
ただ、私が非常に気になったのは、一つは、取調べに当たられた検事さん二人ともが、執行猶予が付けば大したことではないではないですかとおっしゃられた。これは私の価値観とは全く違うものでしたので、例えば偽の証明書を作るというようなことを公務員がやるということ、それを認めるということが、刑務所へさえ入らなければ大したことではないというこの感覚がどうしても理解ができませんでした。そういう意味では、検事さんたちの中にある種の職業病的に世の中の普通の方との感覚のずれがあるんではないかというふうに感じて、それは非常に心配になりました。
それからもう一つは、お二人の検事さんのうちのお一人だけでしたが、真実というのは分からないんだと、分からないからたくさんの人が言ったことのうちで一番重なりが大きいところを真実とするしかないんだというふうに言われました。ですから、ちょうど私は大阪の拘置所におりましたので和歌山のカレー事件の犯人とされる方もそこにおられたんですが、あの人だって本当にやったのかどうか分かりませんよというふうに言われた。でも、逮捕され起訴をされているわけですね。そういう感覚というのは非常に恐ろしい、そういう感覚で検事さんがおられるということは非常に恐ろしいことだと思いました。これは全員がとは思いたくありませんが、そういう検事さんがいらっしゃったということは大変恐怖でした。
○山下よしき 最高検の検討結果報告書について、村木参考人は、多数の検事により事実と異なる一定のストーリーに沿った調書が大量に作成された過程そのものは検証されませんでしたとコメントされ、先ほども、何を根拠に私が犯人だというストーリーを立てたのか一切触れていないという御批判をされておりました。
そこで、二点質問したいと思います。一つは、参考人は、どうして御自身が犯人にされようとしたと今お考えなのか。二つ目は、このような不当な見立てを根絶するために何が必要だとお考えか。この二点、お願いしたいと思います。
○村木参考人 本当になぜ疑われたかを知りたいというのがもう保釈された後ぐらいから私の非常に大きな願いでしたけれども、いまだによく分かりません。
ただ、あるとすれば、文書の名義人は私でございますので、それが一つあるんだろうと。それから、もしかしたら、これは想像もありますが、団体の側は最初、団体が偽物の証明書を作ったという疑いを掛けられておりましたので、ちゃんと正しい人からもらったんだと、権限を持っている人からもらったんだということを言われた。つまり、名義人は私でございますから、私からもらったんだというようなことを言われた可能性はあるんだろうと思います。ただ、そのほかについては何もなかなか思い当たるところがないということでございます。
じゃ、仮にそういったことがあって村木さんかもしれないと思ったとしても、そこから後をどうすべきかということですが、今回の事件に関しては客観的にいろんな証拠が残っていたわけでございまして、それをきちんと丁寧に見るということと、それから冷静に判断をするという本当に基本的なことが行われていれば起こりようがなかった間違いのように私としては受け止めております。
ですから、何か特別な思惑とかバイアスが掛からずにきちんと捜査をすれば起こらなかった問題ではないんだろうかというのが私の印象でございます。
○山下よしき 終わります。