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論戦・演説・講演原点山下よしき---「おばあちゃんの二つの教え」、「共産党に入ってよかった事」など、自らの生い立ちや政治家としての原点を熱く語った初期エッセイ集  
 

働く場の再建が復興のエネルギー 片山総務相に質問

2011年4月12日 参議院・総務委員会

日本共産党の山下芳生議員が4月18日の参院総務委員会で行なった質問は次の通りです。

○山下よしき 日本共産党の山下芳生です。
 東日本大震災から一か月たちました。私からも改めて、亡くなった方々に哀悼の意を表しますとともに、被災された皆様にお見舞いを申し上げたいと思います。また、災害の最前線で救援と原発の対応に当たっておられる行政関係者の皆さん、医療関係者の皆さん、福祉関係者の皆さん、警察、消防、自衛隊の皆さんに心から敬意と感謝を申し上げたいと思っております。
 片山大臣は、復興の要諦は被災者の生活再建なんだというふうに繰り返し述べておられます。私は、一か月たって、生活再建には住宅の再建とともに働く場の再建がもう必要不可欠になっているということが明らかになってきたというふうに思っております。
 NHKが被災者に行ったアンケートを見ますと、今心配なことは何ですかとして、住む場所が四五%、それと並んで仕事や収入が四一%ということで、やはり住宅の再建とともに仕事、収入、雇用というものをいかにつくっていくか、再建していくかというのが非常に大事な今局面になっていると思うんです。
 その点、NHKはこの一か月を機に非常にいい番組を作っていただいているなということを感じます。昨日も夜、「クローズアップ現代」がこの特集をしておりまして、そこで農業についてまとまったレポートがありました。
 宮城県の南部、山元町というところですけれども、ここはイチゴのハウス栽培が盛んなところで、百三十六戸のイチゴ農家の方々が全部被害を受けたと。今年のイチゴの出荷は全く駄目になったと。四十年掛けてここでは仙台いちごというブランドに仕上げてきたようなんですけれども、それが駄目になったと。ある農家の方は、六千万円投資した大型ハウスが家と一緒に流されて、その現場の前で立ち尽くす様子が映っておりました。
 ただ、それから二週間たって、やはり若い農家の皆さんは、先祖代々誇りを持ってやってきた、負けてなるかと頑張ってきてくれたこのイチゴ栽培を何としても復活させたいと思って今頑張り始めているという姿も映っておりましたが、ただ、そう甘くないというのも一方で報告がされておりました。ハウス栽培の機械がやはり全て壊れて、多くの仲間の皆さんが数千万円のローンを抱えている。再出発しようにも、金融機関が追加の融資をしてくれるかどうかも、もう既にマイナスからですから、心配だということで、ある若手の方が、もうばらばらじゃなくて共同経営でやらないかということを呼びかけたんだけれども、なかなかよしという気持ちになれずに、先が全く見えないとか、もうサラリーマンになる方がいいんじゃないかとかいうことで、若手の方も非常に逡巡されているという状況でした。
 そこで、まず大臣に、こういう住宅再建とともに、雇用というか働く場の再建、そこに一生懸命再建しようとしている方々がいる、しかし非常に困難だと、こういう状況、私はここに一番政治が後押しする必要があると思うんですが、その辺りのまず認識を伺いたいと思います。

○片山善博総務大臣 今次の災害の一つのポイントは、やはりおっしゃったような就労といいますか、生業の場を取り戻すということだろうと思います。もちろん生活の場を確保するということは当然でありますけれども、併せて今回の災害の場合には生業を取り戻すということが非常に重要なポイントだと私も思います。
 政府は、今日もやっていたんですけれども、それぞれの、良しあし別にしまして、縦割りの各省の仕組みを使って、できる限りの、これは主として金融と、それから利子補給、それから信用保証、さらには補助制度、これらを使ってできる限りの支援をしていこうということであります。
 決して容易ではないと思います。特に、一次産業の皆さん方、中小企業の皆さん方も既にもう信用保証の枠でありますとか融資の枠はほとんど使い切っている方が数多くおられますので、もちろんそれについては超過枠といいますか追加枠を設けることは今回それぞれの場面でありますけれども、それにしても容易ではないと思います。
 その容易でないところを、昨日、私も「クローズアップ現代」見ておりましたけれども、是非皆さんで協業化でありますとか協同化でありますとか、そんなことを、昨日は一つのテーマだったと思いますけれども、そういうことも一つの選択肢としながら、みんなで支え合って是非頑張っていただきたいと思いますし、それを町、それから場合によっては農協、それから県などができる限りの支援をしていただきたいと、私も昨日見ながらそう感じておりました。

○山下よしき 昨日の番組の中では、元神戸大学の室崎先生がアドバイザーとして出ておられましたけれども、室崎先生も、やっぱりこういうものを若者たちに任せるだけでは駄目で、国がやはり支援する必要があると。その一つに、これは室崎先生のアイデアでしたけれども、海水につかった農地を国が借り上げて、その借り上げた費用を使って従事してもらうとか、そういう従事して、土壌改良に従事をしてもらい、それで農地として使えるようになったら今度はまたイチゴ栽培に。
 そういうビジョンを、今は先が見えないという状況に対して、それで悩んでいる状況に対して、ビジョンを示すためにお金も専門的知識もやはり国が支援する必要があるんじゃないか、室崎先生のようなそういう経験と識見をお持ちの方が、役に立ちたいと思っている人もたくさんいるだろうから、行政と住民と専門家がしっかりと一緒になってビジョンを早く示す必要があるんじゃないかと、こういうことも提起されておりましたけれども、農地の問題は具体的にここでは聞きませんけれども、ビジョンを示すという点での国の支援、ここは非常に大事な点ではないかなと思ったんですけれども、いかがでしょうか。

○片山総務大臣 昨日、室崎教授も言われていましたけれども、これは自分の一つのアイデアですからとかって言われておりましたけれども、なかなかアイデア、ビジョンだけでは物事は進まないわけでありまして、それを具現化しようと思いましたら、一人や二人ではありませんので巨額な費用と、それから新しい仕組みでありますから法律が要るわけでありまして、ビジョンだけは簡単なんですけれども、具体化する場合には、そういう現実の問題として法制度と予算というものが伴います。
 ですから、そんなにてんごろやすくはいかないと思いますけれども、昨日のような、ああいう若い人たちをできる限り応援をしたいという気持ちでもってできる限りの支援システムをつくるということ、これが当面の政府の基本的な方針であるべきだと私も思います。

○山下よしき ついでと言ったら申し訳ないんですけれども、海水につかった農地の土壌改良についてどこまで公費で支援ができるのかという点は、これは片山総務大臣、全体の生活再建の本部長代理ですので、今どういう検討がされているのか、もしお分かりでしたらお答えいただけますでしょうか。

○片山総務大臣 これは、それぞれ所管の省庁で今補正予算それから必要な法的な仕組みの構築などについてそれぞれ関係省庁と協議をしているところでありまして、まだ全体をまとめる段階には至っておりません。

○山下よしき 恐らく、これは非常に大きな、農業を産地として復興させていく上で非常に大きなまず第一関門になりますので、これまでの枠を超えたやっぱり支援が必要になってこようかと思いますので、よく現場の実態を踏まえて支援の在り方を検討いただきたいと思います。
 それからもう一つ、NHKの番組で、四月九日報道されたNHKスペシャルも一か月の特集をやっておりました。
 そこでは水産業について報道がされておりまして、漁港、養殖場それから水産加工場などが被害を受けて、気仙沼ではこの水産業で七割の人々が従事をされていると。特に、魚市場、それから水産加工場、それから冷凍施設、これらがことごとく機能を失って、そこで雇用が崩壊していると。地域のハローワークには失業された方が殺到されていると。それから、もう雇用を維持できなくなった会社の経営者の方が大量の解雇の通告、届出を出されている、そういう状況も報告されました。
 その中で、ある八百人の従業員を抱える水産加工業の経営者の方が、解雇するかあるいは休業でとにかく再建したらまた働いてほしいということで、どちらを選ぶのかということを経営陣の中で非常に議論をされながら、やはり今解雇になるともう気仙沼との細い糸が切れちゃうんじゃないかということで、農水省の制度では漁業、農業に対する支援はあるけれども、水産加工業というのは入っていないけれども、しかしこれ切るわけにいかないということで、四月五日、会社方針として、一人も解雇しないで休業扱いにするという方針を従業員の方にお伝えするシーンが出ておりました。頑張ろうという気持ちがみんなのものになっていくシーンが印象的でしたけれども。ただ、これもいつまでもそう頑張れるわけじゃなくて、この会社の社長さんは一年が限度だろうとおっしゃっていました。その間、休業補償については国の雇用調整助成金などでかなり補填がありますが、社会保険料をこれは会社が負担しなければならない、これは非常に重たいということも番組では紹介されておりました。
 この社長がこうおっしゃっていたんです、やはり水産業の復興しか気仙沼が復興することはないと。これはやはり、八百人の企業の社長さんですが、非常に、何といいますか、社会的責任といいますか、地域のためにどう貢献を自分はすべきかということを本当に考えて、苦しい中でもそういう道を選ばれたということだと思うんですが、まず、そういう中小の企業の経営者の皆さんのそういう気持ち、大臣としてはどう受け止めておられますでしょうか。

○片山総務大臣 本当に経営者の皆さんは大変だと思います、私も番組を見ておりましたけれども。続ける場合も、先ほどの例で、従業員を解雇しないで雇用を継続する場合、大変なコストが掛かります、その間事業が当面再開できないわけでありますから。取りあえず解雇をすればそれなりの労働者の皆さんには助成金が出ますけれども、会社とのつながりがなくなってしまうという、こういう苦渋の選択だろうと思います。私は、あれを見ていまして、どちらがいいと自分で言えない、やはりいずれを選択するにも大変苦渋に満ちた選択だろうと思いました。
 先ほど言いましたように、中小企業向け、それから農業者向け、漁業者向け、それなりに政府の施策は整っております。ですから、既にもう債務を抱えられておられるという事情はおありでありましょうけれども、その中でもできるだけ有利な仕組みを見付けていただいて是非頑張っていただきたいというのが一つであります。
 もう一つは、魚市場等のそういうインフラについては、これもかなり手厚い助成制度がありまして、特に激甚災害の指定は当然ありますので、相当高率の、負担の少ない、持ち出しの少ない制度がありますので、是非そういうものも協業組織によって再開に向けて努力をしていただきたいと思っております。

○山下よしき 大臣も番組を御覧になっておられたということですが、社会保険料を、これを、こういう大災害ですから、しかもこれはもう個々の企業のためという以上に地域をどう復興させていくのかということで、会社としてできることはということで、切るんじゃなくて休業ということで、気仙沼とのつながりを持っていただきながら一緒にまた会社が操業するときには頑張ってほしいと。こういう点では、これ社会的な非常に大きな動機だと思うんですよね。それを一企業に任せるんじゃなくて、保険料についても国が一定の期間は肩代わりすることも含めて、それがそういうインセンティブになるんであれば私は検討すべき一つのテーマだなと思ったんですが、いかがでしょうか。

○片山総務大臣 厚生労働省を呼んでおいていただければよかったと思うんでありますが、私が責任持って答弁する立場にはありませんので答弁はいたしませんけれども、お気持ちは共感するところもありますので、それは該当の省に伝えておきたいと思います。

○山下よしき それから、NHKスペシャルで、今度は商業や工業についても報告がされておりました。
 釜石の商店街百五十店ぐらいがあるところで、もうほとんど壊滅されておりますけれども、今何が必要ですかと聞かれたら、ビジョンだと言うんですね、ここも。やはり商売、商店をされている方にとっては、町がどんなふうに復興するか、お客さんがどのぐらい戻ってくるかという見通しがないと、一人で店を開けても周りにお客さんがいなければそれは当然展望がないからだと思うんですが。
 同時に、ここでも、スポーツ用品店の方が瓦れきの中から新入生の名前のリストが書かれたノートを取り出して、それで今度新入生に対して運動靴であるとか体操服であるとかを届けるために仕入れも始めたと。そのことを、子供には迷惑掛けられない、責任感だねというふうにおっしゃっていました。これは非常に印象的な言葉で、やはり小売業の方々にとっても、地域でなくてはならない役割と責任感を感じながら復興に今向かおうとしている。
 それから、鉄工所の経営の方、十二人の従業員をお持ちの方も紹介されておりましたが、もうこれも従業員に給料を払うのは三か月の手持ち資金で回すしかないと、もう三か月までしか、その間に何とか。加工の道具を泥の中から取り出して石油でぴかぴかに磨いているシーンが出ていましたけれども、この方は、漁業者に我々は絶対貢献する義務があるんだと、要するに船のエンジンを直すのは我々だと、我々がいなければ気仙沼は復興できないと。
 こういう商業者であれ、鉄工所の経営者であれ、やはり自分たちがそういう業としてこれまで地域を支えてきたという誇り、責任感、それから貢献、こういうものこそ私は復興の強力なエネルギーなんだろうなということを感じたんですが、これを大事にする必要があると思いましたが、大臣の所見を伺いたいと思います。

○片山総務大臣 元々がやはり基幹産業を中心にして、それを支える産業がパーツの工場であったり、流通であったり、それからそこで働く労働者の皆さんに衣食住を提供する産業であったりするわけでありますから、私もああいう番組を見ていまして、やはり基幹産業をまず復興させること、これが一番大事だなと思いました。あわせて、そういう支える産業にも十分、先ほど来言っております各省縦割りのいろんな仕組みがありますので、それらを活用していただきながら支援をしていくということが必要だろうと思います。

○山下よしき この方々は自分で立ち上がろうとされているんですね。誰からもまだ、公的な応援があろうがなかろうが、自分たちで立ち上がろうとされています。その自分たちで立ち上がる上で、やはり国が必要な支援をすることによって雇用が生まれ、地域が元気になっていくと思うんですね。
 だから、私は、そういう意味で、この間、問題提起さしていただいている災害救助法二十三条の生業資金の給与というものは、いろいろな形で支援が受けることができないような中小零細の方々はたくさんいると思います。そういう方々に、自分で立ち上がろうとされている方々に、全額ではないと思います、しかし一定部分支援することによって非常に大きな勇気と希望が湧いてくるという面があるんじゃないかなと思うんですね。
 例えば、石巻のあるせんべい屋さん。直接聞いた話ですけれども、八十八歳の方ですけれども、二十二歳のお孫さんに家業を引き継ごうと決めていたけれども災害に遭われたと、何とかしてもう一回設備を整えて引き継いでもらいたいと。あるいは、気仙沼の土木工事の業者。トラック一台三百五十万、四トンダンプ一台二百五十万、二トンダンプ一台二百万、ゲート付き二トントラック一台百万、バックホー一台三百万、タイヤショベル一台百五十万、振動ローラー百五十万などなどで合わせて千五百万になるそうですよ。たくさんあるけれどもその程度ですね。そのどれかがあればまた業を起こせるというわけです。
 だから、全額ではない、しかし、やはりマイナスから、もう既に借金なんかいろいろある方々が、せめて頑張ろうとしている方々が立ち上がる更に後押しを生業資金の給与という形で行うことによって大きな力になるということを、私は具体的にこういう状況を見ながら、それが地域経済、地域の活性化にとって、復興にとって非常に大きなインパクトがあるんであれば、ここは過去例ないですけれども、本当に検討する必要があるんじゃないかと改めて大臣に提起したいと思いますが、いかがでしょう。

○片山総務大臣 先日その御指摘がありまして、私もこの制度の経緯とか現状を見てみまして、制度ができたときにはまだ、先ほど来申し上げております各省の縦割りの融資、それからそれなりの補助制度、それから利子補給、信用保証などのそういう仕組みがほとんどありませんでした。そういうときにできた法律であります。その後、高度成長を経まして、各省でもう本当にきめ細かい縦割りで、ほとんど漏れのないようなきめ細かい制度融資、利子補給が整ってきておりまして、言わばそれが自主的に、貸与はもちろんですけれども、給与に代わるものとして構築されてきたものだと思います。
 利子補給も、長年のものを足し合わせて現在価値に置き換えますとやはり相当の給与に該当する助成になりますので、それはそういう各省の制度に乗り移っているというふうに理解をしていただければいいと思います。

○山下よしき 終わります。


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